ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
今日ものどか達にお呼ばれして、花寺宅へと訪れたわけだが、
「んー……」
「おお、背筋ピーンってなってる」
「飛鳥って意外と体柔らかいのね」
その道中でトレーニングとして軽く走り込んだ為、身体を解そうとストレッチを念入りに行っていた。長座体前屈のように両手を伸ばしながら上半身を前に倒すやつだが、手の指先が爪先にまで行き届いた瞬間、周囲からはこのような反応をされていた。
僕からすれば、これは普通のことだ。というか、大体の男子は極端に体が硬くない限りはここまでの柔軟性はあると思う。なので、この手の返答が難しくて困ってしまう。それと二人して背中を触るな、くすぐったい。
「それではこれより、プリキュア緊急ミーティングを始めたいと思うラビ!」
と、そうこうしている内にようやく本題へと入りそうだ。その根拠に、ラビリンがちょこんとベッドの上で佇んでいた。
「何を話し合うの?」
「あれだ!プリキュアの魅力~とか、好きなところ語り合う~とか?」
「違うラビ!もっと真面目なミーティングラビ!」
「真面目なミーティングって何だ?」
「この前戦ったメガビョーゲンのこと、覚えてるラビ?」
恐らく、最後に戦った奴のことを指しているのだろう。成長したということもあって、今まで戦ったメガビョーゲンの中では桁違いに強かった。
お手当に時間が掛かればその分、メガビョーゲンは強化されていく。今後も今回の事例と同等のことが起こるかもしれないので、それをどう避けるべきか。
「メガビョーゲンの浄化には、一刻も早くするしかないわね」
「え、でもさ、この前三人で出した技とラピウスが出した技……えっと何だっけ」
「プリキュア・ヒーリングオアシスと……」
「
「そうそう!あれでメガビョーゲンをバーンって撃ってドーンって浄化したじゃん」
「ヒーリングオアシスを出すポイントは?」
「三人揃って出すことよね」
「その通りラビ」
つまり、僕達のチームワークがより重要視されるということか。
「でも、どうやって?」
「その……特訓しかないかなってことになったペエ」
「特訓!?」
「名付けて、プリキュア・チームビルディング大作戦ラビ!」
「ふわぁ~、大作戦!?私、特訓なんて初めて~!」
……どうせロクなことにならないだろうと大方推測出来るが、水族館の時のようなお互いの関係性が深まるといった事例もあるし、のどかもまた初めてのことでワクワクしているので仕方なく付き合うことにした。
────ー
メガビョーゲンは完全体へと成長すると、新たな生命を宿す為の『種』を放出するというのを耳にしたことがある。
『合わせたい者がいる』
前回はプリキュアとの勝負には負けたものの、今後に繋がる成果は得られたらしい。我らが主が突如姿を見せたのでそう感じただけだが。
「ちーっす!」
と、背後から陽気な声を上げながらスタスタと靴音を立てる音が響き渡る。
「キングビョーゲン様!只今参上っす!」
『来たか、バテテモーダ』
金髪のトサカのような髪型に、目元には凶悪さが際立つオレンジの隈取り。そして姿形はネズミの獣人と言うべきだろう。
バテテモーダと呼ばれた男はキングビョーゲン様に軽々しく手を振って挨拶をした後、他の面々にも声を掛けようと近寄っていく。
「ども〜!ダルイゼン兄貴!」
「兄貴……」
「随分とお調子者ね」
「そこはその、急成長の注目若手って事で大目に見て下さいな〜。ねっ、シンドイーネ姐さん!」
「アンタに姐さん呼ばわりされる覚えはないわよ!」
「呼ばせて下さいな〜!見目麗しいかな、シンドイーネ姐さんの類稀なる美貌!輝かしいかな、グアイワル先輩の明晰なる頭脳!誇らしいかな、ダルイゼン兄貴の沈着にして冷静なるハート!そして!!」
