ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜   作:ゆぐゆぐ

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今回も原作沿いまくってるからあまり中身ないかもしれないし、そんなこともないかもしれない。


第22節 射抜かれた心

「ニャトランってば、ラテ様のお世話をサボるなんて!」

 

「部屋にもいないし、何処行ったんだろ……」

 

「何かあったのかな?」

 

 雲一つない明るい青空の下で、僕達はいつものカフェで特製フルーツドリンクを飲みながら、いつもみたいに集まっていた。だが、ラビリンが腹を立てて言っていた通り、ニャトランがこの場にいない。

 先程、のどかの家でラテの世話をする約束をしたそうだが、そこにも姿を見せなかったそうだ。更にはパートナーであるひなたの部屋にもいなかったという。そんなニャトランの行方を追うべく急遽この場に集められたのだ。

 

「どっかで道草でも食ってんじゃないの~?あいつ猫だし」

 

「……あら?」

 

 皆で行方を考えているところに、ちゆは平光アニマルクリニックの入り口に立つ女性を見つける。続いてひなたもそれに気付くと、すぐに女性のもとへと向かった。

 

「こんにちは〜、今開いてますよ!」

 

「あ、あの……病院の方?」

 

「はい!パパが院長やってます。平光ひなたです!」

 

「先日引っ越して来た"日下織江"です。実は店の前で怪我をしてるこの子を拾って……」

 

 そう言って、穏やかな女性という印象の織江さんは両腕に抱えた動物を見せる。抱えられる程の動物を拾ったってことは、恐らく子猫か子犬辺りだろう。

 

「ニャ~ン♪」

 

 そこには、かなり小さい黄色の子猫の姿があった。しかし、初めて見た気が何一つしない。寧ろ既視感を抱きすぎるくらいだ。

 

「ニャトラン!?」

 

「飼い主さんですか?良かった~。簡単には手当てはしたのですが、心配で……」

 

 飼い主が登場したことで安堵の表情を浮かべる織江さん。これまでの経緯などを話してくれたが、正直僕達は相手から見れば何とも言えない表情をしていると思う。実際、どう反応すれば良いのかも分からないし、そもそも内容があまり入ってこないでいる。

 

「ニャトランちゃんって言うの?可愛いね」

 

「ニャア~♪」

 

「……何してんの、あいつ」

 

 織江さんに名前を呼ばれて更にだらけきった表情を見せる。そんなニャトランを見て、僕の背中から凝視していたポポロンも流石に困惑しているようだった。

 

 その後、ニャトランはひなたの下へと戻り、織江さんは帰っていった。そして僕達は席へ戻り、ニャトランをテーブルに座らせて話を聞くことにする。

 

「一体どうなってるラビ!?」

 

「怪我したって織江さん言ってたけど、大丈夫なの?」

 

「大丈夫……いやダメかも……」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「こんなの初めてなんだ。あの人を見た瞬間、心にズッキュン来ちゃったんだよ~!」

 

「……ズッキュンって何」

 

 ニャトランの言葉に、ポポロンはボソッと呟く。その一声に影響されてか、ひなた以外のメンバーが背中を向けて小声で話し出した。

 

「多分、キュンよりずっとキュンって事じゃないかしら?」

 

「訳が分からん……そういや、お前達がパートナーを組む条件って──」

 

「プリキュアは心の肉球にキュンと来た人と組むラビ……!」

 

「つまり、キュンよりもズッキュンの人と……」

 

「ってことは……」

 

 

 

「「「「パートナー交代!?」」」」

 

 

 

「いやいや、聞いたことないんですケド……」

 

「でも、可能性は考えられなくもないラビ……!」

 

 一同、そんなことを考えながらひなたとニャトランの方へと振り向く。

 

「そりゃズッキュン来ちゃうよね〜。織江さんと仲良くなれるといいね!」

 

「だよなぁ〜!」

 

「「まさかの応援ラビ!?(ペエ!?)」」

 

 ひなたの性格上、予測不可能な事態にも関わらずああいう反応なのも合点は行くが、どうにも呆れてしまう。

 

「じゃあ会いに行こっか!手当てして貰ったお礼しなきゃ!で、お近付きになっちゃお!」

 

「おぉ!お近づき~!?」

 

「ラビリン達も行くラビ!」

 

「行くペエ、ちゆ!」

 

「そ、そうね!」

 

