I・S~戦い続けるリンクス~   作:5時10分

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主人公の機体構成です。
  HEAD EKHAZAR-HEAD
  CORE CR-LAHIRE
  ARMS AM-LAHIRE
  LEGS 063AN04
  R ARM UNIT LR04AVIOP(レーザーライフル)
  L ARM UNIT 07-MOONLIGHT(レーザーソード)
  R BACK UNIT SULTAN(プラズマキャノン)
  L BACK UNIT SALINE05(分裂ミサイル)
          SHOULDER UNIT MUSKINGUM02(32連装ミサイル)
          R HANGAR UNIT ARSINE(コジマライフル)


第02話

 

 

 

 

 あの契約から一週間が経った。早いものだとしみじみジルベールは思った。デュノア社長からの依頼を受けてからは忙しい毎日を送った。まず最初にジルベールの戸籍を作りそのあとに世間に公表された。公表されてからはTVや雑誌の取材、研究所からのサンプルの提供のお願いなどを捌いていたらあっという間に一週間が経ち明日、日本に出発する日になったのだ。今、ジルベールは日本に行く前に忙しくて出来ていなかったISの訓練をしている。

「お強いですね。これがたった数回しか乗ったことがない人の機動なんですか?」

 ジルベールと模擬戦をしているシャルロット・デュノアは、撃ち合いの合間に聞いてきた。

「そうだよ。ISにはまだ数えるほどしか乗ってないよ」

 そう言いながら、右手武器――ライフルを撃ちながら答える。しかも全弾命中させてだ。

 この模擬戦は、ジルベールの勝利で終わった。

 

 

 

 ピットの中で休んでいるジルベールのところにデュノア社長が来た。

「社長直々に来るとはね」

 少し皮肉っぽく言った。

「君には期待しているのだよ。君の持っているそのISもなかなかいい機体だからね」

「本命は俺じゃなくて俺のIS(こいつ)だろ」

 ジルベールは待機状態のISを触りながらデュノア社長を見た。

「誤解を招いてしまったようだな。言葉通り君に期待しているんだよ。それに残念ながらそのISは解析することができなくてね」

 デュノア社長はため息をついた。

「もしかしてそんなことを言いに来たのか?」

 解析しようとしたのは、あえて無視した。

「違うさ、君に渡すものがあってね」

 デュノア社長はジベールに封筒を渡した。開けて中を見るとパスポートや飛行機のチケット、クレジットカードとファイルが入っていた。

「これは?」

「明日、IS学園行くための必要なものと報酬を支払うための口座」

 わかったと言って全て封筒の中に戻した。

「くどいようだけどしっかりと宣伝してきてもらうよ」

「そんなに信用ないか?」

「信用はしているさ。今日の模擬戦、ISを操縦して間もないのに代表候補性相手に5分もかからなかった。この実力で信用しない人間なんていないだろ?」

「じゃなんだ?」

「我が社は今、厳しくてね」

「そんなに厳しいのか」

「ああ、そうだ。今の我が社の状況は厳しいのだよ」

 デュノア社長は深刻そうな顔つきになった。

「確かISシェア3位だろ?」

「それはそうなんだが、フランスがEUの統合(イグニッション)計画から脱退したから独自に第三世代機を開発しないといけなくなったんだ」

 デュノア社長は肩を落とした。

「それって共同開発だろ。なんで脱退なんかしたんだ?共同開発のほうが他の国のISの技術が盗めるチャンスなんだし、安く済むだろう」

 ジルベールは探る様な目つきで言った。

「確かに一理あるな。表向きは、国内の産業を守るため」

「実際は?」

「我が社がラファールの開発に成功したから独自に開発できるとふんだから」

「で、蓋を開けたら違っていたと」

「ああ、そうだ。政府からの催促がきている。それにライバル会社がうちを潰す好機だと見て躍起になって妨害工作もあるのだよ」

 くだらねぇ―――ジルベールはそう言い捨てた。

「そう言うな。我々には君という切り札があるのだ」

 デュノア社長はジルベールを見た。

「俺は蜘蛛の糸か」

 ジルベールは鼻で笑った。

「縋らせて貰うよ」

「確か最後は、醜いことをして糸が切れたんだっけ?」

 刹那、互いの視線が交わる。ジルベールは何か違和感を感じた。だがそれの正体までは解らなかった。

「おっと時間だ。私は失礼させてもらうよ。外に帰りの車を用意してある。それで帰ってくれ」

 デュノア社長は自分の時計を見て、ピットから出ようとした。

「ああそうだ。私としたことがうっかり忘れていたよ」

 デュノア社長は大げさに自分の頭を叩き振り返った。

「君のネクストいや今はISか―――に装備されているクイックブースト、あれってISならAMS適正がなくてもいけるかな?」

 デュノア社長は期待に満ちた顔でジルベールを見た。

「知らん」

 ジルベールの答えは実にそっけないものだった。

「ネクストのことならともかく、ISのことはあんたの専門分野だろ。なんで俺に聞くんだ?」

「一応君の意見を聞きたくてね。で、どうなんだい?君としては」

「知らんもんは知らん。それを調べるのがあんたらだろ?」

 アハハハとデュノア社長は軽快に笑った。

「確かに君の言うとおりだ。じゃ、見よう見まねでやってみますか」

 今度こそデュノア社長はピットから出た。

 

