ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
しばらく忙しい時期が続いてましてもう少し時間は掛かってしまいますが、どうにか仕上がったので更新させていただきます。
Phase3 ~ヒーローショー~
提案者:風鈴アスミ
『ちょうどその日、テレビで見てるヒーローアニメのショーが行われるそうなので見に行きたいのです』
もはや作戦じゃなくて単純に遊びに行きたいだけの意見だ。
そのヒーローアニメとは、休日の朝方に放送されている長期シリーズアニメ。アスミは朝早起きしてテレビにかぶりつくように見ているという。
今日はそのアニメと遊園地がコラボしているようで会場には多くの子供達が集まり、ショーを楽しんでいた。
だが一方、そうではない者もいた。
「あー、一時はどうなることかと思った……」
休憩がてら飛鳥とのどかがヒーローショーを見に行くとのことで、アスミも興味があったことから後を追うことにした。だが、休憩のはずなのに物凄く疲労が溜まっていた。精神的に疲れたというのが正しい答えだろう。それもそのはず……
『あ、いつの間にか前の方に来ちゃった』
『まあ良いんじゃないか?運良く見えやすい所のベンチが空いてるわけだし』
何も考えずにただ空いている席を探し回っていたら思っていたよりも進んでしまっていたのどかと飛鳥。とはいえ、ベンチとなれば周囲は子連れの親もそれなりにいる。ここに混ざっても特に違和感はないはずだとそのまま進んで行ってしまった。
『飛鳥達は前に行っちゃったか~、なら私達は後ろで見てるしかないね』
『そうだね、楽しみにしてたアスミンには悪いけど……ってあれ、アスミンは?』
『ラテもいないわ。ついさっきまで一緒にいたはずじゃ……あっ』
アスミの姿がないことに若干焦りを感じながら周囲を見回した末、ちゆが指差した方向は幼い子供達の多い最前列。
『いやいや、まさかいるわけ』
いるわけない、と苦笑交じりに否定しながら、ひなたは指差す方向に視線を送った。
『……え"っ』
いた。
最前列のド真ん中。ひなた達よりも高身長であるのだから座高だってかなりの差がある。大げさに言えば幼い子2人分と言ってもいい。その上、外国人のような金髪。おまけに小犬だって連れて来ている。もはや目立たないと断言する方がおかしいし、段々と周囲からひそひそと困惑する声が聞こえてきた。
まずい。飛鳥にバレることは勿論、アスミの今後を考えるとかなりまずい。
『すいませえええん、その人迷子ですううう!!!』
『っ?、ぐぇっ』
ひなたはちゆ達に持ち物を渡し、全速力でアスミを捕まえに行った。
その足は正に光速。のどか曰く、以前初対面のひなたと衝突した時には光の速さで謝罪し、光の速さで心配してくれて光の速さで去っていったという逸話があるらしい。
そんな一瞬の隙も与えない彼女はすぐさま最前列に入り込み、ド真ん中で綺麗な姿勢で正座しているアスミの首根っこを強く掴んで逃げ去り、元居た場所へと戻った。その時間、僅か7秒だった。
こういった事態により尾行組、というよりひなただけが疲労困憊の状態であった。
「むぅ、やはり間近で見たかったです……」
「ま、またやる時に前の方で見ようねえアスミン……!」
ピクピクと眉を震わせて感情が露わになりかけているひなた。まだそんなことを言うかと言いたげの表情で、あと一歩のところで爆発しそうだったのを照美が宥めに入る。
「ま、まあでも飛鳥にはバレてなかったのは良かったわね!多分……」
幸いにも、その時の飛鳥は鞄から何かを探していた。その上、のどかが危険を察知して彼の両耳を塞いで声を遮ろうとしていたファインプレーのおかげでどうにか免れた。その後も特にこれといった事態は起きなかった。
