わっ!驚いたかな?鶴丸国永(女性)参上!   作:玖渚真白

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まだ『わたし』ちゃんは頭と心とで受け入れかたが違うみたいです。
それを受け入れて、はよ仲良くなってくれ。
(追記:2020/4/27)
呼ばれ方がちょっと違和感だったので、内容改稿します。


受け入れる

枕元にあったその刀。

白と金の鎖は鏡の中にいた「わたし」の色とそっくり。

両手でその刀を持ち上げる。

じわり、と掌が熱くなるような、鎖の擦れる音に心臓がヒヤリとするような。

よくわからない感覚だが、自分に何かが混じり、逆に何かに侵食している、混ざり会う、変なかんじ。

 

(これが、鶴丸国永、わたしが、わたしの中の俺も……あれ?)

 

この部屋の外。少し離れたところからも少し違う『俺』がいる。

それは不思議な気分だった。

わたしと混じった彼らとは違う、でも同じ存在。

 

(ぁ…きづかれた…)

 

こちらを金色の目がちらりと覗いた気がした。ざわりと混ざったものが揺らめく。

まだ馴れないその揺らめきに両手で握った刀をぎゅっと握り胸に引き寄せたのは無意識だった。

 

そんなとき、障子の向こうから優しげな低い男性の声が聞こえた。

 

「おはようっ、ここを開けてもいいかな?」

 

…正直に言おう。

え、耳が孕むわ……。

 

…………い、いやそーじゃない。 

 

「………どう、ぞ」

 

 

あわてて了承すると、失礼するね、と障子が横にスライドする。

 

そしてそこにたたずむ2人の男性に目を向けた。

………ここってイケメンしか入室禁止とかにしてるのかと疑ってしまうような、おそらく刀剣の付喪神が2人と目が合う。 

 

「…………っ」

 

太陽の後光が射してるそこから来たのは、褐色の男性と、その男性より少し背の高い眼帯の男性。

 

(え、え、だれ。イケオジの次はイケメンが来たんだけど…)

 

呆然と立ち尽くすが、身体は正直みたいだ。

無意識に手に握りしめていた自分を握り直していた。

まるですがるように、己を守るように。

そして胸の前で刀を握っていることで、気づかなかった変化に気づいてしまった。まるで縄で締め付けられたかのようにグルリと巻き付く手首に浮かぶ赤い痣。

 

(うわ、なにこれ!まだ跡ついてるじゃん!)

 

肌が白いからこそ、その赤い痣は色鮮やかに浮き出ていて、なんだか気持ち悪くていそいで袖で隠した。

そりゃ、あんなに縄でぐるぐるになってたら跡も付くだろうけど…あの審神者?ほんと悪趣味だなぁ…と考えるのも一瞬で、こちらを伺う目の前の男性の存在を思い出し、慌ててそちらに視線をむけた。

 

そして、そこにうかぶイケメンの眩し笑顔に心臓止まるかと思った。

 

「おはよう、僕は燭台切光忠。あと、彼は」

 

「……大倶利伽羅だ。………その」

 

大倶利伽羅と名乗った褐色の男性は、戸惑った様子だったが、こちらに近づいてきた。

そしてなぜか右腕を付き出してきた。

 

拳の中には、いままさに摘んできましたというような花。

 

正直に言おう。

え、なにこの人かわいい。

えー、なんか耳赤くなってない?

お見舞いなのかな、うわー、イケメンが照れてる!

かわいい!!

 

「ぁ、ぇと、わたし?(…にくれるのかな?)」

 

「……ゃる…………さ、さっさと受けとれっ」

 

………くっ!さらにツンデレだと!?

なんて口には出さずそっと右手を刀から放して、その可憐な花を受け取った。

手が震えてなかったか不安だ。

 

「…ありがと、う」

 

初めて会った人から花を貰えて驚きだ。

心が温かくなるような、気恥ずかしいような、くすぐったさにふにゃと笑み崩れてしまった。

 

………っと、えーとこの人が大倶利伽羅で、眼帯お兄さんが燭台切光忠…なんか、『わたし』というより混ざった『俺』に縁のある付喪神みたいだ。

 

表の人格は『わたし』になってしまっているため、親しげに話しかけるのは気が引ける。困ったような少し申し訳なさそうな複雑な気持ちのままそうっと声を出した。 

 

「あの、わたしは、たぶん『鶴丸国永』かな」

 

「……そうか」

 

(あなた達の知っている彼でなくてごめんなさい)

花に浮かれた心も、その現実に萎れてしまったが、大倶利伽羅が空いた右手でわたしの髪をくしゃりと撫ぜたことで、また思考がどっかにいきそうになった。

 

「また、くる」

 

そしてくるりと背を向け、さっそうと部屋からでていってしまった。

 

「あ、ちょ!加羅ちゃん!……もう、ごめんね、えと」

 

慌てたのは燭台切光忠さんだった。 

 

「無理に呼ばなくていいよ、光忠…さん。ここ、鶴丸国永さんいるんだもんね」

 

「あっと、もしかして分かるの?」

 

「…………」

 

そう、この部屋の外、離れた場所にいた彼も鶴丸国永だ。

「わたし」の中にいる鶴丸国永とは、どこか雰囲気が異なってるみたいだけど…。

たぶん、この光忠さんもその彼と面識があるのだろう。

何て呼ぶか悩んでいるということはすぐにわかった。

 

(わたしだった頃の名前思い出せれば良かったんだけど、思い出せないし…)

 

どうするか、おおくりからさん、………ながいので加羅くんでいいか。

うーん、鶴丸さんは「加羅坊」とか呼んでいたみたいだけど、わたしはなんだか抵抗あるし。

光忠さんは…「光坊」か…あれ、鶴丸さんって案外年上?

いやでもなー、なんて悩んでいたら目の前のイケメンから声をかけられた。

 

「僕のことは好きに呼んでね。よろしく」

 

そっと差し伸べられる手。

握手…なんだろうな。でも、手を伸ばすと縄の跡見えちゃうし…すぐそこに置いてあった手袋しておけばよかったと後悔しても遅い。

というか、”よろしく”ってどういう意味だろう。

わたしってどうなるんだろう。あるじ?みたいな審神者は自殺しちゃったし…。

 

差し出された黒い手袋をした男の人の大きな手を見ながら、悶々と考えこんだのがいけなかったのか、光忠さんが困ったように差し出してくれていた手をそのまま自分の首の後ろに持っていった。

その手を無意識で追いかけると、眼帯のついていない左目が揺れていた。

 

(あ、握手…し損ねちゃった)

 

「んーと…鶴丸…さん?なんて呼んでいいかわからないけど、ごめんね」

 

身支度したかったよね、と笑い、外で待ってるねと障子を閉められてしまった。

 

「…ぁ……」

 

(そうじゃないのに…)

 

嫌なわけではない、思考に埋もれてしまうのは混乱してるから、なんだろうけど。

でも握手が嫌だったわけでもないのになぁ。

 

「…むずかしい…」

 

ぽつりとこぼれたつぶやきは、一人残された部屋に吸い込まれていった。




ごめんなさい。
まだ呼ばれ方とか、しっくりこなかったので最後の部分書き換えました。
次話では、シキの元に挨拶にいきましょう。
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