ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
もしかするとアスクレピオス要素が容姿という所だけかもしれませんが、何とか似せていこうと思います。よろしくお願いします。
──人よ、人類よ。
受け継げ。そして、切り拓かれた道を歩め。
今の不出来を恐れる必要はない。
優れているものを排するのは愚の骨頂だが、不出来なものを排するのも同様だ。
常に進化を続けるものは、未来より常に不出来だとも言えるのだから。
人の世の医術というものがこの医神の高みに至れば、全体として先に進めば、もはや何も恐れる事などない。
自分はかつて死を克服した。その領域にも──人は至れるだろうか。
──ー
最近、不思議な夢をよく見る。
広々とした楽園を歩き続ける夢、何処の誰かも知らない人達を看病する夢、そして今日は誰かに告げられた夢だった。
偶然なのかは分からないが、それらの夢は1つの物語のように繋がっているようにも思えた。
思い出すだけでも不気味だが、夢を見た後で特に自分の身に起こったというのがないので、更に気味が悪い。
……とりあえず今日は休日だ。早く朝食を済まして散歩にでも行くとするか。
「おはよう、母さん」
「ん、飛鳥おはよ〜」
リビングに顔を出してすぐに母親に挨拶をすると、キッチンから無気力な返事が聞こえた。
母さんは看護師として患者と接する仕事をしているから、普段優しい声音で会話をしているのだが、僕からするとその声音どころか雰囲気そのものが何を考えてるのか分からない、馬鹿っぽいと思ってしまう。まあ、こういう人に限って怒らせると半殺しにされそう(例えば首締めとかコブラツイストとかしてきそう)なので禁句としているが。
「……おはようございます」
「……ああ」
一方、ソファーに座って硬い表情で新聞を読み耽っている父親は、すこやか市では有名な医者だ。
どんな患者でも真面目に向き合い、治療をこなすことでとても頼りにされているが、最近の父さんのこういった愛想のない態度には非常に気に入らないでいる。
というのも、ある一件が原因で互いに距離を置いているのだが、別に話す事もないので構わないというのが僕の本音だ。
母さんは勿論、僕と父さんの関係に気づいているらしいが、無理矢理関係を戻そうとせず、そっとしてくれている。気遣いがとても良くて安心する。僕はそれ以降何も言わずに椅子に座る。
「そういえば、明日から転校生が来るんだってね」
「そうなんだ」
朝食のパンを一口齧ると、母さんがぽろっと話題を取り上げる。
明日から新学期が始まるのだが、その時に僕のクラスに1人生徒が増えるらしい。どうでもいいな、と興味無さそうに話を受け流す。
「それより、この後散歩がてら出掛けるんだけど、そのついでに買い物行ってこようか?」
「あら本当?でも足りない物あるかなー??」
────ー
1時間後、母さんから渡されたメモをポケットに入れて外へ出た。
雲1つ姿を見せない程の快晴、今日は正に散歩日和という日だ。
そんな広がる青空の下で、僕は再度渡されたメモを確認する。
「うわ、キッツ……」
そこには内容を一から読むのが面倒になる程にぎっしりと詰まっていた。
足りない物あるかなーとか言ってたけど、むしろ足りない物ばかりじゃん。しかも追伸なのか知らないけど『忘れたら許さないぞ☆お母さんより』と右下に小さく書いてあるし。僕が買い出しに行くのが珍しいからって初めてのおつかいじゃないんだから……。
まあどうせ母さん達が仕事から帰って来るの夜頃だし、しばらくは外の空気を吸っていよう。そんな思いで、いつの間にか公園へと足を運んでいた。
確か、夢で見た光景もこんなんだったな。広々と、周りには花畑のように沢山咲いている──
『メガビョーゲェェェェン!!!!!』
近くの森から地面が揺れる程の叫び声が響き渡る。
声の主に視線を向けると、特撮番組とかで良く見るような怪物があちこちに光線を放って──なんて状況説明してる場合じゃないだろ。
何であんなデカい怪物が森林公園なんかに出没するんだ。そういう逸話とかも聞いたことないぞ。
幻覚ではないかと思ったが、周りの人達が悲鳴を上げながら一目散に逃げていることで、その考えは数秒でかき消された。僕も安全な場所へと逃げ出して行く。
「こっちよ!どこ行くの!?」
公園の外に出ようとしたところで僕はふと足を止める。
「だって、まだあっちにワンちゃんいたもん!このままだと怪物に食べられちゃうよ〜!」
犬なら普通は野生であっても危険を感じて離れるはずだが、少年の言い分だと何か異常が起きたんだろう。
だが、その子の親は自分が助からなきゃ意味がない、と言って少年を強引に連れ戻した。当然だ。命の重みも理解できない子供に、誰かを助けるなんて出来やしない。
それでも、僕は──
「あの……!」
森の中へと探しに向かおうとした時、背後にいた少女が精一杯に僕を呼び止めた。
「ワンちゃん、探しに行くんですよね?私も一緒に探させてください!」
複数人で探す程遠くへは行っていないと思うが、どちらにしろその方が効率が良いだろう。僕は何も言葉を発さず、小さく頷いてから森の中へと駆け出す。少女も続いて走り始めた。
「……あ、いた!」
案の定、森に入ってすぐの所に、小犬が倒れている姿を見つける。
やはり、何処か怪我したのだろうか。周りに変なぬいぐるみみたいな小動物が数匹突っ立っているが、御構い無しに小犬の元へと駆けつけ、症状を確認する。
「……かなりの高熱だな。こんな所でぶっ倒れるなんて運が悪いことこの上ないぞ」
「あの、貴方達はお医者さんラビ……?」
「っ!」
こいつら、普通に喋れるのかよ。森の妖精なのか未確認生物なのかは知らないが、僕はチビうさぎの質問に素直に答える。
「残念ながら医者じゃない。それより、早くこいつを病院に連れて……」
「病院じゃダメニャ!」
小犬を抱えて森を抜けようとしたところを、他のチビ猫とペンギンに呼び止められる。
「ラテ様を治すには、あっちで暴れてるメガビョーゲンを倒して、地球をお手当てしなきゃいけないペエ!」
地球をお手当てって……え、あんなデカいの倒さなきゃいけないの?
