ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜   作:ゆぐゆぐ

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明けましておめでとうございます(激遅)
結局、新年に村正を引くことが出来なかったので今年はあまり良い年にならなそうですw


第18節 初めての喧嘩(前)

「何でわざわざ僕が行かなくちゃいけないんだ……」

 

 時は遡ること一時間ほど前────

 

「ねーねー飛鳥、これ知ってるでしょ?」

 

 朝食を取っている僕に母さんが差し出してきたのは

 

『ハーブ専門店ハーブガーデン イベント開催中!』

 

 と書かれたチラシとスタンプカードのような厚紙だ。そのチラシにはマスコットキャラのラベンだるまちゃんがどでかく載っており、イベントに参加してスタンプを6個集めるとそいつが貰えるらしい。

 

「そんなのあったな」

 

「うん。でさぁ、私これすっごく欲しいのよね」

 

「そうなんだ」

 

「でもさ、仕事が忙しくてね~」

 

「そうだな」

 

「機会がないんだよねぇ~」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

「分かれよ!!!!!」

 

「何を!?」

 

 途端に立ち上がり、テーブルをバンッ!と叩く母さんにビクッと身体を震わせつつ反動で零れかける味噌汁を抑えながら反応する。

 

「参加して取ってきてって頼んでんの!!!」

 

「嫌だ、行きたくない」

 

「即答!?何でよ!!!」

 

「……あそこ苦手なんだよ。それに、一日一回行くだけだろ?仕事の合間に行けばいいんじゃないのか?」

 

「合間なんてものがあったら最初から頼んでません~。お願い!その期間中はお小遣い増やすから!」

 

「金で交渉しようとするな。行きたくないものは行きたくない」

 

「や〜だ〜!!!」

 

 思いっきり泣かれてしまった。いつもは能天気というか、のほほんとした人なのだが、今はまるで子供のように愚図っている。前例がないことはないが、ここまで我儘を言ってくるのは初めてかもしれない。理由が物凄くくだらないけど。

 

「あー……取り敢えず落ち着いて────」

 

「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい」

 

「分かったようるさいな!」

 

 そんなこんなで結局僕が行くことになってしまったわけだ。

 

 そもそも、あのマスコットキャラって人形としてイベントの景品にするほど人気があるのかと疑問を浮かべてしまう。見た目の印象なんて人それぞれかもしれないが、あれを見て可愛いとか欲しいとか思うのは少数派ではないだろうか。そんなことを考えながら、やがてハーブガーデンへと到着する。

 

 ハーブガーデンはハーブティーに関連した物を売っている他に、ハーブ園もあって見学したりも出来る。しかし、辺りを見渡す限り人がいない。あまり人気はなさそうだが、取り敢えず中に入ってみる。

 

「あれ、飛鳥くんだ」

 

「……」

 

 どうせ誰もいないんだろうと思った矢先に、非常に見覚えのある先約がいた。

 

「何でいるんだ」

 

「えっとね、ラビリンが……」

 

「のどか……!」

 

「……ああ、成る程。僕とほとんど同じか」

 

 のどかが事情を説明しようとするのを止めに入るラビリン。僕が母さんに頼まれたのと同じように、のどかもラビリンに頼まれてやって来たのだろう。

 

「いらっしゃいませ~」

 

 そんなやり取りをしていると、少しばかり声の高い男性の挨拶と同時に扉が開く。エプロンを付けた独特な雰囲気の人が中に入ってレジカウンターへと歩み寄る。恐らく……いや99%の確率で店長であることが分かる。

 

「良かった~。私は気に入ってるんだけど、この子あんまり人気なくて……。二人でも来てくれるのは嬉しいわ」

 

 やっぱり人気なかったのか……。取り敢えず、ここに来たことで店長自慢のハーブティーを飲めるらしいので、外で有難く頂戴する。

 

「ふわぁ、何か落ち着く」

 

「大人の味というか、僕達にこれは早いかもな」

 

「そんなことないわ。ラベンダーにはリラックス効果があるから、子供にも効果的よ」

 

 その効果はこのハーブの香りによって現れるのかもしれない。何となく多めに買って母さんに押し付けたいと思った。

 