「のどか達は早速ジェットコースターの方へ行ったけど、ひなたはもう少し休む?」
「いーや大丈夫、ここで挫けたら女が廃るから!」
根気強さを魅せたカッコいい台詞を言い放ったが、場面が場面だけに何かズレている。だがまあ、本人がそう言うならと再び足を運び始めた。
────-
「私だって、キングビョーゲン様に褒められたいのに……」
遊園地とは少し離れた建物の屋上にて、シンドイーネはメガパーツを右手に強く握りしめながらキングビョーゲンに思いを馳せていた。
グアイワルやダルイゼンにあって自分に足りものは何だ。主が求めているものは何だ。主に褒められる為に自分が遂行すべき使命は何だ。今の不出来なシンドイーネには、脳内で様々な思考を巡らせるしかなかった。
必ず導けるはずなのだ。他の連中を出し抜けるようなメガパーツの使い方を。
「では、その力を自らのものにすれば良いのでは?」
「っ!?」
誰も訪れないはずの屋上のはずが、背後から声が聞こえたことに身体を震わせた状態で振り返る。
スーツを着崩れせずに着こなしていると、一目ではサラリーマンに見えそうな容姿。だが、美顔と栗色の長髪でサラリーマンではなく、寧ろ自身が見知った人物だと察した。
「キロン!?」
「こんにちは。いや、今の時間だと"こんばんは"になるのでしょうか?」
「な、何であんたがここに……ってか、あんたよくも──」
「偶然見かけたので、挨拶代わりに」
我々に欺いたのを理由に鋭く睨み付けるシンドイーネに対し、キロンはネクタイを調整し直しながら紳士的な笑みを見せる。
俗に言う営業スマイルという奴だ。その真意は誰にも見せることはなく、誰も突き止めることは出来ない。
「メガビョーゲンに使って強化させるのと同じように、対象をテラビョーゲンとして生み出すのと同じようにメガパーツを使って自らの力を高めれば良いのではと思いまして。何なら、私がやって差し上げましょうか?」
「ふざけないでよ!キングビョーゲン様を怒らせたあんたの胡散臭いアドバイス、私が聞くとでも思ってんの?」
「申し訳ない気持ちはありますよ。仲間の信頼を裏切る行為をしてしまったのですから」
そうは言うものの、表情は笑みのまま変わらない。本当にそう思っているのかと考えれば、大方"否"と考えるのが妥当だ。
「まあ、聞く耳を持ってくれないのならそれで構いません。主人に永久に目もくれずに落ちぶれていくだけでしょうし」
「こいつ……!」
「それに、仮に代償として自分を殺してしまったとて私は保証できませんから。いずれにせよ、キングビョーゲンが貴女に興味を持ってくれることを願うことにしましょう」
それでは、とキロンは律儀にお辞儀をしてこの場から姿を消した。待ちなさいよ、とシンドイーネが強く呼び止める暇もなく。
下唇を噛む。自分が悩んでいることも知らないで好き勝手に言われたことが腹立たしい。
だが、どうしても奴に勝てる気がしなかった。何を企んでいるか策略が分からなかった。ダルイゼンが手も足も出なかったと言わんばかりの深い傷を負っていたのを見れば、現実を見てしまうのも仕方ないだろう。
「自分のものに、ね……」
片手に握りしめたメガパーツを見つめながら、再び思考を巡らせていた。
────ー
Phase4 ~観覧車~
提案者:神医照美
『この観覧車で私は折矢と恋人になったの!』
『恋人?じゃあプロポーズは?』
『夜の河川敷。べろんべろんに酔っぱらってたからあんまり覚えてないけど』
普通に考えて順番が逆ではないだろうか。いや、夜の暗い河川敷で酒に酔いながら告白するのもおかしな話だが。そんな2人の間に飛鳥が生まれたというのは中々面白味がある。
それはさておき、太陽が段々と下り坂へ進み始める頃合い。
