雛鳥と籠の鷹   作:筆折ルマンド

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私用終結!!
しかし、作文はスランプ中
Loveを高めるにはどうすれば

感想ありがとうございます!
ただ、これからは質問のような回答できるモノがある場合にのみ返答したいと思います。
逐一返答するのはちょっと恥ずかしいモノがあるので



お昼寝 〈安桜美炎〉

 夏が終わりかけて、森は静かに、空が晴れても暑く感じなくなった頃。

 

 夏とも言えず秋とも言えないこの時期は過ごしやすくて私は好きなんだけど、物珍しさがなくなってしまうからか神社に人が来なくなる。

 

 そんな時期に恭侍さんはやってくる。

 

 ◇◇◇

 

 真っ赤な鳥居を抜けた先、荘厳な神社が顔を見せる。

 その参道の横道を箒を持った老爺が歩く。

 

 草鞋が敷き詰められた小石を踏みしめ、音が鳴る。

 

「美炎ー」

 娘にも婿にも先立たれた老爺が、遺された孫娘の名を呼ぶ

 

 ────

 

「美炎ー」

 

 お爺ちゃんの声

 

 私に神社の掃き掃除を任せてからもう何時間か経っているから、きっと探しに来たんだろう。

 

「美炎よー」

 

「はーい」

 

 ガラリとおみくじ屋さんの戸が開く。

 

「お主こんな時間まで、なにをして──」

 

 私の膝の上を見つめるお爺ちゃん。

 そこにあるのは男の人の頭。恭侍さんの寝顔。

 恭侍さんは寝返り一つ打たずに、呼吸は規則正しく刻まれ、イビキも全くかかない。

 お爺ちゃんは時々うるさかったりする。

 

「こ奴は」

 

 私が恭侍さんの頭を撫でる。

 

「うん、恭侍さん。お墓参りだって」

 

「なんと、もう一年か」

 時の早さに驚くお爺ちゃん。

 私にとっては、結構長かったんだけど。

 

 去年は艶やかな黒だったのに、今年ウチの神社に来たお兄さんの髪は白と染めた黒色になっていた。相当な苦労をした1年だったんだろう。

 

「シーッ 恭侍さん疲れてるみたいだから」

 恭侍さんは今日のために昨日から休暇を取りたかったけど、最低限の日数しか取れなかったらしい。普通、中学生が休みを取るために苦心するなんてことあり得ないと思う。

 

「う、すまない。ではなく、何故店の中に上げている?」

 

「だって眠そうだったし」

 昨日もお仕事だったみたいで、ここに来た恭侍さんは眠そうだった。

 それこそ、私がおみくじ屋さんの中を貸してあげるって言ったら、いつもは断るのにほいほいついて来ちゃうぐらいに。

 

「だってってお主……。──まぁ良い、近藤の奴にも大目に見てやってくれと頼まれておるからな。暗くなる前に帰らせるなら煩くは言わん」

 

「うん、ありがとうお爺ちゃん」

 

「──うむ、居間に羊羹がある。そ奴を返してから食べなさい」

 

 お爺ちゃんは、そう言えばきっと私がお昼には帰ってくると思って言ったんだろうけど、私は当分恭侍さんの側を離れないと思う。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 天然……て言うのかな。

 

 私は昔から少し変わっていた。

 私にそんな自覚は無かったし、私にとっては疑問にならないぐらい当然の事だったんだけど、他の人にとっては違ったらしい。

 そのせいで、ちぃ姉にはいっぱい迷惑をかけてしまった。

 

『幽霊っているのかな?』

『そんなのいる訳ないじゃん』

 

「いるよ、学校にも住んでるよ」

 

『え?』

 

 普通の人は幽霊を信じないらしい。

 

 幽霊や人魂は普通は見えないらしい。

 

 私からすれば、幽霊や人魂と呼ばれる人の心残りは世の中のいたるところに残っていて、昼と夜に区別が必要なのか分からないほどで、幽霊は当たり前に居る人たちだった。

 

 ────

 

『荒魂って怖いよね』

『そうだね、人を食べちゃうんでしょ』

 

「怖くないよ。今日も一緒に遊んだもん」

 

『────』

 

 荒魂は普通、人を襲うモノらしい。

 うん、私も最近になって分かってきたことだけど、大きな荒魂は人を襲う。刀使でなければ止まらないとっても危険な生き物だ。

 

 でも、小さい荒魂は子犬や猫みたいで可愛い。

 人を襲うなんて信じられないぐらい、ちょっとだけ近づいて少しだけ私の手と遊んで、それでどこかに行ってしまう。

 全然危険じゃないんだ。

 

 ──

 

『ねぇねぇ、安桜さんってさ──』

 

『あー、あの不思議ちゃん?』

 

『そーそー、あの子、真顔でオカルト話するんだよ? オカシイったらありゃしない』

 

『実家が神社らしいし、実はホントなんじゃねw』

 

『なわけ』

 

『だよねーw』

 

 

 ……誰も信じてくれなかったけど。

 

 

 ────

 

「小さな荒魂って可愛いな!」

 

 偶然だった。

 神社の裏の森で荒魂と遊んでいる所を、恭侍さんに偶然見られたのがきっかけだった。

 

 恭侍さんは、ちぃ姉ですら半信半疑だった私の話す何もかもを信じてくれた。

 

 恭侍さんは小さな荒魂を見たことがあるらしい。

 今までそう言って私に言い寄ってきた男の子は居たけど、恭侍さんみたいに本当だと信じられる人はいなかった。

 

「小さい荒魂には人を襲う力はないが、そもそも人を襲う意思も無いみたいだな」

 手から腕に登ってきたリス型荒魂と戯れながら恭侍さんが笑う。

 

 その事もあって私は恭侍さんを信頼するようになった。

 

 私の言う事ならなんでも信じてくれて、私も恭侍さんを信じて、時々騙して騙されて、ちぃ姉にできない相談をいっぱいした。

 

 勉強の話とか、学校の話とか、

 

 恋の話とか

 

 まぁ、相談については半分以上役に立たなかったけど、

 

 でも、小さな私にとって恭侍お兄さんはヒーローだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 恭侍さんがヒーローでなくなったのは4年前の話。

 

 ──え、4年前? 

