バディファイトLoveLive!サンシャイン × 異世界はスマートフォンとともに。if ~異世界相棒闘技~   作:ヤギリ

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ベルウィンド王国への襲撃

500年の時を経て復活した魔族の王「ギルヴァイン」と三導魔達は自分達の拠点の近くにある小国に進行して来ていた。

 

 

ギルヴァイン達は小国の門の前に辿り着く。

 

 

門番「お前達、何者だ。」

 

 

見るからに人間離れした異様な見た目をした三導魔に門番の男4人は身構える。 だが、その三導魔の背後にいる人物を見て門番4人は驚く。

 

 

門番「か、カリディエム王子………!」

 

門番2「カリム様!」

 

 

ギルヴァインは復活した際、偶然祭壇を見つけたカリディエム王子の身体を乗っ取っていた。 門番の4人はそんな事など知るよしもない。

 

 

カリム(ギルヴァイン)『門を守る番人が4人か。 カンギ』

 

カンギ『承知しました。』

 

 

カリムの身体を乗っ取ったギルヴァインの指示を受けて、三導魔の中でも図体のでかい大男のカンギは門番に突然殴りかかった。 4人の門番達は抵抗する間もなく倒されてしまった。

 

カンギはそのまま鉄の大門を軽々と開け放った。

 

勢いよく大門を開けて入国して来た異様な見た目をした3人組に、街を歩いていた人々は立ち止まって注目する。 そんな人々の様子など関係なく、カンギは倒した門番の1人を放り投げる。 目を見開き、首が180度以上回って放り投げられた門番と、その門番を前に異様な姿をしている3人を見て、注目していた人々の1人が大きな悲鳴を上る。それを皮切りに周りの人々が次々と悲鳴を上げて一目散に逃げて行く。

 

そしてカリム(ギルヴァイン)は、三導魔の3人に指示を出す。

 

 

カリム『シャルバート、カンギ、ガレーネ、私は城に進行する。 お前達は好きに暴れてかまわん。』

 

 

三導魔達は『はい。』と返事をして散開した。 そしてカリム(ギルヴァイン)は城を目指して歩き出した。

 

 

ーーーーーー

 

 

たった今城下で起きている事は、いち早く、ベルウィンド王国の国王であり、カリムの父である「シルディム」の耳にも届いていた。

 

 

シルディム「族が攻めて来ただと?」

 

「はい。どうやら門を守っていた者達が全員、こ、殺されてしまったみたいで………街はすでにパニックに陥っています。」

 

シルディム「そうか………騎士達はどうしてる?」

 

「騎士達は現在怪しい三人組………と言うより、3人組の1人と交戦中との事です。」

 

シルディム「3人組の1人? 残り2人とは交戦してないのか?」

 

「それが………、残りの2人は魔法のようなもので壁を張っていて、交戦中の大男だけが戦っている模様です。」

 

シルディム「我が国の騎士団の相手は、たった1人で充分………と言う事か………」

 

 

家臣の「コルシア」の報告に、シルディム王は頭を抱える。 そんな王を案じるように、王妃「カユア」と娘「セレン」がシルディムに駆け寄る。 その時、大きな音とともに、城全体に振動が走る。

 

 

セレン「きゃぁぁ!」

 

カユア「あ、あなた………!」

 

シルディム「大丈夫、大丈夫だ!」

 

 

シルディムは怯える王妃と娘を抱きしめてなだめる。 すると1人の兵士が「た、大変です!」慌てた様子で、王間に駆け込んで来た。 その兵士に大臣のコルシアが対応する。

 

 

コルシア「何事だ!」

 

兵士「城内に族が進入しました!」

 

コルシア「ついに城にまで来たか………! 街で暴れていた3人か?」

 

兵士「いえ、街で暴れている3人とは違います………」

 

コルシア「城に進入したのは何人だ?」

 

兵士「た、たった1人です。街で暴れているのとは別に………」

 

コルシア「族は4人だったか………仕方あるまい………」

 

兵士「あ、あの………それと………」

 

 

兵士はコルシアに近づき、耳打ちをする。

 

 

兵士「陛下には申し上げにくい事がありまして………」

 

コルシア「ん?なんだ?」

 

 

兵士の耳打ちを聞いてコルシアは驚き、ため息をつく。そしてコルシアは何かを覚悟したように面構えを変える。あまりにも威厳に満ちた表情に、見ていた兵士は少したじろぐ。

 

 

コルシア「陛下、王妃様、姫様、どうか、この城からご避難ください。」

 

シルディム「コルシア………」

 

コルシア「ご心配なさるな王よ、私とてただの家臣ではありません。王を守る盾として、そして剣として、この腕を振るわせていただきたい。」

 

 

覚悟を決めたコルシアの表情に、シルディムは悲しみを込めた、だが、コルシアの意を汲むように、玉座から立ち上がり、王としての命令を降す。

 

 

シルディム「コルシアよ………、我が右腕、我が友よ。 危なくなったら逃げても構わん………、とにかく生きろ。」

 

 

