序章、完結の巻。
「ふむ、あと3基までなら余裕はあるけど。」
ロマニがリソースを見てそう言うと、クロエは立香に優先的にリソースを割くように提言した。ロマニは頷くと、再び召喚を開始する。
3本の金色の霊脈線が奔流を生み出す。
「霊基パターン!アーチャー!」
光が収まり、全員がその方向を向くと、赤い服装に身を包んだ白髪の男がそこにいた。
「クラス、アーチャー。エミヤだ。ふむ、出会いたくない顔は居ないか.....。」
「なるほど、エミヤはとても頼りになるわ!」
「抑止力案件が来るのか.....ちょっと面倒ね.....。」
オルガマリーと反対の反応を示す琴里だったが、内心戦力の向上には喜んでいた。いくら精霊とはいえ無尽蔵に火力を出せるというわけではないのでリソースを節約できるという意味合いではありがたいのである。
「さあ、後2基だ。」
ロマニはそう言うと再び召喚を進める。【精霊オルガマリー】、【アルトリア・オルタ】、【折紙×2】、【エジソン(クラフィの姿)】、【アストルフォ】、【キャロル】、【エミヤ】、彼等に続く9人目の英霊を迎えるべく、全員がロマンの方を見据える。
「出た!パターン【フォーリナー】!!」
「フォーリナー!?」
オルガマリーが驚愕の表情でロマニを振り回す。
「フォーリナーなんて一個も結んでないでしょ!?どうして呼び寄せてるのよ!?」
「僕にもわからないよっ!!一つ言えるならエジソン、君に惹かれてるっ!!」
「私に、ですか?」
「あぁ。フォーリナーの核とも呼べる部分がエジソン、君と呼応してるんだ。」
「私と、ですか?」
エジソンが少し考え込む。すると、なにか思い浮かんだのか、エジソンのそばにいたキャロルが頭を上げた。
「いるじゃあないか、お前と同じ因子を番えながらもアリスを手助けした....!!」
「.....!?そうか、そういうことですか!!」
全員の視線がエジソンとキャロルの方に向く。
かつてエジソン顕現の直後に現れたのんびり気ままに動くヒーラー。それが現れたというのか、否。
「来ちゃった〜!」
「やっぱり......あなたならこういう面白い事には手を出すかと思ったけど.....。」
「だって君がいるならどこでも楽しいじゃん〜。それに〜.....。」
猫耳っぽいフードを被った少女?が指を鳴らすと、召喚直後なのにも関わらず最後の召喚が始まる。
「んんん????」
「今回はイレギュラーが多すぎる!!」
「あなた達って自由すぎるわね!?」
「でもEXPOのときはこの子が全員まとめてたんだよ〜?」
呑気につぶやく彼女を尻目に最後の召喚の光が輝く。
「霊基パターン!クラス、ルーラー、フォーリナー!!」
「.......誰か一人足りないと思ったら!!」
クロエがエジソンたちの方を向き頭を抱える。それと同時に前にとある子からの発言を思い出した二人も、
「あー......いましたね彼女も。みんなのインパクトが強すぎて忘れてましたが......。」
「あぁ......私達に平穏はありまして?」
「あるわけ無いでしょ狂三.....私だって胃薬ほしいくらいなのに.....。」
ぶつくさと喋る琴里と狂三。そしてついに光が収束し、ツインテの少女の姿が見えた。しかしそれはもちろん。
「やっほー!冬木以来だねっ!みんなのアイドルVTDのクーロンちゃんだよっ!クロエちゃん、色々よろしくね!」
「あい......。」
頭を抱えるクロエ。それもそうであろう。7人分の現界するだけの魔力を一人で支えるなど無理な話である。現状エジソンが事情を聞くなり急ピッチで作業をしているがそれでもカツカツなのである。ロマンが言っていた10基分とは単体クラスのサーヴァント10基分の場合の話であり、クーロンが来たことにより11基分。微妙に足りないのである。そんな時だった。
「あ、そう言えばクロエちゃん。私達魔力いらないよ?」
「え?」
「あれ?キャロルから聞いてなかったの?」
エジソンが不意にそう告げる。クロエはぽかんとしていた。作業の手を緩めずそのままエジソンは話を続ける。
「あのあと英雄の座ってところでアイツに出会ってね、手助けするのに十分なくらいの魔力の動力源であるアレを貰ったの。」
「アレ?」
「うん、コロンの引き籠もりちゃんがいずれそっちに押し掛けるからデータ取りの手伝いしろってこれをね。」
そう言うと、エジソンは片手の動きを止めず片方の手で髪につけているリボンを手に取る。
「永続的魔力、いや、電力供給機関及び最適化機構であるEvolutionSyatem。それを託されたんです。」
「......は?いや待って、あれってシールドセヴンの子たち以外は全員無くなったんじゃないの!?」