 

 そっか、まだ4年しか経ってないんだ。

 

 恭侍さんのお母さんが死んだ日から

 

 ────

 

 その頃の恭侍さんは荒れていた。

 あ、別に不良になっていたとかじゃなくて、いや、目に見えてイライラしていて街の不良が誰も近寄らない程度には凄いオーラを纏っていた。

 

 原因は恭侍さんのお父さん。

 お母さんが病気で亡くなって、半年で再婚したらしい。

 しかも、再婚相手の人はお父さんのビジネスパートナーで、恭侍さんと3歳しか歳の違わない女の子を連れていたんだって。

 

 ──たぶん、そういう事なんだと思う

 

 その頃から恭侍さんは実家に帰らなくなって、習い事だった剣術にのめり込むようになっていった。

 始めは実家に帰らない理由作りのはずだったんだけど、恭侍さんがあまりにも才能に溢れていたせいで、いつのまにか住み込みで鍛錬するようになっていた。

 

 その頃の恭侍さんは清く正しく荒れていて、私の思っていた頼りになるお兄さんとしての姿はそこには無かった。

 

 ただ、何を信じれば、何をすればいいのか分からなくなってしまった迷子がそこにはいた。

 

 ──だからって恭侍さんが嫌いになるとか、別にそんな事は無くて

 

 幻想の混じったカッコいい恭侍お兄さんも好きだったけど、今のがむしゃらな恭侍さんはもっと好きだ。

 

 残念なのは、昔と違って恭侍さんはもう滅多に安桜神社に来なくなってしまったってこと。

 

 安桜神社は中部地方、恭侍さんは京都と東京を行ったり来たりが主で、ウチに来るのはお母さんの命日だけ。

 

 もっと会いたいと思う気持ちを私はどうすればいいんだろう? 

 

 ◇◇◇

 

 膝枕をしていた恭侍さんの頭が揺れる。

 

「ん……あ、ぅ?」

 

「恭侍さん、起きた?」

 

「──あぁ、今何時か分かるか」

 

「えーっと、午後4時だね」

 

「なんと、──これは夜行行きだな」

 恭侍さんが気怠げに手でまぶたを覆う。

 

「早く起こした方が良かったかな? ごめんなさい」

 

「いや気にしないでくれ。どうせ帰るだけなんだ。どのタイミングで寝るかの違いしかない」

 床に肘をついて起き上がろうとする恭侍さんの肩を抑える。

 

「どうせ夜寝ながら行くなら、もうちょっと寝ててもいいと思うんだけど」

 

「うーん、けど、美炎も膝枕は辛いだろう? というかそもそも俺は美炎に膝枕を頼んだ覚えが──」「まぁまぁ、気にしない気にしない。ほら、あと1時間ぐらい寝ようよ」

 

「しかし」

 

 ぐいぐいと恭侍さんの肩を押す。

 私が上で恭侍さんが下、押しこくっていると、恭侍さんの頭がずんと私の太ももに乗った。

 

「──むぅ。分かった、もう少し休んで行く。だから肩に力をかけないでくれ、これ以上は肩がはずれる」

 恭侍さんが観念して私の膝に身体を預けて目を瞑る。

 

「うん」

 私は自分の手の甲にキスをして、その手で観念した恭侍さんの顔を覆った。




安桜美炎
天真爛漫一本気
快活で裏表の無い性格。
恭侍の現地幼なじみ
黒崎一護なナウシカ
特殊な出自と秘められた力を持ち、幽霊が見え、荒魂の幼体と戯れていた過去を持ち、異能を持つモノとしてのズレた感性によって周囲との軋轢を生んでいた。
その頃に全肯定マンだった恭侍に出会い好意を抱き、家庭のごたごたでプチグレた恭侍を見て母性が目覚めた。
油断すると若妻ムーブをかましてくるぞ。

飛鷹家の事情
飛鷹家は現在、父、義母、恭侍、妹の4人家族
恭侍の実母は元々身体が弱く既に病死している。
恭侍は義母を嫌っている訳ではないが、義母が母を嫌っているのは察しているので距離感を掴み損ねている。
お父さんは中規模の貿易業の社長
家族仲は悪くなかったが、身体の弱かった母が亡くなって半年で父が再婚したため、母が生きているウチから二股をかけていた事が発覚。
以後、実家とは距離を置き、剣術に没頭するようになる。
恭侍の母と後妻の百華さんは
印象が180度異なり、おっとりとした母に比べて、百華さんはきびきびとしたキャリアウーマン
ビジネスパートナーとして昔から父の側にいたらしい
恭侍は、母と百華さんの関係は百華さんが一方的に母に敵対心を抱いてると考えているが、実際のところ、恭侍の父を手に入れるための熾烈な争いを繰り広げており、その末に身体のハンデを逆手に取った恭侍の母が紙一重で百華さんを出し抜き正妻の座を手に入れた。
恭侍に、自分が死んだら毎年お墓に花を添えてくれと、遠回しに父に釘を打ち込んでいたりと、実はしたたか
毎年自分の誕生日は草場の影から、恭侍の母を思い出して落ち込む夫とその姿を見てイライラする百華を見て満面の笑みを浮かべているそうな
恭侍の父もまた、遊び人である以上にヤンデレに好かれる才能があった故の出来事である。

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