京都。
今回の目的地の一つであり、活動範囲ではない場所の為、普段は見つけられない賞金付きの転生者が見つかる可能性がある場所だった。
「そう言っても、そう簡単に見つかる訳ないよな」
そう言いながらりんね達は京都を見回るが、怪しい影は見つからなかった。
「んっ」
そんな道中でトリコは何かに気付いたのか、とある場所へと向かっていた。
「どうしたんだ?」
「いや、なに。
京都には有名な焼き鳥屋があるからな。
行ってみたいと思っていたから」
「焼き鳥屋?
金は」
「俺が奢ってやるぜ]
「まぁそれだったら」
「あれ、私が何かを買おうとした時には文句を言おうとしたのに!!」
「お前が借金の原因だろうがぁ!!」
めぐみんが何か言おうとした瞬間、りんねはめぐみんの首を掴みながら、文句を言う。
「おいおい、そう文句言うなよ。
別行動しているクリスにクロウに文句言われるぞ」
そう言いながらトリコは店の中へと入っていく。
「おうらっしゃい」
「親父、とりあえずおすすめを頼むぜ」
店に入ると、店はそれ程広くないようだが、その店から溢れる食欲が出るたれの匂いに木炭が焼ける音は聞くだけでもりんね達は心地良く感じていた。
「トリコ君か。
久しぶりじゃな」
「おやっさんも相変わらず良い料理を作っているじゃないか?」
「まぁな」
そう言いながら、おやっさんと呼ばれた人物は近くに置かれていた木片を掴むと、一瞬で燃え、木炭に変わった。
「あれ?
もしかして転生者ですか?」
「まぁね。
貰ったのは身体が溶岩になるとか能力だけど、そういうのは詳しく知らないからね」
そう言いながらめぐみんはジュウオウチェンジャーでその能力を調べる。
「マグマグの実。
能力は強いですが、賞金はかけられていませんね」
「当たり前だ。
賞金がかけられている転生者はあくまでも転生後悪行を行った奴だけだ。
それを行わない奴にはかけられないし、過去で行った場合でも罪を償っている場合は省かれる」
「はははっ、そちらの二人はトリコ君のお仲間かね?」
「まぁな。
にしても懐かしいねぇ」
「あぁ、本当に。
この京都は今ではこれ程栄えて、嬉しいよ」
そう言いながら、焼き鳥を焼いていく。
「この力を得た当時は未だに戦争が続いていると思って混乱していた。
けど、戦争などとっくに終わっていて、とっくにこの力など必要はなくなっていたからな」
「戦争。
という事は」
「・・・・」
「正直、その時はすぐにでもアメリカなどに攻撃したかった。
けど、何気なく使った能力で作り上げた焼き芋を食べた嬢ちゃんの姿を見て、思ったんだよ。
この能力はこんな事が使えるんだって」
そう言いながら、焼きあがった焼き鳥を3人の前に出す。
「ほら、できたよ」
「ありがとうな、おやっさん。
それじゃあいただきまっ!!」
「っ!!」
食べようと思った次の瞬間、店に突然襲う風。
同時に迫っていた何かが見えたりんねとトリコはすぐに構える。
「きゃっ」
「ぐっ」
「おわっと!!」
「ぐっ!!」
そう話している間に飛び込んできた物の正体はクロウとクリスがだった。
吹き飛ばされ二人をりんねとトリコは二人をなんとか受け止める。
「何が起きたんだ!?」
「転生者がっ!!」
「っ!!」
二人の言葉を聞き、見てみるとそこにはまるで鬼を思わせる転生者がゆっくりとこちらに迫っていた。
「あいつ、こんな街中でっ!!」
「おやっさんっ!!」
そう何が起きているのか分からない間にトリコの声が気になり、見てみると、そこにはおやっさんが倒れていた。
「すまねぇな、トリコ君」
「いや良い、それより怪我はなくて良かったぜ」
「それにしても、あれが転生者か」
そう言いながら、おやっさんの見た先には町を壊しながら暴れる転生者の姿があった。
「本当、歳をとるのは嫌になる。
立ち上がろうにも、腰が抜けてしまった」
「おやっさんは逃げてろ。
ここは俺達が」
そう言っていると、おやっさんの身体が光、その光はまるでトリコに引き合うように吸い込まれた。
「これは?」
「トリコ君に会った時から奇妙な感覚があったが、そういう事じゃな。
トリコ君、俺の力を使ってくれないか?」
「何を」
「こんな事を引き起こしている奴を止められる力は、もう俺にはない。
けど俺の力がもしも、トリコ君が使って止めてくれるならば、託したい」
その言葉を聞き、トリコはゆっくりと頷き
「確かに受け取ったぜ、おやっさん!!」
その言葉と共に、ジュウオウキューブには新たに亀の紋章が浮かび上がった。
同時にトリコは店から飛び出し、りんねとめぐみんの元へと辿り着く。
「トリコっ親父さんはっ!!」
「あぁ大丈夫だ。
それに親父さんの為に京都の為にも早く奴を止めないとな」
「おやおやぁ!!
