とてつもないイレギュラーばかりの召喚が終わり、改めて全員が揃ったところで所長の案により顔合わせがなされることになった。そのため唯一復旧が優先的に進んでいるカルデアス管理室に全員が集まる。
「さて、全員集まったわね。ここに来てもらったのは他でもありません。先の戦闘で私達は2017年までに人理修復を為さねば全員焼却されると言う事実を目の当たりにしました。そして、私達もまたこれを防ぐため人理焼却阻止計画であるグランドオーダーの開始を告げたいと思います。現在、確認できるだけでも7つの特異点が確認されているわ。場所はフランス、ローマ、太平洋、イギリス、アメリカ、ブリテン、そしてアフリカ。それぞれの地に赴き原因である【聖杯】を回収するのが主な任務になるわ。残念ながら私は所長故にここから動けないけどね。けど、私はクロエちゃんに救われたこの命で全力であなた達をサポートすると宣言するわ。」
そう言うと、オルガマリーは自身の力を開放した。先程までのカルデア制服とは違い、神々しい衣装を纏いまるで天使のような姿であった。
「あの霊結晶無色透明だったはずなのになんでこんなわかりやすーい衣装になってるのかなこれ。」
「なんか、いずれ来そうねこれ。」
しかしなんの衣装なのかわかった二人は少し顔を赤らめていた。そしてオルガマリーの左にいた......たしかロマニとか呼ばれていたか......人物にオルガマリーの視線が向いた。
「ふぅ、改めて紹介しておくことにしよう。僕はロマニ・アーキマン。ここの施設の管理、あとはドクターとしての官位も担当する。君たちが倒れたらそれこそ終わりだからね。やると言ったら徹底的にやらせてもらうよ。」
当初の慌てようはどこへやら。後ろ髪を結ったロマニはすでに最初の特異点の特定を進めながらであったのか少し不規則な声調子だった。
「さて、あなた達サーヴァントのこと、教えてもらうわよ?戦術的にも重要なことだし。」
「仕方あるまい。先程も申したが真名はアルトリア・ペンドラゴンだ。私は一国の民を導けるほど神聖ではない。故にその側面、オルタとして名乗らせてもらう。戦闘パターンはお前らが対面した通りの戦い方であっている。まあ、せいぜい私を失望させないでおくれよ?」
そう言うとアルトリアは自らの剣を手入れすべくあてがわれた部屋へと戻っていった。その様子を見ていた立夏は少し苦笑いをしていた。
「おっと、俺の番だったか。俺はエミヤ。クラスはアーチャーとしての現界を果たしている。本来なら世界の抑止者としての仕事が起きた場合にしか私はやってこないが、どうやら不確定要素の為に私は呼び出されたらしい。」
そう言うと、エミヤは目線をクロエ達の方へ.....、
「あれ、そう言えばクロエはどうしたのかしら?」
「ああ、クロエさんなら宝具のメンテナンスのために本司令部に籠もっていますわよ?あれはあの子にしか扱えないのでどうしても微調整が必要になるんですわ。」
狂三の説明で納得がいったのかそれ以上聞くようなことはしなかった。それを見届けていたアストルフォ。ようやく出番が来たのを悟るとステルスモードを解除した。
「さて、ようやく僕の出番だね?真名はアストルフォ。シャルルマーニュ12勇士のうちが一人で今は精霊だよっ!クラスは最優のセイバー!多少頼りないかもしれないけど許してね!」
「【精霊】っていう単語がつくだけでろくでもないことになりそうだと感じるのは私だけかしら?」
頭を抱え溜息をつくオルガマリー。もちろん精霊の案件だ。アストルフォ自体はシャルルマーニュ十二勇士として名を馳せているがあくまでもライダーとして。つまりセイバーとして召喚するやつはそうそういないため実力面でも心配なのだ。だが、
「マリーちゃんが思ってるような心配はいらないよ?こう見えてアストルフォ、精霊全員と戦って9割勝ちに持っていけるし。」
「へっ!?」
「そうだよー?多少手加減はしてもらってるけどそれでもだね。」
周囲から告げられる衝撃の事実に驚きを隠せないオルガマリー。しかし召喚タイムで慣れてしまったのか、最初ほどの反応は見せなくなっていた。
「さて、ここからは私達の方ね。【識別名】イフリート、炎の精霊こと五河琴里よ。今回はカルデアクルーが人員不足な以上サポートを受け持つわ。きっちりこのグランドオーダーは完遂させてみせるから、目ン玉穿って見ておきなさいよ?」
「キヒヒ、相わらず御用心深いことで。さて.....私の名前は時崎狂三。第三の精霊、または時の精霊とも呼ばれていますわ。今宵はアーチャーとして呼ばれまして、識別名はナイトメア。そして天使は時をも操る刻々帝、進むも戻すも思うまま、ですわ。」