バテテモーダの言葉に三人が次々と絡めとられる中、ついに矛先はキロンの方へと向く。
「噂には聞いてますよ。キロン先生の遥か遠くの敵をも打ち抜く心眼と迅速で強烈な攻撃力!」
「ほう、先生……ですか」
彼の場合、他の者のように簡単に丸め込まれてはいないようだ。それよりかは、以前にも同じ呼ばれ方をされていたのか、何処か懐かしく感じていた。
「自分も、皆様のようにバリバリ地球を蝕みたいっすよ〜!」
『ではバテテモーダ、早速だがお前に仕事を与える。行くが良い』
「と思ったら即座に出番キターッ!感謝するっす、キングビョーゲン様!」
見た目通りに忙しいバテテモーダは、感激しながら出撃の準備へと進めていく。
「まずはこのバテテモーダの初舞台!特とご笑覧あれ!」
──ー
「ここで特訓するの?」
特訓すると聞いてのどか達とやって来た場所は、人の気配が全くない採石場。何故こんな危険性がある場所をチョイスしたのかは分からないが、あまり気にしないでおこう。
「滝に打たれるとかじゃなくて?」
「階段をうさぎ跳びで登ったり……」
「綱渡り、とかしないよね?」
「チームワークの特訓だろ……?」
それぞれが思い浮かんだものをラビリンが全てかき消していく。
「その通りラビ!」
「テーマは以心伝心ペエ!」
「心と心を伝え合うラビ」
「テレパシーを使えるようになるってこと?ってそれ無理芸!」
「違うニャ!言葉がなくても、お互いの考えてることが分かれば連携が取りやすいだろ?」
お互いの心を読み合うことが出来れば良いというのは理解出来る。しかし、
「どうやってお互いに分かるようにするの?」
「例えばこうラビ」
そう言うと、ラビリンはニャトランを引き連れて手本を見せようと面と向かう。すると、大きく体で行動を伝え合った後、真正面から走り出した。やがてお互いがぶつかりそうになる所を、ラビリンは飛び込んで転がり、その上をニャトランが飛び越えていく。
「ふわぁ~、何かかっこいい!」
「心が通じ合ってる感じ、するする~!」
二人が褒めることで、手本その2としてもう一度見せようと指定の位置につく。再び体を大きく使って通じ合ったことを把握して走り出すが、今度はお互いに飛び込んでしまい、制御出来ずにぶつかってしまった。
「おい!何でこっち向かって来るんだよ!」
「ラビリンがそっちに走るから、ニャトランはバックステップで下がってからラビリンの上を飛び越えてって言ったんだラビ!」
「違う違う!俺が飛び込んで転がるから、その上をラビリンが飛び越えるんだぞ!」
「まあ、このようなことにならないようしっかりと特訓するペエ」
というより、この特訓は怪我するし今のように喧嘩も起こり得るかもしないしでやらない方が良いのではと思えてくる。
「だったら、ジェスチャーゲームでもしてみるか」
ゲーム感覚の物となってしまうが、心を読み合うことに関してはこれが妥当だと思う。
他からは特に異論はないということで、早速ちゆが表現者役となって進行していく。
「お題はこれペエ」
ちゆは与えられた内容を把握すると、大きく身振り手振りを始めた。
「しっかり見て、考えれば分かるはずラビ」
ちゆから見て右側を指差し、次に自分自身を指差す。両腕を上に伸ばして体を大きく揺らし、駆け寄るような仕草を見せる。一連の流れとしてはこんな所か……うん、簡単だ。でも、のどかとひなたが答えるまでは敢えて答えないことにする。
「……分かった!『おっす、俺沢泉ちゆ!温泉が大好きな中学二年生!!』」
「外れニャ」
「ちゆは俺とか言わないペエ」
「う~~~ん…………あ、はい!『こんにちは、沢泉ちゆです。温泉がだーいすきな中学二年生!』」
……これは大喜利か何かか?
