こうすると"こうとう"に見えませんか?
追記 10000UAありがとうございます。
皆さんに閲覧していただいたおかげです。本当にありがとうございます。
樹海の中で
兎人族の故郷で、七大迷宮の一つのハルツィナ樹海へと一行はかなりのスピードで進んでいた。
これも戦利品の馬車があった事と南雲の持つ魔力二輪のおかげであることは言うまでも無い。
俺の魔力二輪から一人減った。理由としてシアは色々と話を聞きたがっていたので、俺の魔力二輪ではなく、南雲の方のに乗ろうとさせたのだが、「馬車に乗れ」と冷たくあしらわれ、何度も叩き落とされるも、中々しぶとく南雲が根負けする形で乗ることになった、という経緯がある。
「乗り心地がいいですね!! あ、でもノボルさんは後ろから抱きつかれなくて寂しいですかぁ?」
軽く煽ってくるシア。勿論のことながらスルー。
「あー無視はいけないと思うんですけど!!」
ごちゃごちゃと騒いでいるので南雲のチョップが炸裂。直ぐに静かになった。
あちらでは何か話に花が咲いているようである。楽しそうな雰囲気で何よりだ。
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一方、ハジメ達の魔力駆動二輪
「そういえば、ノボルさんはどうしてお二人と行動しているんでしょうか?」
シアはふと気づいたようでハジメに尋ねた。
「アイツが言うには『何もする事が無いし、お前らについていくわ』だとさ」
なるほどなと、納得しているシア。だが、何か気になっているようで首を傾げ、「うーん、うーん?」と唸っている。
「さっきからうんうんうるさい」とユエから叱られるとすみませんと謝ったが、まだ何か考えているらしかった。
「さっきから、何を考えてるんだ?」
「えっと、お三方に出会う前の未来視だとハジメさんとユエさんしか映っていなくて、出会った後にまた映るとそこにはノボルさんも居て、どうして見えなかったんだろうなって」
「未来視の的中率は?」
「今まで外れた事がないんです。だからなんだかよく分からなくて」
どういう事なのだろう。彼は唯のクラスメイトではないのだろうか?
まだ、分からない。一つ言えることとして、敵対すれば容赦はしないということだけだ。
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数時間後、無事に一人の欠けもなくハルツィナ樹海に到着した。
樹海を見るのは初めてだが、森よりも鬱蒼としていて霧がもやもやと常に辺りを漂っている。
「それでは、ハジメ殿、ユエ殿、ノボル殿。中に入ったら"決して"我らから離れないで下さい。お三方を中心にして進みますが、万一はぐれると厄介ですからな。それと、行き先は森の深部、大樹の下で宜しいのですな?」
「ああ、聞いた限りじゃあ、そこが本当の迷宮と関係してそうだからな」
カムの言う大樹とはここの最深部に存在する"ウーア・アルト"という亜人からは神聖なものとして崇められている木だ。滅多に近づく者はいないらしい。
カムは、南雲の言葉に頷くと、周囲の兎人族に合図をして俺達の周りを固めた。
「ハジメ殿、できる限り気配は消してもらえますかな。大樹は、神聖な場所とされておりますから、あまり近づくものはおりませんが、特別禁止されているわけでもないので、フェアベルゲンや、他の集落の者達と遭遇してしまうかもしれません。我々は、お尋ね者なので見つかると厄介です」
「ああ、承知している。俺達も、ある程度、隠密行動はできるから大丈夫だ」
おっと、言っておかねば。
「俺は使えんぞ、気配遮断」
カムは「ノボル殿は大丈夫だ」と言ってので心配はなさそうだが、一応忍んでおこう。
南雲の気配みたいなものが急激に希薄になった。
「ッ!? これは、また……ハジメ殿、できればユエ殿くらいにしてもらえますかな?」
「ん? ……こんなもんか?」
「はい、結構です。さっきのレベルで気配を殺されては、我々でも見失いかねませんからな。いや、全く、流石ですな!」
