わっ!驚いたかな?鶴丸国永(女性)参上!   作:玖渚真白

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箱に閉じ込め鍵をする

さて、朝食が終わってから、本丸の案内や消耗品の場所、扱い方等についての説明を加州や大和守から受けている間も、何故か黒い彼は鶴の後ろをついて回っていた。とくに口出しはしないで、説明を受けて覚えようと頷く鶴の様子を観察しながら。

説明や補足もする気が無く、ただただついて回るその黒い彼に、だんだんと加州は眉間にしわを寄せていく。

最後にもともと鶴が使わせてもらっていた部屋まで到着したところで、ちらりと鶴丸国永へ視線を向ける。

 

「んで、鶴丸はいつまでくっついて回るわけ?もう説明も済んだし定位置にでも戻ったら?」

「そう邪見にすんなって、ちょいとお嬢と話でもと思っただけだぜ?」

「僕らは一度、主のところに報告に行こうと思うけど、鶴丸さんは鶴さんといる感じ?」

「そうだな、いいかいお嬢」

 

にやっと笑う彼に、鶴は了承する。

 

「なら、俺達は一度主に報告とかしてくるよ」

「そうだね、たぶん女性ってことで他の男士とは違うこともあると思うし」

「あ、あの…二人ともいろいろとありがとう…」

 

鶴が二人に感謝を告げれば、どこか照れたように気にしないでと告げ、二人は去って行った。

 

ひらひらと振られた手に合わせて、こちらも手を振ってからちらりと横を見上げる。

そこには、ん?とこちらを見降ろす金の目。

 

「えと、黒鶴はこれからなにするの?」

「よければどうして”そう”なっているのかを話し合いたいところだが…」

 

うーんと腕を組んで首をひねる彼。

だが、まぁ今度で良いかとつぶやき、なぁとつづけた。

 

「お嬢は他の刀剣には会ったのか?」

 

その質問に、名前がわかるのと、わからない刀剣が何人かと答えた。

まぁ、知識としてもう朧気になってきているがゲームでの刀剣の名前はわかるが、実際にここであいさつできたのは片手で足りるくらいだ。

 

「…で、あとは。えと大倶利伽羅…?」

「へぇ加羅坊とももう会ってたか。貞坊とはまだなら短刀達のところにでも行くかい?」

「貞…?…短刀……」

 

確か、太鼓鐘貞宗…だっけ。

薬研とは違う伊達漢って感じの少年姿だったと思う。

そうかぁ、この本丸にはいるのかぁ‥‥「わたし」がやってた時は来てくれなかったなー…

なんてことを一瞬考えたが、表情には出なかったらしい。

疲れていないなら行くか?と再度問われ、つい頷いてしまった。

 

彼はそれじゃ、こっちだと先導する黒い後ろ姿を見たとき、なぜだろう、ふいに手が伸びてしまって彼の背中の布をつかんでいた。

くいっと引っ張るように後ろに引かれたその感触に、ん?と振り返る目は特に変な光は帯びていない。

 

「どうした、お嬢?」

「…ぇ?……ぁ…」

 

黒い布地は自分の袖と同じ素材。

色だけが、ただそれだけが違う。

 

「…ごめん、なんでもない」

 

とくに理由はない。それは嘘じゃない。

でも、無意識に動いたことに首を傾げた。

何か、言いたいことがあった。でも、自分から今言っていいことなのかわからなくなった。

そもそも何て言えば良いのかもわからない。

だからごまかす。左手に握られた自分(刀)の鞘を包み込むように両腕で抱きしめる。

何か言われるかと思ったが、黒鶴は何も語らずただ静かに頭をぽんぽんと叩いて、いくかと歩を進めた。

 

いずれ、聞けるだろうか。

 

なぜ、今の「わたし」がいるのか。

なぜ、彼は黒く染まったままなのか。

なぜ、「わたし」を否定しないのか‥‥。

 

前を行く彼を追いかけながら、その背を眺めながら、そんなふつふつと込み上げる疑問を心の箱に閉じ込める。

おそらく触れたら、触れてしまったら戻れなくなるだろうと漠然と感じながら。

 

でも、いつか聞けるだろうか。

 

このたくさんの「なぜ」を、そして…

 

なぜ、………わらって(ないて)いるのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 




この先は短編のような形で書ければと思います。
出会いや慣れた後など、時間軸がばらけるかもしれませんがよろしくお願いします。
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