「バカなッ!!まさかッ!あれは!!
アイツはッ!!」
彼の師でもあり、親友でもあり、仲間である男、ジャイロ・ツェペリ。その背に、全ての元凶である巻き毛の男…
ファニー・ヴァレンタインが近づいていく。
遠巻きにそれを見ていた青年…
ジョニィ・ジョースターは、絶叫する。
「ジャイロ!?何してるッ!?後ろだッ!!
後ろからも近づいてくるぞォォーーッ!」
しかし、その叫びが聞こえていないのか、
ジャイロは前方にいる敵へと向かっていく。
「ジャイロォォォォォォ!(何故気付かない!?)」
すると、ジョニィは自らの身体が影に隠れた事に気づく。…人影によるものだった。
その影に気がついて、振り向いた時には、もう遅かった。
「はッ!」
リボルバーによる銃撃。
銃撃により頬を撃ち抜かれたのだ。
「(何だ…?僕に…何が起こった?
う…撃たれた…!僕が…?こ、これは…)」
倒れ伏せながらも腕を向け、銃撃をしてきた相手に向かって爪弾を放つ。が、無情にもその腕をも撃ち抜かれ、狙いがずれる。
「お…おまえ……は…よくも……
…この『スタンド』は……」
防衛するために再び指を向ける。だがそれを嘲笑うように、更に二発の弾丸を無慈悲にも撃ち込まれた。止めのつもりであろう銃撃は、act3で回避する事が出来た。が、そこから先の意識は、ジョニィには残っていなかった。
ただ一つ記憶に焼き付いている事といえば、場に不釣り合いな程大きい国旗がたなびいていた事だけだった。
「(ジャ…イ…ロ……すま…ない…)」
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「永遠に供養しろ、アンジェロ!
俺の爺ちゃんも含めお前が殺した人間のな!」
仗助のスタンドが、極悪人の片桐安十郎を岩と一体化させていく。
『治す』能力によって岩と人体を癒着させてしまっているのだ。
そんな状態でもアンジェロは見苦しくあがき、そして少年を人質にした。が、仗助の逆鱗に触れる行為を……髪型を貶してしまったのが悪運のツキだった。
ギリギリ喋る事が出来るくらいだった身体が、更に粉々に砕かれて、『治さ』れてしまった。
雨が止んだ空の下で、東方仗助と空条承太郎は佇み、思案していた。
アンジェロが言っていた、『矢』とは?
その『矢』を使い、アンジェロをスタンド使いにした者は一体何者なのか?と。そんな時である。
雨によって出来上がった水溜まりに、黒みがかった赤色が紛れ込んできたのは。
「じょ、承太郎さんッ!?
これは…!まさかッ…?」
「ああ、間違いなく血だろう…だが、一体誰の…」
承太郎がその先の言葉を言う必要は無かった。
赤色が濃い方へ、濃い方へ。
視線を移していく。それだけで良かった為だ。
その先には人間が倒れていた。
今でもおびただしい流血をしながら。
星をかたどったアクセサリー、馬の蹄鉄をつけたその華奢な青年に、意識は無いようだ。代わりにあるものは、四つのぽっかりと空いた穴。その穴からは血が止めどなく流れている。
「この傷は…銃創だ!誰がこんな事を…」
「んな事よりも、早く治さねぇと!!
まだ、ほんの少し息がある!」
仗助は自らの『スタンド』でその青年の傷を治した。幸いにも、ギリギリ命の灯火が消える寸前で治すことができたらしく、呼吸も問題無くしている。
しかし、ここで仗助は一つ異変を感じた。
「(…?この人、下半身が動かないのか?
いや、その事よりも…治せない…?