南雲の気配遮断はこの世界ではトップレベルだそうだ。後で聞いた話なのだが、ハウリア族、というより兎人族自体が力が弱い代わりに聴覚による索敵や気配を断つ隠密行動に秀でている。地上にいながら、奈落で鍛えたユエと同レベルと言えば、そのレベルの高さは窺える。そんな兎人族でさえ見失う南雲を一応体感的には米粒のようであるが捉える事が出来ているので、俺自体の気配察知能力もあの奈落で鍛えられていたと実感した。
「それでは、行きましょうか」
カムの一言でカム、シア親子を先頭に皆が大樹へと歩き始めた。
霧が深く自分が何処を歩いているのか検討もつかない。ハウリア族は迷いなく自分の家の庭のように歩いていて、すごいなぁと感心した。
順調に進んでいると、突然カム達が立ち止まり、周囲を警戒し始めた。魔物の気配だ。
三人であっという間に倒した。南雲はどうやら暗器を作ったらしく、猿型魔物には無数の針が刺さっていた。
「あ、ありがとうございます、ハジメさん」
「お兄ちゃん、ありがと!」
助けられたシアと男の子が礼を言う。男の子の目がすげえーとなっているのと対照的にシアはがっくりと肩を落としていた。
ちょいちょい襲われるも、軽く対応していく。問題なく順調に進んでいる。
だが突然魔物より方向性のある殺意をぶつけられた。
カム達は何か分かったらしいが、かなり苦々しい表情。
シアや子供達も蒼ざめている。
「お前達……何故人間といる! 種族と族名を名乗れ!
虎模様の耳と尻尾を付けた、筋骨隆々の亜人にバレてしまった。
ふと、脳裏に何パターンかの選択肢を思いついた。
① 逃げる。全力で逃げる。けれど俺達は逃げ出せても迷うのは必死、ハウリア族は確実に酷い目に遭う。
② 倒す。今の戦力なら間違いなく倒せるが何処かで亀裂を生む。
後、戦闘でハウリア族が少し犠牲になる確率が高い。
③ 平謝り。ありえない。俺がしたとしても南雲たちはしないし、虎亜人は多分許してくれない。したところで俺は白い目で見られる。
おれは強そうな亜人に心の中でビビっている。
「あ、あの私達は……」なんとかカムが誤魔化そうとするが、ギロリとその目を横のシアへと向けた。
「白い髪の兎人族…だと? ……貴様ら……報告のあったハウリア族か……亜人族の面汚し共め! 長年、同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとは! 反逆罪だ! もはや弁明など聞く必要もない! 全員この場で処刑する! 総員かッ!?」
南雲が撃った。
虎亜人たちは硬直している。さっきの雰囲気から変わって、得体の知れないナニカを見る目になっている。
「今の攻撃は、刹那の間に数十発単位で連射出来る。周囲を囲んでいるヤツらも全て把握している。お前等がいる場所は、既に俺のキルゾーンだ」
「な、なっ……詠唱がっ……」
ロスタイムなしで放たれる暴力。どれだけ恐ろしいのかが南雲の説明で理解したようで、虎の心音が離れていてもドクドク聞こえるようにさえ思える空気。
「殺るというのなら容赦はしない。約束が果たされるまで、こいつらの命は俺が保障しているからな……ただの一人でも生き残れるなどと思うなよ」
ゴクリと固唾を呑む。
(なんなんだ……この人間)
その感情が彼らを支配する。
「だが、この場を引くというのなら追いもしない。敵でないなら殺す理由もないからな。さぁ、選べ。敵対して無意味に全滅するか、大人しく家に帰るか」
恐怖に屈さまいと自らや仲間を鼓舞する様に吠えるが無視して言葉を続ける。
「だが、この場を引くというのなら追いもしない。敵でないなら殺す理由もないからな。さぁ、選べ。敵対して無意味に全滅するか、大人しく家に帰るか」
「……その前に、一つ聞きたい」
一人の虎亜人が声を振り絞った。
「……何が目的だ?」
「樹海の深部、大樹の下へ行きたい」
「大樹の下へ……だと? 何のために?」
まさか大樹の下へ行きたいと言うと思わず、惚ける彼。
「そこに、本当の大迷宮への入口があるかもしれないからだ。俺達は七大迷宮の攻略を目指して旅をしている。ハウリアは案内のために雇ったんだ」
「本当の迷宮? 何を言っている? 七大迷宮とは、この樹海そのものだ。一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進むことも帰る事も叶わない天然の迷宮だ」