 

 

 車の中の空気は緊張に満ちていた。シャルロットは向かい側に座っている原因(ジルベール)をちらりと見た。彼は封筒の中に入っていたファイルを読んでいる。

(この人が世界で二人目の男性パイロット……)

 日本に出現した男性パイロットとは違った雰囲気であると感じ取っていた。いつまででもこの状況じゃいけないと自分を奮い立たせた。

「あ、あの明日の予定を話してもいいですか?」

そう言うとファイルに向けていた意識をシャルロットに向けた。ジルベールが話を聞く態度を取ってシャルロットは胸を下ろした。

「明日の予定って」

 柔らかい口調ではあるが、冷たい雰囲気をジルベールは醸し出していた。

「は、はい。日本には明日の朝に出発します。日本に着いてからは、時差ボケを起こさないように1日休みます。それからIS学園に転入します」

 わかったと短く返事をするとジルベールはまたファイルを読み始めた。

「一つ質問いいですか?」

 シャルロットは恐る恐るジルベールに尋ねた。

「なんだ?」

 すぐに中断されてジルベールは不機嫌そうに答えた。

「なぜあなたは社長に協力するのですか?」

「なんで君は、気になるんだい?」

「質問を質問で返さないでください!!」

 シャルロットは強めに言ったがジルベール気にしなかった。

「気を悪くしたかな?分かりきっていることをなんで聞くのかなって不思議だと思ったんだよ」

「分かりきったことって……」

「これだよ」

 ジルベールは封筒の中にあるクレジットカードを出した。

「お金ですか」

「ああ、そうだよ。基本これだからね。で、なんで君は自分のお父さんのことが気になるの?」

「僕は、父のことなんて気にしていません!!」

 シャルロットは声を荒げる。

「気にしてんじゃん。自分の父親のことを聞こうとしたでしょ」

 ジルベールの確信めいた顔を見てシャルロットは白状することにした。

「ええ、そうです。ジルベールさんの言うとおりです」

 投げやりに言った。

「なんで?父親なのに」

「父と言っても最近あった人ですから」

 複雑そうな顔で言った。

「最近会ったって?」

「母が死んで葬儀が終わった後デュノア社の人に連れて来られて……」

「母親が死んだ後に初めて?」

 不可解なことにジルベールは首をかしげた。

「はい、そうです」

「なんで?」

「僕はあの人の愛人の子だったからです」

 なるほどとジルベールは納得した。シャルロットは話を進める。

「最初にあったときは職人気質の開発者という印象を受けたのですがある時を境にガラッと変わったんです」

「ガラッとって今みたいな感じか?」

 シャルロットは首を縦に動かした。

「周りの人からしたら、今の感じのほうがいいと言っていますけど……」

 どこか納得していない様子だ。

「じゃあ今度はこっちが質問するよ」

 シャルロットは身構えた。それを見てジルベールは笑った。

「別に変なことは聞かないさ。君と同じだよ」

「同じというと?」

「なんで社長に協力しているかだよ。君は愛人のことはといえ社長の子供だ。テストパイロットをしなくてもいいんじゃない」

「そ、それは……」

 痛いところを突かれたのか言いよどむ。しばらく考えたのちシャルロットは言った。

「実は最初、僕が男装をして日本にいる男性パイロットに接触する予定だったのです」

「その話なら知ってるよ。俺が聞いているのは、それを踏まえての理由を聞いているんだよ」

 シャルロットは下を向いてしまった。時間だけが過ぎ、虚しく外の景色が流れて行く。

「人には言えない理由?それとも理由がないだけ?」

 じれったくなったのか、ジルベールはシャルロットに問いかけた。

「はい」

 シャルロットは弱弱しく答える。

「はいってどっちの?」

「理由がないほうの……」

 それを聞いてジルベールは大きくため息をついた。

「残念だよ。君、なかなか筋がいいのに」

「理由がないといけなんですか?」

「いけないとは言ってないさ。ただ、残念なだけさ……」

 それからジルベールは、シャルロットから顔をそらし外の景色を見ていた。車の中は最初とは違う空気が立ち込めていた。

 




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