 こうして、全員で織江さんの家に行くことになった。

 ひなた達が先に向かっていき、結局取り残されたのは僕とのどか、ラテとポポロンである。

 

「こんな面倒事に振り回されてるなんて、君達も大変だねえ……」

 

「もはや今更だがな……」

 

「でも、面倒なんて思ってないよ。これも一つの思い出って感じで、凄い生きてるって感じするもん!」

 

 今まで、ハチャメチャな出来事がそれなりにあって大変なこともあったはず。だが、のどかはそれも楽しい思い出として記憶に残している。病院にいた頃に出来なかったことを存分に出来て幸せなのだろう。

 

「……そっか。ごめんね、変な事言っちゃって」

 

 そんな彼女に、ポポロンは変に言葉を返そうとはしなかった。

 

「ん、やけに素直だな」

 

「いやぁ、基本男の子の方が好きなんだけど、割と可愛い女の子も悪くないなっtどぅえぇぇぇっっっ!!!」

 

 結局、変態思考だったようで毛玉の言葉に一瞬の隙を見せることもなく頭を掴んでその場で叩き落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ~っ、いい香り~!」

 

「いらっしゃいませ〜……あっ、さっきの!」

 

 やって来たのは、最近新しく開いたばかりのアロマショップ。店に入るなり、アロマオイルなどの程よい香りが漂って来る。それに和むのどかの声を聞きつけて、店の奥から織江さんが姿を見せた。

 

「こんにちは。ちゃんとお礼を言いたくて来ちゃいました!」

 

「あら、わざわざありがとう」

 

「(こ、心の準備が……!)」

 

「(えぇ……いつもみたいにシャキッとしろよ~……)」

 

 そんなひなたと織江さんのやりとりの裏で、ひなたの着ている服のフードに隠れているニャトランは顔を赤らめて出てこれない様子だ。ニャトランと織江さんの仲を深める為にこの場所を訪れたのに、当の本人がそんなんじゃ来た意味がないと、そんな姿を見たポポロンは呆れかえっていた。

 

「あの、此処は何のお店なんですか?」

 

「アロマショップなの。アロマオイルやアロマキャンドル、香りを扱うお店ね」

 

「ちなみに、アロマオイルは香りの成分を濃縮させた奴の事な」

 

 織江さんは水の中に入ったマグカップを手に取る。その中にオイルを垂らして僕達に香りを味わわせて見せた。

 

「ふわぁ〜!」

 

「何だかスッキリするわね!」

 

「香りには人を癒す効果があるの。気分や目的によって香りを使い分けると良いのよ。アロマキャンドルもオススメね」

 

「そうなんですね!」

 

 今度はアロマキャンドルを手に取ると、それに火を灯す。火によってロウが溶かされていき、そこから香りが漂って来る。

 

「……あの、織江さん?」

 

 そんな一方で、アロマキャンドルの火を呆然と見つめる織江さんに気付いたのどかは、彼女に声を掛けてみる。

 

「あっ、な、何でもないわ」

 

 その声で我に返った織江さんは、すぐに笑顔を作って返事をする。如何にも誤魔化しているような感じだった。

 

「おいひなた」

 

「うおぉっ……うぇ?」

 

 何かに気付いたニャトランはひなたの髪をちょいちょいと引っ張ると、気になる場所に指をさす。指し示した先は、

 

「うわっ!?段ボールの山!」

 

 店内の奥……織江さんの後ろにある、ダンボールが山のように積まれている部屋だ。先日引っ越して来たと仰っていたので、恐らくはこれらを開封して商品を並べる作業をしているのだろう。だが、あまりにも量が多すぎる上に未だ開封していないダンボールもちらほら見受けられる。流石に一人でやるのは無理があるとは言わないが、かなり大変なのが分かる。それを察してか……

 

「手伝うぜ!」

 

「わわわっ……!?」

 

 ニャトランが声を上げながらフードの中から飛び出して来た。あまりの突然の出来事に、ひなたはすぐさま強引に隠すようにフードを勢いよく被った。

 

「今の声は……?」

 

「あ……あたしだぜ!手伝うぜ!」

 

「え?で、でも……」

 

「一人でこの量じゃ流石に無理があると思います。手伝わせてください」

 

 そう言って、僕はその部屋へとスタスタ歩いていく。ニャトランが起こした咄嗟の行動のおかげでこういう流れになってしまったが、どの道こいつらも気付いて手伝うとか言っていただろうからな。

