やっと他の刀剣とのご対面です。
あ、あと原作とは掛けはなれた子達ばかりなのでご注意ください。
まぁ、それぞれいろいろあった子達なのです。
亜種(魔法の言葉)
このシキという審神者のもとには、自然と様々な刀剣が集まっている。
シキ本人が鍛刀したもの、戦場で拾われたもの、ブラック本丸から希望がありやってきたもの、さらには政府からの依頼でやってきたものまで。
さまざまな刀剣男士達が集まっている。
さらには、ブラック本丸対策として教育もかねて見習いの審神者なんてものもいたりする。現状はシキの姪のみだが、まえは片手で数えるほどの人数を世話したこともあった。
そんなシキのもとには、他の通常本丸とは異なる性格や容姿をしている変わり種の刀剣も存在していた。
そんな一人である、『黒い』フードを被った白髪の青年がその気配を一番に察知したのは必然であろう。
姿こそ多少異なるが、元は同じ刀剣なのだから。
「鶴さん、どうかしたのかい?」
傍らにいた長身の眼帯をした燭台切光忠は、ふとなにかに反応して、廊下を振り返った鶴丸に声をかけた。
フードから覗く金色の瞳はにんまり細まり、ちらりと相方を見た。
「いやなに、目が覚めたみたいだ」
「えっ、昨日の女の子?」
「ああ。おい光坊、どこいくきだ?」
慌ただしく振り返っていた先の廊下に向かっていく燭台切に鶴丸は首をかしげる。黒い布地に金の鎖がしゃらりと音を立てた。
「先に主に声掛けに行かなくていいのか?」
「そうだけど、目が覚めたなら一人じゃ不安だろうし…そうだ、鶴さん、報告任せてもいいかな?」
「まぁ構わないが…っておーい……」
返事を待たずにスタスタと去っていく燭台切に鶴丸はふぅ、とため息をこぼした。
「…俺も主んとこいくか。さーて、どんな驚きがあるかねぇ」
審神者の部屋に向かいながら頭の後ろで手を組むと、昨日のことをふと思い出した。
帰ってきた主が、手入れ部屋に入ってまもなく、鶴丸に干渉する何かが爆発した。何かが流れ込んだのか、持っていかれたのかも分からないが、原因は手入れされた同族、鶴丸国永だろう。
乱藤四郎が、主が女を連れ帰ったと騒いだため、詳細は不明だが訳アリがまた一人増えたことは、この本丸にいる大半の刀剣にはあるていど広がっている。
なにか面白いことがある、そう期待して鶴丸は黒いフードを深く被った。
そこから覗く薄い唇は三日月のように弧を描いているのだった。
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少し急過ぎただろうか。
この時、燭台切光忠は歩く速さを少し弛めてそう思った。先ほどまで共にいた鶴丸国永は、もともとブラック本丸にいた刀剣だった。
そして今回主に拾われたのもまたブラック本丸の、かなり訳アリであろう鶴丸国永。
まだ会わせるのは速いのではと戸惑いが先行してしまった。聡い彼の事だ。この考えも見通されている気もするが、主が連れてきた刀剣なのだ。悪いようにはならないはず。そうは考えても不安が頭をよぎってしまったので仕方ない。
それに、鶴丸国永との縁がある燭台切は、まだその『彼女』を見たことがなかった。興味もある。
(鶴さんは譲ってくれた…ってところかな)
そう苦笑しながら、手入れ後に寝かされていると聞かされた部屋の手前、角を曲がった先に誰かがいた。
「あ、加羅ちゃん」
ハッとした表情でこちらを見た大倶利伽羅は、居心地悪げにまごつく。
彼の右手には恐らく庭で摘んだと思われる花が。
「お見舞い、かな。一緒にどうだい?」
「…………ぁぁ」
珍しく関係ないと立ち去ること無く、2人は並んで『彼女』の部屋の前に。
そのときだった。
―――――だれ
布が擦れる音、そしてか細い高めの声が障子の向こうから聞こえた。