 それから数日間、のどか達と共にハーブガーデンに通い続け見学などを行っていった。のどかが色んなものに触れて関心を示しているおかげか、次第に悪くない時間を過ごせていると感じるようになった。とはいえ、ぬいぐるみを貰った以降も通い続けるかと言われたら返答に困ってしまうが。

 

「ふわぁ、やったぁ!」

 

「二人共、スタンプ埋まったわね」

 

 やがてスタンプを全て集まり、店長はカウンターの中からガサゴソと取り出そうとする。その行動を見ているラビリンは期待に胸を膨らませていた。

 

「はい、ぬいぐるみをプレゼント」

 

「ふわぁ~」

 

 ぬいぐるみをのどかと僕のそれぞれ一つずつそのまま渡されると、ようやく手に入れることが出来たというようにのどかは感激していた。枕に出来る程のサイズと想像していたのより大きかったものの、普通に持ち帰れる。ただ、

 

「これ持ち歩いて帰らなきゃいけないのか……」

 

 袋もなしとなると少し周りの目を気にしてしまうな。まあしかし、のどかも同じ状況である為に多少は問題なさそうだ。ラビリンが大事そうに抱えるのとは反対にぬいぐるみの頭をガシッと掴みながら帰路に着く。外はすっかり日が沈んでいた。

 

「のどか、ありがとうラビ」

 

「お礼を言うのはこっちだよ。すっかり愛着湧いちゃったし、それに初めてだったんだ。友達と一つのことで夢中になれるのって」

 

 やはり初めての経験は誰でも新鮮なものだと感じるのだろう。先程も言ったが、僕も昨日ハーブを買い占めたこともあって割と新鮮と言うか有意義な時間を過ごせたと思う。当分は行くことはないと思うけど。

 

「おーい!」

 

 夕陽の向こうから此方を呼ぶ声が聞こえる。ツインテールの少女、その隣を飛び回る猫とはたまた非常に見覚えのある人物の人影が映し出されていた。

 

「お買い物に行ってきたの?」

 

「うん。ちょっとゆめポートにね」

 

「ん?飛鳥とラビリン何持って……」

 

「親の依頼だ。決して僕が欲しかったとかじゃないからな。次同じこと言わせたらただじゃおかないぞこのクソ猫が」

 

「まだ何も言ってねぇだろ!?」

 

 こいつらには問われる前にキツく忠告しないと気が済まない。一言一句からかいの言葉を言わせない為である。

 ニャトランの言葉に、のどかは自慢げにラビリンの持っていたぬいぐるみを手に取って見せつけていた。

 

「今日一緒にイベントに行って、貰ってきたんだ~!」

 

「あ!あのダサいだるまじゃん!」

 

「あ、ち、ちがっ……違うラビ」

 

「どうしたの?」

 

 先程とは打って変わって、顔を赤くして俯きながら否定するラビリンにのどかは少々困惑しながら問いかける。

 

「ラビリンこの前はあんなこと言ってたのに、ハマったのか……?」

 

「ラビリンは……ラビリンは……こんなの好きじゃないラビ!」

 

 そう叫びながら、手にしていたぬいぐるみを勢い良く投げ捨てたことに僕達は動揺を隠せなかった。のどかはそれを両手で拾い上げると、不満の感情を露わにする。

 

「何するのラビリン!?」

 

「ラビリンは別にそんなの欲しくなかったラビ!」

 

「どうしてそんな嘘つくの!?」

 

「嘘じゃないラビ!」

 

「嘘だよ!私あんなに楽しかったのに!何でそんな酷いこと言うの!?」

 

「酷いのはのどかの方ラビ!ラビリンは嫌だったのに!」

 

「何が!」

 

「言いたくないラビ!」

 

「それじゃ分からないよ!」

 

 徐々に話……もはや口喧嘩の領域へとヒートアップしてしまっているが、流石に止めるべきだろう。一度お互いに状況の整理をしなければならないと思い、二人の間に割って入る。

 

「おい、一回落ち着け。こんなんじゃ一向に話が進まない」

 

「うぅ……もう放っといてラビ!」

 

