俺は普通なので逃げたいと思います、生き残ればいいんだよ!   作:椎名叶

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悩んだ結果二話分消して新しく書き直すことにしました。


やったぁ今日から自由の身!

「カナエさん、お世話になりました!」

「えっと、それはどういうことかしら…?」

「ここから出て行くってことです。これは要らないので!」

 

 最終選別から帰り二人から説教を受け、布団で寝て、起きた俺はカナエさんに隊服と借りていた日輪刀を押し付けて蝶屋敷を出ようとしていた。

 

「お館様が来るように呼んでたんだけど…」

「行くつもりは毛頭無いので」

「それでも刀が届くまでは待ってもらわないと」

「血とか見たくないのでいいです、刀より自分の足の方が自信あるので」

 

 何とか俺を止めようとするカナエさんを避け、俺は玄関から飛び出す。自分勝手で申し訳ないとは思うが、勝手に剣術叩き込まれただけだしね。

 

「隼さん!」

「ん?…しのぶさんか」

「何で出て行くんですか!?」

「俺ここに居座るとも言ってないし、そんなこと言われても」

「そ、それはそうですけど」

 

 あらヤダ照れてる、そんなに居座ってほしいならいいぞ。…とは言えないんですよね。

 

「たまーに、顔出すつもりだから、じゃね」

 

 肩をポンと叩いて俺は蝶屋敷の近くにある森林地帯に飛び込んだ。

 

「ちょっ―――」

 

 うーん、何か聞こえたけどいいか、もう会うことはないでしょうし!

 

 この短い間の良い思い出を振り返りながら――良いこと言おうと思ったけどいい思い出あんまりなかったわ。しいて言うなら原作キャラとちょっと触れ合えたことと弟たちと会えたことぐらい。

 

 猿のように木と木を軽い動きで移動して、適当な町まで向かう。

 

 

 お礼言うとしたら、体術教えてくれたぐらいじゃんね。

 

 

――――――――――――

 

 太陽が沈み、月が顔を出している。

 

「お、久しぶり!」

「?」

 

 何とか町に到着し、道を彷徨い歩いていた俺に声を掛けると同時に肩を掴んだ。

 

「奇遇だね、隼くん!」

「は?なんでこんなとこにいんの?」

 

 そこにいたのは、この辺りでは珍しいスーツに身を包んだ童磨がいた。

 

「良いじゃないか別に、ここであったのも何かの縁だ!お茶のみに行こう!」

「いやいやいやいや、何考えてんの?え、肩触らないで、寒気するから。襟首を掴むな!おい!」

 

 身長差を利用され、俺は強制的に童磨と茶屋に入った。

 

「ちょっとした話をしたくてさ、逃げようとしたら‥わかるよね?話をしてくれるだけで良いから」

 

 周りの客を見渡してからそう脅すように言うので仕方なく頷く。

 

「話ってのは?早く、簡潔に頼む」

「簡潔に言うと、俺たちの陣営に憑かないかって話」

「俺たちの陣営って…鬼だよな?」

「うん」

「え、つくと思ってるの?」

「うん」

「馬鹿じゃん」

「え」

 

 心外とでもいうかのように表情を変えるが感情が無いことを知ってるので何とも思わない。

 

「そもそも、理由がわからない以上、つく気になれない。まぁ聞いてもつく気にはならないけど」

 

 俺が鬼陣営についてみろ、鬼にされて記憶覗かれたら…鬼陣営の大勝利だ。

 え?そうなるのが嫌だったら鬼を狩れ?そんなことしたくないから逃げてるんだよ理解しろ!!

 

 店員が持ってきた水を一気に呷って、俺は立ち上がる。

 

「逃げないでよ」

「いやいや、逃げてないでーす。話はしました、断りました。それで終わり!はい、じゃーね!!!」

 

 制止を振り切って店を飛び出した俺は身に着けた身体能力で町の家の屋根に上って極力音をたてないように駆ける。

 

「ねぇ、待ってよ!」

「待つ馬鹿がいると思うか、ばーか!!」

「な!?」

 

 案の定童磨は俺を追いかけて、軽々と屋根上に上ってきた。

 

「俺は君と友達になりたくてまた会いに来たんだって!あの話はついで!」

「…お前と友達になることは今後一切ない!」

「なんでだい?」

「鬼が嫌いだから、お前のこと嫌いだから、あと…ストーカー気質なのも嫌ぁ!」

 

 屋根の瓦を崩さないように配慮して逃げるのはなかなか辛い、今後の課題だ。

 

「これから直すから仲良くしていこうぜ?」

「ちょっと無理ぃ!…あっぶな!お前友達なりたいなら普通攻撃しないぞ!?」

 

 後ろを見ながら走っていると氷が飛んできたので避けながら叫ぶ。

 

「ごめんね、つい」

「つい攻撃するとか大丈夫か!?」

「大丈夫!」

 

 絶対大丈夫じゃないよね、そう思いながら懐に手を伸ばす。

 手に持つのは特製の煙玉。少し前に胡蝶姉妹に対して使用したのはただの煙玉だが今回のは一味違う。

 足を止めると同時に振り返り、無防備に走ってきていた童磨に向けて煙玉を投げつける。

 

「はい、お前の負け!」

 

 間抜けにも煙玉を受け止めた童磨。

 

「うわ、何この煙!?」

 

 煙玉から少々紫色に染まった煙が噴き出し、辺りを満たしていく。

 雑魚鬼なら吸った瞬間即アウトの毒が混じった煙、でも上弦だから数秒麻痺する程度だろう。だが数秒間止まってくれるだけで多分逃げ切れる。

 

 いやぁ藤の毒の粉末貰っておいて良かった、感謝感謝。

 貰ったのは皆さんご存じ胡蝶しのぶ、何の為に使うのかと聞かれたので適当に最終選別とか言ったらくれた。案外優しい。いや、ちょろいの方が正しいか。

 

 俺は町に泊まりたいという気持ちを抑えて樹々が鎮座する森に入る。

 

 

 願わくば、鬼に会いませんよーに!!!

 出会ったら…静か~に、逃げる!作戦はいつでもかわらず命大事に!!

 

 

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