 

「ありがとう……!」

 

「ぅぅぅっ……!」

 

「(自分でやっといて自爆してるし……)」

 

 織江さんの笑顔で感謝の言葉を述べる姿に、ニャトランはフードを掴んで再度顔を赤らめていた。

 

 こうして協働作業が始まっていった。まずはダンボールの後始末から始まり、小さなものから大きなものまで次々とダンボールを運んでいく。僕やちゆなんかは効率良く作業を進めていくが、

 

「うぅ……はぁ、まだこんなに~……」

 

 最初からエンジン全開の如く飛ばしていたひなたはすぐに疲れ果てていた。

 のどかはと言うと、無理して大小関係なしにダンボールを多く運ぼうとしているせいでかなり苦戦していた。

 

「頑張りは認めるけど、あまり無茶すると怪我にも繋がるぞ。これくらいは僕が運んでおくから」

 

「ご、ごめん。ありがとう……あれ?」

 

 不意にのどかが見たその光景は、

 

「うぐぐぐぐ……!!」

 

 小さいダンボールが小刻みに動いているものであり、それはニャトランが必死こいて運んでいる姿だった。

 

「無理しないほうがいいペエ……」

 

「見つかったら大変ラビ……!」

 

 しかし、体格的にもヒーリングアニマルには重すぎるようだ。

 先程、僕がのどかに言ったように無茶してもあまり良いことはないし、ましてや織江さんに見つかる可能性は十分にある。それでも、

 

「それでも手伝いたいんだよ……!」

 

 決して諦めようとはしなかった。

 

「……うん!」

 

 そして、その声を聞いて今までへばっていたひなたも気合を入れて立ち上がると服の袖を捲って作業を再開する。

 

 それから着々と作業を進め、見事にダンボールを全て片付けることが出来た。

 

「本当にありがとう。助かったわ!」

 

「これでいつお客さんが来ても大丈夫ですね!」

 

「そういえば、私達が来てから他のお客さんを一度も見ていないわね」

 

「まあ、まだオープンしたばかりだから……」

 

 ダンボールを全部片付けて部屋がスッキリしたのは良い。しかし、それとは対照的に僕達以外に客がいないため寂しく感じてしまう。

 

「むむむ~……じゃあ宣伝しよう!こんな素敵なお店知ってもらわなきゃ損だよ!」

 

「どうやって知ってもらうの?」

 

「う~ん……チラシを作って配る!」

 

「そういえば、宣伝用チラシの入った段ボールがあったわね」

 

「僕も見たな、それ。確かこの辺だったはず……」

 

 僕はいくつものチラシが入っていたであろうダンボールを取り出す。案の定、恐らくこの店の名前である『aroma』と書かれたチラシが束になって入っており、それをカウンターの上へと置いた。

 

「作ったんだけど配るところまで手が回らなくて……」

 

「手ならここにあるから任せて!!」

 

 こうしてチラシを四等分して、僕達は町へと飛び出す。町中のあちこちを歩き回り、すれ違う人々に配っていった。

 

 しばらくして、見事に全て配り終えると休憩がてら足湯へと向かった。

 

「全部配れて良かったね」

 

「疲れた……」

 

「飛鳥は本当にお疲れ様……」

 

 僕は足湯に浸かりながら、上体を後ろに大の字にして倒れている。

 

「町中の奥様方に懐かれてたからねえ~……」

 

 ポポロンが呟いたように、すこやか市で有名な医師の息子であるが故に町の人々(主に主婦であろう方々)に喋り尽くされていた。その時間、平均でも数分ととても長く終盤では相槌しか打てなくなる程に精神が参っていた。

 その会話の中でも、やはり父親の話題は少なくはなかった。イケメンだの、優しいだの、頼りになるだのと僕にとっては適当なことばかりベラベラと喋られた思いだ。その人達に罪は全くないが、時には相手を睨み付けるような仕草もしただろう。

 

「やっぱり、有名なお医者さんの子供の力って凄いよね~」

 

 こんなことを言ったひなたにも罪はない。家族の事情なんて、のどか以外は知らないのだから。だが、それが友人であっても何故か僅かに怒りの感情が湧いてきてしまう。

 

「あっえっと、ひなたちゃん。飛鳥くん昨日お父さんと喧嘩しちゃったらしいから、そっとしてあげた方が良いと思う……」

 

「えっマジ!?ごめん!」

 

