もう三年になるんですね……
色々と直したい箇所はあるんですが、なにせ量が多すぎるのでゆっくり直していきたいと思います
お待たせしすぎて本当に申し訳ありません。もしまだ追ってくださっている方がいるのなら、どうぞ気長にお付き合いください。
「ソンゴクウはどこにいる?」
辺境の街は冒険者ギルド。普段は朝に夕にと冒険者たちでごった返し賑わいを見せているのだが、今朝は嘘のように静まりかえっていた。その原因は受付嬢とカウンターを挟んで向かい合っている長身の男であろう。
肌の色は紫。禿頭(とくとう)ではあるがその顔つきは精悍であり、しかし受付嬢を見下ろすその瞳は冷たい。
「もう一度聞く。ソンゴクウはどこにいる?」
男の二度目の問いかけに、金縛りに遭っていた受付嬢は「はっ」と我に返った。
『ソンゴクウ』という名前を受付嬢は知っている。今は『オールラウンダー』と呼ばれている冒険者の本名がそれだ。
(……だけど……この人にそれを教えてはいけない気がする……)
受付嬢は男から目を逸らさぬよう必死になりながら、そんなことを思った。
男が放つ雰囲気は明らかに穏やかなものではない。そんな男に、あの純粋の結晶のような少年のことを教えてしまえばどうなるか……。
「……知りません」
頬に冷や汗が垂れるのを感じつつ、受付嬢は震える声でそう応えるのが精一杯であった。職務としてはもっと毅然とした態度で突っぱねるべきなのだが、男が放つ冷たい気配……殺気とでもいえばいいのか……がそれを許さなかったのだ。
男はそんな受付嬢をしばらく見つめた後、
「……そうか」
信じられぬほどにあっさりと納得し、身を翻した。
「邪魔をしたな」
まるで何事もなかったかのように、男はギルドを後にしようとする。
新人・ベテラン問わずに依頼の受け付けを待っていた冒険者たちは、サッと左右に割れて男の通る道を作った。
そんな男の背へ、
「あ、あの!」
受付嬢が声をかける。
男は振り向きこそしないがピタリと足を止めた。
「その……ソンゴクウという人を見つけてたら……どうするつもりですか……」
我ながらこれではソンゴクウと自分が知り合いだと言っているようなものだと思いつつも、受付嬢は尋ねられずにはいられなかった。
その時、男は振り返って受付嬢を見ると、
「殺すつもりだ。そう依頼を受けたからな」
そう冷たく言い放ち、今度こそ冒険者ギルドを後にした。
……さて、その後に男はどこへ向かったのか。少しだけその足跡をたどろう。
男の姿は、辺境の街からその郊外の牧場へと続く野道の中にあった。
『ソンゴクウ』という人物を探すのなら人通りの多いところで聞き込むのが一番なのだが、なぜか男はそれに最も適さぬ道を歩いている。
……と。向こう側から異様な出で立ちの者が歩いてくるのが見えた。
薄汚れた鉄兜と革鎧に身を包んだその者を、紫の男は何となしに見つめている。
やがて鎧は男とすれ違うかというところまで来ると、その視線に気づいたようで、
「……何か用か」
思いのほか若々しい青年の声を兜の奥から発した。
「人を探している。ソンゴクウという男だ。知っているか?」
男の言葉を受け、しかし鎧は視線をピタリと男に向けたまま、
「知らんな」
すんなりと応えた。これに男も、
「そうか。邪魔をしたな」
あっさりと言うや、また野道を行く。
その姿を少しばかり見つめていた鎧は、やがて冒険者ギルドへと向かうべく足を再び動かし始めた。
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