夕方へと迫って来るこの時間帯に、のどかと飛鳥は2人で1つの空間へと入っていく。太陽が地平線の下へと落ちていく様、遊園地が真っ赤な日差しに照らされる様をゆっくりと眺めていたいものだが、それよりも2人の様子を眺めておかなければならない。
「もうこんな時間か」
「あっという間だね」
「ああ……ジェットコースターの待機列、中々減らないな。流石休日だ」
遊園地に訪れた直後の最後尾は約120分待ち。僕達が乗った時よりかは人の数はほんの少し減ってきたと思っていたが、それでも約90分待ちと言ったところだっただろうか。
何にせよ、そろそろ精神的に疲労が溜まっていたので景色に癒されようと観覧車を選んで正解だった。
「景色、綺麗だね」
「ああ……」
──この時間、どうすれば良い。
2人きりの時間なんて入園する時から変わらない。おそらく、周囲の賑やかな波に乗っかっていたおかげで何とも思わなかったのだろうが、今の静かな雰囲気だとどんな行動が正解なのか。飛鳥に変な緊張感が高まってくる。
「……そういえば」
のどかが先にゆっくりと口を開く。
如何にも慎重な物言い。真剣な話が始まると思って間違いなさそうだ。
「飛鳥くんがいない間に色々あったんだけど、聞いた?」
「ああ、ポポロンから全部聞かせて貰った」
それは、大きく2つの事柄。ポポロンの正体と、ダルイゼンの正体。
かつては"太陽神"という名のもとに奉られていた存在がいくつもの失態を犯し、その償いとして自らの姿をヒーリングアニマルへと変えたこと。
もう1つは、ダルイゼンはのどかの体内から生み出されたテラビョーゲンであり、幼い頃の彼女を苦しめていた人物こそが奴だということ。
前者は理解に苦しむ話だったが、後者は妙に納得出来た。ケダリーの存在が大きかったからだろう。彼がダルイゼンに似た容姿をしていたおかげで、何か繋がりがあるのではと薄々思っていた。
「だから、私決めたの。ダルイゼンを育てたのが私なら、私が何とかしなくちゃって……!」
「のどか……」
両手をぎゅっと握りしめる。
表情も険しくなっている。使命、責任感など第三者の視点での憶測なら何とでも考えられるが、これだけは確実と言っていいほど感じられた。
「どうしてそんなに焦ってるんだ?」
「っ!」
「自分でも焦ってるって気付いてるだろ?」
"焦り"。
生き物ならば誰しもが抱いたことのある感情の1つ。事情を改めて考えれば、のどかが焦るのも何ら不思議ではない。
だが、今の彼女に必要はものなのだろうか?飛鳥にとって答えは"否"だ。
「だって……だって、私がダルイゼンを作り出しちゃったから!私のせいで、地球が大変なことになっちゃったから!だから私が何とかしなくちゃって、頑張らなくちゃって……」
次第に声を震わせながら、心に秘めたものを爆発させるように言い放つ。
ああ、成る程。道理で機嫌を悪くしていたり、学校生活でも彼女らしくない一面を見せていると思っていたが、それなりにストレスを溜め込んでいたらしい。
それでも、飛鳥にとってのどかの焦りは余計だと思っている。此方も思ったことを言ってやろうと一呼吸置いて口を開く。
「ダルイゼンを作ったのは、自分の意思なのか?作りたいって思っていたのか?」
「っ、そんな事思わないよ!」
「そう、キュアグレースがそんな事を望んでるわけがない。のどかのせいじゃないんだから自分を責める必要も自分が背負う必要もないはずだ。だから、もっと僕達を頼ってくれ。それとも、僕達じゃ不満か?」
「……ううん。全然不満じゃない」
目の前の彼に見せたくないのか、顔を俯かせて必死に涙を堪える。
このまま外に出たら泣かせたと勘違いされそうだ。そう思った飛鳥は鞄からハンカチを取って彼女に渡す。少しして零れそうな涙を拭いた後、ゆっくりと顔を上げる。
「なんか、色々迷惑かけてばっかりだね。家族のことも結局何の力にもなれなかったし」
「いや、無茶をさせたこっちが悪い。すまなかった」
