長い間、遅れてしまって申し訳ございません。
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「第一回、ドキドキ夏休み賞金稼ぎ」
「えっなんですかこれは」
あの戦いから数ヶ月、しばらくの間は転生者を相手に戦ったり、学生生活を満喫していたクリスの前にりんねが突然宣言した。
「はい、これを見てください。
先月の戦いで起きた被害です」
「あっそれは確か私が考えた必殺技のですね」
「その通りだ」
「あぁ」
その事を聞いて、先月の事をクリスは思い出した。
先月、めぐみんが新たなジュウオウキューブによる合体形態を見た時に
「あれって、爆裂魔法と組み合わせたらやばいですよね!!」
その一言と共に放たれた一撃はこれまで見てきたどの必殺技よりも威力があった。
いや、ありすぎたのだ。
戦いの舞台なった場所が無人島で、しかもその時には誰もいなかった事が幸運だったのか、人の被害はなかったが、無人島が一つ消滅した。
「でも無人島でしたら、確か1000万円でしたよね?
確か、前に確認したのですが」
「それが違ったんだ。
あれはテレビでも有名な無人島で現在でも取り上げられる事で、島自体の価値がやばいぐらいに上がってしまったんだ。
結果、その値段、10億円」
「・・・・」
その言葉を聞いた瞬間、クリスは倒れてしまった。
「そう、クリスの反応を見て分かるように借金の額が本当にやばい。
具体的には早く借金を返さないと、ここから追い出されるレベルでやばい程にな」
「どっどっどうすれば良いんですか」
「落ち着け。
その為の会議だ。
それで、何か良い考えはあるのか?」
「あぁ、この日本では俺達以外にもう一組活動していて、普段は互いに不干渉な状況になっている。
緊急時には手を組む事があるがな」
「えっ」
その事に驚きを隠せなかったクリスは思わず身を乗り出す。
「もう一組いるんですか!!」
「いるよ」
「何を今更」
「教えてもらっていない、この数ヶ月間!!」
突然告げられた事実に驚きを隠せないクリスはその場にいた全員に言った。
「そうだっけ?」
「別に活動に問題ないし、良いんじゃない」
「この人達は!!」
この数ヶ月の間でも知ったつもりの仲間の性格に思わずクリスは頭を抱えてしまう。
「とにかく。
俺達がこの地域にいない間は彼らにこの地域の守りを任せるとして、俺達はこれから大物を狙いに他の場所に行く!!」
「他の場所?
そもそも、なんでこの駒王町に転生者が多数いるんですか?」
その言葉を聞いて、クリスは心配になってくるのと同時にふと疑問に思えた。
「分からない。
なんでこの町にそんなに転生者がいるのか分からない?
俺達が通っている悪魔にも聞いたんだけど、理由は分からないらしい」
「悪魔って、もうっ私が知らない事ばっかりじゃないですか」
それまで説明されなかった数々の出来事で既にまいっているクリスはそのまま机で寝込んでしまう。
だが、それ以上に放っておくと危険だと感じ、すぐに起き上がる。
「あの、それって大丈夫なんですか?
その、他の地域に行くには何かとお金がかかるのでは?
前みたいな方法は無理なんですか?」
「あれはセールで買ったからな。
俺はセールになっている奴しか使わない」
「このパンジャン輪入道は使わないのですか」
「そんな高い物など使えるか!!」
めぐみんは何時の間にか持っていた死神道具通販雑誌というのを取り上げながら、りんねに尋ねる。
同時にりんねの目から血涙を流しながら、これまでにない雰囲気でめぐみんを睨んだ。
「そっそれじゃあ、それ以外の方法はあるんですか?
「それに関しては安心しろ。
既にクロウが格安ルートで海外に行く方法を手に入れた」
「まったく、リーダーの指示には程々困るぜ」
「クロウさんって、何者」
会議で疲れたように、グラスを揺らしながら笑みを浮かぶクロウに対して、思わずクリスは突っ込んでしまう。
ついでにグラスの中に入っているのは砂糖水である。
「とにかく!
海外に行って、金になる転生者をどんどん倒して、がっぽがっぽ金を儲けるんだ!
それぐらいじゃないと、俺達はマジで露頭に迷う」
「入るチーム間違えてしまったのかな」
そう言いながら、思わず頭を抱えてしまうが、既に決まってしまった事を悔いても仕方ない。
そう思い、クリスは頬を叩きながら
「それで、その、どうやって海外に行くんですか」
「なに、マグロ漁船を乗り継げば、すぐに着くさ。
その後は歩けばなんとかなる。
ショショの3部だって、エジプトまで50日で行けたんだから」
「漫画ですよね!!」
そう言いながら、クロウは持っているコンビニで捨てられた漫画を見せながら笑みを浮かべる。
「マグロ漁船って、マグロ漁船って。
あの、ジュウオウキューブは使えないんですか」
「えっ?」
「いや、だって、ジュウオウキューブだったら、移動するのに金はかからないんじゃ」
「目撃者に見つかる可能性があるだろ。
戦闘の時の狭い範囲ならともかく」
「まぁ確かに、それはそうですけど」
「とにかく、行ける場所は限られているんだ。
早く決めないとな」
そう言い、クロウはパスポートを配り始めた。
撮った覚えのない写真などがあり、明らかに偽造されているのが分かるパスポートに不安を覚えながら、目的地について話し始めた。