この下半身を治す事が出来ない…何故だ)」
「仗助…ひとまず、お前の家に運ぶぞ。
雨は止んだとはいえ、身体が冷えると万が一があるかもしれない。」
「あ、ああ…わかったっス…」
実際は建物であれば何でも良かったのだが、 一番近くにある建物という理由で、この傷だらけだった青年を仗助の家に休ませる事となった。
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夢を見ていた。
今迄、何度見たかもわからない夢だ。
僕の兄のニコラスが、馬に乗って走っている。
そして、落馬する。
…誰かが言った。
「白いネズミに驚いて、馬が暴れたんだ」
白いネズミ…ダニー。
僕がダニーを逃したから。
ダニーが僕の元に戻ってきたから。
兄さんは…還らぬ人になった。
罪の意識からだろうか…僕は、兄さんの分も必死に頑張った。…頑張ったつもりだった。
それでも、父さんは全く褒めてくれない。
そして、ある日起こってしまった。
兄さんのブーツを借りようとして父さんがそれに反対をした。
だから、僕はついカッとなって、
「兄さんはもう死んだんだ」と喧嘩になった。
力が入りすぎて、僕は父さんを突き飛ばしてしまう。そして、それで割れたガラスが、父さんにキズを負わせてしまった。
もちろん、ワザとじゃあなかった。
そして、父さんはこう言うのだ。
『おお、神よ…
貴方はつれていく子供を間違えた…』
最初は、何を言っているのか解らなかった…
…いや、それは嘘だ。
僕は解ろうとしなかったのだ。
解りたくも無かった。
だが、この悪夢を幾度も見る。
他でも無い僕自身が理解させてくる。
運命は兄さんではなく僕を…
ジョニィを連れていくべきだったのだと。
神様は間違えたんだ。
僕は死ぬべきだったんだ。
間違った宿命は僕を囲む。
そして、最後には皆僕を見捨てる。
見に来る事すらしない。
それが、当然の事だった。
だけど最近この悪夢に、新しいヤツが増えた。
そいつの名はジャイロ。
『ジャイロ・ツェペリ』
彼は、変なヤツだ。
変な考えで、変なセンスで…
そして、変な程お人好しだ。
彼は僕に『回転』を教えてくれた。
そして、僕を認めてくれた。
そのせいで…
いや、そのおかげと言うべきか。
色々な事が解った代わりに、色々な事が分からなくなってきてしまったんだ。
僕は死ぬべきでは無かったのか?
…僕は、この世界に生きていていいのか?
僕は一体『何』なんだ?
ジャイロ、君と一緒ならば分かったのか?
僕は…
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「う…ここ…は…」
僕は、夢から目をさます。
横たわっていた場所は恐らくベッドだろう、
ともかく柔らかいものだ。
そして、傷を確かめる為に身体に触れてみる。
「(…!?キズが全く無い?
治療して貰ったとはいえ傷痕はあるはず…
…あの銃撃は現実には無かったのか?
そんなはずは無いハズだが…)」
「お、目覚めたか。」
そう思案してると、誰かが入室してきた。
その、何と言うか…
……面白い髪型をしている男だった。
この状況からすると、恐らく、彼はここの家主か何かであり、彼が僕の事をこの家で匿って、治療をしてくれたのだろう。
そして、その男は、人懐っこい笑みを浮かべて話しかけてくる。見た目こそ威圧的だが、その性格は温厚そのものらしい。
「あんた、一体どうしたんすか?
覚えてるかどうかわからないけど、血まみれでそこにぶっ倒れてたんすよ。
そんで、今迄五時間くらい寝っぱなし。」
血塗れで倒れていた…それは何故かって?
後半の台詞は聞き流していた。
僕が重症を負った理由…そうだ、それは…
「…僕は大統領に…撃たれて…
…待て、ここはどこだ!?」
今現在、僕がこんなに能天気に休んでいられてるここは一体どこなんだ?
そうだ!その事を今迄考えてはいなかったが、かなり重要な問題じゃないか!
ジャイロは…遺体はどうなっている?
「おいッ!お前!ここはどこだ!
フィラデルフィアの中の何処かか?
ヴァレンタイン大統領はどうなっているッ!」
咄嗟に男に掴みかかる。
男は今迄大人しかった僕の豹変に驚いた様だ。
「ど、どうしたんだよ!急に慌ててッ!
フィラデルフィア?大統領?
一体何言ってんだ!ここは『杜王町』だ!」
「…モリ…オウチヨウ?…聞いたこと無いが…
アメリカの何処の事だ?」
「アメリカって…ここは日本だろーが。
なに寝惚けてるんすか?」
…こいつは一体何を言っている?
僕は今、日本にいる?あの小さな島国に?