 感情が抑えられなくなったラビリンは、そのまま何処かへと飛び去ってしまった。

 当然、僕やひなたなんかはあまりに突然の出来事であった為にその場で立ち竦んでいた。一方、のどかはラビリンが遠ざかっていく姿を少しばかり身体を震わせ、ぬいぐるみを両腕で抱き締めながら真っ直ぐ見つめている。

 

「あー、俺、ちょっとからかい過ぎちまったかな……?」

 

「のどかっち、大丈夫?」

 

 ひなたが寄り添って優しく声を掛けるが、小さく頷く程度で反応はなし。しかし、その表情は泣きそうになるのを堪えているかのように頬を赤く火照らせていた。

 

「……取り敢えず、今日はもう帰るぞ」

 

 僕の提案にひなた達は賛同するとそれぞれの帰路に着き、分かれ道でひなたとニャトランに別れを告げる。のどかも小さい声ではあるが、笑顔で手を振りながら「バイバイ」と挨拶を返していた。こうして共に肩を並べて歩くのはのどかのみとなる。

 

 しばらく沈黙の時間が続く。こういう時は励ましでもすれば良いのだろうか、または適当に世間話を垂れ流せば良いだろうか、そもそも黙っておくべきなのか等々あまり人付き合いが得意ではない僕にとっては苦渋の選択であった。

 

「……初めて」

 

 そんなことを考えていると、突如のどかがぽつりと呟く。

 

「初めてかも、こんな気持ち。体調悪いわけじゃないのに凄いモヤモヤする」

 

 そう言いながら、のどかはぬいぐるみに顔を埋める。

 

「私、友達と初めて喧嘩しちゃった……」

 

 まるで失敗して飼い主に叱られるペットのような罪悪感を露わにしているが、意図的にやった行為ではないことは良く分かる。ただ愛らしい物を手に入れたことを自慢したかったのが運悪く裏目に出てしまっただけ。言ってしまえば、些細な喧嘩だ。それでも誰かを傷つけてしまったことに変わりはないと複雑な感情を抱いている彼女が、何処か────。

 

「へ……?」

 

「……あっ、悪い」

 

 いつの間にか僕の手がのどかの頭に置かれていたのに気付き、サッと引っ込める。

 こればかりは本当に申し訳ないと思っている。彼女自身は酷く落ち込んでいるというのに、無意識に異性に頭を撫でられるなんて堪ったもんじゃない。お互いに気まずい雰囲気を醸し出しながら、僕は口を挟む。

 

「えーっと、まあ、何だ。確かに喧嘩にまで発展したのは想定外だったが、あいつも悪気があってやったんじゃないだろうし、お前もそうじゃないだろ?しっかり話し合って仲直りすればすぐに解決出来ると思うぞ」

 

 以前にも喧嘩ではないが、多少のぶつかり合いがあったもののすぐに解決出来ていた。今回もその時とほとんど同じように、互いの思いを理解出来ていなかったが故の事故だろう。励ませているのかは分からないけど、今回のことで思ったことをのどかに告げる。

 

「うん、ありがとう。またラビリンと仲良くなれるように頑張る」

 

「……僕と比べれば本当にちっぽけなものだ」

 

「え……?」

 

「ん?あぁ、いや、ただの独り言だ」

 

 そうして気が付けば僕の家の前まで到着していた。ここでのどかとはお別れになる。

 

「じゃあ、またね」

 

「ん、また明日」

 

 互いに別れの言葉を告げると、僕は家の中へと入っていった。

 

 




今回は少々短めでございます。少々中途半端だけどAパートとBパートに分けました。

話は変わりますが、先日仲良くさせていただいているハーメルン作者の方の小説に評価バーがついたんですよ。あれって5人の読者に評価してくれたら表示されるらしいですね。それで、今この小説あと一人で評価バーつくんです…。

何方か、もしこんな更新めちゃくちゃ遅い作品に評価をつけてくれる心優しい読者様がおられましたら、どんな評価でも歓迎ですのでよろしくお願いします!また評価をつけていただいた方、感想やお気に入りをしてくれた方はいつもご愛顧ありがとうございます。これからも気長にご期待くださいませ!
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