龍はなんのために生きるのか   作:ミクス

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龍とアーデ

俺が人間の街に行く宣言をしてから1週間が経った。

1週間の間に村でやれることは全てやったと思う。

 

まずは、村から少し離れた場所にあるダンジョン。

このダンジョンは50階層まで攻略した。

ダンジョンにいたボスは、アヴァツィアほどではないにしろ少し強く感じた。

そして驚くことにオリハルコンが少量ではあるが、採掘することができた。

オリハルコンを見つけた時のガンテツの姿は一生忘れられないだろう。

 

そしてガンテツは見つけたオリハルコンで、俺とレイラに武器を作ってくれた。

レイラには主に格闘術で戦うということでガントレットを作ってもらった。

俺は刀を打ってもらった。作り方は【検索】で教えた。

以前一人で色々な武器で素振りをしていた時に、最も扱いやすかったのがこの刀だ。

ガンテツはこの2つの武器を作るために、5日間も寝ずに作業していたらしい。本当に感謝の言葉しかない。

 

次にこの村の結界を強化した。

今まで張っていた結界は常時俺の魔力を消費して張っていたが、今は村のいたるところに結界の魔法陣を作り、結界の強度を上げなおかつ、俺がいなくても問題なく張れるようにした。

俺が全力で魔法陣に魔力を注ぎ込んだので、だいたい100年は安心して暮らせるだろう。

 

村はアーデが上手くまとめてくれるだろうから安心だな。

 

そして最後に俺はレイラと模擬戦をすることにした。

俺はアヴァツィアとの戦いを通して、戦闘の経験が足りない事を自覚した。

だから俺と同等の力を持つレイラと本気で戦うことにしたのだ。

 

こんな感じで1週間を過ごした。

そして今日はついに人間の街に出発する日だ。

 

俺の家の前に広がっている広場に、村のエルフが全員集まっていた。

 

「レーベ様!気をつけてー!」

「行ってらっしゃーい!」

「いつでも戻ってきてくださいよ!」

 

こうやってみてみると俺が来た時は、みんなくらい顔をしていることが多かったが、今はみんなが笑顔になっている。

 

人間の街に行くのは俺とレイラ。

ハクは村の守護についてもらい、アーデは村をまとめないといけないから行くことができない。

なので行くのは俺とレイラだけなのだが…。

肝心のアーデが見当たらない。

今日で一旦お別れとなるのだから、挨拶ぐらいはしておきたかったんだが…。

レイラに聞いても、

 

「なぁレイラ、アーデ知らないか?」

「はぁ…。」

 

と、このようにため息しかつかれないのだ。解せぬ…。

 

「アーデに挨拶しておきたかったのだが…。」

「はぁ…。」

 

アーデがいないのなら仕方がないか…。

まぁ、これが最後というわけでもないし出発するか。

 

「なぁ、アーデにあったら行ってくると伝えておいてくれないか?」

「レーベ様!それはご自分で言ったほうがいいですぜ!ほらうしフゴフゴ!?」

「おい!それは言うなって!レーベ様!気をつけて行ってきてください!」

 

なにやら後ろの方に引かれて行ったがなんだったのだろうか?

 

「ご主人様!」

「ハク、留守番は任せたぞ。」

「うん!留守番は任せて!しっかり村のみんなは守るから!」

「ところでハク、アーデがどこにいるか知らないか?」

「ううん、知らない!」

「そうか…。」

 

うーん。ハクも知らないか。

本当にどこに行ったのだろうか?

 

はっ!?まさか俺って結構嫌われていたりするのか…?

それだとかなり悲しいぞ…。

 

「それじゃあお兄様、行きましょうか。」

「ああ、そうだな。」

 

俺とレイラは龍の姿となり飛び立った。

行き先はダバード王国。

昔から栄えている国らしい。

 

『お兄様との旅行は楽しみですわね!』

『旅行って…。一応警戒しておけよ?またアヴァツィアの様なやつがこないとも限らないんだからな。』

『はい!その時は私わたくしとアーデとお兄様の力を合わせれば楽勝ですわ!』

『そうだな。そのために模擬戦をすることにしたんだもんな。』

 

うんうん、うん?

