仮面ライダー炎竜episodeダウンフォールンドラゴン   作:柏葉大樹

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仮面ライダー炎竜episodeダウンフォールンドラゴン エピローグ

 すでに本来の姿を失ったIS学園では残されたグールインベスたちも次々とその肉体を急激に劣化させて消滅していく。その中には大樹を助けようと戦った鈴たちも当然含まれていた。

 瓦礫の中で大樹はその命を終えようとしていた。

 大樹が倒れている場所から離れた場所ではISを展開した一夏が千冬を、マドカが箒を伴い降り立った。

 

 「おい、大樹!返事をしろ!!」(一夏)

 「柏葉!いるのか!」(箒)

 

 一夏と箒はすぐに辺りを探し始めた。

 学園の惨状を見たマドカは脳裏に嫌な情景が浮かんでしまった。マドカはすぐに動き出し、学園の校舎の方へと向かった。かつて、大樹とともに過ごした頃の面影が残っておらず、戦いの余波によってもはや廃墟になってしまっていた。

 変わり果てた学園をマドカは大樹の姿を探していた。その胸中を満たしていく不安に駆り立てられるようにマドカは瓦礫の中を探し歩き回る。そこでやっと大樹の姿を見つけたのだ。

 

 「大樹!!」(マドカ)

 

 マドカは横たわる大樹を見て、その場に駆け寄った。

 

 「なんで...いるんだよ。」(大樹)

 「千冬姉さん!一夏!箒!大樹が!大樹が!!」(マドカ)

 

 マドカは大樹の腹に出来た大きな穴から流れ出ていく血を止めようと両手でその傷をふさぐ。大樹の傷を抑える中でマドカは共に来ていた千冬、一夏、箒を呼んだ。

 

 「おい、大樹!大丈夫なのか!?」(一夏)

 「見れば、分かるだろ?現在進行形で死にかけているって。」(大樹)

 

 駆けつけた一夏たちは大樹の姿を見て言葉を失った。それほどまでに大樹はもう長くはないことが分かっていたからだ。

 

 「姉さんの所に行くぞ!きっと、助かる!」(箒)

 「そのこと、だけどな。死んでんだ、束姉ちゃん。それに、あの人が俺を、簡単に治す訳がないだろ?生きててももう間に合わないって。」(大樹)

 

 ここに来て、大樹は箒に束がこの世に居ないことを告げた。自分に時間がそうないことを分かっているから。それを聞いた一夏と箒は打つ手がないことで暗い表情となる。その近くではマドカが必死で大樹の傷を抑えていた。流れる涙をそのままに泣きながら大樹の生存を強く祈っていた。

 

 「大樹、勇吾は?」(千冬)

 

 千冬が大樹に事の元凶である勇吾について聞いた。それを聞いた大樹は声を頼りに千冬の方へ向いた。

 

 「死んだよ、千冬姉ちゃん。」(大樹)

 「そうか。」(千冬)

 「大樹、大樹!」(マドカ)

 「ごめん、マドカ。約束、守れそうにない。」(大樹)

 「良いから、しゃべるな!まだ生きてやることがいっぱいあるだろ!!」(マドカ)

 

 大樹は自らの傷を抑えるマドカの手を握りしめる。

 

 「ダメだった。鈴たちまで巻き込んで。それでも大勢の人が死んだ。皆、俺が殺した。こんなことになって、何もできなかった。」(大樹)

 「なら、生きてやり直せよ!まだ、間に合うんだぞ。」(一夏)

 「そうだ、弱気になるな!」(箒)

 

 

 無情にも大樹の肉体から徐々に熱が失われつつあった。それは、大樹に残された時間がもう終わりに近いことを示していた。

 

 「そんなんでも、そんなんでも、死にたくないもんだな。皆とまだいろんなことをしたかった。」(大樹)

 

 それは当の本人はとっくに分かっていた。だから、自分の思いを話すことに時間を使うことにした。

 

 「未練しかない、未練だらけだ。頼むから俺が死んだあとは何事もなかったように過ごしてくれ。ちゃんと、幸せになってくれ。」(大樹)

 

 そう言って大樹は最後にマドカの手を強く握った。マドカに対して言ったのだと伝えるように。

 

 「嫌だ!嫌だ!逝くな!逝くな!私を一人にしないでくれ!!大樹!わああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」(マドカ)

 

 大樹の意図を察したマドカは目の前の現実を拒絶するように叫ぶ。

 

 「俺、皆と一緒に居れて良かった。」(大樹)

 

 大樹は最後は笑顔でいた。それを見た一夏と箒も涙を流していた。千冬もこらえていたが一筋の涙が流れた。マドカだけは大樹の死を受け入れらずに泣き叫んでいた。マドカの手を握っていた大樹の手が力を失った。

 

 「あ、あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」(マドカ)

 

