ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜   作:ゆぐゆぐ

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伊吹童子(CV.悠木碧)がえっすぎる。


第17節 すこやかフェスティバル

 のどかside

 

 ~神医総合病院~

 

「先生、のどかの検診の結果は……?」

 

 私はお父さんとお母さんと一緒に、私の検診の結果を見守っていた。名前の通り、飛鳥くんのご両親が医師と看護婦をしている病院なのだが、先生は結果の用紙をまじまじと見つめている。凄く真面目な人だなぁと思うけど、怖い人ではなさそうだ。

 

「……異常なしです。全くもって健康ですよ」

 

「本当ですか!?」

 

 お父さん達は不安な表情から一変して明るい表情となる。当然、私もぱあぁっと不安が解消された。

 

「前の病院のカルテを拝見させていただきましたが……君は本当に病気だったのか?」

 

「はい!」

 

「そうか……まあ元気なら何よりです。何も心配はいりませんよ」

 

 そう言って先生は薄っすらではあるが笑みを浮かべる。何処となく飛鳥くんに似ているような気がした。

 

「あぁそれと」

 

 診察室を後にしようというところで、先生は呼び止める。

 

「飛鳥が大変世話になっているそうで。あいつはかなり頑固な奴だが、これからも仲良くしてくれると嬉しい」

 

「は、はい!こちらこそ、いつも飛鳥くんには助けて貰ってます……!」

 

「助けて貰ってる、か……」

 

「あの……」

 

 そうか、と安心そうな声を漏らしながらも表情は何とも言えないという感じに、私はついつい尋ねるも

 

「ん、ああ、何でもない。気にしないでくれ」

 

 スッといつもの表情へと戻った。まるで何か隠しているようだったが、そこで看護婦である飛鳥くんのお母さんが割って入る。

 

「あー、そうだのどかちゃん。今日は商店街でお祭りがあってさ、飛鳥達もいると思うから行ってみたらどうかな?」

 

 そう言って渡してきたのは『すこやかフェスティバル』と名称が書かれた一枚のチラシだった。

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 ~ビョーゲンズキングダム~

 

「ええ!?いいんすか?でもこれ、グアイワル先輩の大事なおやつじゃないっすか〜!」

 

 グアイワルの目の前に置かれているのは禍々しい色をした菓子だ。好物であるそうなのだが、頑なに口に含もうとはせずに後輩にあげようとしていた。

 

「ああ、そうだ。これは俺がず──ーっと取っておいた大切な菓子だ。だが今回は特別に、物凄く特別にお前にやる」

 

「じゃ、遠慮なく」

 

 そう言ってパクッと言葉の通りに頂く。見た目とは裏腹に好みの味だったのか満足そうな表情を浮かべていた。

 

「いいかバテテモーダ。お前には期待しているぞ!」 

 

「任せちゃって下さいよ〜。グアイワル先輩の為なら、例え火の中水の中、洗剤の中っすから〜!……何つってな」

 

「どうした?」

 

「いや、何でも無いっす!では、早速地球を蝕んで来るっす!」

 

 一瞬ではあるが、別の人格が現れたバテテモーダは上機嫌で地球へと移動しようとする。その直前、グアイワルが呼び止める。

 

「今日はお前の出番ではないぞ」

 

「えっ」

 

 今日はバテテモーダの出番ではなく、キロンの出番だ。彼はもう既に地球を蝕みに行っているだろう。

 

「(クソ、ちゃっかり横取りしやがって……!)で、でももし先生に何かあったらのことを考えて念の為同行しに行ってくるっす!」

 

 チッと小さく舌打ちをすると、あれこれ理由を押し付けてやや強引に地球を蝕みに行った。

 

 

 

 

 

 ────ー

 

 

 

 

 

 のどかは皆がいるであろう『すこやかフェスティバル』の会場へと足を運んでいた。様々な店の食べ物を見て美味しそうだなぁと(特にラビリンが)思いながら、やがてちゆとひなたと合流する。ちゆは連休に訪れた大勢のお客様にお菓子の用意をしたり、大浴場の掃除をしていたそうだ。ひなたも店番をしていたりとそれぞれ仕事を頑張っていることに、のどかは凄いなぁと感心していた。

 

「そしてそして、これが大人気のすこやか饅頭!」

 

 ひなたが次々と人気の食べ物を紹介していく中、すこやか饅頭と呼ばれた商品を紹介する。端的に言うなら、にっこりとした絵文字のような顔のついた饅頭である。それを初めて目にしたのどかは面白そうに眺めていた。

