ジョニィ・ジョースター、杜王町で撃つ   作:澱粉麺

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ジョニィ、虹村兄弟と出会うの巻

 

「あれ、ジャイロさんじゃねえスか」

 

佇んでいた僕に僕が名乗った偽名で話しかけて来たのは、 命の恩人である男、仗助だった。

相も変わらずに人の良い笑みを浮かべて、彼はこちらに近づいてくる。

 

 

「うっす。何やってんすか?こんな所で」

 

 

仗助がこんな所と言っているのも無理は無い。

僕は今、ボロボロの空き家の前に居るのだ。

 

 

「いやね…いつまでもホテルにいるもんじゃああっという間にカネが尽きちまうと思ってね。

どこか安い空き家でもないか探していたんだ」

 

 

今、僕は承太郎と同じく杜王グランドホテルで寝食を行っている。

 

こうして僕が暮らしていられる理由は、何故かはわからないが、かなりの額のこの世界での金銭を所持していた為だ。

 

だが、暮らしているだけでも思いのほか出費がかさんでしまう。これでは近い将来、使い果たしてしまうだろう。

 

そうなると、下半身不随の僕は働く事すらも出来ないので、住む場所が無くなってしまう。最悪、そのまま餓死してしまうだろう。

 

だから、多少不便でも住まいを探す必要があった。だからここにいるのだ。(勿論、電話やチラシも考えたが、そういうので紹介される物件というのは多分に漏れず高価だ。それじゃあ意味がない。)

 

 

「で、だ。仗助。さっきから気になっていたんだが…ここの物件、荒れ具合からして、ずっと空き家なんだろう?」

 

「ん…ああ。住んでる人は見た事ないな。

こう荒れてちゃあ売れる訳もねーし」

 

「僕もさっきまでそう思ってたんだが…

なあ、誰かが引っ越して来たんじゃあないか?

さっき、チラリとだが人影が見えたんだ」

 

仗助は眉を顰めて首を捻り、うーんと唸る。

 

 

「いや…そんな筈は無いなぁ…俺ん家、あそこだろ?引っ越したってならすぐわかるぜ。不動産屋が浮浪者対策に見回りもしてるし…」

 

 

と、彼には珍しく断定して否定する。

そう言われて改めて家を見ると、扉には南京錠もおりているし、何よりもその荒れようから、住めるような場所では無い。

 

…僕の気のせいだったのだろうか?

 

まだ納得がいっていない僕は、怪訝に思い、車椅子から身を乗り出して扉の間に顔を入れる。

 

その瞬間だった。

 

ガァンという衝突音と共に、その鉄扉が勢い良く閉まる。扉の間から頭を戻す隙も無かった僕は、その勢いのまま首を挟まれてしまう!

 

「な…!……ガぁッ……!?」

 

「…!?てめえッ!何してんだ!」

 

 

仗助の声が遠雷の様に遠くに聞こえる。

酸素が届かず、耳が上手く働いてないらしい。

 

仗助と、僕を圧迫している男–ガラの悪く正に不良って感じの男だ–が睨みあっている間、僕は意外にも冷静に自分自身の状態を観察していた。

 

…だが、その観察も僅かな間だった。

 

次の瞬間には矢が僕の方へ飛来。

そして、激痛と共に僕の首へとブチ刺さった。

 

 

「(!?い…痛いッ…!何だッ?これは?

矢?矢が刺さっている?何故いきなりこんな…

……クソッ…意識が……)」

 

「(死に…たくない……)」

 

 

そう思いながらも僕の意識は成す術も無く、

ゆっくりと、確実に。黒く包まれていった。

 

 

 

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「ハッ!」

 

 

次に僕が意識を取り戻したのは、見知らぬ屋根の下だった。薄暗く、ズタボロの屋根の下だ。

 

そして横たわっている僕の横に、安堵した表情で仗助が佇んでいた。怪我をしている。

 

そして仗助の後ろに僕を扉で挟んだ男がいた。

(後から聞くと、そいつは億泰というらしい)

 

 

首に触れると、矢で射抜かれた筈の傷は無い。

 

 

…どうやら僕はまた彼に命を救われたようだ。

 

 

仗助は僕の無事を確かめた後、直ぐまた険しい表情となる。

 

 

「悪いが、まだ安心するのは早い…

あん時のヤバイ状態はまだ続いている…

俺たちはまだ『攻撃』されてるンすよ」

 

「『攻撃』だと…!?」

 

 

そう聞いた途端、身体中にアドレナリンが回り、血が昇る様な気がする。

 

