ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
「だから重いなら持つって言っただろ」
「だ、大丈夫です。私は平気です……ハァ、ハァ……」
あの騒動から、メガビョーゲンの中に閉じ込められていた花のエレメントさんとやらの力によって、ラテは病気を治すことが出来た。
その夕方、買い物に行く事をすっかり忘れていたので、一足早くその場を後にしようとしたのだが「ご迷惑をお掛けしたお詫びに手伝います!」と、のどかが聞かなかった。
勿論、一度は断ったが、中学生が1人で歩いて持って帰れるか分からないくらいのえげつない内容が書かれているメモを見てしまっては、お言葉に甘えるしかなかった。そういう理由でお互いに一袋ずつ持って貰っているのだが、それでも重いのか僕の歩くスピードが速いのか、かなり疲れた表情をしていた。
「……あの、どうしました?」
「あーいや、あんまり見慣れない顔だなって」
「あ、えっと、今日からここに引っ越して来たんです」
「成る程、じゃあ明日辺りから転入生……あ?」
今朝母さんが言っていたことを思い出す。
「……じゃああんたがうちのクラスに来るってことか」
「本当ですか?というか、同い年だったの!?」
さらっと酷いことを言われた気がした。
僕からは1つ下か同い年の中学生かと思っていたんだが、相手からはそう見えない程老けてるように見えるのか。とはいえ、悪気は全く無さそうなので受け流すことにする。
「母さんから聞いた話だから真偽は分からないが……まあ分からないことあったら、あそこはフレンドリーな奴らばかりだから気軽に聞くといい」
「分かった!ふわぁ〜、楽しみだなぁ」
そんな世間話を軽くした所で、ようやく家に着く。買い物袋は玄関に適当に置いて貰った。
「ラテとラビリン達は私が預かるね。どうにかお母さん達に説得してみる」
「その方が良いかもな。それじゃあ、また」
「うん。またね、
そう言って手を大きく振りながら、のどかは帰路に就いていった。
今日会った人に名前で呼ばれると、少し変な気分になるな……。嫌とかそういうのじゃなくて。
「あの子は飛鳥の彼女?」
「いや違うから。というか母さんいつの間に帰ってきたの!?」
────ー
翌日
「でねでね、その子めっっっっっちゃ優しくてさー……あっくん聞いてる?」
「あー聞いてる聞いてる、ベ○ータが何だって?」
「聞いてないじゃん!?ベ○ータなんて一言も言ってないし!」
ここ最近、と言っても一年生の頃からずっとだが、クラス1の喧しい奴こと『平光ひなた』にやけに絡まれている。
明るくて元気でフレンドリーという素晴らしい性格の持ち主だが、こいつの話のほとんどはどうでもいい事なので毎度スルーを試みている。
「あといい加減その"あっくん"って言うのやめろ。そのあだ名のせいで周りにも感染しかけてんだろうが」
「えー良いじゃん。あっくんってあだ名可愛くない?」
「意味が分からない……」
いよいよ話がまともについていけなくなった(始めからだが)時、
「えー、今日はみんなに転入生を紹介します。入って」
「はい!」
もの凄く聞き覚えのある声と共に、転入生は戸を開けて教室に入っていく。
「「あっ……!」」
転入生は、やはり花寺のどかだった。
1番窓側の席に座っているんだが、すぐに目が合った。よく気付いたな。
「あ──ーっ!昨日ぶつかっちゃった子だ!」
「ん、3人は知り合いなのか?」
「知ってる知ってる!その後お気になさらずーってすぐに許してくれためっちゃ天使で優しい子!!」
ひなたのナチュラルなべた褒めに、のどかは顔を赤くしながら縮こまってしまう。
「ちょっと、彼女困ってる」
「え、嘘、ごめん!」
斜め後ろの席に座っている『沢泉ちゆ』の注意にハッと我に返り、両手を合わせて謝りながら座るひなた。
「……てか、あっくんもあの子と知り合いなの!?」
「暴走機関車かよ……」
その僅か2秒後に勢いよく立ち上がり、今度は僕に話題を振り始めた。
大体、僕の席お前の前なんだからわざわざ立たなくても良かろう。
「は、花寺のどかです。よろしくお願いします!」
のどかの簡単な自己紹介が終わると、クラス一同の拍手が起こる。何とかなった、とホッとした表情をしていた。
「それじゃあ、席はあの騒がしい奴の後ろだな」
「こっちこっちー」
騒がしい奴なのは自覚してるんだな。まあこれでしてなかったらさすがにやばいか。
「よろしくね、飛鳥くん」
面と向かって言われると上手い返しが思いつかないな。とりあえず、軽く頷いて挨拶を返す。
なんか、始業式にしてはやけに鞄重そうだな。
「……まさか、あいつら連れてきたのか?」
「えっ、あー……分かっちゃった?」
だったらちょっとでもチャック開けとけよ、窒息死するがな。
そんなこんなで、今日は校長の話と担任の話だけで行事は終わり、午前中に放課後となった。
「じゃあね〜のどかっち。また明日!」
「うん、またね〜」
下校のチャイムが鳴ると、コミュ力お化けが光の速さで教室を後にする。
のどかっちか……あいつにしてはシンプルに名付けたな。別に便乗して呼ぼうとは思わないが。あとこれはツンデレじゃない。
「ちゆ、部活行こ」
「部活……もしかして陸上部?」
「凄い、何で分かったの?」
「昨日沢泉さんが走ってるの見て、とっても綺麗だったから!」
昨日引っ越したばかりなのに色んな人と知り合ったんだな。のどかもコミュ力お化け?二号機か??