「……構うな」

 

 だからと言って気を遣われるのもそれはそれで良い気はしない。改めて、僕はめんどくさい男なんだと感じる。ただ、確かにあの人の世間の評価は凄まじい。その影響力"だけ"は認めたいものだ。

 

「それより……何だ、その浮かない顔は」

 

 話題を変えようと、顔を俯かせているニャトランを横目に尋ねる。

 

「チラシ配り、俺も手伝いたかった……」

 

「一緒に周ってくれたじゃない」

 

「俺は……もっとちゃんと織江さんの役に立ちたいんだ!」

 

「う~~~ん……そうだ!~~~~~」

 

 ニャトランの言葉にひなたは腕を組んで考えているとある提案を思いつく。

 

「「ラビ!?(ペエ!?)」」

 

 その提案は、ヒーリングアニマル二匹を更に焦らすものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喜んでもらえるかな~?」

 

「気持ちめちゃ込めたし、大丈夫だよ!」

 

 やる事を終えた僕達は、再び『aroma』へと足を運んでいた。ひなたの両手には緑の袋があり、中にはニャトランが作ったビーズのアクセサリーと一枚の手紙が入っている。

 

 ひなたが言っていた提案とは、ビーズを沢山繋げて店の装飾にしようというものだった。ニャトランの織江さんの力になりたいという気持ちを伝える為に、あの後ひなたの家で制作していた。そのことに、ラビリンとペギタンは気持ちを伝えたことで本当に交代してしまわないか不安が募っていた。対してポポロンは交代することには反対せず、というか興味なしといった感じで

 

「別に良いんじゃないの~?プリキュアが減るわけじゃないんだからさ~」

 

 などと言っていたが、二匹にその意見も猛反対されていた。

 

「クチュン!」

 

 その時、突然ラテがくしゃみをする。ビョーゲンズが現れたという信号だろう。すぐさま聴診器を取り出してラテの声を聞く。

 

『良い香りの炎さんが泣いているラテ』

 

「良い香り……もしかして!」

 

 ラテの言葉に一同は居場所を察し、すぐさま思い当たる場所へと駆け出していく。

 

「メ~ガ~!ビョビョビョビョ!」

 

 到着すると、メガビョーゲンが口から蝋燭を放って森や店の壁などを蝕んでいた。

 

「織江さんのお店が!」

 

「みんな!!」

 

「「うん!!」」

 

 

 

 

 

「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」

 

 

 

 

 

「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!!」」 

 

 

 

 

 

「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」

 

 

 

 

 

「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」 

 

 

 

「「「地球をお手当!ヒーリングっど♡プリキュア!」」」

 

「さて、オペを始めようか」

 

 

 

 

 

「メガー!ビョビョビョビョ!ビョビョビョビョ!」

 

 メガビョーゲンは変身したプリキュアに構わずに、蝋燭を連射して次々に辺りを蝕んでいる。

 

「ちょっと!何してくれちゃってんの!」

 

「おっ、プリキュアさん達ち~っす!」

 

 メガビョーゲンの近くには、バテテモーダがいつもみたいに陽気に挨拶をしてきた。

 

「バテテモーダこんにゃろう!」

 

「これ以上好きにさせないよ!」

 

 グレース、フォンテーヌ、スパークルの三人は一斉にメガビョーゲンへと攻め込んでいく。

 

「メガ!メガ~!」

 

 しかし、奴が放出する無数の蝋燭によって近づけさせないようにしている。

 

「近付けない……!」

 

「んじゃ、こっちから近付いてあげるっすよ」

 

「っ!?きゃあっ!」

 

 メガビョーゲンの攻撃によって舞う砂塵の中からフォンテーヌの目の前にバテテモーダが現れ、勢いよく蹴り飛ばした。

 

「フォンテーヌ!」

 

「余所見しな~い!」

 

 そしてそのまま隙をも見せずにグレースの方へと突っ込み、攻撃を浴びせに行く。

 

「んにゃろ~!」

 

 だが、攻撃を喰らわせまいとスパークルが間に割って跳び蹴りを入れる。上手く阻止することに成功し、グレースを抱えてその場を離れた。

 

「いいねいいね、やっぱり戦うのは楽しいっすね……おっ?」

 

 バテテモーダがいつぞやで見たような戦闘狂の顔を浮かべるも、蛇の化身を使ってその身を封じ込める。

 