深々と頭を下げる。
彼女は他人事にも責任を課そうとする。悪い言い方をするなら"お節介"。
飛鳥が自身の過去を明かしたことで、のどかに何とか手助けしなきゃという重圧を掛けてしまっていた。
「だが、今は少しだけ清々しい気分だ。自分の間違いにようやく気付けたような気がする」
「じゃあ、お父さんと仲直りするの?」
「……出来るならやってしまいたいけど、そこまで進展させられるほど僕は器用な人間じゃない。だから、まだ少し時間は掛かるだろうな」
自分に自信がないわけではない。
だが、自身を見つめ直してすぐに面と向かって話すとなると話が変わって来る。
「でも、飛鳥くんならきっと大丈夫だよ。仲直り出来ると思う!」
「……まあ、頑張ってみるさ」
クスリ、と飛鳥は笑みを浮かべる。少年らしい無邪気兼純粋な笑顔。
恐らく、これが今の彼の内に秘めた感情。心の底にある気持ちなんだとのどかも思わず笑みを浮かべた。
「「っ!?」」
だがその時、ゆらゆらと観覧車が激しく揺れ動く。
地震だろうか。車内は空中に浮遊しているので次第にガタガタと音を鳴らして混乱させる。あともう少しで降りられるのに何とも運が悪い。
……いや、運が悪いのは地上にいる者達もだ。
「なになになに~!?」
騒音の範疇を超えた爆音と共に、立ち上がるのも難しいくらいに地面が揺れる。ひなた達は両耳を塞いだまましゃがみ込んで必死に耐えるしかなかった。
「くちゅん!」
「ラテ!?」
「……そういうことね」
同時にラテが突然くしゃみをしたことで、恐らくこの爆音の正体はメガビョーゲンによるものだと悟る。それならばすぐさま変身を試みたいのだが、鼓膜が破れんばかりの状況下ではヒーリングステッキを持つこともままならない。
「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」
「ここで変身しちゃって良いの!?」
「仕方ないだろ。他に方法がない」
──扉を強引にこじ開けて飛び出すことも考えたが、観覧車は基本的に外側から閉ざされるのでほぼ不可能だ。
であれば、変身して扉を破壊してでも突破する。巨大な怪物をしゃがみ込んで動けない人達を目の前にして、器物損壊がどうとか言ってる場合ではない。
「掴まれ。一回で突破する……!」
「わ、分かった……!」
のどかを抱き寄せた状態で揺れ動く車内に耐えるように両足を踏み込み、固く閉ざす扉目掛けて渾身の掌打を放つ。
自身の武器であるメスの属性と威力を兼ね備えた一撃。それに耐えきれなかった扉はダイナミックに打ち上げられ、くるくると素早く回転しながら落下していく。運よく誰にも直撃しなければ良いが。
外の世界に出られる手段を手に入れた僕達は颯爽と助走をつけて脱出する。そのままの勢いでメガビョーゲンの方へと一直線に飛び出していく。その怪物の姿は、まるでトランペットのようだ。
「はぁっ……!」
『メガアァ~ッ!?』
鼓膜を破壊しきれんばかりの声にもならない爆音を堪えて、メガビョーゲンに渾身の回し蹴りを繰り出す。
観覧車からの飛距離と脚力を重ね合わせた攻撃は陽気に鳴らしていたメガビョーゲンを黙らせ、いとも簡単に吹っ飛ばすほどのものだった。
「ラピウス……!」
「止めたぞ。さっさと変身しろ」
「え、う、うん……!」
キュアラピウス、というより神医飛鳥が参入したことに戸惑いの表情を見せるひなた達。何を戸惑っているのかは知らないが、とにかく早急の変身を促した。のどかもラビリンと合流し、続くように変身を開始する。
「はぁ、はぁ……」
「あ、照美さん」
「ん、なーに──うっ」
「また手刀……」
……今度こそ、変身を開始する。
「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」