二人がそれぞれの天使を顕現させ周囲に周知させる。見慣れたクロエたちは何の反応も示さないが、バタバタしててしっかりと仲間について知っていなかった者たちについてはそれぞれ3種3様な反応だった。落ち着いた反応をする者。戸惑いつつも受け入れる者。完全に驚き、目を輝かせている者。特にロマンの反応はすごいものだった。
「まあ、狂三ちゃんは特別だからね。響ちゃんよぶ?」
「あの人の御守りをするのは勘弁ですわ.....。」
「よーし第一特異点終わったら呼んじゃおうっかな〜!」
「クロエサン!?!?」
「こらクロエ、流石に可愛そうだぞ?クイーンもつけてやるべきだと思うぞ?」
「十香さん!?それはもっと嫌なんですが!?」
「十香ちゃんナイス!それがあったか!」
「モウヤダ......二人同時はヤダ......。」
狂三、二人の追撃で撃沈。
「あれま、狂三が倒れてしまったぞ。まあ別にすぐ起きるし大丈夫か。......気を取り直して、私は夜刀神十香、第十の精霊にして剣の精霊とも呼ばれてるぞ!こっちは私の妹の夜刀神天香。識別名はプリンセスと呼ばれているのだ。天使は私は鏖殺公と呼ばれてて、天香は良くわからんが、」
「ナヘマーだ。覚えておけ姉。」
「らしいな!ちなみに琴里によればどっちもせいばぁ?で召喚されたらしい!」
相変わらずの呑気さに苦笑いを隠せないクロエ達。すると、ふとロマニがなにかに気づいたのかコンソールを密かに叩いている。
「.......あった、これだ!どうにも精霊って言葉が引っかかったから探ってみたらビンゴ。」
「?ロマニ、何か分かったの?」
「ああ。彼女たちの総称は精霊。正式名は特殊災害指定生命体。隣界と呼ばれる世界に住まう者たちでその力はセフィロトの神々から与えられし力だとされている。そしてその力は個々が非常に強く多数では手に負えなかったらしい。最終的には和平的な解決方法で十数年前に姿を消したけど......。」
ロマニはまるで信じられないといった顔をしている。それに納得する琴里達。
「驚くのも無理はない。」
「....?たしかあなたは。」
途中で割り込んで来た少女に問いかけるオルガマリー。しかしその姿は先程も見かけた姿だった。
「自己紹介がまだだった。私は元AST所属鳶一折紙。今は第一の精霊、または砲の精霊として君臨している。隣にいるのは私の反転体こと、」
「もうひとりの鳶一折紙です。同じく第一の精霊ですが、唯一私は天香さんみたいな反転体であり、表の私の天使は絶滅天使ですが、私は救世魔王と呼ばれる反転霊装を所持してます。」
「......話がそれた。本来私達は精霊の力を失い、もとの日常に戻る予定だった。でも、世界の意志がこの世界が崩壊することを知り、私達に再度絶対無垢なる天使の力を分け与えた。」
「なるほど、つまりあなた達はエミヤたちと同じような者と捉えられるのね。」
「その通り。いわば天使は今で言うなら抑止力の化身とも言えるべき存在。」
「....でもエミヤみたいに純粋な抑止力ならまだしも、折紙さんや狂三さんはあくまで分け与えられた存在であって純粋な抑止力の持ち主ではないんですよね?ではなんでこんなに簡単に.....。」
立香は疑問に思ったことを問いかける。しかし、その答えは思わぬところから飛んでくることとなる。
「それは縁だよ。」
「あっ、クロエちゃん!?」
「やーやーお待たせ、ちょっとばかし調整に手間取っちゃってね。」
入り口に割り込んできたのは狂三達の召喚主であるクロエだった。当の本人はメイン武装である【HMBL】を丁寧に仕舞うと空いている席に座った。
「さて、話を戻そうか。さっき折紙ちゃんは数十年前に姿を消したって言ってたよね?」
「ああ、たしかに言っていた。」
「あれは言わば寿命による死亡。精霊という存在が完全に消滅してみんな元の人間に戻れたから急激な老化が発生してみんな即座にポックリ逝っちゃったのよ。けど今は全盛期の状態で召喚されているうえ、本当にろくな事が起きない限りは不死身になったから。」
クロエから明かされた意外な事実に全員が息を呑んでいた。そしてその微妙な空気を更にぶち壊したのは.......、
「クロエちゃーん!....はぁ、はぁ、いつの間にかどこかに行かないでくださいよ!......あれ、なんで皆さんここにいるんです?」
「それはこちらのセリフよ。全員呼び出ししたはずなのになんで揃いも揃って来ないのよ?」
「ああ、多分それは私達が電子化してあっちの世界と交信していたからですね。」
「電子化?」
「ええ、私達は元は電子英霊、という肩書に収まるので有事の際以外はメインサーバーの中で活動しているんです。もちろん聖杯による受肉は果たしているんでアストルフォちゃん達みたいに下手な攻撃をくらわない限りはまったく問題はないですけどね。」