 

『レイラ…。今なんて言った?』

『はい?お兄様との旅行は楽しみと…。』

『違う、その後だ。』

『えっと、私わたくしとアーデとお兄様の力を合わせれば楽勝です、と…。』

『そう、そこだよ。なんでアーデの名前が出てくるんだ?アーデは村にいるはずだろ?』

『アーデならいますわよ?』

『え?』

 

村を出てくるときは俺とレイラだけだったし、今は空の上。

どこにもいないというのに何を言っているんだろうか?

 

『それではここで一旦降りましょうか。ちょうど開けている場所ですし。

 

そう言ってレイラは降りていき、俺もそれに続いた。

そして人間の姿となった。

 

「さてアーデ、もう出てきていいですわ。」

 

レイラがそう言うとレイラの影が盛り上がり、人の形を取り始めた。

 

「ふぅ…。意外と影の中も快適ですね。ありがとうございましたレイラ様。」

 

ぺこりとレイラに頭を下げたのは紛れもなくアーデだった。

 

「お兄様、口が開いてますわよ。」

 

俺はポカーンと口を開けてしまっていた。

恐らくレイラのスキルなんだろうが、それでも影の中から人が出てきたら驚くなという方が難しいだろう。

 

「それよりもだ。アーデ、どうしてついてきてるんだ?村はどうするんだよ?」

「村は大丈夫です。村の皆さんが快く送り出してくれましたから。どうしてついてきているのか、という質問は私が聞きたいです。どうして連れて行ってくれなかったのですか?」

「いや、村にはお前が必要だろう?」

「村の問題はほとんど解決しています。私がいなくなっても大丈夫なんです。」

「だが、今から行くのは人間の街だぞ?」

「ブフッ!」

 

レイラの方を見ると、笑いが止められず思わず吹き出してしまった顔をしていた。

 

「アーデ、もうちゃんと言った方がいいですわよ?お兄様は相当な朴念仁ですから。」

「はぁ…。本当にそのようですね。レーベ様単刀直入に言いますよ?ちゃんと聞いておいてくださいね?女の子に言わせることじゃないんですよ?」

 

それから一呼吸おき、こう言った。

 

「私は貴方のことが好きなんですよ。一緒にいたいんです。」

『貴方のことが好きなんです。』

 

開いた口が塞がらない、とはこう言うことだろう。

突然の告白。

アーデが俺を好き。

アーデの告白した表情は『彼女』に似ていた。それがちらっと頭をよぎる。

 

「お兄様、返事をしないと。」

 

レイラが俺の耳元でこそっと話してくる。

あぁ、そうだ。

まずは返事をしないと。

でもなんて言えばいいんだ?

 

そういえば以前にもこう言うことがあったな。

『彼女』が俺のことを好きと言ってくれて、その時も俺は慌てふためいた。

 

『自分の思っていることを正直に言ってみて。』

 

その時、『彼女』はこう言ってくれたのだ。

あの時の教訓を生かし、正直に話そう。

 

「アーデ。」

「はい。」

「俺はー」

 

頭によぎるのは『彼女』の事。

 

「俺はーー」

 

頭によぎるのは『彼女』の周囲の変化。

 

「俺はーーー」

 

頭をよぎるのは『彼女』が泣いていた事。

 

「俺はーーーー」

 

頭をよぎるのは『彼女』がひとりぼっちになった事。

 

「俺はーーーーー」

 

頭をよぎるのは『彼女』がーーーー

 

「俺は恋愛が憎い、大嫌いだ。だからお前のことを好きになれない。もう2度とこんな話をしないでくれ。」

 

俺はアーデの告白を拒絶したのだった。

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