強いて言うなら、いたのが悪い。
今日は、3回です。
普段は毎日投稿です。
私達は愛歌の案内の元、泰山という中華料理屋にやってきた。
「かなり本格的だな」
「たのしみー!」
「食事か。生涯初めての気がする。」
「ささ、早く入りましょう!」
「いらっしゃいある〜!」
入って先ず目に入ったのは、少女の様な店主だった。
だが、その腕前は確かなのだろう。
あそこの少し暗めな男が、それは美味しそうに麻婆を食べている。
ノーバディにも、食欲は湧く様だ。
全員でテーブル席に座る。
「麻婆、4つで!」
「おい、勝手に決めるな!」
「ここは、麻婆が美味しいのよ!『根源』で調べたわ。」
「おいしかったら、なんでもおっけー!」
「プラクシズ、下手に自分たちで選ぶよりも、おすすめを頼んだ方がハズレがない場合もある。」
「そうですね、ゼムナス様!」
運ばれて来た麻婆は、出来立てで熱気を放っている。
非常に美味しそうだ。
「「「「いただきます」」」」
麻婆を一口食べると、そこは地獄だった。
舌を焼くマグマの様な辛さ。
脳すら焼ける様だ。
私は、レンゲを置いた。
ハウワクスとプラクシズも同様の状況に陥っている。
「・・・・・・・・・・・」
「ごめんなさい、ゼムナス様。先に、逝きます。」
ハウワクスは目が死に、プラクシズは逝ってしまった。
我々、XIII機関を壊滅まで追い込むとは!
「もう、ちょっと過剰すぎじゃない?
これ、ただのピリ辛の麻婆よ?」
「これを、ピリ辛だと?」
愛歌、何故平然とその生物兵器を食べられる。
いや、この世界の人間は辛味だけは滅法強いと言うことか。
決意した。この世界で、二度と辛いモノは食べない。
しかし、残すのは駄目だ。
残しては、いけない。
私はハウワクスとプラクシズの分も含めて、ただ食べた。
此方に手を振る、マスター・ゼアノートが見えた気がした。
何とか麻婆を全て食べた私はハウワクスとプラクシズに手を引かれながら、泰山から離れた。
「胃が、痛む」
「ゼムナス様、これお薬です」
「すまないな。ぐっ!」
「ハウにも、ちょうだい」
「あぁ、ほら先ずは水を含んでからだ」
「あー、美味しかったわね!また来ましょ!」
「貴様、よくアレを美味しいと言えるな」
二度と来ない。
美味しいという愛歌にプラクシズも引いている。
「愛歌、何処か心が安らぐ様な場所はないか?」
「そうねー。立派なお屋敷でも見て、心を紛らわしましょう!」
「そうしよー」
「もう、何処でもいい。」
「ぜ、ゼムナス様。お気を確かに!」
「ここは、間桐さんというこの辺りでも有名な人のお屋敷よ!」
屋敷と言えば屋敷だが、少しボロくはないだろうか?
「なか、はいってみたい!」
「そうね!折角来たのだから、中も見ていきましょう!」
「おい、不法侵入だぞ。ゼムナス様も止めてください!」
常識人のプラクシズが暴走するハウワクスと愛歌を止める。
いつもなら私も止めるだろう。
だが、今はむかむかする。
「私が先陣を切る。後に続け。」
「お前達、早く行くぞ!後ろは任せてください、ゼムナス様!」
「まんなかはまかせて!」
「えっ?本当に入るの?私が言ってなんだけど」
「入る。これは決定事項だ。愛歌、遅れるな。」
「ま、待ってよ、ゼムナス!」
私達は進入した。
侵入ではない。進入だ。
正々堂々、正面から進んで入っていく。
門には鍵がかかっていたが、切り壊した。
「お、お前何処から入って!」
「黙れ。」
「ぐはっ!」
「だ、誰だ!」
「眠っていろ」
「さ、桜ちゃん・・・」
アル中とボロボロの男を葬り、私達は間桐邸の探索を進める。
「鮮やかな手腕です!ゼムナス様!」
「たんけん!たんけん!」
「確かに、拳一つで解決する姿は鮮やかと言えるかもしれないわ」
力こそパワーという言葉を聞いたことがある。
今程、それを実感している時はない。
しかし、気になることがある。
「愛歌、あのボロボロの男は何をされている?
あれも魔術か?」
「見た限り、蟲ね。体の中に蟲が入れられているわ。
あんな気持ちの悪いのと私の魔術を一緒にはしないで欲しいわ。」
「そうか。確かにあの姿は、見ていて気持ちのいいものではないな。・・・分かっていて、ここに連れて来たのか?」
「いえ、魔術師の家だから観光場所にピッタリ!と思ったのは事実だけど、こんな場所だと知っていたら来ていないわ」
「ふむ、他にもあるか?」
「魔術師の家?えぇ、遠坂邸があるわ。
そこにも殴り込みをかける?」
「いや、それはまた今度にしよう。今はこの場所を私達の拠点とする準備をしよう」
「・・・もう、大胆なんだから!」
まぁ、中々大胆なやり方であるとは思っている。
顔を赤らめる愛歌の思考は、私には読み取れなかった。
「プラクシズ、その時は周りの家への記憶操作を頼むぞ」
「はい、完璧に証拠隠滅して見せます!」
「ゼムナスさま!ちかへのいりぐちがあったよ!」
「地下か。きな臭いな。」
「魔術師なんて、きな臭いのしかいないわよ。
当然、私はいい香りがするわ」
「そうだな。確かに近づかれた時には、いい香りがした。」
「そ、そうでしょ!いい香りのシャンプー使ってるんだから当然よ!」
地上の探索を切り上げ、私達は地下へと足を踏み入れた。
やっちゃったぜ!