ほぼ反射的に、今やタスクを使えない両手を突き出し、構える。

その一連を見て、仗助は思う所があったのだろうか、顔を顰める。

 

「(やっぱ…どこか裏がありそうだ。こいつ…『ジャイロ・ツェペリ』。普通攻撃されているなんて言われても理解出来ねぇか、もしくはパニックなるのに。こいつはまるで『慣れている』かのように警戒をしていた。こんな事が、何度もあったみてえに…)」

 

 

何か考えている様だが、僕には知る由も無い。

 

と、そんな時だ。どこかからか音が聞こえた。思い当たる節があったらしい仗助はおもむろにライターを取り出し、薄暗い部屋を照らす。

 

するとそこには、大量の小人がいた。

そして、その小人は皆、武装をしている!

 

 

「(! これは、まさかッ…!)」

 

 

僕が思案している間にも、小人は攻撃を行い、仗助の身体にとても小さな、しかし手深い傷を与えていく。

 

彼のスタンド、筋骨隆々の男性の様な姿の『クレイジー・ダイヤモンド』も(実は、僕が全体像を見たのはこれが初めてだった)反撃するが、ダメージを受けた様子は無い。

 

すると、小人達…否、呼び方を変えるべきだ。

その『小さな軍人』達は、編隊を組み、僕らを完全に包囲する。

 

そして、どこかから男の声が聞こえてくる。

 

「億泰のやつが余計な事をして…そのジャイロとか言う奴を助けたから…ほんの少し!作戦が狂った!

しかし!この館からは絶対に出さん!」

 

 

その編隊の本体がそう言い放つ。

そして…

 

 

 

「狙えェェ〜〜!筒!」

 

 

 

…一斉射撃を行ってくる!

 

仗助は僕の事をスタンドで抱え、窓に向かう。

 

 

「クソッ!ここは二階だが…

窓をぶち破って飛び降りるぜ!」

 

 

だが僕は、先に空中に光る何かが飛んでいる事を目の端で捉えていた。

 

 

「いや!多分だが…それは無理だッ!」

 

 

その発言に、仗助の窓へと向かう足が止まる。

そして、眼を凝らすと…

 

 

「…あ、甘かったか。

グレートだぜ…ヘリコプターまでいんのか?

こりゃあ『アパッチ』じゃあねーか…」

 

 

「!! 横を見ろ、仗助ッ!

戦車が襲ってきているぞッ!」

 

 

突き飛ばそうとするが、この身体は動かない。

本当に、なんと不便な身体だろう。

 

仗助は驚きながらも戦車に向かい、ヘリからのミサイルを全て叩き落とす。そして、こう言った。

 

 

「…あんた、見えるのか…?あれが…『スタンド』が…!」

 

「ほう…そいつ…

スタンドを使える様になったのか…!」

 

 

後半のセリフを言ったのは仗助ではない。軍隊の後方、物陰から出てきた男が発した言葉だ。その尊大な態度、軍隊に襲われていない事から彼がこのスタンドの本体である事は明白だ。

 

 

「そこにいたんスかー?勇気あるじゃんよぉ〜

本体をさらすとはよォー!」

 

 

そう言って、引き抜いた釘を投げつける。が、釘は本体に当たるより先に射撃で粉々になる。

相手は嘲る様な視線でそれを見つめてから、

さらに続けて話しかけてくる。

 

 

「そこの貴様!スタンドを出してみろッ!能力によっては貴様を生かしておいてやるッ!」

 

 

そう言って、待機する。

スタンド?スタンドと言ったのか?

それは僕の知ってるあの『スタンド』なのか?

 

動かない僕をどう思ったかは分からない。ヤツは舌打ちを一度すると、ナイフを持った軍人を差し向けてきたのだ!

 

その軍人はナイフで僕の首を突き刺してくる!

(大きさこそ小さいが鋭さは本物だ!)

 

 

痛い!恐い!止めてくれッ!

 

 

「うおおおおおおおッ!!」

 

 

考えてはいなかった。

ただ本能的に、叫び、そして…

 

 

「爪が…回っている…!」

 

「ほほう…それが貴様のスタンドか…」

 

 

…本能的に、スタンドを発動していた。

それはこの世界に来てから今まで、発動する事が無かった『タスク』だった。

 

最早、迷う必要は無い!タスクが右手を『軍人』の本体へと向けて…

…発射する!

