長い間お待たせして、打ち切りのような最終回ですいません。
そして、今作の続きである『特典で世界を再構成する戦隊』も連載していますので、これからもよろしくお願いします。
「アンクのがっ盗まれただとっ」
「あぁ、どうやらあのバングレイによって、警備が薄い状況を狙われたようだ」
そう言いながら、りんねは驚きを隠せずにいた。
「りんねの親友のジュウオウチェンジャーでしたよね」
「あれは俺達のジュウオウチェンジャーを元に作られた最後のジュウオウチェンジャーだ。
俺のホエールチェンジガンと同じように他のジュウオウチェンジャーとは出力が大きく違うが」
「まさか、そんな裏設定があったとは」
そう言っていると、町で何か聞こえてくる。
「これはまさかっ」
「バングレイの奴っもう動き出したのかっ」
その言葉と共に俺達はすぐにその場へと向かった。
そこで待ち受けていたのは
「あれはバングレイなのか」
そこにいたのは俺達と同じジュウオウジャーを思わせる存在だった。
だが、その身体の色は銀色のスーツを身に纏っており、その胴体にはバングレイが召喚していたメーバが刻まれていた。
「お前は」
「よぉ、遅かったじゃないか」
そう言いながら、こちらに銃を構えながら聞こえたのはバングレイの声だった。
「お前っバングレイなのかっ」
「まぁな。
せっかく手に入れた力だからな、まずはお前達で試したいと思ったからな」
「そうかよ。
だったら、ここでさっさと終わらせてやる!」
その言葉と共に、りんね達は各々の変身アイテムを手に取る。
「「「「「「本能覚醒!」」」」」」
その言葉と共にりんね達はジュウオウジャーへと変身し、そのままバングレイへと向かって行く。
「くくっ、良いぜ、来いよ」
その言葉と共に手に持った銃を捨てると、バングレイが構えると出てきたのは巨大な大剣
だった。
それを振り回すと、近づいてきたジュウオウエレファントとジュウオウライオンが受け止める。
「後ろががら空き」
「さぁ、どうかな」
そう言いながら、バングレイの背中がまるでキューブを思わせる物が現れ、ジュウオウタイガーを吹き飛ばした。
「クリスっ」
「よそ見をしている場合か」
「ぐっ」
ジュウオウシャークはすぐに吹き飛ばされたジュウオウタイガーの方を見つめるが、それを見逃さないバングレイは再構成したキューブで作り上げた銃で撃つ。
一瞬の驚きがあるも、すぐに対応するように、そのまま後ろへと下がる。
「一体どうなっているんだっ、あれはっ。
まるで暴走した時の俺みたいな状態だが」
「お前のような不完全なのと比べるなよ」
「何?」
その言葉に疑問に思い、聞き返す。
「今の俺はデスガリアン全ての力が使える。
不死身であるアザルドの力で、俺の身体は好きに形を変える事ができ、好きな力を使う事ができる。
だよなぁ、ジニスの旦那」
『あぁ全くもって、その通りだ』
「っ」
その言葉と共に現れたキューブは一つの人型へと変わると、そこにはまるで髑髏型を思わせる怪物がいた。
「お前は」
『初めましてだな、この世界のジュウオウジャー。
私はジニス、かつて、君達とは違うジュウオウジャーに敗北した者だ』
「俺達と違うジュウオウジャー、それってまさか原点の」
「原点?」
その言葉にジュウオウザワールドは首を傾げる。
「俺達の本来の力に加えて、転生者に対抗する為にとある存在の力を借りている。
他の奴らも当てはまるが、俺達の場合は地球の生き物の力を借りている動物戦隊ジュウオウジャーの力だ」
「その彼らが戦った存在がまさか、お前達なのか」
「正解だ。
まぁ、どういう訳だが復活したけど、まさか旦那と一緒になるとはな」
『私もバングレイと共に復活した。
その際に、地球と繋がった際に様々な知識を得る事ができ、こうして転生者の事に関してなどを知る事ができた。
だが、奴らとの戦いで身体は消滅し、私自身は復活する時に多くの知識を得る代わりに精神体でしか存在を保てなくなった」
「そして、俺と手を組んだ訳だ。
俺も旦那も、お前達、ジュウオウジャー達に復讐する為にな」
『まずはお前達から、その次は私達を倒した奴らを殺す』
そう言い、二人の声が揃って、笑いを出す。
だが
「させるかよっ」
そう言いながらジュウオウホエールが立ち上がる。
「お前らのような奴らをこれ以上、好きにさせるかよ。
それを許したら、余計に金がかかるからな」
「金ねぇ。
お前はそればっかりだな」
そう言いながら、バングレイはジュウオウホエールを睨む。
「金が何になる。
どうせ世界が消滅すれば、金に価値などない」
「いいや、金は価値がある」
その言葉と共に、手に持ったホエールチェンジガンを構える。
「金はな、多くの人々が積み上げてきた一つの形だ。
形では分からない努力を、見えやすい一つの形に変える物だ」
その言葉に応えるように他のメンバーも次々と近づく。
「まぁ、私は特に金には執着はありませんが、せめてこめっこや家族の空腹させない金は必要ですね」
「まぁな。
食べ物も、ある意味皆で分け合う事ができるのも、そんな金の力だからな」
「借金という落とし穴もあるがな。
まぁ、それは自分の不手際という事もあるからな」
「戦争も、悲しいけど金が原因。
だけど、そんな傷ついた人達を助けるのも金」
「俺の力も金の力も、使い方次第では人々を不幸にする。
だから」
「お前達を倒した金で、とりあえずはこの町を救う」
