レインと手を組むことを決めたカナメ。仲間を見つけ、否、まともなプレイヤーを見つけてなのか、安心感からか、心の油断が一瞬あったのかもしれない。
ふぅ、と息をついた瞬間、異次元カメラを覗いていたレインが告げた。
「誰かがこちらに来ています」
レインの忠告に反応し、先ほど見たマシンガンを手に、警戒を続ける。が、一向に敵が見えない。
「誰だ! 異次元カメラで見えているぞ!」
足が震えるが、しかし、大丈夫だ。そう心に言い聞かせて、見えぬ敵に威勢を張る。この武器の恐ろしさはたったさっき実感した。
と、途端に目の前に仮面をかぶった男と少女、否、幼女と言っても過言ではない背丈の女が現れる。目の前に、突然にだ。しかし、これをカナメは知っている。昨日戦ったバンダ君が使っていた透明になる
「おっと、警戒されちゃったみたいだね。落ち着いてよ。敵意はないから」
男はおどけるおどけるように両手を上げてへらへらと笑う。
「仮面の男・・・」
「気を付けてください。彼はカイン。敵の
「マジかよ? 厄介じゃねぇか」
「あ、その情報違うよ」
レインの忠告に答えるとカインと呼ばれた男が否定するのとどちらが早いか。今はそんなことはどうでもいい。レインの情報が間違えたことが第一の問題だ。
「僕の
「余計厄介じゃないですか」
「だから敵意はないんだって。むしろ仲良くしたいんだよ。このゲームは敵対してばっかじゃ勝てないからね。協力も時には大切だからね」
「おっ、話が分かるじゃねーか」
カナメの警戒心が解け、銃口が下を向く。
「敵意がないことは分かりました。ですが、幼女誘拐はあまり・・・」
レインが呟く。
「誘拐じゃないって。うちのクランのメンバー」
「ユーリ。
幼女、ユーリはとてとてと歩いていき手を伸ばす。その先にいたカナメは少しぽかんとしたが、すぐに我に返り笑顔で伸ばされた手を握った。
「よし。これで友好関係は築けたね」
「ところで、どうやってここに来たんだ? 階段は封鎖されてるし、エレベーターは罠だらけだし」
「壁を伝って・・・と、それよりもヤバイよ」
カインは素早く身を隠し、二人を呼ぶ。
「連中、まだ生きてるってのか!?」
「そういうこと。じゃぁ、僕と仲良くなるのがどれだけいいことなのか、教えてあげるよ」
途端、目の前からカインが消える。
「あれは、
「ネットと脳を繋げることができる。情報なら任せて」
ふふん、と胸を張る。背丈が小学生程度なので愛らしさしか感じない。
「敵の数は4人。カインなら大丈夫」
「同感です。彼なら任せて大丈夫でしょう」
「そんなに強いのか? カインってやつ」
唯一話についていけてないカナメに、レインが教える。
「彼はクラン『ネームレス』のリーダーで、雪蘭に続いてランク2位のプレイヤーです」
「マジかよ」
「レインの言う通り」
再びユーリがふふんと胸を張る。
「さて、俺らは花屋の居場所指定だな。それと、できれば対策も・・・」
「恐らく一階かと」
「まぁ、確かにそうだな」
「カインに聞いてみる」
言って、ユーリがカインにクランチャットで『花屋の居場所分かる?多分一階』と送ってみた。
「何か頼りっぱなしで悪いな」
「元々中立のクラン。困った人は助ける。殺す時は殺すけど」
「そ、そうか」
殺す時は殺す、に少し反応したカナメだったが、その姿勢もこのゲームでは致し方ないと思い直すことにした。
『
と返信が返ってきた。
「おいおい、逃したって大丈夫かよ!?」
「一人くらいなら大丈夫です。私の
三人はとりあえず花屋の影響が及んでいない上階に上ることにした。
「なぁ、これ逃げ場バレてねぇか!? ほら、監視カメラが・・・」
「安心して。私の
それからしばらくして、カインからチャットが送られてきた。
『場所が分かった。警備室だよ』
「なるほど・・・行く方法は一つだけだな」
「何考えてるんですか。八割方死にますよ」
「馬鹿のすること」
そう。カナメの考えているその方法は、生存率は決して高くない。それは
「でも、それしかないだろう?」
「まぁ、それもそうですが・・・」
「あとは覚悟を決めるだけだ」
カインが敵を、三人が策を実行せんとしている中、花屋は困惑していた。
突如現れた日本トップレベルのクランリーダー、カイン。そして、突如停止した監視カメラの映像。
何が起きている!?
そう思うしかなかった。
しかし、すぐさま冷静に戻り、停止していない25階以下で彼らを探す。上が駄目なら下を見るしかなかろう。
すると、15階に男の姿が見えた。
なぜ!? まさか外壁を伝ってきたのか!?
しかし、それしか考えられない。階段は封鎖しているし、エレベーターには罠を張っている。しかし、流石に外壁には罠を張っていなかった。そもそも、人間にそんな覚悟があるとは考えていなかった。
花屋とカナメが一触即発の状態に陥っている中、カインは何とか三人を
「大丈夫かなぁ。まぁ、ユーリなら大丈夫でしょ」
ユーリは背丈からもわかる通りまだ小学生だ。小学生の折れそうな手では銃を放つのは危険がありすぎるし、刀を持たせるにも重たいと不満を言う。
なので戦闘には滅多に出てこないが、敵のかく乱となれば話は別だ。半径100mにも及ぶその
さて、次は何をしようか。