 学園中にマドカの叫びが響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 20XX年 柏葉大樹 死去 享年20歳

 

 大樹のことは後の歴史ではそう大きく残ることは無かった。人々の間で第5回モンド・グロッソで起きた悲劇は多くの謎で満たされていた。だが、正確な真相を知る者は誰もいなかった。その悲劇の発端とその経緯をはっきりと知っていた最後の人物が死んだからだった。

 それから5年の月日が流れた。マドカは病院の病室に居た。彼女もまた既に寿命が残り少なかった。ここまでの生き方が確実に彼女の肉体を蝕んでいた。

 

 「じゃあ、またね。」(簪)

 

 簪が毎日来ていた。だが、最近では起きたマドカと言葉を交わした回数は少なかった。すでにこの1か月近くは深いまどろみの中に居るマドカの身体を拭くだけのことが続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここは、どこ?」(マドカ)

 

 マドカは暗闇の世界に居た。音も光も届かない静寂の世界、もうすぐで自分が行くであろう死後の世界を連想した。そこに最も愛する人がいることを信じて。

 

 「もうすぐなんだ。もうすぐで、あの人がいる場所に。」(マドカ)

 

 自分の命が終わる時が近づく、それが再会の時と信じて。

 マドカはまた意識を闇の中に手放そうとした時だった。

 

 「それで良いのか?」(???)

 

 不意に誰かの声が聞こえた。それはマドカの知っているどの人物とも違っていた。

 

 「誰?」(マドカ)

 

 マドカがそう言うと暗闇の向こうから眩い光に包まれてこちらに向かって歩いてくる人物が居た。その人物は白銀の鎧を纏っており、さらには白いマントを羽織っていた。近づいてくるとその神は純白でその双眼は片方の目が赤色だった。

 

 「君はこのまま死んで良いのか?」(???)

 「だって、もう私の体は。」(マドカ)

 

 その人物がマドカに問い掛ける。既にマドカ自身も肉体が限界にあるのは分かっている。その問いかけが自身の生存ではなく、全く別のことであることは容易に理解できた。

 

 「心残りならたくさんある。それと同じくらい、それ以上に望んでいることも。でも、私にはもう時間が無い。」(マドカ)

 

 したくても出来ない、そのことをマドカは言った。それに対してマドカに語り掛けた彼は言葉を発した。

 

 「もしも、また彼に会えるとしたら?」(???)

 「どういう意味?彼って、大樹のことを知っているの?」(マドカ)

 

 相手から出た彼というの言葉にこの世から去って5年もの月日が流れたマドカの愛する人=柏葉大樹のことがマドカの脳裏に出てきた。

 

 「柏葉大樹はこことは少し違う世界、俺のいた世界にいる。」(???)

 「生きてるの?大樹は生きてるの!?」(マドカ)

 「柏葉大樹はあらゆる世界を何度も何度も生まれてきた。その何度目かに俺の世界で転生した。」(???)

 

 男から出てきた言葉はマドカには信じられない言葉だった。それでも男の様子から嘘ではないことはすぐに分かった。

 

 「でも、俺のいた世界でも柏葉大樹の辿る運命は苛酷だ。彼はもう戦うことが運命づけられている。」(???)

 「そんな!大樹はもう十分に戦った!どうして!!」(マドカ)

 「倒した兄もそこに転生したからだ。そうでなくても柏葉大樹が戦うことは避けられない。」(???)

 「そんな...。」(マドカ)

 

 男の言葉に大樹に待っている苛酷な運命を知ったマドカは大樹の死に際を思い出した。

 

 「だから、君の所へ来たんだ。君の魂だけでも俺の世界へ連れていける。」(???)

 

 そう言った男の手にはマドカがずっと使っていた愛機=黒騎士があった。

 

 「俺の世界に居る君と今の君が夢の中でつながっていた。だから、君の所へ来れたんだ。俺のいる世界の君はとある事情で魂が不安定なんだ。今いる君が俺の世界へ来ることが出来れば俺の世界の君も助かる、それに柏葉大樹の力になれるはずだ。」(???)

 

 その話を聞いた時に既にマドカの中で決心がついていた。そもそも、マドカにとっての望みはただ一つである。

 

 「もう一度、もう一度大樹に会いたい。今度は、今度はちゃんと私の思いを大樹に伝える。それだけじゃない、もう大樹を一人で戦わせない。大樹に助けてもらった、今度は私が大樹を助ける。」(マドカ)

 

 マドカはそう言うと男の手の中にあった黒騎士に手をかざした。

 

 「分かった。じゃあ、行こう。」(???)

 

 男=葛葉紘汰がそう言うとマドカが居た世界が光に包まれていった。

 それからほどなく、織斑マドカは織斑万夏として最愛の人と再会を果たした。そして、彼女も激しい戦いの中に身を投じたのだった。

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