俺は普通なので逃げたいと思います、生き残ればいいんだよ! 作:椎名叶
オリキャラが一人出るぞ。次の出番あるか知らんけど(ボソッ
蝶屋敷の道場で行われるのは怪我をした隊士が復帰するために行う機能回復訓練。
多種多様な呼吸を使う剣士が来るため、花の呼吸の適性が全く無く、別の呼吸法の習得を目指している隼にとっては最高の場所だった。
本人はもういい、お腹いっぱい!と言っているそうだが、まぁそこは胡蝶姉妹の威圧で無理やり、だ。
「隼君!こっち来て相手してもらってもいいかな?」
「ちょっと待っててくださいね!」
隊士が使う呼吸を学ぶため隼はあと少しで機能回復訓練が終了する、という人の打ち合いの相手をしているのだ。
カナエと普通に打ち合えるようになった隼は隊士たちのいい稽古相手になって評判がとてもいい。
どこぞの般若顔の妹さんとは違い―――おっと、これ以上はやめておこう。
「そうだ、隼君は呼吸法は習得できたのかい?」
「えぇ、できましたよ。やっとここから抜け出せそうです」
「やっぱり入る気はないんだね!あははっ!」
隼と笑顔で話す青年の名は
「隼君の呼吸法、俺に見せてくれよ」
「もちろんいいですよ、でも手加減はできないので!」
ここだけの話、今日まで陽一郎に完膚なきまでに倒されていたのだ、隼はそれを少し根に持っているから手加減をする気が無いのだ。
「ははっ!言うね、じゃあお兄さんも頑張っちゃおうかな!」
陽一郎の言葉を最後に、二人は一言も発さず少しの沈黙の後同じタイミングに踏み込んだ
コンマ一秒のズレもなく、同時に。
――壱ノ型 不知火
床にひびが入るほどの踏み込みで距離を詰めて頸に向かって横薙ぎを繰り出す。
――
頸に吸い込まれるような横薙ぎを横薙ぎ――それも異次元の速さ――で防ぐ。
それは陽一郎の木刀を真ん中から叩き割った。
「ぅお、速すぎ…!」
――だってあの人が使ってる呼吸だしあの人の子孫だし、まぁ多少は…ね?
そんなことは言えず、ニコニコとまた談笑を始めると後ろから声が飛んだ。
「時透さん!お喋りもほどほどにしてくださいね!」
「あの人…しのぶさん、地獄耳なの?」
「いや、それだけ俺たちのことを意識してると思えば…ぐへぁ」
「隼君!?」
後ろから飛んできた木刀が後頭部に直撃して床に倒れこんだ。
「誰が貴方のことなんか意識しますか、調子に乗らないでくださいね!」
「ハイ、ハイ、すみませんでした」
即座に土下座をして何度も謝る姿は、あまりにも滑稽で周りの隊士たちはくすくすと笑っている。
「望月さんもですよ!退院、先延ばしにしますよ!」
「あ、それはだめです!すみませんでした」
「ほらすぐ脅す―、やーい脅し魔ー!そんなんだから―――」
「なんですか?っふ!」
「アッッ」
パァァァン
そんな音が蝶屋敷全体に響いたという。
―――――
「隼君、呼吸完成したのね!」
「エ、まぁ、はい…」
――創ったの俺じゃない…俺の先祖が創ったの…
言えない苦しさから頭を抱えながら愛想笑いで話を続けていると、カナエが稽古でもする?と提案した。
「えーあー、そうですね、しましょうか!」
白目だったという。
木刀を試しに何度から振って二人は構えをとる。
「じゃあ、今回も私から」
――陸ノ型 渦桃
身体を捻りながら突撃してくるカナエさんに突進する。ように見せかけて後ろに回って振りかぶる。
――玖ノ型 降り月・連面
幾重にも重なった斬撃の層がカナエに降り注ぐ。が、それを自身を守るように放つ弐ノ型で相殺してみせる。
「ッ流石!」
流石は元柱、冷静を保って慌てずに対応する。
――肆ノ型 紅花衣
――壱ノ型 闇月・宵の宮
一ヶ月間程度、隊士たちの相手をしたおかげか判断する速度が速くなり、焦ることもなくなった。
打ち合いが数分間続き、決め手となった技は――
――伍ノ型
だった。
振りかぶる動作が無く放たれた幾重の横薙ぎにカナエと木刀が耐えられなくなり、隼人の勝利で事は終わった。
やっと蝶屋敷から、鬼殺隊から逃げると思っていた隼の気持ちはカナエの言葉によって潰される。
「呼吸を習得したからって、まだ出ていいわけじゃないわよ?」
「エッ、いやでも…」
「完璧になってから、ね?」
「アッ、ハイ」
そんな事があってから数ヶ月、隼は道場で絶叫していた。
何故なら―――
「何で最終選別行かないといけないのぉぉぉ!」
まぁ、そういう事だ。
あ、しのぶさん誕生日おめでとうございます。
補足
隼は記憶の遺伝で月の呼吸を習得しました。
月形状の細かな刃は多少ついてるけどあの人のように多くはないぞ!以上です!