俺は普通なので逃げたいと思います、生き残ればいいんだよ!   作:椎名叶

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後書きに次回のタイトルを書くようになった理由、思いついたものを忘れないため。
書いた時に思いついてなかったら書かない。


娘さんを俺にください!ってちゃうわぁぁ!

「判断が遅いッ!」

 

パシンッ

 

そんな音が響いた。後、絶叫が響く。

 

「あんたが判断速すぎるんだよぉぉぉ!?」

 

 

 

 

***

 

「隼…体力、無尽蔵過ぎない…?」

「へ?」

 

いつの間にか立場が逆転して俺が真菰を引っ張る形になっていた。

真菰はかなり息切れしているようだったので取り敢えず俺は止まる。

 

「大丈夫か?」

「‥大丈夫か、って隼の方こそ大丈夫なの?」

「俺は見ての通り元気だが…あ、もしかして遠回りに馬鹿にした?」

「してないよ…」

「じゃあいいんだけど…あ!もしかして真菰は常中やってない感じか」

 

常中、その言葉に首を傾げて何かと聞いてきたので答える。

 

「常中ってのはな、全集中の呼吸を四六時中やり続けるやつだ」

「全集中の呼吸を、四六時中‥‥はぁ!?」

 

面白い反応だな、そう思いながら俺は苦い思い出を話してやる。

 

「俺を指導してくれた人鬼でさ、全集中の呼吸習得した瞬間に常中やれって言ってきてさ…いやぁそれは地獄だったよ…」

「それ聞いたらやりたくなくなってきた…」

「ちゃんと体づくりしてたらそれほどしんどくはない、はず」

 

カナエさんが言ってた、と付け足して俺が歩き出そうとすると真菰がカナエさん?と聞いてきたので足を止める。

 

「カナエさんはな、元柱の人で超絶感覚派の人」

「柱、へぇ…。それで超絶感覚派って言うのは…?」

「全集中の呼吸教えてもらうとき、擬音語使ってきたんだよ。全く分からなかったからカナエさんの妹に頼み込んで教えてもらった」

「へ、へぇ…(柱は個性的な人が多いんだ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事がありつつも俺と真菰は鱗滝さんの家の前についていた。

 

「鴉で連絡はしたから大丈夫だとは思うんだけど‥」

 

早速鴉を使いこなしてらっしゃる、というか何が大丈夫なの?

そう疑問を浮かべながらも真菰の後をついて玄関を潜る。

 

「ただいま―」

「どうも、初めまし‥てぇ!?」

 

小刀が奥から俺に向かって飛んできて反射的に横に一歩移動する。

小刀は玄関のドアに乾いた音を立てて深く刺さる。

 

「今のを避けるか…だが儂は認めんぞ…」

 

ん!?何を勘違いしてるんでしょうか鱗滝さん!?

真菰がいるにもかかわらず俺の方に歩いてくると前で止まって、

 

「お前は真菰が床に伏せたらどうする」

 

ふぁ?この人何言っちゃってんの?

俺が首を傾げると横から掌が飛んでくる。避けようとするが遅かった。

 

「判断が遅いッ!」

 

パシンッ

 

頬を叩かれそんな音が家に響く。俺は叩かれた理由をなんとなく察して、

 

「あんたが判断速すぎるんだよぉぉぉ!?」

 

そう返した。更に、

 

「娘さんを俺にください!ってちゃうわぁぁ!俺は別にそんな事の為に来てないわぁ!」

「…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから真菰がちゃんと説明してくれた。

何やら鴉が報告ミスをしていたらしい、大丈夫かな?

 

「すまなかった、隼殿」

「俺も娘がいたなら鱗滝さんみたいになりますよ、だから気にしないでください」

 

結婚願望無いので知らないですけど、と口には出さずいると真菰が本題に入った。

 

「鱗滝さん、錆兎達…兄弟子たちのことで話があるの」

「ほう…」

「今まで帰ってくる弟子の人数少なかったよね、それは最終選別である鬼がいたからなの」

「鬼…」

「その鬼は、鱗滝さんがまだ現役で柱をしていた時に捕獲した鬼だった」

「何だと…!?」

「鱗滝さんが渡してくれた『厄除の面』を目印にして最終選別に来る弟子たちを喰らってたの」

「…」

 

静かに服を握りしめて鱗滝さんは涙をグッと堪えていた。

 

「私はその鬼に言われて怒りに任せて斬りかかろうとしてた、そこに隼が入ってきて―――」

 

煽って助けてくれた、そう小さく言った。

鱗滝さんが天狗の面を通してでもわかるくらい驚いてます。

待って、俺がやばいやつみたいになるからぁ!俺普通だからぁ!

 

「多分、あのまま斬りかかってたら死んでたと思う」

「…そうか。鬼は、どうなった…?」

「私が斬った、隼に助けてもらって」

「そう、だったか…。真菰、良く生きて戻った、隼殿感謝する…!」

 

俺は煽ってただけですけどね、雰囲気ブチ壊しなことを言えるわけもなく抱き合う親子を俺はほのかに笑みを浮かべて見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、またね」

鱗滝さんの家の玄関でそう言って俺は外に出る。

辺りは暗くなっている、蝶屋敷に着くころには深夜かな、そう思って足を進めていると後ろから声が届く。

 

「隼!」

 

後ろを見るといたのは真菰だった。横には鱗滝さんがいる。

 

「もう暗いし鬼も出るから泊っていきなよ!」

「遠慮するよ、俺は足という武器があるから」

「そっか‥」

 

少し表情が暗くなる、がすぐに笑顔になる。

 

「じゃあ、また会おうね~!」

「…あぁ、会えたらな」

 

大きく手を振る真菰に手を振り返して俺は蝶屋敷への道を歩き始めた。

 

***

 

「ただいま戻りま――――ぐはぁ」

 

蝶屋敷の玄関に手をかけて開けた瞬間、何かが腹にヒットした。

 

「貴方、今まで何してたんですか!?」

「し、しのぶ…いやちょっと知り合った子の見送りを…」

 

あながち間違いじゃないのでオッケーです、とか思っているとおでこを指先でつつかれる。

 

「鎹鴉で連絡入れたらどうなんです!?」

「いや、俺のは隼」

「そんなのは良いですから!心配したんですよ!?」

「あっ、すません」

「姉さん起こしてお説教ですっ!」

 

隊服とか全部押し付けて逃げようかと思ってたんだけど、今日は無理そう。

その後、胡蝶姉妹による三時間にも及ぶ説教が続いた。

 

 

 

やってらんねぇよなぁ!

 

 

 

 




~アンケに関して~
十日ぐらいまで取るつもりです。
投票してない人じゃんじゃんしちゃってね!
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