声の様子から自分たちに気づいたわけではないことは分かったが、『だれ』とはどういう意味だろうか。
記憶が混濁しているのか、喪失していることも考えて少し顔がこわばる。
身動きがとれず、しばらく無言で立ち止まってしまった障子の向こうでまた布の擦れる音、そして、よく耳に聞き馴染んだ、カチャリとした刀の音にハッとして慌てて声をかけた。
「…おはようっ、ここを開けてもいいかな?」
中の音がしなくなった。
ただその静寂はすぐに無くなる。
「………どう、ぞ」
了承の声に安堵しつつ、失礼するね、と障子を横に引いた。
そして息を呑むことになる。
「…………っ」
そこには障子を開けたことにより、太陽の光が射し込み輝く白い長髪の怯えた瞳の『鶴丸国永』が、刀剣を両手で抱き締めて立っていた。
表情は固まっているが、身体は正直だ。
燭台切と大倶利伽羅を見たとき、小さく刀剣を握り直した。
そして胸の前で刀を握っていることで見えてしまった手首の赤い痣。まるで縄で締め付けられたかのようにグルリと巻き付く赤い痣。
彼女は自分たちの視線が赤い痣に向かっているのに気づいたのか袖を伸ばしてそれを隠してしまった。
少し気まずい雰囲気だが、燭台切はふわりとした笑みを心がけて笑いかけた。
「おはよう、僕は燭台切光忠。あと、彼は」
「……大倶利伽羅だ。………その」
大倶利伽羅はゆらりと瞳を揺らすが、きゅっと唇を噛み、彼女に歩み寄る。その腕が届きそうな、届かなそうな距離感で立ち止まると、すっと右手に握っていた花を、押し付けるように差し出した。
ぽかんとする彼女は、少し固まっていたが、それ以上に大倶利伽羅も固まっていた。
(が、がんばれ加羅ちゃん!!)
普段は見れないそんな姿を、どこか感動したように見つめ燭台切は応援する。
「ぁ、ぇと、わたし?」
「……やる…………受けとれ」
眉間にしわを寄せて、非常に怖い表情になっているが、褐色の肌はどこか赤くなっているようだ。
「…ありがと、う」
ふにゃと笑って花を受け取った彼女は、自分の右手を刀剣ではなく花を握った。
そして、困ったような少し申し訳なさそうな表情に変化する。
「あの、わたしは、たぶん『鶴丸国永』かな」
「……そうか」
彼女の"たぶん"は、なにか深い意味があるんだろう。
大倶利伽羅もなにか察したのか、空になった右手をそのまま彼女の頭にのせくしゃりと撫ぜた。
そしてくるりと背を向け、さっそうと部屋からでていってしまった。
「あ、ちょ!加羅ちゃん!……もう、ごめんね、えと」
なんて呼ぼうか悩んでいると、彼女が先に口を開いた。
「無理に呼ばなくていいよ、光忠…さん。ここ、鶴丸国永さんいるんだもんね」
「あっと、もしかして分かるの?」
「…………」
眉をハの字にした彼女に、しまったと思う。
鶴さんがわかったのだ。同じ鶴丸国永ならあり得る話だった。
ここはシキの、主の本丸。変わり種の多い大所帯な本丸だ。なにをいまさら、と燭台切は頭を振った。
「僕のことは好きに呼んでね。よろしく」
そっと握手をしようと手をさしのべたが、その手を彼女はじっと見つめるだけだった。
そして、ハッとした。いまの彼女の右手には花、左手には刀が握られており、手が空いてないのもそうだが、そもそも、怯えを見せた彼女がすぐに順応するのは難しいということに。
ここで、もう少し待っていれば光忠は普通に握手してもらえたであろうが、すぐさま首の後ろにもっていってしまい、多少のすれ違いが発生した。
「んーと…鶴丸…さん?なんて呼んでいいかわからないけど、ごめんね」
身支度したかったよね、と笑い、外で待ってるねと障子をそっと閉めてしまう。
彼女がどんな様子でこちらをみていたかもしらずに。
直すの忘れてた…
視点片方修正しても、もう片方がそのままじゃ、
矛盾するではないか。失礼。