 

「こいつの魅力は見た目だけじゃない。六種類の野菜を使っている」

 

「え……?」

 

 そんな三人の元へ、僕はスタスタと歩き始める。それも複数の札束を手に持ちながら。

 

「イチゴ、カボチャ、小松菜などどれも美味くて健康に良い完璧なお菓子だ。という訳で……」

 

『バンッ!』と叩きつけるように札束を店員に差し出す。そしてふうぅと一呼吸をした後に、

 

「全種類、5個ずつください!」

 

「飛鳥くん!?」

 

 などと決め台詞のように言い放った。

 

 他の面々もすこやか饅頭をいくつか購入し、場所を足湯場へと移動して温もりを感じながら召し上がることにした。

 

「「「美味しい~!」」」

 

「こんなお饅頭あったんだ!」

 

「あたし子供の頃からだーい好き!」

 

「それにしても意外だったわ、飛鳥がすこやか饅頭に夢中になるなんて」

 

「毎年の楽しみだからな」

 

 僕が大量のすこやか饅頭を購入した理由としては、単純にこれが大好物だからだ。……見た目はさておき、先程言っていた通り美味であるのは勿論のこと、健康維持の面では完璧と言っても過言ではない。寧ろ、これを口にして不快感を覚える者などいるのだろうか。

 

 とはいえ、だからといって何故ここまで多く買うのか。全六種類の内『イチゴ、カボチャ、小松菜』と例を挙げた三種類の野菜が入った饅頭は普通に店で売っているものだが、その他の三種類はすこフェス限定の品だ。毎年この時にしか味わうことが出来ないのだから、なるべく多く買ってじっくり味を堪能したい。そう言った理由なのである。因みに、ラビリンにもっと食べたいから僕の分も欲しいなどと言われたが、当然これは僕のこの時期唯一の楽しみである故にすぐに拒否したところ、ポカポカと殴られた上にその場で駄々を捏ねられた。

 

「そういえば今日ね、病院で先生にすっごく元気だって言われたの!」

 

 不意に饅頭を食べる手が止まる。この付近で思いつく病院と言ったら父さんの所くらいだろう。彼はすこやか市では有名で評判の良い医師だから別に心配はないが、正直問題はそこではない。 

 

「えっ、本当!のどかっちやったじゃん!」

 

「もう前から元気だったんだけど、お墨付きを貰った感じで嬉しくて……!私、この街に引っ越して来て更にパワーアップしてる気がする!」

 

「よーし、それなら他のお店も見に行こう!」

 

 ひなたの言葉に、二人は「おーっ!」と賛同して他の店へと足を運ぼうとする。

 

「のどか、少し聞きたいことがある」

 

「ん、何?」

 

 その直前、僕はのどかに問いかける。

 

「……父さんには何か言われたか?」

 

「これからも仲良くしてあげて欲しいとは言われたけど……」

 

「そうか……」

 

 のどかからの答えを聞いた僕はそうして同じくこの場を後にする。

 

 もし父さんが僕以外の人に余計なことを言ったものなら……と思い、つい声を低くして尋ねてしまったがそういうわけでもなかったらしい。紛らわしいことしやがって、と小さく舌打ちをしながらちゆとひなたの後を追いかけていく。

 

「(やっぱり、飛鳥くんとお父さんって……)」

 

 対して、のどかは何か考え事をしているように僕の後をついていった。

 

 それからは、美味しい物を食べたり飲んだり、色んな娯楽を楽しんだりとすこフェスという時間を十分に満喫していた。平光ひなたという少女の先導もあってか、ちゆは勿論のこと今回初めて参加したのどかも凄く楽しんでいた。僕も僕で退屈じゃない時間を過ごせていた。

 

「あれ、そういえばラビリン達どこ行ったんだろ?」

 

「確かにさっきから姿がないな。まあ、何処かで道草食ってるんだろ」

 

「なんだって!?」

 

 ヒーリングアニマル達の行く末について話していると、側にある店の中から店員の驚愕した声が漏れていた。

 

「蒸し機が故障したようです。追加の饅頭が作れません……」

 

「参ったな、このタイミングで壊れるとは……」

 

 思わぬ事態によってすこやか饅頭が売れなくなってしまったことに、周囲の人々はそれを憐れんでいた。買えないことを残念に思う人もいれば、仕方ないときっぱり諦める人もちらほら。それを見て、のどかは何か手伝い出来ることはあるだろうかと悩みを見せていた。