シルディムの命令にコルシアは頷き、数人の兵士に陛下家族の護衛を命じる。 そしてコルシアは族を迎え撃つ為の広間へと降りた。

 

 

ーーーーーー

 

 

カリム(ギルヴァイン)は、城に進入し、立ち塞がる兵士や騎士達を次々に倒し、城内を進む。 乗っ取ったカリムの記憶を辿りながら、ギルヴァインは初めて入る城の中でも迷う事無く進む。 っと、ギルヴァインは突然立ち止まる。

 

 

カリム『これは………』

 

 

カリム(ギルヴァイン)が目にしたのは、1枚の肖像画だった。 ギルヴァインはこの肖像画に描かれている人物を知っている。 かつて、500年前に自身と戦い、そして自身を封印した唯一の男………

 

 

カリム『エディジル………、私は戻って来たぞ。』

 

 

ギルヴァインは長く封印されていた、その時からギルヴァインの時間は止まっている。500年経とうと、ギルヴァインはまだ若いままだ。

 

 

カリム『エディジル、できる事なら、また貴様と戦ってみたいものだ。』

 

 

カリムはエディジルの肖像画に独り言のように語る。 そしてしばらく肖像画を眺めてから、さらに城の中を進み出した。

 

 

カリムは扉を開けて広間に辿り着く。だが、目の前には鎧を着た1人の男が立っていた。 その威風堂々とした姿に、ギルヴァインは強い覇気を感じるが、動じる事はない

 

コルシアは広間の扉を開けて入ってきた人物に驚く。が、その驚きはすぐに無くなる。 先程、兵士に耳打ちされた事を事実なのだと確信したからだ。

 

 

コルシア「カリム王子………なぜ?」

 

カリム『カリム? ああ、この器の名か。 安心せよ、此度の襲撃はこの者の意思ではない。 訳あって、今は私がこの身体を使っている。』

 

コルシア「ならば、貴様は何者なのだ?」

 

カリム『私の名はギルヴァイン。』

 

コルシア「………俺はコルシア。 なぜカリム様の身体を乗っ取っている、この国を襲う目的は?」

 

カリム『この男の身体を乗っ取ったのは、人間の身体が動きやすいからだ。 この国を襲ったのは、この国を私の拠点とする為だ。』

 

コルシア「つまり、この国までも乗っ取ろうと言う事か………」

 

 

カリム(ギルヴァイン)は何食わぬ顔で淡々と質問された事に答える。さっきまでコルシアが一方的に質問していたが、ついにギルヴァインから話しかける。

 

 

カリム『それよりも、貴様は私と会話する為にだけにここに居るのか? ならば時間の無駄だ。 来い。』

 

コルシア「………………」

 

 

カリム(ギルヴァイン)はコルシアにかかって来るように促す。だがコルシアは戦うのを躊躇っていた。それも当然だ、相手は襲撃者であるとはいえ、相手は身体を乗っ取られているカリム王子だ。 下手に攻撃しても傷つくのはカリム王子の身体なのだ。

 

 

カリム『そうか、この身体はお前の使える王子の身体だったな。 だが案ずるな。 貴様の剣如きでこの身体どころか、私の鎧を傷つける事さえできぬ。 気にせずかかって来るとよい。』

 

 

カリムは今、全身に黒い鎧を纏っている。 ギルヴァインはこの鎧の強度にかなりの自信を持っている。

 

 

カリム『なんなら、貴様に有利な条件を出してやろう。 私のこの鎧に、ヒビの1つでも付けられれば、カリム王子の身体を開放しよう。』

 

コルシア「………………」

 

 

王の家臣になる前、コルシアは騎士団の団長を務めていた。そして数々の腕の立つ武人達と何度も手合わせしてきた。だからこそ分かる。ギルヴァインの言ってる事は嘘でもハッタリでもない事が………。 そして感じる、ギルヴァインの強さを………

 

 

コルシア「くっ………舐めおって………!」

 

カリム『さぁ、来い。』

 

 

カリムは何も構えず、鎧に覆われた身体を曝け出す。 コルシアは腰に挿した剣を抜く。

 

コルシアは走り出し、剣を上から下にかけて振り下ろしカリムの鎧を斬る。 ガィィィィイン! と鋼鉄同士がぶつかる音と響き火花が散る。 コルシアは鎧を見るが、ヒビどころか傷一つ付いていない。

 

 

コルシア「バカな………!」

 

カリム『どうした? もっと攻めよ。』

 

 

カリム(ギルヴァイン)の余裕の態度に、コルシアは少し、焦りを覚える。 それと同時に、過去の騎士としての血が昂る。

 

 

コルシア「うおぉぉぉお!!」

 

 

コルシアは再びカリム(ギルヴァイン)に斬りかかる。 横薙ぎ、斜め上に斬り上げ、斜め下に斬り下ろし、そして素早くカリムの背後に周り、同じ動作を繰り返し、また正面に周って鎧の腹部に刃をぶつける。 だがやはり鎧は硬く、思い切り刃を当てた衝撃でコルシアの手はビリビリと痺れる。それに耐え、今度はカリムの肩を斬りつけるが、一向に、カリムの鎧に傷すらつかない。 そして一瞬、コルシアの動きが止まる。