「いや、それはおかしい」
「なんだと?」
虎亜人は疑問を持ったが、構わず南雲は続ける。
「大迷宮というには、ここの魔物は弱すぎる」
「弱い?」
「そうだ。大迷宮の魔物ってのは、どいつもこいつも化物揃いだ。少なくともオルクス大迷宮の奈落はそうだった。それに……」
「なんだ?」
「大迷宮というのは、〝解放者〟達が残した試練なんだ。亜人族は簡単に深部へ行けるんだろ? それじゃあ、試練になってない。だから、樹海自体が大迷宮ってのはおかしいんだよ」
「……」
黙る虎亜人。しばらくしてようやく口を開いた。
「……お前が、国や同胞に危害を加えないというなら、大樹の下へ行くくらいは構わないと、俺は判断する。部下の命を無意味に散らすわけには行かないからな」
人間を見逃すという異例の判断に動揺が広がる。
「……いいだろう。さっきの言葉、曲解せずにちゃんと伝えろよ?」
「無論だ。ザム! 聞こえていたな! 長老方に余さず伝えろ!」
「了解!」
いそいそと動き出す彼ら。
何人かの虎亜人が警戒を解いた今を狙おうとするも「お前等が攻撃するより、俺の抜き撃ちの方が早い……試してみるか?」
「……いや。だが、下手な動きはするなよ。我らも動かざるを得ない」
「わかってるさ」
カム達も緊張状態が終わり、一安心といった感じだが、向けられる視線は依然として厳しい。
しばらく、重苦しい雰囲気が周囲を満たしていたが、そんな雰囲気に飽きたのか、ユエがハジメに構って欲しいと言わんばかりにちょっかいを出し始めた。それを見たシアが場を和ませるためか、単に雰囲気に耐えられなくなったのか「私も~」と参戦し、苦笑いしながら相手をするハジメに、少しずつ空気が弛緩していく。敵地のど真ん中で、いきなりイチャつき始めたハジメに呆れの視線が突き刺さる。
全く羨ましい限りだこと。
だいぶマシになった空気だが、急速に近づいてくる気配。
現れたのは数人。
中央の見た目老人から威厳を感じる。恐らく長老の使者だろうか。その尖った耳と整った容姿は地球基準で言えばエルフという種族だろう。
「ふむ、お前さんが問題の人間族かね? 名は何という?」
「ハジメだ。南雲ハジメ。あんたは?」
南雲の敬意のない言葉遣いに、周囲の亜人が長老に何て態度を! と憤りを見せる。というか長老が来ているのか。
どうということはないと、片手で制すると、エルフの男性も名乗り返した。
「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。さて、お前さんの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。〝解放者〟とは何処で知った?」
「うん? オルクス大迷宮の奈落の底、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家だ」
純粋に興味で尋ねているように見えるアルフレリック長老。
「ふむ、奈落の底か……聞いたことがないがな……証明できるか?」
どうやって証明しようか?と南雲は頭を捻る。
するとユエが一つ提案をした。
「……ハジメ、魔石とかオルクスの遺品は?」
「ああ! そうだな、それなら……」
納得して、宝物庫から純度の高い魔石を取り出した。
「こ、これは……こんな純度の魔石、見たことがないぞ……」
アルフレリックも驚いていてたが、隣の虎の亜人は驚愕の面持ちで思わず声を上げた。
「後は、これ。一応、オルクスが付けていた指輪なんだが……」
スッと指輪を見せるとどうやら得心がいったようだ。
「なるほど……確かに、お前さんはオスカー・オルクスの隠れ家にたどり着いたようだ。他にも色々気になるところはあるが……よかろう。取り敢えずフェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな」
大きく事が動き出そうとしていた。
!マークってエクスクラメーションマークというそうです。
世界で一番短い手紙は?と!だそうで、「レ・ミゼラブル」の売れ行きが気になったヴィクトル・ユーゴーが編集者に?と出したら、売れてますよと!が帰ってきたそう。
よく意思疎通できたなって思いました。