ヒーリングっど♥プリキュア 〜医神と地球の戦士〜 作:ゆぐゆぐ
今後は前編後編に分けると話しましたが、話のボリュームがどちらかに偏ってしまうのも気を付けないといけない課題ですね。
先日にあれだけの盛り上がりを魅せた競技場も、人やイベントがなければ寂しいだけの建物と化す。
だがそれでも、世界へ行く為に何度でも跳び続ける。
そんな高美ツバサの近くに、2人の人影が現れた。
「待てと言っているだろう、シンドイーネ!」
「あたし1人で十分って言ってるでしょ。しつこいわね」
「何も成果を上げられなかった癖に、1人で十分だと? 笑わせるな!」
「あ、あれはアイツらが勝手に強くなって卑怯な手を使ったせいよ!」
グアイワルの嘲笑に、シンドイーネは声を荒げて苦し紛れの言い訳をする。
「本当に調子が狂っただけよ。次こそ、あのやる気に満ちた力を使いこなしてみせるんだから!」
「フン、そう言って次も負けたら時間の無駄だ。今回は俺に譲れ」
「駄目って言ってるでしょ!?第一、アンタだってそんなに変わらないじゃないの!」
「何だと!?」
そうした醜い言い争いの末、このままでは埒が明かないと悟った2人は互いに拳を強く握りしめる。
どちらが世界の支配を担うのか、手早く決着するにはコレしかない。
「「じゃーんけーんっ!!」」
「フォンテーヌ!」
ラテがくしゃみをしたことでビョーゲンズの気配を感じ取った僕達は、奴等が出現した場所へと向かう。
ラテが指を差した方向を辿ると、出現場所と考えられる競技場へと辿り着く。
その入口付近で、キュアフォンテーヌに変身したちゆと合流した。
「もしかしたら、高美さんが……」
「なら、早々に片付けないとだな」
僕の言葉に強く頷いたフォンテーヌは、一足先に現場へと向かっていく。
それに続くように、僕達もそれぞれの変身アイテムを持って変身体制に入った。
「「重なる二つの花!キュアグレース!!」」
「「溶け合う二つの光!キュアスパークル!!」」
「「時を経て繋がる二つの風!キュアアース!!」」
「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」
『これより、オペを開始する──!』
『キュアスキャン!』
フォンテーヌがキュアスキャンで人型のギガビョーゲンの体内を覗く。
彼女が予感していた通り、そこに映し出されたのは高美ツバサの姿だった。
「高美さん……!」
「あら?アンタのお友達?」
「いいえ、ライバルよ!」
「ライバルゥ〜?」
「彼女を返しなさい!」
「お断り!」
互いに言葉をぶつけていたフォンテーヌとシンドイーネの蹴りが、空中で交差する。
高美を取り戻す為にビョーゲンズの野望を阻止するフォンテーヌ。或いは、ギガビョーゲンとなった高美を浄化するのを阻止するシンドイーネ。
どちらにせよ、あちらは1対1で戦うつもりらしい。
「……フン。じゃんけんには負けたが、貴様だけに手柄を渡すにはいかん!」
その近くで、大柄な男が巨躯な身体を飛ばして接近してくるのを、僕は渾身の蹴りでどうにか止めてみせる。
「……まさか、お前も進化したのか。グアイワル」
「その通り! だが、貴様もパワーアップしたと噂に聞いているぞ。キュアラピウス」
シンドイーネと同じように、メガパーツを体内に埋め込んで更に力をつけてきたのだろう。
だがそうだとしても、コイツは僕の敵ではない。
「進化したこの俺様の力、貴様で試させてもらうぞ!」
そうして、グアイワルは勢いよく拳を繰り出す。
足で止めたおかげで、僕と奴は至近距離にいると言っても良い。
──だから、この攻撃は避けられない。
仮に拳を避けたとしても、その威力から衝撃波のようなものに巻き込まれてしまう。
敵ではないとはいえ、少々厄介な局面であることは確かだ。
「──ふっ!!」
──拳が近づいてくる。
どう足掻こうと命中する一撃。
それに対して、特に焦りはなかった。
この展開が来ることは予測していた。
最初の一撃が避けられないのなら、次の一手でどうリカバリーするのか、その一手先を考えていた。
「くっ……!」
強烈な痛みが全身に伝わる。
僕を吹っ飛ばそうとする拳と、防御で構えた腕がぶつかり合う。
だが問題ない。これほどのダメージはくれてやる。
「ぬぉっ……!?」
二撃目の拳を繰り出す前に、こちらも奴の腹に拳を当てる。
これまで接近戦が少なかったのもあり、コイツや怪物に体術が効くのか半信半疑だったのだが、今のキュアラピウスの能力では効いているようだ。
「ぬぅ……はぁっ!!」
グアイワルは痛みを覚えるも、構わず二撃目の拳を繰り出す。
今度は僕の顔面に命中した。
確かに頬に張り付いた巨漢の拳だが、手応えがない。
互いに滲み出る痛みはなく、ただ何かに強く触れたという感触でしかない。
「なっ……!」