他のメンバーもお揃いようですねぇきゃははは!!」
同時に現れたのはまるで鬼を連想させる姿をした怪物だった。
近くにある物に触れて破壊しながら、ゆっくりと近づいているが、そんな姿を見ていてもりんね達3人は怯まなかった。
「二人共、悪かった。
あとは俺達に任せろ」
「そんなっいくら何でも「任せた」クロウさんっ!!」
「クリス、お前もさっきの戦闘でボロボロだろ。
そんな奴が戦闘で役に立つか?」
「それは」
「それにあいつらの顔を見てみろよ。
今の奴らだったら、負ける気はないぜ」
同時にりんね達は各々のジュウオウチェンジャーを構えた。
【ゴリラ!】【チーター!】【スナッパ―!】
「本能覚醒!!」
同時にりんね達の姿は変わり、そこに現れたのはこれまで知らない組み合わせだった。
「ジャングルの王者!ジュウオウゴリラ!」
「電速の王者!ジュウオウチーター!」
めぐみんがそう名乗ると共に水色のチーターへと変わり、その衣装は黄色いロングコートへと変化していた。
「沼地の王者!ジュウオウスナッパー!」
同時に黄色い身体の背中には甲羅を背負っていた。
「「「動物戦隊!ジュウオウジャー!!」」」
「へぇ、面白いなぁ!!
だけどすぐに死ぬよなぁ!!」
「悪いが、ここから先には好きにはさせない。
俺達を舐めるなよ!!」
新たな姿を得た3人は目の前にいる転生者と戦う為に構えを取る。
「ひゃははぁ!!
新しい3人がどんな力が楽しみで楽しみで仕方ないですなぁ!!」
その一言と共に姿を消して、転生者は接近してくる。
転生者はそのままジュウオウスナッパーに向けて手を伸ばし、腕を掴んだ。
同時にジュウオウスナッパーの腕は徐々に溶けるように消えていくはずだった。
「あんっ?」
「3連熱釘パンチ!」
消えていくはずだった腕は消滅する事なくその場で留まっており、ジュウオウスナッパーはもう片方の腕を溶岩で覆い、転生者を殴りつける。
「っ!?」
一瞬、驚きを隠せずにいたが、転生者に触れた腕は瞬く間に溶けたが、転生者は3回程に来る衝撃に驚きながら、後ろへと吹き飛ばされる。
「なんでだ?」
疑問に思いながら、見つめると、転生者が確かに破壊したはずの腕はボロボロと崩れていたが、それはまるで岩だった。
やがて、背中の甲羅から出てきた溶岩が再びジュウオウスナッパーの腕を覆い、鎧を形成した。
「へぇ、面白い面白い!
溶岩の鎧という訳か!!