 

「すこやか饅頭が作れないのなら、色んな所で手当てすれば良いさ。どの店にだって小さい蒸し機はあるんだから」

 

「でも……」

 

「ほら、お客さんだって待ってるんだから。私らだけじゃなく、他の店も手伝うって言ってるしさ」

 

 様々な店の店員が手を貸そうとしている中、僕達もその場所へと歩み寄る。

 

「あの!私達にも何かお手伝いさせてください!」

 

「よし!皆でやるぞー!」

 

 のどかの頼みに、こうなりゃ皆で力を合わせて作ろうという掛け声が上がり「おーっ!」と皆は賛同する。こうして大勢の市民による饅頭作りが始まった。

 

「すこやか饅頭、入荷しましたー!」

 

 やがてすこやか饅頭は大量に生産され、入荷したことで人々の手へと渡っていった。

 

「凄いね、皆の力であっという間に解決しちゃうんだもん」

 

「全く、すこやか市らしいな」

 

「どういうこと?」

 

「大昔……多分すこやか市って名称がまだない時から、トラブルに見舞われる度に皆で力を合わせてそれを乗り越えるっていう風習はあったらしい。だから、今みたいな事態を解消するなんてこの街の人にとっては容易いんだろう。要は、ここはそういう街だってことだ」

 

「そうなんだ……!」

 

 だからここの人達は笑顔の絶えない者ばかりだと周囲を見渡しながら説明する。それを聞いていたのどかは温泉や食べ物だけでなく、そういった人達のパワーを貰っているのかもしれないと強く感心していた。

 

「くちゅん!」

 

 そんな時、ラテが突然くしゃみをし始める。無論、メガビョーゲンが現れたということ。

 

『メガビョーゲン!!!』

 

 そう察知した時には、既にメガビョーゲンは一辺を荒らし尽くしている。僕はともかく、三人は変身しようにもヒーリングアニマルがいないとどうにもならない。

 

「のどか~!」

 

 そういう時に、僕達の背後からラビリン達が飛んでやってくる。抱えていた問題はすぐに解消された。

 

「皆!何処行ってたの?」

 

「え"っ!?い、今はそれより変身ラビ!」

 

 下手くそな誤魔化し方をするラビリンであったが、今は目の前の出来事に集中しなければ。僕達はすぐに変身を始める。

 

 

 

 

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」

 

 

 

 

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!!」」 

 

 

 

 

 

「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」

 

 

 

 

 

「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」 

 

 

 

「「「地球をお手当!ヒーリングっど♡プリキュア!」」」

 

「さて、オペを始めようか」

 

 

 

 

 

「ちーっすプリキュア!ご機嫌いかがっすか────」

 

「『輝かしき終点の一矢(トロイア・ヴェロス)』、発射!」

 

「えっ、のわああぁ!!!」

 

 メガビョーゲンの足元に現れたバテテモーダに突然一点の光の矢が襲い掛かる。勿論、僕が仕掛けた技であるがバテテモーダは寸前の所で回避する。奴の声が気に食わないという簡素な理由で射たものの、結局は運良く直撃してくれなかったことにチッと苛立ちを覚えながら睨み付ける。

 

「ちょっ、いきなりはないっしょ!?」

 

「黙れ。そしてそこで指咥えて見ているんだな」

 

「おー怖い怖い。まっそんなんで引く自分じゃないっすけど。メガビョーゲン!」

 

 バテテモーダの合図と共に、メガビョーゲンは此方に突進してくる。扇風機のような形態とは裏腹に中々の瞬発力の持ち主であるが、軽々とジャンプして避けていく。

 

「メェェガァァー……!!」

 

「っ!掴まれ!」

 

 だが、その回避を読んでいたかのように今度は武器である両腕の扇風機を使って暴風を放ってくる。その動きを見た僕は巨大蛇の化身を発現させ、皆に早急に掴まるよう指示を出す。それぞれ頭部、胴体、尻尾へと掴まった。

 

「強い……!」

 

「もう無理~!」

 

「動けない~!」

 

「チッ……!」

 

 だが、その威力はやはりえげつない。一瞬でも腕を離せば吹き飛ばされてしまう程である。

 

『グゥゥゥゥゥ……!!』

 

 蛇も同様にメガビョーゲンの攻撃に苦しまれているものの、負けじと前進する。だが、その度に車輪のついた足でスルスルと後退しているおかげで距離が縮まっていない。

 

『ガアアァァァ!!!!!』

 