その瞬間、グアイワルの顔面に衝撃が炸裂する。
顔を空に向けて拳を離し、同時に突き出した僕の脚が奴の顔を踏みつけた。
「なにィィィィイイ!?」
そのまま観客席の方まで蹴り飛ばし、グアイワルは断末魔を上げて吹っ飛んでいく。
こうしている間に、ギガビョーゲンを仕留められていればいいが。
「おい、何を手こずっている」
「だってぇ、こいつギガジャンプなんだもん!」
『ギッガ!』
成程、バネになったその足を巧みに跳躍して攻撃を回避しているのか。
世界で活躍する為に日々努力する高美から生まれたにしては、何とも皮肉で滑稽な形態だ。
更に、身体からバネを飛ばす攻撃でグレース達を苦しめる。仮に避けたとしても、地面にぶつかった反動と弾性力で縦横無尽に駆け巡らせる。
どうにも厄介な技だ。僕も迂闊に近づけないでいた。
どうすべきか考えている中、フォンテーヌとシンドイーネの対決は今も続いている。
戦況はシンドイーネの優勢であり、中々切り崩せずに苦戦しているようだ。
「彼女のパワーをこんな事に使わせない!」
「ライバルなら丁度良いじゃない。居なくなった方がさ」
「違う!」
フォンテーヌの重たい跳び蹴りが炸裂し、シンドイーネの顔を歪ませる。
「彼女が居てくれるからわたしはもっと跳べるの!」
「ライバルなんて邪魔で目障りでムカつくだけよ。消えりゃ良いのよ!」
「貴女には分からない!」
「分かりたくもないわよ!」
ついに痺れを切らしてシンドイーネは反撃するも、華麗に避けたフォンテーヌのカウンターによってグアイワルのいた観客席まで蹴り飛ばされた。
『ギガーッ!』
フォンテーヌに隙が出来たと判断したかギガビョーゲンが拳を振るうも、更に跳躍して躱す。
「もっと、もっと高く……!」
長く、高く、
そうして遠くの太陽と被る高さまで辿り着いたキュアフォンテーヌは、追いかけるギガビョーゲンにヒーリングステッキを向ける。
「雨のエレメント!」
ステッキから放たれた激しい水流型の光線が、ギガビョーゲンを難なく地面へと一気に叩き付ける。
「何すんのよ!」
空中で隙を見せたフォンテーヌに、シンドイーネは横から両手を構えて不意打ちを与えようとする。
それも、僕達からすれば隙だらけということを知らずに──。
「『
「──ッ!!」
光の矢は迷い無しにシンドイーネに突っ込み、グアイワルが吹っ飛ばされた場所と同じ方角へ飛ばした。
「今だ……!」
「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」
「「「「プリキュア・ファイナルヒーリングっどシャワー!!」」」」
『ヒーリングッバイ……』
『お大事に」
ヒーリングっどアローで放った七色の癒しのパワーにより、怪物は消滅したのだった。
「アンタたちが一番目障りで邪魔なのよ……!」
「……邪魔なのは貴様の方だ、シンドイーネ。 早くその重たい腰を上げろ!」
「なっ、アンタ何でそんなとこで──って、あたしが重いわけないでしょう!?」
目を覚ました高美とちゆは、互い先日の件について謝罪する。
そして、会話の中でちゆはハイジャンで世界を目指すと決意する。
世界という最高の舞台で最高のライバルと共に競い合い、高め合った末に再び会おうと約束していた。
「あいつ、結局世界を目指すのか」
「まあいいんじゃない? かつてこの場で切磋琢磨したライバルと世界で再び戦う、なんてめっちゃカッコいいし!」
「熱い展開、というやつですね。この前のテレビでやっていました」
確かに漫画の序章のような熱い展開ではあるのだが、僕からすれば何とも腑に落ちない。
ハイジャンで世界を目指すと決意したのが、あまりにも唐突だったからだ。
勿論、僕が知らなかっただけで元々目指していたものであるのなら、それでいい。
ただ、ちゆにはハイジャンだけでなく旅館の女将の仕事にも情熱を注いでいたはずだ。
つまり、僕が気にしているのは──
「飛鳥くん、どうかしたの?」
「……いや、人の将来に口出しするものじゃないな」
ハイジャンと女将、両方を取るのは殆ど困難だと思っているのだが、それを僕なんかに言われる筋合いはないだろうし、今それを考えても仕方がないことだと悟ったのだった。
いつもご愛読ありがとうございます!
前回の更新の際、あまりにもエタりすぎていたので、正直お気に入り数が激減しても当然だなと思っていました。しかし、ありがたいことに多くの方々にお気に入り登録していただきました。
実に頭が上がらない思いです。本当にありがとうございます!
中々執筆に時間を費やせず、またも期間が空いてしまいましたが、おかげさまでモチベーションの向上に繋げられております。
更新は今後も続けていく予定ですので、引き続きご迷惑をおかけしますが、ご愛顧のほどよろしくお願いします。
それでは、今回もご拝読いただきありがとうございました!