…何か…よくわからないが、嫌な予感がする。
その予感に身を任す様に、僕は窓を遮断しているカーテンを引き千切るようにして開けた。
するとそこには……
「…!?こ…れは……!?」
気が狂いそうな程の光景が広がっていた。
岩(少し違うみたいだが…)で覆われた地面、彩り鮮やかで、尚且つ堅固な様相の家、道を走り回る、車に似たようなもの…
いや、あれは車なのか?
ともかく、一言で表すならば、
『ありえない』光景だった。
「(何だッ…なんなんだ、これは!?
…まさか、これが大統領の能力?
異世界に送り込んだり、自由に出入りできる…
そんな能力だとでもいうのか!?)」
そう考えれば、辻褄が合わない事も無い。
奴が急に僕の背後に出てこれたのも、
こういった世界を経由して移動してきて…
そして僕がこんな所にいるのも、辻褄が会う。
しかし、自分で考えておいて何なのだが、頭で理解できても心では理解できそうに無い。
そしてさらに、もう一つ異変に気付く。
「(爪が回らない…!タスクが使えない!
これも大統領の仕業なのか…!?)」
恐ろしい事に、スタンド能力が使えないのだ。
能力が使えないとなると、途端に心細くなる。
だが、こんな時こそ落ち着かねば…
ジャイロの様に、タフなセリフを吐くんだ。
そう、見かけだけでも、彼の様にタフに…
「い、いや…すまない、錯乱してた。
ホームシックにもかかっててね…
その分取り乱しちまった。…悪かったな。」
「い、いや…それなら、いいんすけど…」
咄嗟にそう取り繕う。
あまりにも馬鹿馬鹿しくふざけた言い分だが、一応は納得してくれたようだ。
「…そうだ君、僕を保護してくれてたんだろ?
そういえばまだ礼も言ってなかったな…
えっと、君の名は…?」
話題を転換させる為、そして情報をほんの少しでも集める為に質問をする。
「あ、ああ。俺は東方仗助。
えっと、アンタは?」
「僕かい?僕は……
……僕の名前はジャイロ。
『ジャイロ・ツェペリ』だ。」
嘘を吐いた。
…本当はジョニィ・ジョースターなのにな。
相手が信用できなかった訳ではない。
それでも、嘘の名前を言ったのは…
『願掛け』の様なものだったのかもしれない。
この異世界で僕は、否応無しに生きていく事になるのだろう。
僕の中の直感と経験がそう言っている。
僕の師であり、友でもある彼の名を借りて、
ほんの少しでも気休めが欲しかったのだ。
「ジャイロさん…何があったんです?
あんな…言っちゃ悪いが、死にかけの状態で…あんな所にぶっ倒れているなんて…
ぶっちゃけ、普通じゃあないですよ。」
「敬語なんて使わなくていいさ。
……すまないが、その事はショックのせいか、
全くと言っていいほど覚えていないんだ。
ご期待に添えなくて悪いな。」
また、嘘を吐いた。
しかし、これにも理由はある。
さっきの反応からして、大統領だのなんだの言っても信じはしないだろう。
それなら、しらばっくれた方が楽だ。
この世界の中で知らない事も、
『ショックで記憶障害なんだ』
とでもしておけば、自然に教えてもらえる。
それにもしも僕が事実を言い、相手がそれを信じたら、僕に対して警戒が強くなるだろう。
…それは少し不都合だ。
なぜなら……
「(例えこれが大統領の仕業でも、そうでなくとも…僕は元の世界に戻ってみせる。)」
「(そう…絶対に…どんな手を使おうと…
誰を利用しようと…!)」
殺人だろうと厭わない強い意思…
旅のガンマン、リンゴォが言っていた、
『漆黒の意思』とは、この事だろう。
今、初めて自覚する事が出来た。
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ジョニィ・ジョースター
---身元が分からないものの、
金銭は持っていたので、
今現在はホテルに泊まっている。
東方仗助
---たまにホテルの方に顔を出して、
ジョニィの様子を見ているらしい。
仗助曰く、友好関係は上々のようだ。
空条承太郎
---杜王町に滞在する事に。
片手間にだが、ジョニィの事を
調べているようだ。
⇒to be contenued…