「「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!!」」
「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」
「「時を経て繋がる二つの風!キュアアース!!」」
『地球をお手当!ヒーリングっど♡プリキュア!』
『これより、オペを開始する──!』
『メガビョーゲ〜〜ン!』
先制はメガビョーゲン。
肩に担いだトランペットのベルを頭上に向け音波を放つ。音波は花火のように弾け、地面へと降り注いでいく。
最悪な状況だ。周囲には未だ怯んで動けなくなっている人達が多くいる。このままだと被害は拡大するばかりだ。
『バカでかいぷにシールド!』
しかし、ポポロンが通常の何倍も大きなぷにシールドを張ったことで弾き返す。素早い対応によって人々に被害が及ぶことはなかった。
「アース、スパークルは周りの避難にあたれ!残りでこいつを食い止める!」
僕の指示に仲間達は頷き、すぐさま自分の役割へと徹する。
さて、食い止めるとはいえ迂闊に近づくのはあまりにも無謀だろう。
『ビョ~~~ッ!!!』
再びのしかかってくる爆音と共に、周囲に音波を放って光弾を巻き散らしている。大暴れも良いところだ。
中々近寄らせてくれない現状だが、避難組は直に戻ってくるはずだ。ある程度の策は考えているため、そのタイミングを見計らって実行するしかない。
「少しでも突破口を開けないと!」
そんな中、グレースは大暴れするメガビョーゲンへと飛び出して行った。流石に危険な判断と見たのか、フォンテーヌの血の気が僅かに引く。
「グレース、危ないラビ!」
「近づきすぎてはダメ!」
「いや、これでいい」
「え……?」
「グレース、出来るだけ至近距離で奴の攻撃を相殺してくれ。広範囲に飛び散らない程度にな」
「分かった!」
『実りのエレメント!』
グレースはヒーリングステッキに実りのエレメントボトルを装填し、降り注ぐ光弾目掛けて強力な光線を放つ。
端から見れば犠牲のリスクを感じさせる策だと思われるだろうが、グレースが上手くこなせることを見越してのものだ。それに、彼女1人でやらせようというわけでもない。
「皆避難させたよ!」
「よし、お前もグレースに続け」
「おっけー!」
『火のエレメント!』
スパークルもグレース同様、ヒーリングステッキに火のエレメントボトルを装填して光弾を焼き払っていく。
『メガッ、メガァッ!?』
時折灰と化した光弾がメガビョーゲンの頭上に降り注ぎ、熱いと訴えるように情けなく回りだしている。同時に、段々と鳴らしていた爆音も弱まって戦いやすくなっていた。
「フォンテーヌ、あれやるぞ」
「っ、分かったわ!」
『氷のエレメント!』
フォンテーヌはすぐに思い出して氷のエレメントボトルを装填し、僕が取り出したクロスボウの矢に向けて光線を浴びせる。メガビョーゲンが再び攻撃を始めないよう、冷えたカチコチの矢で相手の攻撃を封じに行くタイミングを見計らっていたのだ。
「『
氷の矢は光の速さでメガビョーゲンのベルの中を目掛けて猛進していく。やがて入り込んだ矢は内部から全てを凍らせて固体を埋め込ませる。
『ビョー、ビョー……ビョッ!?』
むず痒さを感じたのか怪物はトランペットを強く吹いて見せるが、中に氷という固体が詰まっているため音を出すことは出来ない。結果的に相手の行動を大方封じ込めることが出来た。
「はあっ!」
『メガッ!?』
追い打ちをかけるように、アースは背後へ回り込んで足払いを仕掛ける。メガビョーゲンは大きくバランスを崩して地面に倒れ込んだ。
「「キュアスキャン!」」
その隙をついて、グレースとラビリンはキュアスキャンで音のエレメントさんを見つけ出す。