「は、はぁ.....。まあいいわ、ちょうどここに来たんだし紹介していきなさい。」
「それくらいは別にいいですけども。」
オルガマリーに触発された少女.....エジソンは服装を調節し身支度を整える。そして全員を見据えると改めて自己紹介を始めた。
「さて、新顔も居るみたいですし改めて紹介しておきますね。今宵は準グランドキャスターの冠位として召喚されたALICEのスペリオルセヴン、またの名をシールドセヴンの技術畑担当。エジソン様とは私のことです!一応他にも紹介しておくと、今は引きこもってますがALICEの始祖ことキャロル、原子を視るフェルミちゃん、粒子学のアイドルことクーロンちゃん。そして真理学ことフロイトちゃん。それぞれキャロルはライダー・バーサーカー、アヴェンジャー。フェルミちゃんはフォーリナー、クーロンちゃんもフォーリナーだけど、同時にルーラーとしても召喚されてて、フロイトちゃんはセイバー・フォーリナーとして呼ばれていますね。因みに現在カルデア内データベースにメインリソースの8割を用いてALICEの建造を進めてます。これさえ完成すれば約600基分のリソースをメインリソースの1割で補えるので戦力不足、及びサポート問題は解決しますね。」
「メインリソースの8割だって!?」
「ちょっと!?今ここにはほとんど施設が破壊されたカルデアしかないのよ!?」
「ええ、重々承知ですとも。だからこそあの二人が来たのかもしれませんが。」
「.....?」
エジソンがそうボヤいていると、再び自動ドアが開いた。
「エージソーンちゃーん!終わったよー!」
「あっ!良かった!」
「.....?最初見たときとなんか衣装が違う気がするんだけど?」
「それは私の本来の姿ですね。あの姿はアイドル活動をするためだけの姿ですし。....そんなことよりも、とりあえず当面の問題を解決すべくフェルミちゃんと共同で新たにメインリソースを建造し、現在メインリソースを担ってる炉はサブリソースとして割り振ることにしました。これにより【新造したメインリソース】の8割を用いてALICEサーバーを稼働させます。これによりALICE内部からのサポートを受けられるようになります。人理が焼却されたからと言って別にデータベースも焼却されたとは限りませんから。後、同時並行でラタトスク内部データベース、及びクロエちゃんのUSB内データから隠しファイルとして発見した電子精霊のデータを発掘し修復、及び試作型EvSによる受肉誘導も終わりました。」
「隠しファイルなんてあったんだ。」
「ええ、あれから預かって解析を勧めた結果、丁寧なプロテクト、何重にも及ぶファイアウォールが掛かっているファイルがあり、強引にキャロルの権限でロックを外し確認したところ、それが見つかったので。」
「もしかしなくても君達サイバー・ネットワークでなんかしてた?」
あまりにも複雑な文字の羅列についそう言ってしまうロマニ。それに対しエジソンが返答しようとしたがそれをクロエが制した。
「そもそもの話、ALICEは仮想ネットワークサービスだったのでエジソンちゃん達にはこういう事はお茶の子さいさいなんですよ。.....と言うか見逃してたけどさらっと受肉誘導って言ったよね?」
「ええ、二人の受肉誘導やりましたよ?現在生成最中でリソースの改修さえ入ればいつでも召喚できますね。」
「「「「「「.........。」」」」」」
「......呆れる行動力ね.....。」
あまりにも奇想天外予測不可能な行動により全員口から言葉が出なくなる。当然オルガマリーも言葉を失っていたが、流石に所長。いち早く復帰した。
「.....とりあえず、親睦は深めて協力できるようにはしておいて頂戴。約一週間もあれば最初の特異点が観測できるはずだから、それまで各自でトレーニングをしておきなさい。では、一時解散!」
こうして、グランドオーダーの第一歩が始まるのだった。
.......
「あれ、〇〇?」
「何よ、〇〇。」
「何でここに私達の原初の母が居るんです?」
「聞かれても知らないわよ。」
『......いつまでも擬似じゃ可愛そうだからね。本物を渡すために呼び寄せたのよ。』
『本物?』
『第11の霊結晶、第13の霊結晶。これを君達に託すよ。』
「......なんのつもりよ?」
『......まだ姿を見せられない私に変わって、あの子達をサポートしてあげて。きっと安心してもらえるはずさ.........。』
To be continued.......
久しぶりの5000字越え。
これからも気が乗ったらちょくちょく長いのかけるかも。