わっ!驚いたかな?鶴丸国永(女性)参上!   作:玖渚真白

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新たな仲間?(続)

昨日はおしゃべりまでできなかったから、お話できたら嬉しいなーと、へらっと笑う見習いに、さてできるもんかなと心の中でつぶやく。

いろいろな付喪神となった彼らを迎えてきたからこそ、そんなに簡単なことではないだろうと清光は考えていた。

そうとは知らず、安定は見習いに「女の子なら見習いと一番に仲良くなるんじゃない?」なんて言ってる。

見習い本人もあまりブラック本丸等から来た、訳あり刀剣と会う機会がないので気楽に考えていそうだ。

 

(なんもなければいいけどねー…)

 

これがフラグってやつか、なんて思って一つため息をついた。

その鶴丸国永がいるという部屋に近づいたところで、長身の男性の姿が見えた。

 

「あれ、燭台切さん?おはよー」

「燭台切も鶴丸に会いに来たの?」

 

黒いジャージ姿の彼が、部屋から少し離れた場所にいたが、少し様子がおかしい気がした。

 

「やぁ、おはよう。朝起きて知らない場所じゃ心細いと思って来たんだけどね」

「……やっぱ、なんかありそうなの?」

 

清光がそっと声をかけると、どうだろうと困った笑みを浮かべて首を傾げられた。

 

「やっぱり困惑…は、してたのかな。こっちの鶴さんより繊細そうなのは確かだね」

「まぁ、あの鶴丸は別格っしょー」

「女の子で、あの鶴丸と一緒だったら、いやだなー」

 

散々な言われようである。

噂のブラック本丸から来た黒い姿の鶴丸国永は、普通の鶴丸よりクールなようで腹黒い。

あんまりいたずらは行わないが、話をややこしくする天才である。

最近はおとなしくなり、刀剣同士の乱闘も減ったが、最初のころを知っている清光や光忠は少し遠い目をした。

見習いや安定も出合い頭でいろいろあったことを思いだし、苦虫を噛み潰したように顔をゆがめた。

 

そんな時だった、見習いが光忠の向こうを見つめて、カチリと固まった。

 

「………………」(見習い)

「………………」(鶴丸)

 

そして、じりっと鶴丸に近づく見習い。その目は捕獲しようとしている肉食獣だ。

白い長髪の鶴丸は開けた襖からこちらを様子見しているように見える。

そしておびえている。確実に、この、見習いに!

 

「なにしてんの、みーなーらーいー」

「いたっ!」

 

べしっと見習いの頭をはたいてジト目で見習いを諫めた清光。

 

「ちょっ、なにすんのー?!」

「こっちのセリフー。ほら、向こうがおびえてるじゃん」

 

まったくとため息をつくと、興味津々の安定が後ろからひょっこりとのぞき込んできた。

 

「わぁ、本当に女の子なんだね!」

「ちょっとー、安定も驚かさないでよー?」

「そんなことしないって。せっかくなんだし仲良くしたいじゃん」

「…っていっても鶴丸は固まりっぱなしなんだけど」

 

こっちを見たまま身動きしない鶴丸に困ったように声をかける。

 

「あ、ごめんねー、自己紹介したいんだけど、声かけて大丈夫?」

「私も私も!うわー、めっちゃ美少女!仲良くしたいっなでなでしたいー!」

「はい、おちつけー」

 

今度は後頭部ではなく、おでこをはたいてやる。

そんな様子に、まぁまぁと光忠が仲裁に入りつつ鶴丸へ優し気に笑顔を向けた。

 

「ここの本丸のメンバーだよ、もう出てこれるかな?」

「…………」

 

おいでおいでと手で招く光忠に、きょろきょろと周囲を確認し、無表情のようなこわばった表情の彼女がこちらに近づいてきた。

警戒しているのか、光忠の後ろにひっそり隠れるように。

 

「あれ、鶴さん?」

「ほらー、見習いが怖がらせるからぁ」

「えっ!私なの?!ご、ごめんね、鶴丸ちゃん、怖くないよー、おいでおいでっ」

「それ、逆効果じゃない?」

 