俺が触れた所はあくまでも溶岩の鎧の一部だったから触れてもすぐに身体までは届かなかった。
なるほどなるほど」
笑みを浮かべながら、ジュウオウスナッパーの能力を理解すると共に笑みを浮かべていた。
そう言いながら、すぐに構えていたが
「面白いならば、もう少し付き合ってくださいね!!」
そう言いながら、次に転生者に訪れたのは痺れるような衝撃だった。
見てみると、ジュウオウチーターの腕から放たれた電撃が次々と転生者に襲いかかっていた。
「正直、爆裂魔法以外には興味はありませんでしたが、魔力も消費しないですし、何よりも格好良いので、能力は使わせて貰います」
そう言いながらジュウオウチーターの手にはジュウオウバスターを持っており、その銃口には既に電撃が溜まっていたのか派手な音と共に溜まっていた。
「っ!?」
「瞬間超電磁砲」
その言葉と共にジュウオウチーターの姿は消え、いつの間にか転生者の背後に周り、引き金を弾く。
「ぐっ」
襲いかかる電撃の衝撃は転生者の身体を突き抜けて襲いかかる。
「厄介だねぇ。
さっきの溶岩の奴のは衝撃だけだったから驚いたけど、君のは本当に身体に響くよ」
「そうですか、まぁ私としては爆裂魔法以外は敵を倒すには不十分だと考えていますから。
それにこの程度で十分ですし」
「なに?」
ジュウオウチーターの言葉に疑問に思っていたが、その答えはすぐに分かった。
転生者の背後から迫る影、それはジュウオウゴリラだった。
だが、その腕は巨大な赤いエネルギーを纏っており、拳の形に変わっていた。
「っ!!?」
「それでは」
その言葉と共にジュウオウチーターの姿は消えており、転生者もすぐにその場から逃げだそうとしていた。
だが
「なっ!?」
転生者はその場から動けなくなっていた。
何が起きているのか分からず、見てみると転生者の身体に僅かに張り付いている溶岩の欠片があった。
そして、転生者の身体から僅かに取れた欠片はまるで地面に吸い込まれるように凄まじい速さで地面に叩きつけられた。
「まさかっあいつらっ!!」
溶岩の欠片、その中には鉄が含まれており、ジュウオウチーターの一撃は必殺ではなく転生者を拘束させる為の技だった。
磁力を纏った溶岩の欠片同士が引き合っており、それに巻き込まれる形で転生者はその場を動けなくなっていた。
絶対的な防御で違和感を感じてなかった転生者はその場を動く事ができなかった。
「ははっまいったなぁ」
その言葉を最後にジュウオウゴリラの必殺の一撃が転生者を叩きつぶした。
ジュウオウゴリラの一撃が確かに転生者を貫いたその瞬間。
「なっ!?」
その拳の下から、溢れ出す炎はジュウオウゴリラを吹き飛ばし、その姿を現す。
現れたのは巨大な鬼の怪物だった。
「まさかっ暴走っ!!」
先程まで戦っていた転生者の特典が暴走している。
その事に気づいた彼らはすぐにジュウオウチェンジャーを構えた。
「さっさと片付けて、おやっさんの焼き鳥を食べるぞ」
「あぁ」
「これ以上借金を増やす訳にはいけませんからね」
その言葉と共にジュウオウチェンジャーを操作すると共に彼らの元へと現れたのは3つのジュウオウキューブだった。
「動物合体!!」
その声と共にりんねが乗り込んだキューブゴリラを始め、キューブチーター、キューブスナッパ―の三体が現れ、合体していく。
【6!11!12!ジュウオウワイルド!】
その姿はジュウオウキングとは違う新たなロボ、ジュウオウワイルドが誕生する。
「お前をここで止めさせてもらう!!」
その言葉と共にジュウオウワイルドの手にはワイルドキャノンが装備され、銃口を転生者に向ける。
「ガハハハハァ!!」
ジュウオウワイルドと相対した転生者はその腕を巨大化させ、走りながら襲い掛かる。
それに合わせるように、ジュウオウワイルドが形成されている各々のジュウオウキューブは光ながら、その腕は巨大化させる。
それは溶岩を思わせるアームが作り出されており、そのアームには雷のエネルギーが纏いながら、その攻撃を受け止めた。
「はぁ!!」