 

 

カリム『………終わりか?』

 

 

カリム(ギルヴァイン)は真顔だが、その目には人のものとは違う威圧感が感じられる。その威圧的な目力に圧倒されるようにコルシアは大きく後ろに飛び退いて距離をとる。

 

 

カリム『次は私から行くぞ。』

 

 

カリムは1歩を踏み出し、2歩目を踏み出した瞬間、一瞬でコルシアの目の前まで移動し、そしてコルシアにボディブローを入れる。

 

ボディブローをを受けたコルシアは少し宙に浮き、くの字に身体が曲がる。そして腹部の鎧は呆気なく砕かれる。さらに追い討ちをかけるようにカリム(ギルヴァイン)は、砕けた鎧から露わになっている腹部に蹴りを入れて、コルシアを蹴り飛ばした。

 

蹴り飛ばされたコルシアは壁に叩きつけられ、壁にヒビが入る。コルシアは「ガハッ………!」と吐血し、そのまま壁を背に座り込む。 

 

 

コルシア「うっ………ぐぅぅ、なんて力だ………」

 

カリム『諦めよ。お前では私には勝てん。』

 

 

コルシアは、カリムの「諦めよ。」と言う言葉を素直に受け入れようと思っていた。騎士団の長だった頃より少し老いたとは言え、騎士団団長から大臣に転職して、まだ3年しか経っていない。それなのに、たった二撃で自分は敗北寸前のダメージを受けている。 しかも自分の剣はギルヴァインの鎧に傷一つつける事はできない。 はっきり言って勝ち目が無い………!

 

 

コルシア(だが、まだ終わる訳にはいかん………、どうせ諦めるならば、元ベルウィンド騎士団の団長として、王の右に立つ大臣として、誇りを持って、散るのだ!!!!!)

 

 

コルシアは腹部の痛みを堪えて立ち上がる。そして両手で剣を持ち、剣先をカリム(ギルヴァイン)に向けて構える。 そして何かを詠唱する。

 

 

コルシア(申し訳ございません。カリム王子………、できる事ならば、あなたを無傷の状態で………、いや、命あるままの状態でシルディム陛下の下に返してあげたかった………! カリム王子、あなたの文句は全て、あの世で私が聞きましょう。)

 

 

コルシアの全身と構えた剣に白いオーラが纏われる。そして続けざまに、剣のみに強く光るように緑色のオーラが纏われる。

 

 

コルシア「"我が魔力を纏いし覚悟の剣よ、眼前の脅威に勝利の一撃を放て! ベルウィンド流魔法剣技【ソードクラッシュ・ブースト】"」

 

 

コルシアは強く光る緑の剣を前に突き出し、そして尋常ではない速さでカリムに突撃する。 その突撃は緑の光線となってギルヴァインに直撃する。 その衝撃波で城が揺れ、周りの壁がひび割れ、2人の立つ床は暴圧に削られる。 そして今まで攻撃を受けても微動だにしなかったカリム(ギルヴァイン)は、数十センチだが引きずられるように、押し動かされた。

 

やがてコルシアと魔力を纏う剣に力が無くなり、動きは止まった。 数秒の沈黙が流れた後で、突き立てた剣は剣先から砕け、腕から肩までの鎧も同時に砕けた。

 

光熱量の魔力によりカリム(ギルヴァイン)の鎧は焦げ付いてはいたものの、ついにカリムの鎧に傷がつくことはなかった。

 

 

コルシア「ぐっ………無念だ………」

 

 

コルシアは弱々しい声でそう呟き、前のめりに、カリムにもたれかかるように気を失った。

 

 

カリム『コルシアとやら、貴殿の覚悟と誇り、たしかに伝わったぞ。』

 

 

コルシアの最後の一撃に突き動かされたカリム(ギルヴァイン)は、ただ静かに、コルシアの栄誉を称えた。 そしてカリムは、気を失ってもたれかかるコルシアを持ち上げて、ただ一言を発する。

 

 

カリム『だが、貴殿の最後の一撃、誇り纏いしその剣が、私に届く事はなかったな。』

 

 

その一言を最後に、カリム(ギルヴァイン)は鎧纏う自身の指先をコルシアの腹部に突き刺し、とどめを刺した。

 

そして数秒後、三導魔が広間に集まり、カリム(ギルヴァイン)にひざまずく。

 

 

シャルバート『民衆の制圧、完了しました。』

 

カリム『うむ。私の方も今、ケリがついた。』

 

 

カリムは広間の先にある玉座の間に移動し、そして玉座に腰掛けた。




今回も感想を是非‼︎

投稿遅れちゃってすみません。他の作品を集中して書いていたので………。 今回は戦闘シーンを書いてみましたが、どうでしょうか?自分的には迫力にかける出来だったと思っています。

戦闘シーンってやっぱり難しいですね。

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