「え、ちょっと!?」

 

「うわあぁ!?」

 

 そのことについに痺れを切らした蛇は、尻尾や胴体にしがみついてるスパークルとグレースなどお構いなしに全身を使って薙ぎ払った。『堪忍袋の緒が切れる』とは正にこのことだろう。惜しくもメガビョーゲンには届いてはいなかったが、薙ぎ払ったことで舞い散る砂塵によってどうにか防御をしてみせた。

 

「えぇ!?あまりにも力技過ぎじゃないっすか!?」

 

 そして、吹っ飛ばされたことで目を回しながら宙に舞っているスパークルはその回転を利用してメガビョーゲンの頭部に踵落としを繰り出す。見事に直撃し、やがて気絶するように身体が崩れていく。

 

「「キュアスキャン!」」

 

 一方、グレースはキュアスキャンでメガビョーゲンの体内にいるエレメントさんを探っている。 

 

「風のエレメントさんラビ!」

 

「よし、すぐに終わらせてやる」

 

「そんなことさせない────」

 

 風のエレメントさんを探し当てたところで一気に浄化へと導かせすが、戦闘狂であるバテテモーダは当然許しはしない。技を繰り出そうとする僕を初めに此方に襲い掛かろうとする。 

 

「ダメ~!!」

 

 その直前、グレースはさせまいと両足でバテテモーダの顔面を思いきり蹴り飛ばした。

 

「此処は、すこやか市の皆んなが作り上げたお祭り会場なの!色んなトラブルにもめげずに歩んで来た、この街の元気が詰まってる!」

 

「そうよ、それを蝕むなんてわたし達が許さない!」

 

「えぇ〜?そこを何とか許して下さいよ〜」

 

「スパークル、前貰った雷のエレメントボトルを使うんだ」

 

「おっけ~!」

 

『雷のエレメント!』

 

 サッと体勢を立て直した怪物に、雷のエレメントをセットした状態で光線を放つ。いつものとは違った発生力と威力がメガビョーゲンを襲い、更に電撃によってビリビリに痺れさせるという追撃をも浴びせていった。

 

「捕らえた……!」

 

 

 

 

 

倣薬・不要なる冥府の悲歎(リザレクション・フロートハデス)!』

 

 

 

 

 

「ヒーリングッバイ……」

 

 禍々しい光線でメガビョーゲンを包み込み、エレメントさんを強引に引き剥がすことでやがてすぐに浄化されていった。

 

「ふん。あんた達を叩きのめすのはまた今度にしておくっす!(あの野郎、一体何処で道草食ってるんだよ……!)」

 

 バテテモーダから何かぶつぶつと小声が聞こえたような気がしたが、取り敢えず一件落着となった。

 

 

 

 

 

 ────ー

 

 

 

 

 

『それにしても、プリキュアに会えるなんて本当に久し振りです!』

 

「久し振りって?」

 

『わたしが前に会ったのは、ずっとずっと昔でしたから』

 

「それは伝説のプリキュア!のどか達の前のプリキュアラビ!」

 

 ラビリンが言うには、とある人間の少女が僕達の同じようにテアティーヌのパートナーのプリキュアとなってビョーゲンズに立ち向かったという。

 

『その女の子はこの街に住んでたんですよ』

 

「「「この街に!?」」」

 

『遥か昔、この土地に住む一人の少女が音楽を奏でることで、人間のみならず動物やエレメントの心と病を癒していたのです。その子が、貴方達の前のプリキュアです!』

 

「そうなんだ……!」

 

 話を聞いたのどかは空を見上げている。

 

「のどかっち?」

 

「あ、うん。それもすこやか市の元気の秘密なのかなぁって。私もいつかこんな風に、皆を元気にするプリキュアになりたいな」

 

 如何にものどからしい願望に、思わず微笑みが零れる。

 

「……何だ」

 

 と、その時にエレメントさんからまじまじと見つめられていることを感知する。何処か気味が悪いと思い、ついついぶっきらぼうに問うてしまう。

 

『いえ、ごめんなさい。前のプリキュアがいた時代にも貴方によく似た男の子がいまして』

 

「はあ……」

 

 正直、世界は無限と言える程に広いので誰かに似た人物なんて幾らでもいる。だから、どう反応すればいいか分からないでいた。エレメントさんは話を続ける。

 

『その男の子は、プリキュアと結ばれるはずだったんです』

 

「「「えっ!?」」」

 

「は?」

 