見習いが大げさにハートを乱舞させながらおいでーといっても、鶴丸は俯いて目も合わない。

ぎゅっと胸に抱きしめた刀を握りしめるのみだ。

 

「鶴さん、だいじょうぶ?」

 

そっと伸ばされた光忠の手が見えたのだろう。

ふと視線をあげた、瞳。

とろりとしたはちみつのような、透き通った琥珀の金色。

そこに映るのは”怯え”だった。

 

「………っひ…」

 

小さく悲鳴を上げた彼女は、あっという間に縁側を降り庭へ走り出してしまった。

 

「え!待って鶴さん!」

「ど、どうしようっ」

「とにかく追いかけなくちゃ見失う!!」

「いこう!!」

 

慌てて追いかけるも、彼女は早かった。

あっという間に桜の木々に隠れたと思ったら見えなくなってしまったのだ。

 

「ちょ、手分けして探すよ!」

 

清光が声をかけて4人は走り出す。

 

何が怖かったのだろう…見つけたらどうすれば…

思うことはそれぞれ異なるが、一致していることはひとつ。

「心配」だった。安心させてあげたい、ただそれだけだ。

 

あの金色の瞳が、頭から離れない。

 

探せばすぐだった。

彼女は枝垂桜に隠れてしまうように、縮こまって刀を抱きしめていた。

この本丸の庭で一番の大きさである大木の根元に座り込んでいた。

 

「鶴さん!」

「見つけた、ちょっと大丈夫?」

 

光忠と同時で清光も声をかける。

先ほどは合わなかった視線が合った気がした。

 

はっとして、探しているであろう残りの2人を大声で呼ぶことにする。

そんなに時間はたっていないので、付近にいるだろうと考えて。

 

「見習いー、安定ぁ、こっちにいた!」

 

その考えは正しかったようだ。

少し離れたところから、たたっと走ってくる安定と、ぱたぱたとした少女が両腕をこちらに向けて走ってきた。

 

「ほんと?!よかったっ」

「つるまるちゃーーーん!よかったよぉ」

 

鶴丸のところにたどり着いて、視線でどうするかアイコンタクトする。

先ほどは光忠が声をかけたが怯えがはしったことは見て取れたので、同性として見習いがおずおずと鶴丸に近づいで声をかけた。

 

「えっと、近づいても大丈夫かな?」

 

普段キャンキャンうるさい見習いにしては、静かな声だ。

なんだろう、デジャブを感じる。

そう、五虎退の小虎にそうっと近づいていく、あれだ。

いまだに触らせてもらえない小虎にいつもやってる、こわくないよーの声色と一緒なのだ。

 

(鶴丸のこと、子猫かなにかに見えてるんじゃないの、これ。)

 

そんなこと思いながら様子をみていると、小さく大丈夫という声が聞こえた。

あぁ、これは確かに子猫の鳴き声みたいだ。

 

「にげて、ごめんなさい…わたし…こ、、こわくて」

 

懸命に思いを伝えようとしてくれる鶴丸に、見習いは普段とは異なり視線を合わせるようにしゃがみこんだ。

 

「…うん、そうだよね。いきなりはびっくりさせちゃったよね、ごめんね」

 

そういって、鶴丸の頭を撫でる。

髪をすき、落ち着かせるように。

 

 

気持ちが伝わったのか、鶴丸は先ほどの怯えを小さくさせている。

大丈夫そうだ。よかった。

この場にいるみんながそう感じた。

 

「ゎ、わたしは…鶴丸、国永…です」

 

そっと、ちいさく名乗られた名前に、ほっとしながら見習いが笑った。

 

「ふふっ、よろしくね。わたしはここの本丸で審神者の見習いしているの」

 

なごんでいる見習いを見ながら、清光は横に並んでいる相方を横目で見ると、向こうもこちらを見てきた。

 

(とりあえず、一段落?)

(だね。)

 

笑みを浮かべながら、自己紹介の続きは屋敷に戻ってからだよーと光忠が発言して、5人で満開の桜の下を歩くのだった。




書いてみるとわかる、清光と安定コンビの書きやすさ。
シリアスになりがちなので、すごく助かります。
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