「さっきから好き勝手言いやがって、ここで終わらせてやるよ!」
そう言い、バングレイの腕は肥大化していく。
そこに刻まれているのは、かつてデスガリアンの拠点であるサジタリアークを思わせる砲台が現れ、ジュウオウホエール達へと向けた。
「消えろ!」
そう言い、サジタリアークからは巨大なビームが真っ直ぐとジュウオウジャーへと向かって行く。
「この星を舐めるなよ!」
その全員の言葉を受け止めると共に、ジュウオウホエールガンの引き金を引く。
そこから放たれた一撃は真っ直ぐとビームと激突する。
「はああぁぁぁ!!」
互いに押し合い、ぶつかり合う。
だが、一撃の威力は劣っていたのか、徐々にジュウオウジャーの方へと押されていく。
「一発で駄目ならな」「何発でも!!」
その言葉と共にトリコの釘パンチを思わせるように一撃は何度もたたき込み、ホエールチェンジガンの銃口から無数の小さなビームと纏まり、まるでドリルのように変わる。
「勝てるまで」「諦めず!!」
それと共に一撃の色はめぐみんの爆裂魔法のような色へと変わり、ジュウオウチェンジホーエルガンを支えるようにイチイバルが追加される。
「「突き進む!!」」
ジュウオウホエールとジュウオウザワールドの雄叫びと共に完全な獣の形へと変わった一撃がバングレイを飲み込む。
「なっまたっ」『こんな結末にっ!』
その言葉と共に、バングレイ達はビームに飲み込まれ、その姿は完全に消滅する。
「はぁはぁ、勝ったのか?」
そう疑問に思いながら、呟きながら、全員が変身を解除される。
同時にジュウオウチェンジャーに音が鳴り、見ると、そこにはバングレイ達の賞金が振り込まれていた。
「・・・よっしゃぁ!!」
それが勝利した証になり、全員が喜びを分かち合うように叫ぶ。
「はぁ、ここまで長かったです。
それにしても、気持ち良かったですね、今の一撃は」
そう言いながらめぐみんは満足げに呟く。
「けど、全員が疲れて、動けなくなるのは問題。
撃つならば、考えないと」
「まぁ、これからも役に立つと思うからな」
そう言いながら、先程までの戦いを思い浮かべていた。
「あぁ、君達」
そう言いながら、こちらに話しかけた声が聞こえ、全員が見る。
そこには死神が立っており、呆れたようにこちらを見ていた。
「どうしたんだ、親父?」
「いやね、君達があのバングレイを倒した事に関してはとても感謝している。
けど、まぁ、町にも被害が出たんだよね」
「まぁ、確かにな。
それじゃあ、とりあえず被害が出た分だけでも借金を変えそうぜ」
「そうだね、クロウ。
それで、りんね、どれぐらいなの」
「そうだな、待って」
そう言いながらりんねはジュウオウチェンジャーを見ると
「・・・十億」
「んっ?」
一瞬、何を言っているのか、分からず、その場にいた全員が呆然した。
「いやぁ、バングレイ達の暴れた町の被害よりも、君達がさっきの一撃が問題だったからね。
とりあえず、その修繕費として、それだけ返して貰うね。
あっ借金代わりとして、君達の力とか預かっておくから」
そう言いながら死神はそのままジュウオウチェンジホエールガンを初めとして、ジュウオウチェンジャーや服以外、全てを取られてしまう。
「そっそんなぁ、私達っせっかく借金を返せたのに」
「どうするんだ、りんね」
その事態を受け、りんねは
「転生者狩り」
「えっ」
ゆっくりと立ち上がったりんねは血涙を流しながら
「転生者狩りじゃぁ!!」
「ええぇぇ!!」
そう言いながら、走り出した。
そこには先程までの力尽きた姿などなかった。
「まったく、くたくたで動けないのに」
「ほら、さっさと行くぞめぐみん」
「私をあなたのような筋肉馬鹿と一緒にしないでください!」
「あははぁ、また借金か」
「ふっまぁ、それが俺達らしいけど」
そう言いながら、走り去ったりんねを追うように、メンバーも次々と走り去っていく。
「借金もある。
金も多くはなかったけど、どうやらりんね、せめて大切な物は手に入れられたようだな」
そう死神はりんね達を見届ける。
その瞳に写っていたのは、血涙を流しながらも、生きる為に必死になっているりんねの姿。
だが、そんな彼の必死な表情とは裏腹に、穏やかな雰囲気がそこにはあった。
「何時でも僕は君を待っているから
「借金はそれからも何度も繰り返し行ったらしいです。
あの世界ではトラブルが絶えず、高校時代は貧乏、大学時代も貧乏、そして社会人になってからはアルバイトを行いながら、行く先々で様々なトラブル。
そんな日々が続いたらしいです。
それでも、その日常はどこか楽しそうでした。
お金は確かに人生で必要ですが、それと同じように一緒に過ごす誰かな存在はきっと必要です。
どちらが欠けても、きっと上手くいきませんね」
「・・・何を喋っているんだ」
「あっお父さん」
何やら長々と喋っている少女を見て、赤髪の青年が少女に話しかける。
「今、お父さん達の高校時代のアルバムを見ていた所です」
「止めてくれ、黒歴史だから」
そう言いながら青年の方へと行く。
「なんといか、お前は本当にあいつそっくりだな。
しゃべり方はあっちの方に似ているから」
「うん、お母様の方を参考にしました。
母さんの方は色々と問題がありますから」
「俺の娘なのに、なんという賢い選択!」
そう言いながら、呆れるように叫ぶ。
「とにかく、お前も10年後には死神になるんだから、勉強を頑張れよ、フラグ」