アームが砕け散るが、その度に新たなアームを作り出していく。
「ひゃははは!!」
巨大なロボットと怪人の殴り合いは近くにある建物を破壊しながら、続いていた。
殴り合いが続いていく中で、ジュウオウワイルドは足を振り上げ、転生者を吹き飛ばす。
「がふぅ」
「おらぁ!!」
その一瞬の隙を突かれた転生者に向けて、拳を振り上げた。
それによって巨大な拳はロボットパンチのように吹き飛ばし、空高くまで飛んでいく。
「ぐっ負けるかよっ!!」
だが転生者はその拳を吹き飛ばし、拘束を抜けるが、その時には既にジュウオウワイルドが銃口を向けていた。
「「「ワイルドキャノンボム!!」」」
3人の声が合わさりながら、巨大なマグマの塊がワイルドキャノンの銃口に集まり、引き金を引く。
それによって放たれたマグマの塊は転生者に激突するのと同時に巨大な爆発が起きる。
「これも良い爆裂ですね」
「今度から空に放たせるようにするか」
めぐみんの満足そうな声にりんねは少し考えた。
結果的に言えば、今回倒した賞金は想像よりも遥かに超えた収穫を得られた。
だが、転生者が引き起こした惨劇は思った以上に多く、人々の蘇生、京都の復興、借金の返済などに使われ、残った金は僅かだった。
「それでも、しばらくはなんとかできるしな。
とりあえずは今日はおやっさんの焼き鳥を食べてから東京に戻ろうか!!」
「賛成です!!」
そう言いながら、焼き鳥を両手に持ちながら、めぐみんは次々と口の中へと放り込んでいく。
「それよりも、あの、能力がなくても大丈夫なんですか?」
「なに、長年行ってきたおかげで技術はある。
それに木炭もきちんと溜めているからな」
「なに、俺だって時々木炭を持っていくぜ、おやっさん」
「そん時は頼むよ、トリコ君。
ほら、どんどん食べてくれ」
そう言いながら、差し出される焼き鳥を食べていく。
「本当に良かったですね」
「あぁ」
夜になると、京都に住んでいる多くの人々が集まっていた。
そこには妖怪なども含まれていたが、誰もが気にせず食べていた。
その光景を眺めながら、トリコもまた笑みを浮かべながら、焼き鳥を食べた。
今回登場したのは烈 勇志さんの転生者とはっぴーでぃすとぴあさんのジュウオウスナッパーが登場しました。
まだまだ募集しておりますので、興味がある方はぜひお願いします。
烈 勇志
①転生者
NEME:殺塵鬼(カーネイジ)
TYPE:スペシャルアビリティ
賞金:1000億円
概要:
物質を跡形もなく消滅させる、漆黒の波動を生み出す能力で、この特典の能力を持った転生者が使用する際には日本の昔話に出てくる“鬼”を連想させる鎧を身に纏う。
物体分子間の結合力そのものを崩壊させる物質分解能力で、無機物有機物関わらず接触したものを瞬く間に消滅させるそれにより、攻防一体の攻撃が可能となっている。亜音速に迫る高速移動も可能で、暗黒の瘴気による絶対防御によってまさに無敵の強さを持っていると言えるが、欠点としては特性から気体や非物質による攻撃には効果が薄い事。
特典の元ネタは、【シルヴァリオヴェンデッタ】というゲームに出てくる鬼面を纏った怪物『マルス-No.ε』。
設定:
元々はお笑いなどが好きで、将来は色々な人を笑わせるコメディアンを目指していた高校生だったが、とある不思議な人物=邪神の声を聞き、その声が話した内容に魅力を感じて転生を了承。その結果、何よりも人を殺すのが好きな狂言回しという感じに歪んでしまい、夜中などの時間帯に特典の力で姿を変え、多くの人達を人知れずに能力を使って殺すようになった。なお、こうなってしまったのは特典に宿っていた特典のオリジルというべき存在の魂の一部が宿っていて、それが彼の肉体を支配しているから。本来の魂は特典に宿っているオリジナルの意思が付いた嘘と邪神によってかけられた封印の術式によって自分の意思では動けなくなってしまっている。邪神はこの事も想定したうえで、彼に声をかけて転生させたのだ。
戦う場合、嘘と偽りで獲物となる相手を嬉々として揺さぶり尽くす傾向にあるので、そこがかなり厄介だと言える。