 

「なるほど…爪を回転、射出する能力か…」

 

が、悠然と立ち尽くしながら、彼のスタンドは僕の爪弾を対空射撃にて粉微塵にしてしまう。

 

 

「(このまま殺してしまってもいいが…何となくだが…ヤツの『爪』。

まだ伸びしろがある、そんな気がするな…少し、生かしておいてみるか…)」

 

 

 

何を思案していたかは分からないが、彼は僕の居る方から軍隊を撤退させる。本体の彼は仗助の方へ向いた。それと同時に規則正しく軍人もそちらを向く。戦車も、アパッチも、歩兵も、全てがだ。

 

そして、仗助のみに武器を構える!

 

 

「全隊ィィ〜〜!撃…て…!?」

 

 

 

だが、弾丸が撃ち出される事は無かった。

背から胸にかけて、穴が空いていたからだ。

 

…先程左手で撃っておいた『穴』が移動。そして、その穴から出現した僕の右手が、彼を撃ち貫いていた。

 

遠隔攻撃を銃撃で無効化していたが、やはり見えない所からの一撃はどうしようも無かった様だ。

 

 

「(成る程…act3も使えるのか…

…完全に戻ったってところかな…)」

 

 

確かめる様に手を握り、開く。

これで目の前の敵は排除できた。

 

 

 

 

 

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仗助は『軍人』のスタンド本体(聞いた話によると、虹村形兆と言うらしい)に駆け寄り、僕が作った銃創を治す。

 

心臓に当てたつもりだったが、少しズレていたという。

その、形兆は生きていた。

 

何とか一命を取り留めさせた後に、仗助はこちらを睨み、そして、こう言い放つ。

 

 

「アンタ…殺そうとしたのか!?コイツを!」

 

「ああ、殺そうとした。

そうじゃあなきゃ僕らが殺されていたからな」

 

 

正直、仗助がわざわざ治した事も理解し難い。

すぐに立ち上がり、襲いかかってくる可能性だってあるじゃあないか。

そうしたら、act3の事を知った形兆は、もう僕達には手に負えない敵となる。

 

今からでも止めを刺した方がいいのでは?

 

そういった思考を読んだかの様に、仗助は更に強くこちらを睨みつける。だがどれにせよ、あの状況ではこうでもしないと僕達のどちらかが死んでいたかもしれない。

 

そういった事実を鑑みてか仗助が僕をそれ以上批難する事は無かった。

 

 

「……なあ、僕がスタンドを使える様になった元凶の『矢』は何処に行ったんだ?」

 

 

重苦しい雰囲気を変える為に、咄嗟に別の話題を話す。

 

さっき聞いた話によると、僕がタスクを再び使えるようになったのは僕を貫いた、あの『矢』が原因らしい。

 

そして、虹村形兆はそれを使ってこれまでにも幾人かを貫いてきたようだ。当然、それで死者も出ているはず。

 

 

「ん…ああ、そうだな。

アレも確保しなくちゃあいけねぇか」

 

 

そういって、返事も待たずそそくさとその場から離れていった。

 

 

無理もない。図体がでかく、強力な能力を持っているとはいえまだ高校生だ。戦いは相当に心の負担になったのだろう。

 

 

そう思いながら、這って仗助に追いすがる。

 

 

 

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二階には、驚愕に満ちた出来事しか無かった。

 

化け物に成り果てた虹村兄弟の父。

そして彼らの目的。

 

『DIO』(あだ名が被るなんて珍しい事だ)

 

そして本題である、『矢』の行方。

 

 

今、僕達の前には弟を庇った末に。

電線の上で感電死している形兆がいる。黒焦げになっており、クレイジー・Dでも最早どうする事も出来ないだろう。

 

そして、僕はここで初めて、大きな『流れ』に巻き込まれてしまった事に気づく事となった。

この町の『異常性』という『流れ』に。

 

 

「(『レッド・ホット・チリペッパー』だと?

一体、何者なんだ?『矢』は何処へ?

……僕はどうすればいいんだ?)」

 

 

自分自身に問いを投げかける。

当然ながら、それを答える者はいない。

 

そして、いつしか思案する事も止めた。

誰かが言った言葉だ。

 

「『流れ』とは比喩だが。

逆らわなければ、必ず目標へと辿り着ける。」

 

 

ならば、僕はこの異常なこの街の流れに、

身を任せる。ただ、それだけだ。

最早、それしか無い。

 

 

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ジョニィ・ジョースター

 

---結局住居を探すのは諦め、ホテルの質を落として暮らす事にした。

 

 

 

東方仗助

 

---ジョニィに対し、彼は何かを隠しているのでは無いかと警戒心を抱く。

 

 

 

虹村億泰

 

---仗助らと和解。

何事も無かったかのように味方になった。

 

 

⇒to be contenued…

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