駒王学園
そこは駒王学園にある元お嬢様学校であり、この年から男子生徒も受け入れ始めた学園である。
「あぅ」
そんな駒王学園に入学した生徒の一人、雪音クリスは戸惑っていた。
彼女がこの街に訪れたのはたった一日しかない事もあり、緊張で顔を赤くさせながら、周りを見ていた。
「うぅ、仕事とは言え、一人は寂しい」
そう言った彼女は少し緊張して、涙が出そうになっていた。
(((かっ可愛い)))
そんな姿を見ていた新入生全員が思わず思ったのはその一言だった。
寂しい兎を思わせる姿もあってか、クラス全員の評価は互いが、この場にいる全員があまりにもレベルの高すぎる容姿に話しかけられずにいた。
「そういえば、隣の子、まだ来ていない」
ふと、気付くと入学式を終えた後に隣にいた人物がいない事に気付いたクリスはふと疑問に思った。
その少年は赤い髪が特徴的な少年だった為、クリスは記憶に残っていた。
「そう言えば聞いた。
この学校の噂」
「噂?」
「うん、なんでもとある場所で電話すると、電話から出てきた手に吸い込まれて、人がいなくなるって」
「っ!!」
その噂を聞くとクリスはすぐに聞き耳を立てた。
「えぇ嘘」
「本当、実際にいなくなった先輩がいたらしいよ」
「それっ本当なの?
どこでかけちゃいけないの?」
「確か高等部の北校舎であまり使われていない裏口から電話をかけていなくなるって」
(もしかしたら、転生者かもっ!)
その噂を聞いたクリスはすぐに校舎の地図を確認した。
(私のような人を増やさない為にもっ!)
この雪音クリス、彼女はこの世界の住人ではない。
元々は別の世界で非業な死を迎えた彼女は、自身と同じような理不尽な死を防ぐ為にこの世界に来た。
そして、当初はこの世界で活動している対転生者チームと合流する予定だったが
「すぐに行かなきゃ」
普段の臆病な雰囲気はなく、そのまま目的の場所へと向かった。
「だけど、本当にこれが役に立つの?」
そう言い取り出したのはこの世界に来る際に渡された物だった。
『それは向こうの世界で戦う時に必要になる物だよ。
こことは別の世界で戦っているチームが使っていたアイテムを参考に作られた新型武器。
まぁ詳しい話は息子に聞いたら分かると思うよ』
「あはは」
その時に思い浮かべた能天気な神の言葉を思い出しながら、目的の場所へとたどり着いた。
「確か、ここだよね。
よし」
そう言い、クリスは取り出したスマホに電話をかけた。
しばらくプルルという音が鳴りながら、クリスは冷や汗を出しながら、構える。
そして
『モーシモーシモーシモーシ』
「っ!!」
クリスはすぐにスマホから手を離そうとするが、スマホから出てきた細長い腕はそのままクリスの手を掴んだまま離さなかった。
「もしかしてっ、これがスマホのっ!」
クリスはすぐにカバンの中からある物を取り出そうとするが、身体を完全に縛られ、身動きが取れなくなってしまう。
「ぐぅ!」
身体を締め付ける痛みと共に指先からゆっくりと別の何かに書き換えられる感覚がクリスに襲い掛かっており、彼女は眼をぎゅっと閉じる。
「もう終わりなの」
「まったく、何時までも来ないと思っていたら、説明を聞かずに仕事か」
「えっ?」
聞こえてきた声に驚きながら、彼女を抱きかかえた別の誰かによって細い腕は斬られ、そこからゆっくりと後ろへと下がる。
「あなたは」
目の前にいたのは、クリスがこの世界に来て初めて見た人間だった。
「今日からお前の上司になる予定の六道りんねだ」
「あなたがっ!!」
驚きを隠せないクリスだが、そんなクリスを無視して、りんねはその手に持った物をスマホに向けた。
「それは」
「ジュウオウチェンジャー。
俺達の活動においては必要不可欠の物だ」
同時にジュウオウチェンジャーから出てきたのは目の前に出てきた存在を示した。
NEME:インフェルノモン
TYPE:モンスター
賞金:10万円
概要
ありとあらゆるネットワークに侵入してデータを破壊する生命体。
人間の感情を受けやすい生命体デジモンの為か、孤独を埋めたい転生者の心影響を受けた結果、電話した相手を取り込むようになっている。
進化を続ければ、世界の危機がある為、要注意
「えっこれって」
「目の前にいる奴の情報だ。
ジュウオウチェンジャーは相手の情報を知る事ができる。
転生者に会ったら、まずは敵の情報を知れ」
「はっはい」
「とりあえず、お前は下がれ」
そう言うと、りんねはクリスを降ろす。
「わっ私だって、派遣されたばっかりですが、戦えます」
そう言いクリスはバックの中に仕舞っていたジュウオウチェンジャーを取り出す。
だが、それはりんねの持つジュウオウチェンジャーとは違い、色は白一色だった。
「ジュウオウチェンジャーが未だに覚醒していないお前が一緒に戦っても邪魔になるだけだ」
「それは」
「だけど」
そう言って、ジュウオウチェンジャーを構えながらりんねはクリスを見つめる。
