ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
それと、レクイエムコラボお疲れさまでした!自分はイベが今日で終わることを昨日知って徹夜気味にストーリーだったりエリセ育成だったりやってました、しんどかったです…。
ラスベガス復刻ももう始まってるってことなので、獅子王と沖田さん狙いで頑張ります。(ちなみに去年はカーミラさんとラムダ引けました)
前置きが長くなりました、それではどうぞ。
こうして春の大会は当日を迎える。
観客席には陸上部の後輩は勿論、多くの地元の人たちが応援に駆け付けていた。
上級生の中にはこの大会が大勝負という人も少なくないだろうから、その分注目が集められているのだろう。
そして、観客席の目の前で行われているハイジャンプでは、もうすぐちゆの出番を迎えるところまで迫っていた。のどかは横断幕を広げて応援の準備を始める。
「やっぱり目立つ……」
「あ、あはは~、気にしない気にしない~……」
そんなこと言われても、その横断幕から伝わる違和感を拭うことなんて僕には難しかった。
傍から見れば「目指せ!限界突破!」と書かれたごく普通の応援道具なのだが、良く見ると「破」の部首の辺りがとても歪な形になっている。
というのも、ニャトランが「波」と間違えてしまい、それをひなたが雑に修正したおかげでこうなった訳である。
「(私なら……行ける!)」
そんな横断幕を見つけたちゆは、微笑んでのどか達に返事を送った。いよいよ出番の時だ。
途端にスイッチが切り替えて、跳ぶ態勢に入る。そして、始まりのホイッスルが鳴って跳び始めようとした時……
「くちゅん!」
突然、ラテの具合が悪化し始めた。
更に、僕らの目の前でメガビョーゲンが最悪のタイミングで出現した。観客も出場者も一斉にこの場から逃げていく。
「今日の為に皆必死で努力してきたのよ!それを台無しにするなんて……!」
困惑から怒りへと感情を変えるちゆ。人の努力を踏みにじったのだから当然のことだ。
僕達は急いでプリキュアへと変身する。
「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」
「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!!」」
「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」
「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」
「「「地球をお手当!ヒーリングっど♥プリキュア!!」」」
「さて、オペを始めようか」
それぞれプリキュアに変身したところで、メガビョーゲンはすぐさま攻撃を仕掛け始めた。しかし、身体が重いせいなのか、その動きは鈍い。三人は一斉に回避して顔面へと同時にカウンターを繰り出す。
行動が鈍いのであれば、とっとと始末してしまおう。そう思った僕は技を放つ態勢に入った。
「「キュアスキャン!!」」
メガビョーゲンが怯んだところで、グレースは体内に潜むエレメントさんを捜索する。
「氷のエレメントさんラビ!」
「場所は右肩!」
だが、動きが鈍いとはいえ、メガビョーゲンもプリキュアの思い道理にはさせてはくれない。すぐに立ち上がって反撃を仕掛ける。
「おい、固まるな。散れ」
怪物の腕を大きく振りかぶる仕草に危険を感じた僕の指示に、三人は素早く反応して攻撃を避けた。
威力の高い攻撃を繰り出した分、隙が丸見えになったこと。僕は決して見逃さなかった。
「すぐに終わらせる……!」
『
「そんな簡単に終わる訳ないじゃん……」
「メガアァ!!」
強力な波動の中で、メガビョーゲンは雄叫びを上げ始めた。
……ダルイゼンの言う通り、簡単に事は済まないそうだ。
「何これ、壁……?」
メガビョーゲンの周りには、大技を受けた反動で若干溶けかけている氷の障壁のような物が作られていて、それをブレスで修復していた。
「でも、全部囲ったらあっちからも攻撃出来ないんじゃ……キャア!」
メガビョーゲンも自らデメリットを作る程の脳筋ではないようだ。
氷の壁を拳で叩きつけ、飛び散った破片で攻撃していく。これでは迂闊に近づけられない。その上……
「力が、出ない……」
先程ので派手に力を消費してしまったものだから、杖を拾えない程に身体が悲鳴をあげてしまっている。
「あれ、どうしたの?もしかして、身体動けないの?」
「あ……?」
そんな観客席で膝をついている僕の元に、ダルイゼンが皮肉めいた声で近寄ってくる。
「何も考えないであんなの使うからだよ。いくらあいつが鈍いからって嘗めてかかり過ぎ」
「ラピウス……!」
メガビョーゲンの攻撃を受けながら、僕の危険を察知したグレース。
……ムカつくが、確かにあいつが薄鈍だからと気を早くしすぎたので、何も言えないでいた。
「せっかくだからこのまま片付けるか、じゃあn「ダメー!」」