「お前と戦うのは、メガビョーゲンを浄化してからだ。大人しくしていろ」

 

「メ〜ガビョ!ビョーゲン!」

 

 一方、メガビョーゲンは数弾の蝋燭をミサイルのように放ち、僕達はその場から離れて回避する。だが、それは追跡弾ではなく何処に落ちるか予測不能のもので、何発かは地面に爆音を鳴らしながら爆発している。

 

 

「……やばっ!」

 

 そして、残りの一発の先には一脚のベンチが置いてあり、そこには先程ひなた達が作っていたアクセサリー入りの袋が置かれていた。

 

 それに気付いたスパークルは急いでベンチへと向かう。ニャトランが精一杯気持ちを込めて作ったアクセサリーが台無しになってしまう。そんな思いで一目散に駆け出して袋を手に取った。

 

「きゃあっ!」

 

「「スパークル!?」」

 

 しかし、ミサイルの直撃は免れたものの地面に爆発したことによる爆風を防ぐことは出来ず、吹き飛ばされてしまった。

 

「ダメダメ!よそ見ダメ────おわぁ!?」

 

 バテテモーダは拘束していた蛇を引き剥がし、スパークルのもとへ駆けつけるグレースとフォンテーヌに襲い掛かろうとする。しかし、蛇は負けじとバテテモーダの尻尾に噛みつき、勢いよくぶん回して投げ飛ばした。

 

「スパークル?スパークル!」

 

 倒れ込んだスパークルに必死に声を掛けるニャトラン。その声に、スパークルは身体をピクリと動かした。目は閉じてはいたが、気絶していたわけではなかったようだ。

 

「うぅっ……ハアッ、だいじょびだいじょび!ほら、ニャトランの大切なもの無事だったよ」

 

「でも、スパークルが大丈夫じゃないニャ!」

 

 ニャトランにとってアクセサリーよりもスパークルの身の方を優先しており、必死に心配の声を上げている。それでも、彼女は苦しい表情を一つも見せずにヒーリングステッキを持ち上げ、ニャトランと面と向かう状態にしていた。

 

「ニャトラン、あたしに言ってくれたじゃん。プリキュアになる時、好きな物や大切な物を守るんだよって。守りたいんだ、ニャトランの気持ち……」

 

「っ!?」

 

「あたしってさ、一つのことに集中するの苦手じゃん?だから何かを特別に好きっていうの、以前のあたしには分からなかった。でも、今のあたしならニャトランの気持ちが分かる。ニャトランの特別な好きを守ることは出来る……!」

 

 ひなたがニャトランと出会って、そしてキュアスパークルに変身してから数ヶ月が経とうとしている。

 

『お前の中の好きなものや大切なもの、全部お前の手で守るんだよ。お前ならそれが出来るし、俺はどうしてもお前と組みたい!』

 

 この言葉は、今でも彼女の胸に深く刻まれている。だからこそ、今度は自分の好きな物だけでなく誰かの好きなものも守りたい。結果がどうであれその意志は変えることはない。

 

「それがすっごく嬉しいの!だって、一生懸命なニャトランかっこよかったもん!」

 

「カ、カッコいいのはスパークルニャ!今日だっていっぱいアイデア出して、1つの事に満足しないでぐんぐん進む。すげぇ奴だって思ってたニャ!」

 

 そんなスパークルの言葉に、ニャトランは涙を見せながら声を上げて敬意の言葉を返した。

 

「やった!じゃああたし達両想いじゃん!!」

 

「当たり前だぜ!!」

 

 互いに思いを伝え合ったベストパートナー達は、満面の笑顔で笑い合った。

 

「……両想いってそんな使い方じゃないでしょ」

 

「まあでも、いいんじゃないかしら。あの二人の間ではちゃんと通じ合っているようだから」

 

「そうなの~?人間って不思議だね~」

 

 人間というか、スパークルの中ではそうなんだろう。そんなわけで、再びメガビョーゲンの浄化へと心を入れ替えていく。

 

「さぁあたし達も行こ……何これ!?動けない!!」

 

 そう言って、スパークルは立ち上がろうとしたが足が動かず立ち上がれなかった。足元を見るに、先程飛んできた蝋燭のロウがかかり、それから時間が経った為に溶けて固まっていたのだ。

 

「ということは……フォンテーヌ」

 

「ええ、分かったわ」

 