「やる気があるだけでも合格点だ」
【イーグル】
「本能覚醒!】
【アーアーアアアーッ!】
その音声がジュウオウチェンジャーから鳴り響くのと同時にりんねの身体は赤く包み込まれる。
そこには全身が赤く、鷲を思わせる絵が胸に描かれている戦士がそこに誕生する。
「これが、転生者に対抗する力」
その出現にクリスは驚きながら、りんねはゆっくりと構える。
「大空の王者ジュウオウイーグル!」
その声と共に、りんねは自身の名、ジュウオウイーグルを名乗り、構える。
インフェルモンは同時にジュウオウイーグルに向けて、口を開くと次々と銃弾を放っていく。
同時にジュウオウイーグルは構えると、手の中に納まったのは巨大な一本の剣だった。
ジュウオウイーグルはすぐに剣を構え、走り出した。
銃弾はジュウオウイーグルに当たる事なく、まるで先読みをしているように次々と攻撃を避け、インフェルモンに攻撃を仕掛ける。
「モーシ!!」
攻撃を受けたインフェルモンは後ろに下がり、その腕をジュウオウイーグルを拘束するように動かす。
「はぁ!!」
瞬間、ジュウオウイーグルの持つ剣の刃先は伸縮自在で鞭のようにしならせ、その攻撃を弾く。
「しまったっ!!」
そうしている間にインフェルモンはすぐに近くの家に向かっていた。
先程の攻撃で距離が離れてしまった。
「くそ、金があれば」
「お金?
あの、これは使えますか?」
そう言い、クリスが投げたのは500円だった。
「500円っそんな大金をっ!感謝する!!」
その一言と共にジュウオウイーグルはそのままジュウオウチェンジャーに100円を入れる。
同時にりんねの目の前に現れたのは炎の車輪が現れる。
「火車烈断!」
同時にジュウオウイーグルはそのままインフェルモンに向けて投げると、火車烈断は炎を纏った鳥となり、インフェルモンを真っ二つに切り裂く。
「モシモシモーシ」
その声を最後にインフェルモンは完全に消滅した。
それを確認するとジュウオウイーグルはジュウオウチェンジャーを構えると光は吸い込まれる。
「インフェルモン10万円ゲット」
「これが、死神様の息子」
先程までの鮮やかな戦いを見て、思わずクリスは呟く。
「とりあえずは今回の被害額と借金、それとこれだな」
そう言ったジュウオウイーグルはジュウオウチェンジャーで何かを操作した後、彼の手元には500円玉があった。
「これをっ受け取ってくれぇ」
そのまま、ジュウオウイーグルの変身が解除されたりんねはクリスに向けて500円玉を渡す。
血涙を流しながら
「良っ良いですよ!!
それよりも改めまして、私雪音クリス。
今回から合流する事になったメンバーです」
「俺は六道りんね。
この世界での担当でリーダーになる。
さっきは本当に助かった」
そう言ったりんねは500円玉をそのまま雪音に渡す。
「えっだから良いですよ」
「俺は借りた金はきっちり返す。
そうじゃなきゃ気が済まない。
だから気にするな」
「はっはぁ」
「それにしても、なんでこんな所にしたんだ?」
そうして、金のやり取りを終えると疑問に思ったようにクリスに向けて尋ねる。
「はい、私、前の世界で酷い死に方をしていて、そんな時に死神様から誘いを受けたんです」
「そんな事があったら、なぜ?」
「私、もう私みたいな子を増やしたくないんです!
一人でも救いたい、だからここに」
「なるほどな。
だけど、まだお前にはその力はない」
「それは」
「焦るな。
それにお前だったらきっと人を助けれる。
俺が保証する」
そう言ったりんねの言葉を聞き、クリスはゆっくりとりんねを見つめる。
「はいっお願いします!」
「それにしても、よくここを勧められたな?」
「お勧めされたんです。
能力が高く、人格者が揃っているから助けになるって。
だからここに来たのですが」
「・・・確かに能力は高い。
だけど、それ以上にやばい問題があるのを知っているのか?」
「問題?」
疑問に思ったクリスはそのまま首を傾げると、りんねはジュウオウチェンジャーを彼女に見せた。
「へっ」
そこにあったのはとてもではないが信じられない額が書かれていた。
「能力は高いがその分被害も大きい。
しかも俺の所には派手好きがいて、それによる被害は他と比べて高すぎて予算が下りなかった。
結果、俺達は戦いを終わる度に借金を作って、謝金を返す。
つまりは貧乏戦隊だぞ」
「へっ」
桜吹雪が舞い散る中、クリスはジュウオウチェンジャーで表示されている借金の額を見ながら、驚きを隠す事はできなかった。
キャラクターファイル①
六道りんね
今作の主人公。
この世界を担当している『ジュウオウジャー』のジュウオウイーグルに変身する青年。
自身の父親である死神の血を受け継いでおり、高い潜在能力とお金を払えば即時召喚する事ができる死神道具を使い、様々な状況に対応できる戦士。
ただし借金のせいで自由にお金を使う事はできず、借金に日々苦しめられている。