そろそろ終いにしよう。僕は左腕を赤く染まった夕暮れの天に掲げる。
『──我が宿命、月女神及び太陽神に請い願う。月女神には愛の精神を、太陽神には輝かしき一矢を、そして双方に我が運命を定めよう……次なる運命に幸あれ』
紡がれる言葉に、ぎしりと空間が軋みを上げ、かざした掌から白銀の玉を生成する。
『
左腕を対象に向けて大きく振るった。
ちっぽけな光弾が持ち合わせるは天から授かった凄まじきエネルギー。メガビョーゲンの身体に入り込むと、徐々に体内で膨張し全身に光が放出する。
『ヒーリングッバイ……』
「お大事に」
メガビョーゲンの身体は跡形もなく消え去り、浄化されていったのだった。
「え、気付いてたの!?」
「不審者みたいな変な格好してたら誰でも疑うだろ」
音のエレメントさんの力でラテの体調を取り戻してから、僕はひなた達の尾行に気付いていたことを明かした。
それも最初から、集合場所で待ち合わせの時間まで待機している時からだ。サングラスを掛けた不審者数人がこちらをじっと見据えていたことに初めは気味悪く思っていた。だが、同じく視線を送られていたであろうのどかは気にも留めていなかったことから、そいつらは僕の良く知る人物で何か訳ありなのだろうと悟り、こちらからは特に行動を起こさなかったというわけだ。
「でも、母さん連れてまで何でこんなことしたんだ?」
「最近ののどかちゃんと飛鳥、らしくない顔してたじゃない?から信頼し合ってる2人でリラックスしてもらおうって思って」
「……そうだったのか」
僕らしくない……果たしてそうだっただろうか。
まあでも、父さんのことやのどかとダルイゼンの関係など、ここ数日で色々考え込む時もあったから気付かないうちにそうなっていたのかもしれない。揶揄い目的かと思ったら割と理に適う答えが返ってきたので呆気にとられてしまった。
「悪かったな、変に気を遣わせてしまって」
「ううん。私も凄く楽しかったから」
「ああ。それに色々と気分が晴れたから助かった」
何より、お互いに思いを打ち解けることが出来たのはこの上ない功績と言っていい。こういう場を設けてくれたのは有り難かった。
「飛鳥くんも皆も、これからもよろしくね!」
一斉に強く頷く。これで一先ずの一件は片付いたことだろう。
「よーし、皆でもう一回ジェットコースター乗ろう!」
「おー!」
「また長蛇の列に並ぶ気か……」
少し憂鬱にはなったが、決して苦にはならなかった。
「ああ、母さんは許さないからな」
「どうして!?」
「変な格好をして自分の子供を尾行してたんだぞ。良い歳して、しかものどかを利用して恥ずかしいと思わないのか?馬鹿げたことをしていると何処かで思わなかったのか?なあ?」
「……うわーん!飛鳥が怖いよ!反抗期になっちゃったよー!」
これでようやくオリストは終了となりまして、この作品の山頂部分まで進んだと思います。これから下り坂に向かう予定です。
次回から再び原作に戻りますが、あらかじめ殴り書きみたいな感じで途中まで書いてるんで早めに更新出来たら良いなーとは思っています。頑張るます。
お気に入り、評価、感想是非ともよろしくお願いします!
以下ご報告↓
この度、執筆仲間のシロX様の作品内にて、この作品のオリ主である神医飛鳥が妖鬼様の作品のキャラと共にお邪魔しております!
コラボ回は3話完結ものとなっておりますので、是非読んでいただけたらと思います!
シロX様の作品↓
『デリシャスパーティ♡プリキュア Carry On 前へ進め』XVⅠ.XVⅡ.XVⅢ.より
https://syosetu.org/novel/280240/
妖鬼様の作品↓
『ヒーリングっど♥プリキュア~仮面ライダーも前を向いて生きる~』
https://www.pixiv.net/novel/series/1268540