 ……別に驚くことでもなかったんだけど、三人が異様に驚愕するものだから思わず反応してしまった。

 

『原因は分からないのですが、ある時フッと糸が切れたように意識を失ってしまい、そのまま戻ることなく亡くなってしまったのです。少女は酷く悲しんでおりました』

 

 御伽噺に似ているような気がするが、不意に壮大な過去について話されると感情移入してしまう。特に三人は物凄く悲しげに、何故か僕の方を見つめていた。

 

「言っておくが、たまたまそいつがそうなってしまっただけで僕も同じ目に遭うなんてことはないから。そう易々と死なないからな」

 

「本当だよね?本当に結婚もしないし死なないよね……?」

 

「するか馬鹿!!」

 

 ただ結婚はさておき、プリキュアとして戦っている以上は全力でお手当しなければならない。特にあの男がいるからには相応の覚悟を決めなければ、僕達は勝てないのかもしれないのだから……。

 

 そんなことを考えていると、遠くからマイクの前で出しているであろう大声が響き渡る。

 

「あっ!始まっちゃったラビ!早く行くラビ!」

 

「何処に?」

 

 ラビリン達はやや大きめの用紙を取り出す。『大声コンテスト』と書かれたチラシを見せてきたが、これは毎年恒例のすこフェスの特大イベントである。

 

「コンテストの優勝商品はすこやか饅頭100個ラビ!」

 

「優勝頼んだぜ!」

 

「分かった」

 

「え?」

 

「やるぞ、お前達」

 

「「「えぇ〜〜!?」」」

 

 先程こいつらの姿が見えなかったのってこれに目をつけて僕達を参加させようとしていたからだろう。僕はこのイベントはあまり好きではないのだが……すこやか饅頭100個であればやる他あるまい。

 

 

 

 

 

「スマホ新しいの欲し〜〜い~~~!!!」

 

 

 

 

 

「沢泉の温泉最高〜~~!!!」

 

 

 

 

 

 ラビリン達の半強制+神医飛鳥の半強制によって参加することとなった大声コンテスト。ひなた、ちゆと行ってきてどちらも好成績を叩き出している。

 

「よし、これでいいだろう」

 

 そして次は僕の出番である。何を言えば良いか、物凄く悩んだ末にふと脳内に浮かんだ言葉を叫ぶことにした。

 三度くらい深呼吸をした後、大きく息を吸って……

 

 

 

 

 

「最近更新がノロすぎるぞこの愚作者がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 久々に長々と叫んだため、ぜぇ……ぜぇ……と息を切らす。結果は本日最高の声量だった。

 

「……どういうこと?」

 

「さあ?」

 

 周りからは伝わってはいないらしいが、これ以上踏み込むのはナンセンスであるのは確かだ。そもそも叫んだ本人も理解していないのだから誰も理解出来ないと思う。

 

 そして最後はのどかの出番だ。僕と同じく何度か深呼吸をすると、覚悟を決めたかのような表情へと変わった。

 

 

 

 

 

「私、すっっっっっごく…………

 

 

 

 

 

 生きてるって感じぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 この瞬間、すこやか市中に『生きてるって感じ』という言葉が市内放送の如く響き渡った。 

 

 

 

 

 

「ちょっと元気過ぎじゃん!」

 

「全くだぞのどか。ほら、喉の調子は大丈夫か?沢山水を飲んでおけ」

 

「う、うん。ありがとね飛鳥くん。今は大丈夫だから……!大丈夫だから無理矢理飲ませようとしないで~!!」

 

 僕達の目の前に置かれていたのはすこやか饅頭100個と優勝トロフィー。今年の大声コンテストはのどかの圧勝で幕を閉じた。

 

 あそこまでの声量はもはや人間の域を越えている。それ故に僕はのどかの体調を気遣っていたのだが、いつの間にかエスカレートしていたらしく最終的にちゆに両腕を掴んで止められていた。 

 

「それにしても、饅頭がいっぱいラビ……!」

 

「じゃあ頂くわね!」

 

「どうぞ召し上がれ!それにしても、この量食べ切れるかな?」

 

「ならその食べ切れなかった分は全部僕が頂こう」

 

「うん!た~んとお食べ~!」

 

「「(お母さん……?)」」

 

 優勝して独り占めするべき存在である今ののどかには、何故か母性が働いていたのだった。

 

 




花寺のどかはママだった…?

次回は後日談かアニメ通り喧嘩回になるかと思います。あれ、前もこんなこと言ったなあ?
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