クロエの言うことにキャロルはバツの悪そうな顔をしていた。というのも、ALICE内では以前内部紛争が起こっていた。その際、EvSが猛威を振るい彼女らを苦しめていたのだ。最も、そのEvSはシールドセヴンに引き継がれ、あるべき使用用途へと切り替わっている。コロンの引き籠もりはこれで表舞台から消え去るつもりだったがそうは適合者が降ろさない。適合者がダーウィンとの共存を望みそれに渋々、いや、涙を流して受け入れた彼女は最後に持ってそのまま保管していたオリジナルのEvSを自身で再度展開し、共生することを決めた。と。ここまで聞けばただの良い話なのだが、ここからが問題だった。
「ハァ?僕にみんなにも使えるEvSを作れ、だと?」
「ああ、またあんな紛争、そして災害が来るかわからないからな。今は僕たちで事足りるがいずれそれを越えてくる可能性だってある。それならば対応できる人は多いほうが越したことはない。」
「だけどアレはなァ....。」
「すでに3人ほどテスト候補者が名乗り出ている。」
「早いな?誰がその計画を立てた?」
「アリスに....クーロンに.....フェルミ、そしてフロイトにエジソンだったか。」
「全く意味がわからないなァ!?」
適合者の肩に乗ってるダーウィンが困惑の表情をしている。アリスはその存在の観点上必要なのはわかるが残りの四人は.....明らかになにか企んでいるのはダーウィンからして分かっていた。だからこそ、
「お断りだなァ。あんな危険物をそうやすやすと渡すわけには行かないし、何より僕が作り方を知らないんだ。あくまで僕はリアルに存在していた僕と共同開発しただけ。根本的な作り方はすでに誰もわからなくなっているのさ。」
「.......ならそれがあればいいんですね?」
不意に聞こえた声に全員が首を向ける。そこにはシールドセヴンの総合統括者であるメビウスがいた。だが、そのメビウスの物言いに少し違和感を覚えたダーウィン。
「.....なんだ?その含みのある物言いはァ。」
「その、ですね......アリスが止めようとはしたんですが.....。」
「.....まさか。」
「はい....そのまさかです。先程アカデミア技術四人組から連絡があり、EvSの製造法の解読、及び試作品5つのロールアウトが終わった、と。」
「いくらなんでも話が飛び過ぎじゃないか!?」
あまりにもの事の速さにシュレディンガーが驚愕しダーウィンは開いた口が塞がらない。更にメビウスが続けて、
「尚、この試作品はうち3つが【コッククロフト】、【フーコー】、【ギルバート】との適合治験に使用され、いずれも適応したとの報告が.......。」
「........なんてことだ。」
「......ねぇ、僕もう一回引き篭もっていいかなァ?」
「誰にも文句は言えないと思います.....。」
どんよりとした表情で完全に意気消沈しているダーウィン。シュレディンガー達はバカ四人に軽く殺意を覚えたが何分成果を出しているので強く言えない。暫くして口を開いたのはダーウィンだった。
「仕方ない、僕も腹ァ括るとするよ。四人に連絡して製造法をこちらに通してくれ。何、時間はかかるが確実に作り出してみせるさァ。」
「とまあそんなわけで私達は魔力が要らないんですよ。だから実質10基。何ら問題はないですね。」
「あれ、でもそれじゃその試験的に作られた残り2個の行方は?」
「そうだな、残り2個も誰かに使われていてもおかしくないはずだわ。」
「残りの2つはね......。」
その時だった。突如轟音と共に召喚が始まる。
「!?何だ、突然動き出した!!」
「ロマニ、一体どうなってるの!!」
「わかるわけ無いでしょ所長!!少なくともパターンはセイバーとルーラー・フォーリナー!!」
「はぁ!?まだ2基来るの!?」
全員が慌てている中、落ち着いたクロエと狂三達はエジソンたちの方を見ると、
「あぁ、これ絶対来ましたね。」
「....あいつの面倒は俺が見る.....。」
「じゃあ彼女は私だね.....はぁ。」
「(絶対コレ彼女たちなんかやらかしましたわね?)」
「なんとなーく予想はついたよ。」
「奇遇ね、私もよ....。」
三人がため息をつくと同時に光が収束しその姿を映し出す。
「見つけたわよ、パパ!もう逃さないんだからっ!」
「....あれ?EvSでディザボコボコにしてたら.....???」
一人は赤髪の少女、もうひとりはうさ耳のようなリボンをつけた帽子を被った少女。どちらもエジソンたちにとっては見覚えしかない人物だった。
「ああ、来ちゃったのね...アリス、フロイト.....。」
To be continued......
とてつもなく待たせてしまいました。
本当に申し訳ない。多分これからはそう間隔は開かないと思う?