「んっ」
3学期、既に住み慣れた寮への帰り道、りんねが歩いている姿をクリスは偶然見つけた。
「あれ、りんね。
どこに行くんですか?」
「買い物」
「えっ!?」
何気ない一言をりんねが言ったが、その一言にその場にいたクリスは驚きで眼を開いていた。
「なんだよ」
余りの驚きぶりに思わずりんねはむすっとした表情で見つめるが
「だって、りんね!
あなた、いつも自給自足な生活をしていて、家にある物だって学校から不要になった物を譲り受けた物ばかりじゃない!!
そんなりんねがっ!!」
「あのなぁ。
俺は無駄な物は買わないんだよ。
これだって、仕事だよ」
「仕事?」
その一言に疑問に思い、首を傾げる。
「死神道具だよ」
「死神道具ですって!!」
「うわぁ!!」
死神道具の一言を聞いた瞬間、寮に入っていためぐみんが勢いよく出てくると共に詰め寄る。
「それってあれですか!!
パンジャンとかですよね!!
私も連れて行ってください!!」
「えぇ」
「私も少し気になります」
戦闘においてりんねが活用する死神道具。
どこから仕入れているのか謎が多かったのもあり、2人は興味を持ち、詰め寄る。
「行っても、俺は自分用のしか買わないぞ」
「良いですから、行きますよ!!」
「もう、めぐみんったら」
既に死神道具を見るのに夢中なめぐみんはそのままりんねにせがんでいく。
呆れた様子のりんねはそのままめぐみん達を連れて、目的の場所へと向かう。
「ここだ」
「えっ」
「ここが」
目的の場所にたどり着いた一同、だがそこは想像していた場所とはかけ離れていた。
それはまるで昭和に残っているだろう商店であり、中は駄菓子が大量に置かれていた。
「駄菓子屋じゃないですか」
「普通はな」
そう行っていると、りんねは懐から取り出した財布をかざし、中に入ると、そこには先程までの駄菓子屋ではなかった。
「「なっ!!」」
そこに広がっているのはこれまでりんねが使ってきた高速火車に電灯梟などの格安商品や、めぐみんが憧れていたパンジャン輪入道に高額だが永遠の記憶が刻まれているUSBメモリや機械の死神愛用の拳銃など様々な商品が置かれていた。
「あのっここは」
「死神道具専門店、浦原商店だ。
俺がよく来ている馴染みの店だ」
「おや、りんねさん。
どうしたんだい、今日は女の子を二人連れてデートっすか?」
そこには下駄と帽子、甚平を纏った怪しい男が立っており、笑みを浮かべながらりんね達を迎えた。
「浦原さん。
こいつは俺が活動している部隊の仲間だ」
「おや、なるほど。
4月から聞いているクリスさんに問題児のめぐみんさんですね」
「えっと、この人は?」
疑問に思ったクリスは目の前にいる浦原について質問すると
「そうですね、では簡単な自己紹介を。
私は浦原喜助、ここで死神道具を売るちょっと影あるハンサムエロ店主ですよ」
「えぇ」
その一言にどう反応して良いのか分からず、思わず呟いてしまう。
「ほとんどの死神道具は浦原さんが開発したからな」
「元々は興味本位でしたからね。
まぁ良かったら見ていってくださいよ」
「とりあえず目的の物を買うとするか」
そう言うとりんねは安売りされている身代わり式紙筆と偵察蝙蝠を入れていく。
「それにしても、最近は本当に物騒ですね。
転生者も増えて、家は大儲けですけど」
「そうですね、特にあの転生者は大変でした。
10億もしたのは納得でしたが」
「10億。
まぁそれはまた、高すぎますね。
まぁその手の奴はもう現れませんがね」
「現れない?」
まるで確信したように呟く浦原の言葉に疑問に思い、クリスは思わず首を傾げる。
「それって、どういう事なんですか?」
「そんなの、強すぎる能力は転生させた神自身を滅ぼすからっす」
「えっ?」
その言葉に疑問に思ったクリスは思わず聞き返してしまう。
「転生特典の賞金。
あれは神自身の借金でもあります。
もしもその転生者が悪事を働いた場合は、その神が全ての金を払う事になります」
「でも神様だから、そういう金は沢山ありそうですが」
「いいえ、賞金での金というのは神にとっては力その物。
金が払われる度にその神の核は消えていき、やがて消滅します。
つまり、転生者を生み出すにもリスクがあるんですよ」
「だったら、なんで転生者を?」
そこで出てきたのはなぜ転生者が生み出されるのか?
「さぁ、神によって目的は様々です。
ですがどんな神だろうと10億以上を生み出す事は不可能です。
10億以上は作り出すのと同時に、その神自身をも消滅させます」
「それは絶対のルールなんですか?」
「えぇ、勿論。
世界を変える程の力、世界事態を書き換える力にはそれ程のリスクがあります。
何よりも、そんな力を与えて、得する神などあまりいませんからね」
そう言いながら浦原は答える。
「何事もやりすぎるのはよくありません。
適度な力を送り出す事。
始めから強い力に頼りすぎた物の結末は悲惨ですからね。
その点、りんねさんは強いですよ」
「えっ?」
その言葉を聞き、クリスはりんねを見つめる。
「彼は確かに死神の息子です。
だけど、それは半分だけで、ほとんどが解放されてません。
そんな状況でも彼は力を伸ばす事を諦めません」
そう言いながら、浦原は懐にしまい込んでいた写真を見つめる。
「だからこそ、クリスさんも彼を見守ってください」
「・・・はい」
そう言い、道具を選んでいるりんねの元へとクリスもまた向かう。
「・・・聞きたい事があります」
「なんですか?」
「りんねの変身するジュウオウイーグル。
あれはなんですか」
「おや?
そんなの聞いてどうするんですか?」
道具を見つめるりんねを見ているめぐみんは何か事情を知っている浦原を見つめる。
「私達が変身しているジュウオウジャーの力。
それは元は別の存在を変換した力。
私のジュウオウシャークは勿論ですが、トリコ、クロウ、クリスも自身の力になった姿。
ですが、何かりんねが変身しているジュウオウイーグルだけ何か違うような気がするんです」
「・・・えぇ、そうですね。
私からはなんとも、それは今後のあなた達で確かめてください」
「そうですか、では私にも道具を売ってください」
「りんねさんに相談してください」
「りんね!
この格好良いコートを買ってください!!」
「巫山戯るな!!」
同時にめぐみんは近くにあったコートを手に取り、りんねへと近づく。
「本当に賑やかになりましたね。
あれからもう結構経ちましたね、アンクさん」
そう言って、見つめると、そこには小学生ぐらいのりんねの姿と背中合わせに立っているのは不良を思わせる青年が立っていた。