魔法使いも地球を救うヒーローもいないのにどうやって……。
「……決めたじゃない。今度は、私の番」
しばらくして、先程からじっとラテを見つめていた少女が立ち上がる。
「ねえ、貴方達はそのお手当ての方法知ってるんだよね?何か私に出来ることはない?」
「は?」
彼女が何に覚悟したのかは知らないが、責任重大かつ危険なことに挑もうとしているのは脳裏に確かに伝わった。
「お前、自分が何しようとしてんのか分かってるのか?」
「分かってます。でも、メガビョーゲンを倒す為にも、出来ることなら何だってやる……!」
「現状分かってないだろ、下手したら死ぬかもしれないんだぞ!」
「それでも放っておけないよ!!!」
葛藤していたあまりに、相手の勢いある返答に言葉が詰まってしまう。
「この子が、こんなに苦しんでいるのに……」
「それはそうだけど……」
僕だってラテを助けたいという気持ちは同じだ。
だが、あの怪物に立ち向かうという行動に『分かった、行っておいで』なんて言える訳がない。
「私のやろうとしている事がどれだけ危険なことなのか、ちゃんと分かってます。貴方が私を心配していることも、ちゃんと伝わってます。それでも、私は誰かの役に立ちたいんです。だから、行かせてください!」
もう、何も反論は出来ない。
これ以上何を言っても彼女の思いは変わらないだろう。僕の言いたいことが全部伝わっている上であんなことを言い出しているんだから、もうお手上げだ。
後は、どうやってあいつを倒すのかが問題だが……。
「私はラビリン。貴女の名前は……?」
「……のどか。花寺のどか」
「のどか、貴女の想いは伝わったラビ。ラビリンと一緒にプリキュアになるラビ!」
「ありがとう……えっ、プリキュア?」
『プリキュアになる』という言葉から、魔法少女だか何だかに変身するだろうとは思うが、どちらにしろ聞き覚えのない言葉にのどかも僕も首を傾げる。
すると突然、ラビリンの両手の肉球からピンクの光が放たれたのと同時に、おもちゃ売り場で良く売ってそうな魔法のステッキのような物が出現する。
「このエレメントボトルをヒーリングステッキにセットするラビ!」
「分かった!」
『プリキュア・オペレーション!』
掛け声と派手な演出と共に、のどかの衣装等が変化していく。
その前にラビリンが「スタート!」とか言って変身しようとしていたので、幻獣とかのようにかっこよくなるのかと思いきやただステッキの中に乗り移っただけだったので、少し期待して損した。
「「重なる二つの花!」」
「キュアグレース!」
「ラビ!」
「って、ふわぁ〜、これどうやって着替えたの!?」
いや着眼点そこかよ。
思わず心の中でツッコんでしまったが、確かに僅か30秒ほどで別人のように変わり果てた姿となってしまったことには、僕も動揺を隠せないでいた。
「それじゃあ……えっと、お名前聞いても良いですか?」
「今聞くのかよ……神医飛鳥だ」
「じゃあ飛鳥さん、行ってきます……!」
「……頼んだぞ。キュアグレース」
今の僕は、先程の怒鳴り声を上げていた時とは正反対に、何処か安心感を覚えている。
それは、花寺のどかという少女を心から信じているからだろう。たった一匹の縁のない子犬の為に何故ここまで必死になれるのか不思議に思うが、今このすこやか市を救えるのは彼女しかいないと痛感した。
グレースとラビリンがこの場を後にして、僕は更に苦しくなったのか、震え始めたラテを一先ず温かい場所へと誘導する。
「メガビョーゲンを倒さないとずっと苦しいままって、大層な重荷を背負われてるんだな」
ラテの頭や首筋を優しく撫でる。
仕草にぎこちなさが残っているのを見る限り、まだ赤ちゃんと言うくらいに幼いのだろう。それなのに、これだけ体が熱くなっても苦しみに耐えようとしている。
……僕のやったことは間違っていただろうか。
もしかしたら、僕が抱いていた心配や不安は余計にのどかを困らせたのかもしれない。
とは言っても、まさか目の前にいた彼女が変わり果てた姿に変身するなんて思いもしないことが起こったんだから多少は大目に見て欲しいものだが、少し感情を強くぶつけてしまったことには後で謝ろう。
数分後
「飛鳥さーん、メガビョーゲン浄化出来ました〜!」
「早っ、てか何でそんなテンション高いの……」
満面の笑みでこちらに駆け寄る彼女の目には、僕の唖然とした表情なんて見えていなさそうだった。
飛鳥のお母さんの性格はアルテミス叔母__お姉さんのような人と思っていただけたらと思います。
本当はアニメが終わったと同時に投稿しようと目標を掲げていたので焦りで滅茶苦茶な文章になりかけていると思いますが、今回は飛鳥の性格を少しでも把握していただけたら幸いです。