俺は普通なので逃げたいと思います、生き残ればいいんだよ! 作:椎名叶
「へぇ、それでも立っちゃうんだ。凄いね、カナエちゃん。」
私は血を口から垂らしながら目の前の鬼――童磨を睨みつけ、震える手を握りしめる。
息を軽く吸うだけで肺全体に痛みが走って立つのもままならない。
もう、無理かもしれない。そんな思いが私の脳裏を過ぎる。
そんな時だった。
「前、失礼しまぁぁす!」
「‥?」
聞き覚えが得る声と共に目の前に二つの影が躍り出る。
しのぶと、前に逃がした男だった。男は私を守るように立ち、しのぶは私の方に来る。
「しのぶ…。」
ふらりと前に倒れる。
「姉さん、大丈夫!?」
しのぶが取り乱しながら私を支える。
その時私はしのぶが刀を持っていないことに気づき問うと男を指さす。
男は童磨と何か話しながら刀を握っている。
その姿を見て私はお館様と話した内容を一気に思い出す。
――――
いや、待って超怖い。
弱い鬼でさえ俺無理なのになんで刀借りてこいつの前に立ってるんだよぉ!?
目の前には鋭い対の扇を器用に回して遊んでいる(?)教祖さんが。対して俺はあんまり握ったことのない重い刀を持って睨み合い。
これ俺の人生終わった、ほんとに。
さよなら人生。
と涙目になっていると教祖が首を傾げる。
「うーん、君は柱でもなかったら鬼殺隊士でもないんだね。でも体は引き締まってる、なんでかなぁ?」
ちょっとキモイ。なんで人の体型わかるのか聞きたい、この道何年目?
と俺が少し、いやかなり引いていると口角を上げて笑う。
「引かないでくれよ、俺は童磨。君の名前は?」
いつかの映画みたいだぁ…。
とか考えながら一応名乗る。
「隼、姓はない。」
「隼か!いい名前だね!」
「そりゃどーも。」
「それで聞きたいんだけど君はなんで彼女たちを助けるの?」
「…」
口が滑ったとか言えねぇェェ!やべぇぇ!俺かっこいいセリフなんて持ち合わせてねぇ!
「黙秘、ねぇ。それぐらい教えてくれてもいいと思うんだけど、まぁいいか。…よし、先に君を救済してあげよう!」
「…頭おかしいんじゃねぇの?」
しまった、口が滑った。てへぺろ★じゃなくてこれは洒落にならん!これ教祖さん怒る、いやもう教祖さんおこだ!
「初対面の君にそう言われるとは思わなかったよ…でも君といると面白そうだ。」
怒ってないの!?
え、教祖さんⅯ?Ⅿなんですか!?
もっと言いたいところだがこれ以上のことを言えば怒る気がするので黙っていると童磨が言葉を続ける。
「ねぇ、俺の友達になる気はない?」
「気持ちは嬉しいんだけど鬼の友達はいいかな、うん。」
絶対ヤダ、そう言えば頸が宙に舞って終わる気がしなくもないのでちょっと言葉を選んで断る。
いいよ!っていうやつがいるなら俺は称賛する。
鬼の友達とかヤダ、それも上弦とか。言葉選び間違ったら首飛ぶやん。
「そうか、じゃあ無理やりでもいいや!」
え、諦めてくれないのぉ!?
氷の蔓が俺に向かって巻き付くように飛んでくるのでやけくそで刀を両手で握って振るうと、氷の蔓が音を立てて地面に落ちる。その様子を見て教祖さんが顎に手を付け、呟く。
「うーん、もうちょっと強いやつでもいいか!致命傷になったら最悪鬼にすれば…。」
最後の方やばくなかった?空耳だといいんだけど、というか前半のもうちょっと強いやつって何?今ので息上がってるんだけど、何その多量の氷柱。
お待ちくださいっ!教祖様ぁぁ!
教祖さんの周りから出現した大量の氷柱が俺に降り注ぐ。
刀で斬り払うことも考えたが失敗して串刺しになるのは嫌なので足の速さとすばしっこさを生かして氷柱と氷柱の間に入って避ける。
恐怖、その言葉に限るな。とか言ってる場合じゃなくてェェ!
「ほらほらほら!避けてるだけじゃ俺に勝てないぜ!」
怖すぎや、今まで見てきた知性も理性もなさそうな鬼よか喋る分にはましだけれども!技が危ないってェェ!
刀を振るう間もなく俺は避け続ける。
あれ、周りに氷柱があって避けられない…?
咄嗟に刀で氷柱を斬るがもう周りに逃げれそうなところが無い、やばくない?
軽く跳躍して地面に刺さった氷柱の上を駆ける。
「あっは、すごいね!じゃあ、これはどうかな?」
雪女みたいな氷像がにゅって出て来て息を吹く、いや冷気と言った方がいいか。
着物にあたった瞬間凍てついて体温を下げる。バックステップで背中を見せないように冷気から逃げる。
「うーん、これも避けられるか…じゃあ…ん?」
童磨は空を見上げて嘆息を吐いた。
「もう陽光が差す時間とはね…。誰も救済できないと思わなかったよ…すごいね。」
お褒めに預かり光栄です、じゃ、帰ってください。
俺に感心する教祖さんに念を送っていると俺に一言、言って静かに姿を消した。
「『また会おう』、ねぇ。」
会いたくもないし、会う気もないですね!
じゃあ二人の様子見たらまた逃げますか、鬼殺隊との関わりはこれで終わりにさせてくれ。
残る冷気に体を震わせながら、俺は陽光に当たって音を立てて消えていく氷を見守り、完全になくなったのを見て二人――胡蝶姉妹がいるところに足を運ぶ。
「大丈夫ですか!?」
呼吸を荒くしながらそう言ってくる妹に俺は冷静に対応する。
「俺は大丈夫だが、姉の方がやばいんじゃないか?」
姉の方を指さして俺は言うと静かに頷く。
俺は姉に歩み寄り、傷に触れないように持ち上げる。
「俺が連れてくから、案内してくれ。本当は帰りたいけど。」
いや、言い訳させて?胡蝶姉妹は俺の推しだったの。
だから何、前は逃げたじゃん?って話だけど死にかけの推しを目の前にして逃げれると思うか?
な?逃げれないよな?はい、言い訳終わり。
冷静さを取り戻したようで静かに走り出す妹を俺は追いかけ始めた。
…俺、鬼殺隊本部に連れていかれない?
判断ミスったよね、絶対。
明日の俺は、鬼殺隊にでも入っているのかなぁ?
後悔を胸に。
やっちまったなぁぁぁ、俺ぇぇぇぇ!!
教祖さん…嫌いじゃないから、うん。
ヒロインは候補はいくつかあるんだけど…みんなは誰が良い?
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胡蝶しのぶ
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胡蝶カナエ
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真菰
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無一郎&有一郎
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『全員』だよなぁ!