のどかに至っては深く考えた結果、前の答えと何一つ変わってないし。これ以上待っても仕方ないので、さっさと答えてしまおう。
「『右側を攻めて。私がメガビョーゲンを引き付ける』」
「正解!」
「え~全然分かんないよ~」
僕以外の誰一人ジェスチャーが伝わらなかったことに落胆するちゆ。特訓の主旨を考えれば分かることだとは思うのだが。まあでも、このお題は実戦でないと難しいかもしれないとも捉えられる。
次は猫、ペンギン、うさぎと動物の真似を次々にやっていくというお題。しかし、
「……全然合わないな」
それぞれイメージしているものが異なっている為に、中々合わないでいた。
「いや、そもそも飛鳥は何一つやってないラビ!!」
「ずっとやってるだろうが…………心の中で」
第一、僕がこれをやってるという構図を思い浮かべてみろ。地獄絵図どころか本当に地獄に連れて行くことになるぞ。
すると、ヒーリングアニマル達は他に特訓に使えるものがないか探る為にヒーリングルームバッグの中へと入って行った。
「ドミノ倒し。チームワークと忍耐力の強化に有効かも知れないラビ」
「ラビリン、本当にこれでいいペエ?」
「確かに、ひなた達疲れてたよな」
「こんなこと続けて、逆に皆の気持ちがバラバラになっちゃったら……」
プリキュア達の気持ちに乱れが生じてしまったら、お手当も上手くいかなくなったしまうかもしれない。失敗を続いているこの特訓にそんな不安を抱いてしまったペギタンとニャトラン。それはラビリンも理解してるようで、同じく顔を曇らせていた。
「……本当は、プリキュアの手を借りずにラビリン達だけで地球のお手当てが出来れば、それが一番ラビ。だけど」
「俺達だけじゃビョーゲンズを浄化出来ない……」
「それに、この前の強くなったメガビョーゲンと戦った時、4人共ボロボロで苦しそうで……あんな辛そうな目にはもう合わせたく無いラビ」
自分達が非力なばかりに、のどか達に大変な思いをさせてしまっている。その罪悪感に駆られているせいか、今のこの状況に焦りを感じていた。そんなラビリンにペギタンとニャトランはどうしたものかと悩み始める。
「よし、まずは3人の事を励まそう!絶対に出来るって!」
今出来なくとも、これから出来るようになればいい。ニャトランの前向きな意見に賛同し、勇気づけようと皆の所へと戻っていく。
「のどかはスイカで、ちゆはそうめん……。いや、ひなたは何で蜜柑なんだ」
「え、だって夏蜜柑って言うじゃん」
「あれ蜜柑というか橙……」
失敗続きで落ち込んでると思っていたが、僕達は『夏が旬の食べ物といえば?』というお題で意思疎通ゲームに挑戦していた。
「緊張感ゼロペエ……」
「大丈夫かニャ……?」
「不安しかないラビ……」
のどか達の何も気にせずに楽しんでいる姿に、ヒーリングアニマル達は深く考え込み過ぎてしまったという後悔と、先程とはまた別の不安を抱き始めていた。
「クチュン!」
「ラテ!?」
その時、突然ラテがくしゃみをし始める。こんな何もない土地にまでビョーゲンズが現れたのか……。
大きな車の中で小さな石が泣いているとのことだが、すぐにその場へ向かうとショベルカーの形をしたメガビョーゲンが石を投げ飛ばして暴れていた。僕達はすぐさま変身する。
「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」
「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!!」」
「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」
「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」
「「「地球をお手当!ヒーリングっど♡プリキュア!」」」
「さて、オペを始めようか」
「「「ハアァァ!」」」
グレース達は上空から跳び上がって一斉に攻撃を仕掛けようとする。
一方で、僕はある違和感とぶつかっていた。それは、付近にビョーゲンズの幹部の姿が見当たらないこと。いつもならば、メガビョーゲンの側で小言を吐いているはず……。
「……下がれ!」
「「「きゃあ!?」」」
僕が気付いた時にはもう遅かった。何者かが攻撃するグレース達の前を横入りし、薙ぎ払うように攻撃していった。
「今の何!?」
「新キャラって奴か……?」
僕達の前に現れたのは、見慣れた三人の誰でもなく見たこともない奴だ。どうやら本当に新キャラとやららしい。
「ちぃーっす!アンタ達がプリキュアっすか!初めてまっして〜!」
「だ、誰ニャ?」
ヒーリングアニマルであるニャトランでさえも分からない敵に、一同は困惑している。