 どうやら彼女と思いついたことが同じだったようで、雨のエレメントボトルをヒーリングステッキにセットすると、空に向けてエネルギーを放った。

 

「メガ、ビョ~ゲン~……」

 

「うひゃっ、雨やべぇ!」

 

 その名の通り、エネルギーを放つことで空を曇らせ雨を降らす技だ。それによって、メガビョーゲンの頭上に灯っていた火が消え、動きが鈍くなっていく。バテテモーダも雨が苦手なようで、その場から一目散に逃げていった。

 

「やった!動けるようになった!!」

 

「今ラビ、グレース!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

 グレース達はキュアスキャンで、体内にいる火のエレメントさんを探し当てる。弱っている今がチャンスだ。

 

 

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

 

 

 

 

「「「届け!癒しの!パワー!」」」

 

 

 

 

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

 

 

「良いとこまで行ったんすけどねぇ~。まっ、続きはまた今度ってことで」

 

 木の上に登って隠れていたバテテモーダはそう言い残し、この場を去って行った。

 

 

 

 

 

「皆さん!」

 

 メガビョーゲンが浄化したことでラテの調子が戻って皆が安堵の表情を浮かべていると、近くから聞き覚えのある声が聞こえた。ヒーリングアニマル達は即座に身を隠す。

 

「織江さん!怪物大丈夫だった?」

 

「はぁはぁ……すぐに避難をしたので。皆さんは?」

 

「あたし達は全然。それで……」

 

 ひなたは袋をギュッと抱き締め、深呼吸する。ニャトランに関しては背後から顔を真っ赤にしながら見守っている。気持ちを込めたプレゼントだから、ひなたも力が入っているのだろう。

 

「やあ!ちゆちゃん!ひなたちゃん!飛鳥くん!久しぶり~!」

 

 その時、一人の男性がのどか以外の名前を呼びながら駆け寄ってくる。

 

「……日下さんのお家の炎さん!」

 

「お久しぶりです」

 

「知ってる人?」

 

「うん!今は隣町で働いてて」

 

 

 

「実は……結婚を機に戻って来たんだ!」

 

 

 

「……ニャッ!?」

 

 唐突に炎さんが織江さんの肩に手を置いてそんなことを言い出した。

 ……この瞬間、ニャトランの心が真っ二つに折れる音が聞こえたような気がした。

 

「仕事の引き継ぎが長引いたけど、今日から一緒に暮らせるよ。織江」

 

「炎さん……!」

 

 手を合わせて見つめ合う二人の姿は、まるで夫婦そのものだった。

 

「あっ、そういうことだったんだ」

 

 ここに来て、のどかは今になって織江さんがアロマキャンドルを呆然と見つめていた意味に気付いたのだった。

 

 

 

 

 

「い"い"んだぁ……織江さんの心がらの笑顔が見られだがら……俺はぞれでぇ……!!」

 

 結局、作ったアクセサリーも渡すことが出来ず、ニャトランが流す涙のおかげでテーブルがびしょ濡れになっていた。

 

「はあ……なんか馬鹿馬鹿しい出来事だったなあ。そもそも、君に恋なんて百年早いっつーの」

 

「まあまあ。グミ増し増しにしたから、これでアゲアゲになろう!」

 

「ひ、ひなたぁ……!!」

 

 ポポロンに文句を言われるも、ひなたのあまりの優しさに涙腺を崩壊させていた。

 

「そういえばのどかはスパークル交代の事、心配していなかったラビ?」

 

「うん。2人なら大丈夫って信じてたもん!」

 

「……ふっ」

 

「え、今おかしいところあった?」

 

「いや、如何にものどからしいというか……天然というか」

 

「……なんか、意地悪言われてるみたいでやだ」

 

「すまなかった」

 

「いや秒で屈服ぅぅぅ!?」

 

 あまりの秒殺というか、即堕ちに思わずツッコミを入れてしまうポポロンであった。

 

 その時、事態は起こった。

 

「ラテ、どうしたの!?」

 

 突然、ちゆが声を上げたので見てみると、ラテが体調悪そうに横たわっていた。だが、メガビョーゲンが現れたように何度もくしゃみをすることもなくただただ苦しそうにしている。

 

「とにかく、診てもらった方が良いな」

 

 僕の言葉に皆が頷くと、すぐに近くにある平光アニマルクリニックへと駆け込んでいった。

 

 




次で彼女を出せます。1年以上掛かりましたが、ようやく…!
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