家の改築から2日が経過した。
今日は以前約束していたガンテツとともにダンジョンに行く日だ。ダンジョンは現在、20階層まで攻略済みだ。なので11階層から20階層までの間の鉱石をガンテツとともに調査して行く予定だ。
そして今回はアーデが付いてくる。ハクとレイラはまた周辺の調査だ。あっちはあっちで、狂暴化した魔物が増えてきたのでそれの討伐だ。
「……今日はよろしくお願いする。」
「ああ、よろしく。」
「レーベ様!私も頑張りますね!」
「頼りにしてるぞアーデ。」
「はい!」
アーデを愛称で呼ぶようになってからアーデはとてもご機嫌だ。そんなに愛称で呼んで欲しかったのか…。
「さて、それじゃあ今日の予定を確認していくぞ。11階層から20階層までの鉱石の採取と調査、21階層以降には進まないことだ。」
「……問題ない。」
「レーベ様、道中の敵は私に任せてください!」
「大丈夫なのか?」
「私もレーベ様のようにもっと強くなりたいのです!村のみんなを守れるようになりたいのです!だから道中の敵は私にお任せください。」
「……わかった。そこまで言うのなら任せるぞ。ただし危なくなったらやめさせるからな。」
「ありがとうございます!」
アーデはあの一件以来こうやって自分のやりたいことも言うようになった。
因みにアーデは弓と短剣2本、ガンテツがピッケルとでかいハンマーを持ってきている。ガンテツも自衛はできるようだ。
「それじゃあ早速11階層から探索していこう。」
10階層では少なくない量のミスリルが取れていた。と言うことは11階層以降ではもっと沢山のミスリルが入手できるに違いない。
「そういえばガンテツは魔法剣マジックソードは作ることができそうか?」
「……問題ない。俺は火の属性の魔法剣しか作れんが、レーベ殿が協力すれば様々な属性の魔法剣が作れるだろう。」
ならば戻ったら早速武器の図案を考えないとな。ハクと俺専用の武器とダイナウルフ達の武器だ。
探索を開始して約3時間が経過した。この3時間で15階層まで上がった。この短時間でここまで上がれたのには理由がある。
1つが予想通りミスリルが10階層よりも大量にあったが、ただそれだけ。新しい鉱石も出なかった。
2つ目がアーデが物凄く頑張ったことだ。今までにもアーデの戦いぶりは見てきたがその比ではなかった。周囲にある壁を蹴って跳躍し立体的に戦っていた。恐らく跳躍をする際に風魔法を使っているのだろう。アーデのおかげで楽に進むことができた。
採取したミスリルと鉄は俺の空間魔法のアイテムボックスに収納してある。
15階層でお昼休憩となった。時間計算はお腹のヘリ具合で計っている。
昼食を食べた後は更に下の階層を目指す。ちなみにお昼はおにぎりだった。なぜおにぎりかって?もちろん俺が光力を使ってお米を創造したからだ。最近になってやっと光力で創造することのできる範囲がわかってきた。この世界に存在するもので俺が知っているものと、前世で俺が使ったことのあるもしくは食べたことのあるもの限定だった。
そんなこんなで既に20階層まで到達した。所要時間はさっきと同じく3時間ほどだった。ここまでめぼしい鉱石類は見つけることができなかった。
「うーむ、結局見つけることができたのは大量のミスリルだけか。」
「……いや、こんなに大量のミスリルは見たことがない。……やはりこのダンジョンは期待できる。」
「確かに。もっと下の階層に行けばオリハルコンも出るかもしれませんね。」
「そうなのか?」
「……その通りだ。……これだけのミスリルの排出量は他のダンジョンではありえん。」
そうだったのか。俺はこのダンジョンしか潜ったことがないから、比較できんがアーデとガンテツが言うのならばそうなのだろう。
