シブヤ駅に到着すると、既に気付いているのか、それとも偶然転送先がここだったのか、一人の女性が立っていた。
気配を消して、女性の元へ近づく。
「あれはユカリ。気を付けて、強い」
了解、と言葉を返して、カインはユーリを隠し、女性の前へ出る。
「誰がひそひそやってんのかと思ったら・・・あんたか。仮面の男」
「やだなぁ。僕にはカインって名前があるんだよ。君は何がお目当てでDゲームをやってるのかな?」
「は? 聞くまでもないでしょ。金目当てよ。金目当て。それ以外に何があるっていうのよ」
その言葉を聞いて、はぁ、とため息を吐くカイン。
「返答次第では逃がしたのに・・・いや、僕は嘘を見抜けるから意味ないか。じゃぁ、無抵抗になるまでやろうか」
「アタシの
どちらからともなく、戦闘へと入る。その合図は無し。跳躍で距離を詰めるユカリに対し、カインは後ろへと跳ぶ。そのまま仲間の
「うわぁ、痛そう」
他人事のように呟くユカリを見て、改めて彼女の強さを再確認する。
ユカリは血が噴き出るのも無視し、木の棒を抜き取り、投げ捨て、そのままこちらへ走り出す。やはり痛みで抑え付けるのは無理だったか。ならば、物理的に止めるしかない。
カインは
「ごめんけど、足、切り落とさせてもらうよ」
すぐさまユカリの後方に瞬間移動し、両足を太ももから切り落とす。
「あれ?」
痛覚がないためか、それに気づかず一歩先へ踏み出したユカリがこてんと倒れる。断面からは白い骨がよく見える。
「うわぁ、でも無駄ぁ」
にやぁと不気味に笑ったユカリは切断された両足へと断面から白い糸を伸ばし、何事もなかったかのように繋げる。
「人形は直せばいいんだよ」
「それ知らなかったなぁ。いやぁ恐ろしい」
彼女の
だが、切断もだめなら、物理的に縛ってしまえばいい。
今度は
それをするりと体をくねらせてするりと回避する。明らかに異常な体のくねりを見せたが、関節を外しているのだろう。骨折していても攻撃を止めないところは、バーサーカーかのようだ。
「痛そうだなぁ。君のは知ってても使いたくないよ」
「そりゃ、アタシだから出来るからね。こんな芸当」
伸ばした右腕を、カインは右側へ避ける。だがしかし、突き出した拳が追尾してきた。何事か、と一瞬困惑したが、すぐに理解した。
肘が逆に折れ曲がっているのだ。ボキリと鈍い音が鳴るのも無視し、彼女はカインを仕留めるためだけに凶行に及んだのだ。
回避しきれず、腹部に強烈な打撃をもらう。
「もらった」
胃の中のものを吐き出しそうになるのを抑え、ニヤリと笑う。
ユカリの右腕を腹部から突き出た二本の腕ががっちりと拳を掴んでいた。
「今痛覚を戻したらどうなると思う?」
「そ、それは・・・」
彼女の
そして、カインの知る中には
「抵抗しないなら治してあげる。どうする?」
「わ、分かった。分かったからそれだけは止めて」
先ほどまでの威勢ある表情はどこへやら。恐怖に怯えるユカリは左手を上げる。
「あ、あんがと」
「いいよ~。僕たちは中立だからね。ユーリ。もう出てきてもいいよ。もし敵意を一瞬でも向けたら殺す準備は出来てるから」
「分かった」
陰に隠れて終わりを待っていたユーリが顔を出す。
「カイン。怖い顔しないで」
「ごめんねぇ。ついつい頑張っちゃって」
仮面で見えないはずの表情を指摘するあたり、どれだけ付き添ってきたかがわかる。
「さて、君はここに転送されたの?」
「そ、そうだよ。リングが目的なら、ほら」
「いや、リングはいい」
「は? これが優勝方法じゃないの?」
「それがね。そうだと楽だったんだけど、どうもそうじゃないみたいだ」
「どういうことだよ・・・」
「ま、君に話すなんて無駄なことはしないよ。じゃぁ、もう二度と会わないことを祈っているよ」
「アタシもだよ。アンタと戦うなんて二度と御免だね」
びっと中指を立てたユカリはそのまま唾を線路上に吐きつけ、シブヤ駅を去る。
「さて、と。次の来客は・・・あぁ、厄介だな」
「あれは面倒。援護呼ぶ?」
「いいよ。リカとカオルはまだ休憩中だし、サツキはまだ関西に出てるでしょ?」
「・・・分かった。でも、怪我はしないで」
「あいよー」
この二か月で日本は、世界は大きく変わりましたね。忙しない時期ではありますが、個々人がしっかりと守るものを守れば、防げます。
私の日常は、色々と中止になったりと、憂鬱な日々を送っております。
こんなご時世ですので、私のものだけではなく、沢山の小説を読んでみてください。