「はいはいは〜い!自己紹介します!自分、この度ビョーゲンズ注目若手として新登場したバテテモーダっす!」
注目若手というのに少し引っかかるが、あいつの陽気過ぎる態度が僕にとって少し気に食わない。
「つーわけでしくよろ、プリキュアさん!そして多分さようなら。だって自分、あんたらに負ける気がしないんで」
「そうかい」
そう淡々と答えると、蛇の化身を召喚してバテテモーダを拘束する。僕が多少怒りを露わにしていることもあってか、かなりキツめに縛り上げている。
「少し黙ってろ、お前は後だ」
「成る程ねぇ……けど、やっぱ負ける気しないっすわ。何故って?自分強いから」
僕の能力を理解したのか、おちゃらけた態度から一変して凶悪な表情へと変わると力尽くで拘束を解いていった。
「バテテモーダオンステージ開幕!」
そしてそのままグレース達を跳ね除き、真正面から僕の方へと突っ込んでくる。
「自ら戦う奴なんて一人で十分だって言ってんだ、引っ込んでろ」
「いやいや、そういうわけにはいかないっしょ。見てるだけなんてつまんねえじゃん!」
「ぐぅ……っ!」
「ラピウス!」
バックステップで距離を取りながらカウンターを狙おうとしたが、バテテモーダはその隙を跳び蹴りで逃さず狩っていく。まともにダメージを喰らうと、その反動で岩場へと飛ばされていく。
「やっぱ自分から盛り上げていかないと!」
バテテモーダの次の矛先はスパークルへ。空高く跳んで壁に着地すると、その勢いで壁を蹴って攻撃を仕掛けていく。奴のアクロバティックな戦い方に困惑するも、スパークルは防御しながら反撃を試みる。
「おほ〜、楽しい楽しい!思った以上にパワーあるっすねえ!」
バテテモーダが後退したのを見計らってフォンテーヌが拳を突き上げる。その後にスパークルも加勢に入るも、双方の攻撃は片腕で受け止められていた。
「でも、効かないんすよ!何故って?自分の方が……強いから!!」
「「きゃあぁ!!」」
「スパークル!フォンテーヌ!」
攻めてきた二人を後退させようとしないかのように、受けた攻撃を倍にして返すように全身に力一杯込めて二人を弾き飛ばした。
「あらら、もうちょっと盛り上げていきましょうよ~!」
四人掛かりで相手しても余裕な表情のバテテモーダ。その後ろでは、メガビョーゲンが壁や地面を削り取って一面を蝕んでいた。流石に目の前の敵に意識し過ぎたか、怪物が段々成長してきているのを感じた。
「……もういい、先にメガビョーゲンを仕留めるぞ」
「う、うん。分かった!」
「「キュアスキャン!」」
僕の指示にグレースは応え、キュアスキャンで宝石のエレメントさんを見つけ出す。早急に救出するために、すぐにメガビョーゲンに向かって走り出し、攻撃をしようとする。しかし
「い〜れて!」
「きゃあぁ!!」
「なっ……!」
やはり簡単には浄化させてはくれない。バテテモーダは背後から横槍を入れるように不意をついて、こちらに目掛けて思いっきり蹴り飛ばした。蛇を使ってグレースを受け止めようとするも、尋常じゃない落下速度により間に合わず、一緒に地面に叩きつけられてしまう。
「グレース、ラピウスしっかりラビ!」
「い、った……ラピウス大丈夫?」
グレースはゆっくりと身体を起こすと、下敷きとなってしまった僕の腕を引っ張って上体を起こさせる。叩きつけられた衝撃で足元が一瞬ふらついたが、すぐに体勢を立て直す。
「勝てる気しないっしょ!?何故かって?自分が負ける気しないから!!」
四人のプリキュア相手だろうと構わず、強靭なパワーで押し潰す。今までのビョーゲンズの幹部……キロンに関しては例外ではあるものの、ここまで積極的に戦いの渦に飛び込んで加勢するような行動はしない。その上、ああやって減らず口を叩いている辺り、恐らくまだ本気は出してはいないんだろう。
「……チッ、調子に乗りやがって」
そう舌打ちしながら、ゆっくりと敵に歩み寄る。
確かに、バテテモーダは強い。キロンにも劣らずの強さであることもほぼ確実だ。
でも、だからこそこいつを『強敵』と認めたくはなかった。
「勝てる勝てないじゃなくて、絶対に勝つ。まだ諦めない限り、お前達には絶対に勝ってみせる。それがプリキュアだ」
僕はあの男に誓った。もっと、もっと強くなって再び戦いを挑みに行くことを。そして僕達は誓った。キュアグレース 、キュアフォンテーヌ、キュアスパークル、キュアラピウスの4人で地球をお手当し続けることを。
だから、その為にも……お前は邪魔だ。
「だったら、幾らやっても無駄ってことを────へ?」
『諦めない』という言葉に苛ついたのか、バテテモーダは声を荒げながらこちらへ猛進する。
しかし、この行為に及んだ瞬間、奴はもう僕の策略にハマっていたのだ。
僕は近づいてくる敵から後ろに引いた後、前回授かったクロスボウを装備し、銃口を相手の額に向ける。相手からは攻撃を喰らわない、相手に絶対に避けられない絶妙な距離を取った。
