それは、遥か昔の事である。
2014年、三人の少女はこの世での生を終えた。
曰く、一人は身体の不可に耐えきれず。
曰く、一人は彼女の後を追うかのように。
曰く、一人は目的を果たして消滅し。
己が道を少なからず全うした彼女等は本来ならば今度こそ天に昇る。そうあるべきだったのだ。
だが。
「・・・・・あれ、ここは.....。」
良く来たね....世界の英雄、....いや、【黄泉の騎士】と言うべきかな?
「その呼び名を知っている....何のためにここに呼び寄せた?」
何、ちょっとした用事でね。端的に言わせてもらおう。今の時刻は2016年。来年の2017年、君の大好きだったヴィンセント、ましてや人類はその存在を否定される。
「・・・・!?」
その顔は....そんな結末なぞ絶対に否定する、といった顔だね。いいとも、君にはそのチャンスがある。
「チャンス・・・・・?」
ああ、この後転生してもらう場所を含め世界を回り人類が存在できなくなる理由.....いわば【特異点】に赴き、それを解決してもらう。それがチャンスだ。無論、受けるならそれ相応のデメリットは負ってもらうことになるが。
「・・・・もし受けるとしたら?」
君はこれ以前の記憶を全て失ってからもう一度現界してもらうことになる。そう、君の大好きな天使でさえも、君の愛した妹でさえも、そして、君が生涯愛し合った恋人も。
「・・・・・なら、このまま死ぬよ。受けて記憶を失うなら、このまま覚えておいたままお兄ちゃんたちを待つ方がマシだよ。」
・・・・なぜ、そうまでして自分の記憶にこだわる。死した以上、無意味。意味を為さないこの戦いに何を見いだそうと言うのか。
「それが、私とお兄ちゃんとの契約だからね。【死して尚、孤高永光に愛し合う】って。」
・・・・・・・・・良かろう、二人までなら道連れにしてやる。
「・・・・そう、なら。私の考えてることは分かるよね?」
・・・・・行け、待ち望んでいるものは己で掴みとるがいい。
「・・・・一つ聞いていい?・・・・・このお願いの報酬、聞かせて?」
・・・・お前の中にある願い、それを叶えるとしよう。
「・・・・その言葉、忘れないよ。」
この日、一人の少女が地上へと降り立った。しかしそれは、果て亡き理想を探し求める旅の始まりにすぎなかった。
「・・・・・・。」
(・・・無事、降りられたのかn....ってあれ!?何で私閉じ込められてるの!?)
開幕早々叫ぶこの少女。時に狂い、時に戦い、時に甘えたこの少女。幾ばくの時を過ぎた彼女は持ち前の実力で閉じ込められていた何かから脱出すると現在地を把握するため外に出る。
「・・・・これって....。」
すると自分の足元に光輝く二つのグラスみたいなものとUSBメモリー、そして装飾が施された短銃と歩兵銃がおかれていた。変な書き置きと共に。少女はそれを見ると丁寧に抜き取りそれを読む。
【その手紙を取っているということは無事に行けたようだな。その銃とメモリーは触媒だ。仲間を呼び出す際に使うといい。其とそのグラスは呼び出したらすぐに使うこと。そうすることで存在を永遠のものにできる。それでは、貴女の旅が幸福であらんことを。】
それを読み終えた途端その手紙は燃え尽きただの灰になった。少女はそれらを抱えるとこの見覚えのある部屋から出ていった。
そのころ、とある観測室では異常事態が起きていた。
「48人目のマスター、及びサーヴァント、共に魔力回路断絶、通信不可です!!」
「霊基反応消滅を確認....生命反応途絶.....。」
「・・・・そんな、あの特異点で何が起こっているんだ・・・・!!」
次々と告げられる無情な報告、そこに男は立ち尽くし、呆然としていた。事前に予測できなかった敵の出現、その実力差、その個体数、その未確認の敵は最後のマスターである藤丸立香を屠り、あまたも堅牢な壁で防いでいたサーヴァント【マシュ・キリエライト】を一瞬にして葬り去った。それを見ていたのだ。少女は不安げにそれを見ていた。
(・・・・本当に不味いことになってるのね。本気出していかなきゃ。)
そう思考した少女は意を決して前に進む。
「どうやら、お困りみたいだね?」
「「「!?!?」」」
不意に出てきた少女に全員がそちらを向く。
「・・・・一体何処から・・・!?」
「私は召喚システムによって世界の人理を....いや、過去の私を存続させるために呼び出された49人目のマスター、というべきかな。」
「・・・・・何者なんだい?君は。」
「・・・ふふ、クラスはエクストラ。真名はクロエ・クローチェ。黄泉を司るヨハネの騎士よ。」
ここに、全ては始まった。