時は少し遡り、アイルラーゼン帝国とダバード王国がぶつかる前日の夜。
俺は夢を見ていた。
前にも見たことがあるような夢だ。
俺の視界の中には輝く龍と正反対の真っ黒な龍。
そして2匹の龍の前には2つの軍が衝突していた。
人間と魔族の戦争だ。
更に人間側から巨大な空中戦艦が現れた。
魔力を前方下部にある砲塔へ収束し始める。
そんな戦争を止めるべく2匹の龍は動くが止まる気配はなく、逆に2匹を攻撃し始めた。
そして空中戦艦から放たれた魔導砲は、黒い龍に直撃しその身体に風穴を開けていった。
「レイラァァァァーー!!」
俺の叫びが轟くとーーー
☆
朝、目がさめると着ていた服がぐっしょりと濡れていた。そして横に目を向けてみるとレイラとアーデが心配そうな目でこちらを見ていた。
「お兄様、うなされていたようですが大丈夫ですか?」
「ああ…。夢を見ていたんだ…。内容はあまり覚えていないけどな…。」
「レーベ様、水です。どうぞ。」
「ありがとう。」
さっきも言った通り、夢の内容は覚えていない。でも何か凄く嫌な感じだった。
そういえば前にもこんなことがあったな。まだレイラがいない頃だったがな…。それは今はいいか。
「さて、もう大丈夫だ。心配してくれてありがとうな。」
「具合が悪かったらすぐにおっしゃってくださいね。無理は禁物です。」
「それはアーデもだと思うが…。」
最近のアーデはバリバリ働いている。そりゃあもう仕事中毒ワーカーホリックになっているのではと疑うほどだ。
「まぁ、いいか。とりあえず朝食を食べよう。準備はできているんだろう?」
「勿論です!」
もうメイドじゃん…。
それから朝食を食べアーデは村の問題の改善に向かった。
「さて毎度のごとく、なにをしようか。」
「お兄様のしたい事はないんですの?」
「そうだなぁ…。新しい魔法でも作る?」
「お兄様と私の共同作業ですね?頑張りますわ!」
「ん…?そういうことになるのか…?」
まぁ、いいや。
新しい魔法をつくる、ね…。難しそうだけどやりがいはあるかもしれんな。
やってみるか。
「あっ!ご主人様ー!」
「ん?…ハクか。どうしたんだ?」
「ご主人様は今暇?」
「まぁ、暇だな。」
「じゃあハクと一緒に森の探検しよ!最近魔物が多いから倒さないといけないし、ご主人様と一緒にいれるから一石二鳥だよ!」
森の探検か。面白そうだな。
ハクの頼みでもあるしハクについて行くとしよう。
「よし、いいぞ。一緒に行くか。レイラはどうする?」
「私もご一緒させてもらいますわ。」
「それじゃあ案内するからついてきてね!」
「なんだ、目的の場所は決まっていたのか?」
「うん!行き先は、ゴブリンの村だよ!」
☆
ゴブリン村。
そこには文字通りたくさんのゴブリンが村を作り、生活している場所である。そんなゴブリンも、俺たちの村に住んでいるエルフからすればかなりの脅威となるので、討伐しなくてはいけないのだ。
現在、俺たちは目的の場所であるゴブリン村のすぐ側の茂みに潜んでいた。
「あれがゴブリン村か…。だいぶでかい村だな。」
「うん!だいたい1万匹ぐらいいるって報告があったよ!」
「いっ1万…!?」
「流石に多すぎではありませんか?」
「村の規模的にそれぐらいってダイちゃん達が言ってたよ!」
確かにこの村は俺たちの村よりも、はるかに大きい。
これは結構大変かもしれないな。
「とりあえずどう殲滅しますか?」
「ブレスで焼くか。」
「では生き残りは私とハクちゃんで対処しますわ。」
「うん!ハクも頑張る!」
ということで、少しレイラ達から離れた場所で龍の姿になった。
そしてゴブリン村の中央に向けて極光ブレスを放った。
ズッガァァァァァァァァァァァン!!!
ブレスは中央部分に命中したのち、派手に爆発した。
ゴブリン達の住んでいた家(?)は吹き飛び、ゴブリン達の死体も残っていない。
そしてレイラとハクが正面から、ダイナウルフ達がいつのまにか村を包囲して生き残ったゴブリンを倒しに行った。
それから数十分後、レイラが通常のゴブリンより数倍も大きい、ゴブリンキングを殴り殺した。
殴り殺すって…。妹よ、手が汚れるぞ?
「お疲れ様。」
「お疲れ様ですわ、お兄様。」
「ハクも頑張ったよ!」
ハクが撫でて欲しそうな目をしていたので、とりあえず撫でておいた。
「むむっ。ハクちゃん恐ろしい子…!」
「ん?何か言ったかレイラ?」
「いえ、なんでもありませんわ。」
ぷいっと頬を膨らませながら横を向いた。これはもしや…。
「レイラも撫でて欲しいのか?」
「ぶっ!にゃっにゃ二を言っているのですかお兄様!」
盛大に噛んだな。
「やって欲しい事は素直に言っておけよ。」
と言いつつレイラも撫でてあげる。
レイラを見てみるとニヤニヤしていた。まぁ嬉しそうなのでそっとしておいておこう。
そろそろお昼になる頃なので、村に戻ろうとしたその時だった。
空・が・割・れ・た・。
なんの前触れもなく、突然空に亀裂が走っている。
「何が…起こったんだ?」
「空が…割れてますわ…。」
「ご主人様…。あれ怖い…。」
ハクはカタカタと震えていた。
周りにいたダイナウルフ達も同様だ。
それに遠くの方で嫌な感じがしている。
空は数分後には元どおりになっていた。
「早く村に戻るぞ。」
2人はコクリと頷き、俺たちは村へと戻っていった。
村に戻り、アーデに何もなかったか聞きにいった。
「村は何もありませんでしたが、村人達は怯えていました。私もその1人でしたが…。」
「そうか…。まぁ、何もなくてよかった。」
この世界で何か大変なことが起こったと俺は確信した。