ゴブリンスレイヤー『恐ろしい詩』取得RTA三英雄討伐ルート   作:N系

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ちょっと続きが上手く書けなかったのでお茶濁しに書けてるキリのいいとこまでの投稿です。そのうち編集して繋げます。


三話・裏(仮)

 冒険者ギルドが最も忙しない時間はいつか、と聞かれればそれは朝だろう。宿も近く食事処も併設されているので太陽が顔を現すのに合わせて人々がここに集まってくる。人の密度のピークは、刺すような眩しさの日差しが柔らかくなりギルドの職員が掲示板に依頼を貼り出し始めたときだ。

 しかし、依頼を貼り出すギルド職員は当然だが冒険者が来る前に仕事を始めなければならない。忙しい時間は朝であることに違いないが、辛い時間は早朝であることも明白だ。

 

「ふわぁ~あ……。ってあれ?」

 

 三つ編みが特徴的な受付嬢はあくびを噛み殺そうともせず、ギルドに向かって日の出前の薄明るい通りを歩いていた。寝ぼけた彼女の眼に映ったのは一人の仮面を被った男だった。装飾がない無骨な鉄仮面に、赤く薄汚れた黒い外套を羽織りよく手入れされた戦斧を背中に吊るしている。

 

(こんな時間に出てる冒険者の方は珍しいですね)

 

 早朝のこの時間、ギルドも含め開いている施設はほぼ無い。仕度を整えるにも都合が悪く依頼も貼り出されていないので冒険者が動く道理は基本無いはずである。怪しげな風体の鉄仮面の男……疾走闘士と目が合ったようにも思った受付嬢だったが、疾走闘士の方は気にも留めずにさっさと歩いていってしまった。

 

(あっちの方向にあるのは……牧場?)

 

 ここ最近新人の中でも特に頭角を現している疾走闘士。しかし彼のその行動サイクルはやや一般の冒険者像から外れていて、下水路に潜ってはギルドに報告しまた下水路に潜りいなくなったと思ったらまた下水路に潜っている。なんとも冒険者らしくない行動に無愛想なのもあり、他の冒険者からは印象がよくないらしい。

 そんな彼だが、今ではたまにゴブリンスレイヤーと女神官と一党を組んでゴブリン退治に出ている。ゴブリンスレイヤーに実力でも買われたのか規模の大きい巣を潰すときは必ず声を掛けられている。疾走闘士もこれを断ることもないのだが、いつも一人で下水路に潜っている彼が一党を組むことに受付嬢は少し不思議に思っていた。

 

(ゴブリンスレイヤーさんに会いに行くんでしょうか?)

 

 疾走闘士からゴブリンスレイヤーに会いにいくのは今まで無かったはずだ。どんな思惑あれ彼が一党を組むようになった喜ばしいこと、だろう。そのはずだ。いつもどおりの情景の中、しかし何かが緩やかに変わっていくのを受付嬢は感じた。それが良かろうと悪かろうと。

 

*****

 

 いつも朝は騒がしい冒険者ギルドだったが今日はとりわけ騒がしいようだった。受付にいる三人の冒険者が目を引く。

 

「……オルクボルグよ!この冒険者ギルドにいると聞いたのだけれど」

 

「えっと……そういった名前の冒険者の冒険者の方はちょっと……」

 

「耳長言葉が通じるわけがあるまいて耳長の……かみきり丸といえばわかるじゃろう!」

 

「そういうのもちょっと……」

 

 やはり鉱人はダメねー、これだから森人は、はぁ?なによ……とぎゃあぎゃあ妖精弓士と鉱人道士の二人が流れるように口論を始めてしまう。蜥蜴僧侶はふう、と一つ溜息をついてそれを諌めようとしたがそうそうに見切りをつけたのか受付嬢の方に向き直る。

 

「……生憎と拙僧も人族の言葉明るいわけでもないのだが、うむ、そう……『小鬼』」

 

「ゴブリンといったか?」

 

 蜥蜴僧侶が後ろから無遠慮に声を掛けられる。あっ、と受付嬢が声も漏らした。そこには一見リビングアーマーと見違うような風体の全身鎧姿の冒険者……ゴブリンスレイヤーがいた。その後ろには鉄仮面に黒い外套を羽織っている冒険者、疾走闘士もいた。

 

 

 

 

 

「……あなた本当に銀等級なの?」

 

「ギルドは認めた」

 

「ふうん」

 

 ギルド二階、応接室。五人の冒険者が向かい合うように席につくと、矢付け早に疾走闘士が口を開く。

 

「御託はいいだろう。依頼の内容を」

 

 ピクリ、と妖精弓士の眉がひきつく。

 

「……まあいいわ。今、都の方ではデーモンが増えていて―――」

 

「軍を動かすかどうかの規模のゴブリンの巣の殲滅。それも種族間でのいざこざが起きそうな場所にあるために多数の種族で取り掛かる必要がある、大方そんなところだろう」

 

 疾走闘士に一党の視線が刺さる。……ゴブリンスレイヤーを除いて。

 

「……そう、なんだけどあんた―――」

 

「ゴブリンか。ならば請けよう」

 

 地図はあるか、上位種は確認できているのか、……ここに。やれやれといった様子で蜥蜴僧侶が応対する。

 

(ちょっと、なによあいつ。どっかの刺客じゃないの?)

 

(それはない、と思うがのぉ)

 

「俺に払う報酬は好きに決めておけ」

 

 そういうとゴブリンスレイヤーはそそくさと応接室を出る。疾走闘士もそれに続いた。……妖精弓士にその背を睨まれながら。




こんなん書きました。良かったら読んでください。→https://syosetu.org/novel/218180/(チェンソーマンside「真実の悪魔」)

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