「まあ、今度21階層から下を攻略したらまた連れてくるよ。」
「……そうしてくれるとありがたい。」
「次は私も参加しますからね!絶対ですよ?」
「ははっ、わかったよ。それじゃあ村に戻ろうか。」
『………タ…………』
「ん…?アーデ何か言ったか?」
「何も言っていませんよ?」
「そうか、俺の気のせいだったみたいだ。それじゃあ村に戻るぞ。」
ダンジョンを出て龍の姿で村に戻っていると、なにやら村の近くで戦闘が起こっていた。戦っているのはレイラとハク率いるダイナウルフ達と、赤黒いオーラを纏った魔物達だった。魔物達の中にはダイナウルフの姿も見受けられる。
俺はガンテツを村におろしアーデと一緒にレイラ達の元に向かった。
「あっ!ご主人様ー!」
「大丈夫か!?」
「お兄様!こちらは大丈夫です!ですが次から次へと狂暴化した魔物がこちらに来ていますわ!」
「わかった!アーデ、俺達も加勢するぞ!」
「はい!」
俺も光剣を出して戦闘に加わり、近くにいたキンググリズリーに光剣で斬りつけた。
「ぬう…。やっぱりなんか使いにくいんだよなぁ…。」
前に光剣で素振りをしていた時にも感じていたものだ。やはりもうちょっと練習が必要なのだろうか。
そして更に光剣で斬りつけていると前方の方に黒い花が咲き始めた。レイラの常夜ノ花で、魔力吸収の効果があるものだ。
それにしても数が多い。こういう時は魔法の出番だ。
「アブソリュートゼロ!」
魔法を放った瞬間魔物の大半が凍りづけとなった。前に使った時よりも範囲が広がっていた。魔力が増えた結果だろう。そしてまだ数匹魔物が残っていたがアーデとハクが片付けていた。凍っていた魔物は数分後に粉々に砕け散っていた。
「相変わらず凄まじい魔法ですね…。」
「ご主人様すっごーい!」
「ふう…。それにしてもかなりの数の魔物がいたな。」
「そうですね…。一体何が起こっているのでしょうか?」
「狂暴化した魔物は1週間前ぐらいから出現するようになったよ!見つける度にハク達が倒してたの!」
「そうだったのか。偉いなハク。」
「えへへ〜。」
しかし、村の近くにまで魔物がやってくるようになってしまったな…。何か対策を考えないといけないな…。
☆
アイルラーゼン帝国皇宮にて
「……遂にダバード王国を侵略するための準備が整った!明日ダバード王国に対し総攻撃を仕掛ける!明日の戦のため今宵は英気を養うがいい!!」
「「「「「うわあぁぁぁぁあああ!!!」」」」」
ここは皇宮の一角にあるパーティー会場だ。明日戦地へ赴くための兵のために、様々な料理や酒が並んでいる。
ダバード王国とはここアイルラーゼン帝国と隣接している大国である。
そしてダバード王国は今となっては昔ながらの兵力しか無く、アイルラーゼン帝国が勝利する確率が非常に高いため、アイルラーゼン帝国の兵の士気は非常に高かった。それもそのはずで今までに侵略した国々は、アイルラーゼン帝国が独自に開発した魔導航空機や魔銃に為すすべなく敗北しており、武器の信頼性も高いためである。
「陛下、いよいよですな。」
「もうすぐだ…。ダバード王国を我が領土とし、魔族を打ち滅ぼしてくれる…。」
「陛下ならばきっとできますぞ。」
「………なぁローレンス・ギルバート、私の友として答えてくれ。私は間違っているか?」
「…いつも言っているだろう。スカーレットが望むようにすれば良い。それを支えるのが私の務めだと。」
「……そうか。ありがとうローレンス。」
「それでは陛下私は仕事が残っているゆえ失礼します。」
ローレンスは優雅に礼をしてそのままパーティー会場から去っていった。
「私の望むように、か…。」
その呟きは会場の喧騒で誰にも聞こえることはなかった。