「私もあんな風に走ってみたいなあ」
「ところで花寺さん、部活決めた?」
1人がそう質問すると、他の部の生徒達ものどかの方へと注目を集める。
対して、のどかはどうすれば良いのか分からず、僕に視線を向けてSOSを目で告げていた。
「何事も経験は大事だ。鞄は預かっとくから、行ってこい」
「経験……うん、分かった!」
応援というか、自分なりに適当に励ましてみたが、ちゃんと届いてるんかね。
のどかが体験入部すると決意すると、両手を掴まれ、複数の生徒に強制連行されてるかのように陸上部のグラウンドへと向かって行った。
「今日の飛鳥、凄い優しい」
ぞろぞろとクラスメイトが教室から出て行く中、支度を終えたちゆが僕に話しかけてくる。
「別に、普通の対応だろ」
「平光さんにもちょっとくらい優しくすればいいのに」
「あいつはまた別だ。ちょっとでも甘えると面倒なことになる」
ほんの僅かでも対応を誤ると容赦なく振り回される。
もうちょい優しくしろとは言うが、冷たいと言っても無視はしてないからな。聞いてるフリはしているけど。
「それより、のどかに体験入部させるのは良いが程々にやらせておいた方が良い。そんなに体力ないと思うから」
「やっぱり飛鳥もそう思う?私も昨日落としたシュシュを拾ってくれた時、凄く息切らしてたから、あまり運動してないのかなって」
流石は陸上部のエース、そういうところはしっかりと見抜けるんだな。
「花寺さんのこと、ちゃんと考えてるんだ。もしかして気になってたり?」
「茶化すな、単に僕の勘だ」
確かにのどかは魅力的というか、可愛らしい容姿をしているとは思うが、恋愛対象とまではいかない。そもそも中学生でそういう関係になるのはまだ早いだろ。
「でもそうね、様子見て考えることにするわ。それじゃあ、また明日」
話がひと段落すると、ちゆは部活へ向かおうと僕へ別れを告げ、教室を後にする。
真面目な子かと思ったが、結構からかったりするんだな。意外な一面も見れたってところか?
「……ぷはっ!全く、何でペギタンとニャトランまでついて来るラビ!?おかげで息苦しかったラビ!!」
「だ、だって……学校ってどんな所か見てみたいじゃんか……!」
「お、お留守番は……ちょっと心細いペエ……!」
鞄の圧迫感に耐えられなくなったのか、チャックをこじ開けて脱出する小動物3匹。
「ちょ、デカい声出すな……!まだ廊下にいるかもしれな……」
「ねえ、今何か声聞こえなかった?」
不味い、ちゆが教室に戻ってくる……!
その声を聞いたラビリン達は、光の速さで急いでのどかの鞄へと戻っていく。咄嗟の判断は早いんだな、慣れてるんだろう。
「……いや、気のせいじゃないか?僕は何も聞こえなかったが」
「うーん、そうかしら?」
飛鳥がそう言うなら本当に空耳なのだろう。そう悟ったちゆは、今度こそ部活へと足を運んでいった。
冷や汗をかいていたことには気づかなかったらしい。
独り言を言い続けるやばい奴にはなりたくないからな、危ない危ない。
AパートとBパートで分けようとした結果、締まらない終わり方になってしまいました…。どうか許してくださいませ((
ちゆちゃんのキャラがこれで良いのか凄く不安です、フォンテーヌ回までにしっかりキャラを抑えとかないと…!