右手にエネルギー弾を作って僕を始末しようとするダルイゼンの前に、グレースが仁王立ちをして飛び出してきた。
「……どいてよ、邪魔だから」
「何で……」
「は?」
「何でこんな酷いことするの!?」
「酷い?何が」
「地球を病気にして、皆んなを苦しめることだよ!」
そんなグレースの悲痛な叫びに、ダルイゼンは嘲笑うかのように答える。
「決まってるだろ。俺はその方が居心地が良いからさ」
「自分さえ良ければいいの!?」
「いいけど?」
人々の苦痛が自身の欲望の為だというダルイゼンの意見に、グレースは戸惑いを隠せない。自分がどうなってもいい、なんて思う人間がいるとは思わなかったのだろう。
「グレース、安心しろ……」
だが、僕はグレースの肩にそっと手を置く。
瀕死状態で苦しい表情ではなく、何かを悟ったような安堵の表情をしながら。
「一つだけ言っておくぞ、ダルイゼン」
「あ……?」
急に何を言い出すんだこいつは、と言わんばかりのダルイゼンの背後には、黒く不気味な巨体の影が呼吸を荒くしながら接近してくる。
「この世界を、甘く見ない方が良い」
「グシャアアァァァァ!!!!!」
「なっ……!?」
「えっ……!?」
地面が轟く程の雄叫びと共に、ダルイゼン目掛けて突進していく巨大な蛇。敵が何度も避けるが、腹をすかした蛇は狙った標的を逃そうともしない。
今までは影として存在していたので、見えていなかったグレース達は驚きを隠せないでいた。
「こいつ、まさか……メガビョーゲン!」
フォンテーヌ達の撃退に手こずっていたメガビョーゲンは主人の危険を察知し、背後から蛇の尻尾を掴もうとする。
しかし蛇自身にも身の危険を感じたのか、掴もうとした手を尻尾でふり振り払い、その振り向き様に全身を込めてメガビョーゲンの身体に叩きつける。
メガビョーゲンは体勢を崩し、その反動で氷の障壁が砕け散り、隙が丸見えな状態となった。
「今だ、フォンテーヌ……!」
「……分かったわ!」
あまりに一瞬の出来事の情報量が多すぎるせいで戸惑いを隠せないでいるも、フォンテーヌは僕の合図にすぐに答える。
……ちなみに、スパークルはもはや何が起こってるのか分からず素っ頓狂な顔をしていた。そうなる気持ちも分からなくもない。
『プリキュア・ヒーリングストリーム!!!』
『ヒーリングッバイ……』
「「お大事に」」
今回はいつもよりは手こずったものの、無事にエレメントさんを救出しメガビョーゲンを浄化することが出来た。
「ハァ……プリキュア、意外とやるじゃん」
間一髪助かったものの、体力をかなり消耗したダルイゼン。
だが、彼は機嫌が損なうことなくプリキュアを見つめながらこの場を去っていった。
「ねえ、さっきのって……」
プリキュアの変身を解くと、いつの間にか蛇も消えていた。
「確信はないけど、あれの化身だろうな」
そう言って近くで放り出されているラピウスの杖を指差す。
一応ヒーリングステッキに似た武器だろうが、あいつ自身はヒーリングアニマルではなさそうだ。あんなおぞましいヒーリングアニマルがいてたまるか。
「私達のことは狙おうとはしなかったけど……」
あいつは本来は僕の指示で動いているから、ちゃんと敵味方の区別がついているのだろうか。まあ、せめて僕達が味方とだけでも認識して欲しいものだ。
「それにしても、大会は残念なことになっちゃったね」
「今日の為に皆頑張ってきたのに……」
横断幕や応援の小道具が散乱する観客席。
グラウンド一面に散らかるハイジャンプのバーやハードル等々。
陸上部の努力の糧が、たった一瞬で台無しになってしまった。
そんな中で、ポツンと綺麗にハイジャンプのバーとマットが一つずつ放置されていた。
「……ん」
そのバーを一人の少女が勢いよく駆け出し…………。
華麗に跳んで見せたのだ。
「ちゆちゃ──ん!!」
「ちゆち──!!」
昨日まで失敗ばかり続いて跳ぶことが出来ないでいたちゆが、努力の成果を発揮する舞台で、見事に新記録を決めてみせた。
のどか達に飛びつかれるまでは空を眺めて放心状態となっていたものの、私は本当に跳べたんだと、喜びよりかは安堵の表情だ。
新記録なんだからもっと喜べと思ったけど、そもそも跳べたことに喜びを感じているらしい。
「ちゆ、カッコ良かったペエ!もう大丈夫ペエね」
「うん、皆んなのお陰でね!」
海と空が溶け合った青一色の世界に近づきたい。
そんな夢に行き届くのは、まだ先の話かもしれない。
それでも、自分の限界を超えて成し遂げたものは成長への一歩を歩めたはずだ。
だから、今は皆とその喜びを分かち合おう。
タイトルの波もニャトランのせいです。
ラテ脱走回を省いてしまったので、またも忘れ物をドンと叩きつけようと思った結果、ラピウスが完全にこのすばのめぐみんと化してしまいました。ちゃんと理由があるんで許して!
という訳で次回はかわいい大作戦ですね、のどか達はもちろん飛鳥もとことん振り回していきますよ。
それではまた~