「『
「爆発までするなんて聞いてないってぇぇぇぇぇ!!!」
銃口から放たれた矢は見事に命中。しかし、その矢が当たったことで同時に放出される衝撃波の方が勝ってしまい、バテテモーダは吹き飛ばされ、メガビョーゲンとぶつかり横転する羽目にまで至った。一方、僕も撃ったことによる反動で数歩ばかり蹌踉けるように後退りする。
「やべっ……!」
「今の内にミラクルヒーリングボトルラビ!」
嫌な予感を感知した時にはもう遅い。ラビリンの指示と同時に三人はミラクルヒーリングボトルを取り出してヒーリングオアシスを繰り出す体勢に入った。
「「「トリプルハートチャージ!」」」
「「「届け!癒しの!パワー!」」」
「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」
「ヒーリングッバ〜イ」
「「「お大事に」」」
それぞれのヒーリングステッキから重なり合う光線によって、やがて宝石のエレメントさんを救出し、メガビョーゲンは浄化していった。
「あっはははは!良いじゃん良いじゃん、強いじゃん!やられちゃったぜ、メガビョーゲンちゃん」
救出された宝石のエレメントさんの力によってラテもすっかり元気になった。その傍で、悔しがりながらこの場を去って行ったと思っていたバテテモーダが気持ちのこもっていない拍手をしながらこちらに近寄ってくる。
「笑ってる……何なのあいつ?」
メガビョーゲンがやられたことにむしろ笑いが堪え切れないバテテモーダに、フォンテーヌは若干の冷や汗をかきながらそう呟く。
「ふはははっ!負けたのは自分じゃなくて、メガビョーゲンなんで。ま、今日はこれで引き上げるっす」
今日はこの位で十分だろうと言わんばかりに、気味の悪い余裕の笑顔で答える。それがまた奇妙な雰囲気を醸し出して、不安という緊張感に飲み込まれている感じがして気分が悪い。
「それにしても、戦うのって超楽しいわ」
「戦うのが……楽しい?」
今回の戦いで胸が躍ったバテテモーダから発した言葉に、グレースは我が目を疑う。大抵のビョーゲンズの幹部は主であるキングビョーゲンに尽くす為に活動しているのだと認識していた。しかし、バテテモーダは戦う事や地球を蝕むことに快感を持ち、それらを得る為に……つまり、自分の為だけに活動していた。
「勝ったと思って油断しない方が良いっすよ。注目若手新人、自分で終わりじゃ無いかもよ?」
「何ですって!?」
「この前、あんたらが手こずったメガビョーゲンの事覚えてるっすか?自分、あいつから生まれたんすよね」
「生まれたって!?」
「『新人レギュラービョーゲンズ、バテテモーダ爆誕!』って訳っす!」
手こずったメガビョーゲンとは、前回の植物のような姿をした育ちきっていた奴を指しているのだろう。どういう原理で生まれたのかは分からないが、また新たなメガビョーゲンの秘密が暴かれたような気がする。
「じゃ、また遊びましょう!」
以上の意味深な事実だけを言い残したバテテモーダは、崖の上まで跳び上がると律儀に僕達に挨拶を残してこの場から姿を消していった。
「バテテモーダ……凄く強かった」
「うん……」
ひなたの呟きに、全員が表情を曇らせる。
それに、あれと同等の敵がこれからも出てくるかもしれないとなると、この先のお手当も迅速にやって行かなければならないなど、かなり大変になってくるだろう。
「大丈夫だよ、みんなで力を合わせれば大丈夫!」
「ええ!今日だって力を合わせてメガビョーゲンを浄化出来たもの!」
「そうだな!皆ぴったり息が合ってた!」
「特訓なんてしなくても大丈夫だったペエ!」
「まぁ、ラビリンは最初からそう思ってたラビ!」
のどか達もヒーリングアニマル達も、今回の戦いでしっかり連携を取ることが出来たと褒め称える。確かに、失敗続きの特訓から連携を取れたことは高く評価しても構わないだろう。新しい技を取得したことにより、チームワークが整ってきたのを感じる。
しかし、この中で一人、片腕を強く握り下唇を噛みしめながら不安を抱くものがいることを、僕は見逃さなかった。
そういえば前回のあとがきでオリ回挟むだの言いましたが、後の原作の回で取り入れることにしました。そっちの方が書きやすいかなーと思ったので。
個人的に思ったのですが、恋愛描写って各話に一度は入れた方が良いのでしょうか…?もし入れた方が良いのであれば次回以降入れようとは思うのですが……でも急に入れると何か、ねえ?でもちょっとしたイチャつき描写ならバランス良さそう。まあヒロイン公開してないんで何とも言えないんですがね。
さて次回は勿論ひなた回ですね。ようやく休止前の話を書き終えてホッとしているところです…!
それでは!