作風の実験も兼ねている。
なお、思いつきのため続くか続かないかはお察し。
エタ作者を信用してはならない……(戒め)
○月×日 晴れ ☆☆☆☆☆
今日という日を皮切りに日記を付けてみようと思う。
俺は飽き性なので日記なんて趣味じゃ無いのだが、我が身に起こった異変を忘れないためにも、自分の正気を確かめるためにも此処に初めて日記というものを記していこうと思う。
俺の名前は……まあヨシュアとでも名乗っておこう。
誰かに見られることを考慮するに本名を書くのは恐ろしい。
見るにしても家族だが、態々本名で記することもないだろう。
それに元はヨシュアから漢字付けしたと母から聞いているのであながち間違っては……。
おっと、早速話がどうでも良い方向に逸れた。
気を付けねば。
ともかく、俺ことヨシュアは今日を皮切りに此処に日記を付ける。
理由は我が身に起こったこととは言え未だ信じられないが、俺が転生したからである。
転生というのはいわゆる過去の記憶を保持したまま新しい生を受けるアレだ。
雑な説明で悪いが、現状を端的に現すならばそれが適切なのでそういうものとして此処に記す。
転生……正直、自分が一度死んで生まれ変わったなど信じられないし、知らないはずの記憶や知識があるのは若干気持ち悪い。前世と顔つきもだいぶ違うし、俺が錯乱しているだけっていうのも否定できない。
色々疑うと段々、気分が悪くなるので、この日記を気に俺が体験したことは転生ということにする。
そう。
俺ことヨシュアは二度目の生を受けた転生者なのだ。
○月×日 晴れ ☆
さて二日目。まさか飽きず日記を手に取るとは思わなかった。
前世の自分ならば日記など一日足らずで飽きるだろうに……。
というわけで記念すべき日記二日目。
今日は現状について話したいと思う。
俺が生きた時代はスマートフォンが全国的に普及し、皆が皆インターネットに通じて、色々と便利になり始めた情報時代などと呼ばれた時代だったが、俺が生まれた今世はそれ以上に進んでいる。
なんと、不可能だと歌われたフルダイブ型のVRゲームが存在するのだ!
それだけで情報化ひいてはITが進んでいるか、よく分かるだろう。
正直、二十年ほどの年代差で此処まで進んでいるなんて思いもしなかった。
VRの急激な発展は何でも茅場なんとかさんが関係しているようだが……。
ともあれ、生まれ育った世界よりもこの世界は近未来のようだ。
せっかくなので俺も進んだ時代とやらを体験するため、親に強請ってナーヴギア……フルダイブ型VRゲーム用のデバイスを買って貰う。
前世の記憶に引きずられ、普段我が儘など言わない反動からか、ナーヴギア他様々なゲームソフトも追加で買って貰ってしまった……しかも最新のVRMMOゲーム、『ソードアート・オンライン』のβテスト参加応募券までついて。当たるかどうかは分からないが、両親の気遣いには感謝の念が潰えない。
買ったゲームについては早速、妹たちと一緒にプレイしよう。
俺のついでに妹たちもナーヴギアを手に入れたことだし。
○月×日 晴れ ☆
VRゲームとは難しいものだと日々実感する。
やはりコントローラーを手で操作するのと実際に身体を動かすとでは全然違う。
アクション、スポーツ、格ゲー、リズムゲーム。
どのジャンルも一通り、試したが、どれも難敵だった。
まずどのVRゲームでも感じるのは『違和感』だ。
ゲームの中なのだから現実感に限界があるのは当然の話だ。
しかし、それにしても百十数メートル動いただけで壁にぶつかる箱庭的空間のものや、これ見よがしにこれは電子世界であると分かってしまうオブジェクトはどうしても、ゲームへ没入する感覚を削いでいく。
加えてフルダイブ型VRゲームという新ジャンル故か、どのゲームも手探り感が否めず、イマイチぱっとしない。
前世でイメージされていたフルダイブ型VRゲームとは全然違い、ちょっとガッカリ。
でも実際に身体を動かしてゲームをやる感覚はやはり新しいので、まあこんなものかと今は満足している。
……時に妹よ、兄ちゃんと同じ時期に始めたのに何でそんなゲーム強いの?
○月×日 晴れ ☆☆☆
レースゲームで妹に一周回分の周回差を付けられ敗北。
可笑しい……普通、こういうのは俺の方が強いのでは? 転生者補正的に。
上の妹に慰められるが……すまない、その慰めは俺のプライドに追撃なのだよ。
そういえば今日『ソードアート・オンライン』のβテスター当選者発表の日だったのだが、なんと俺は当選していたらしい。
応募者数数万と人気と注目を集めていたオンラインゲームなので楽しみだ。
我が妹たちもとても羨ましがっている。
なのでドヤ顔で自慢してみた。
……結果、テニスゲームでダブルスを強要され、無事ボコボコにされますた。
○月×日 晴れ ☆☆
遂に『ソードアート・オンライン』βテスト期間当日。
期待を胸に早速ログインする俺。
するとなんと言うことでしょう。
今までやってきたゲームと比べようもないほどめっちゃクオリティが高いでは無いか!
草原を抜ける風、地面を踏みしめる感覚、閉塞感の無いほど広いフィールド。
街の造りも一つ一つ細かで、現実感は今までやってきたどのゲームよりもヤバい。
期間は二ヶ月だったか。どうやら楽しい毎日になりそうだ。
因みに俺のアバターは髪をすみれ色にして目の色を赤にしただけの現実顔。
転生のこともあり、自分の顔をあんまり変えるのは嫌だった。
ということで最低限の変更だけ加えた。
目の色や髪の色が違うだけでもだいぶ印象が変わるからな。
同じくログインしてた他のβテスター達はだいぶ変えていたけれど。
それも全員揃って美男美女。
……この中に普段からイケメンに呪詛を吐く立場の人間は一体どれだけいるのだろう。
後、これオフ会とかやったら誰が誰だか分からなくなるのではないだろうか。
身長百八十センチぐらいのイケメン主人公っぽい人を見ながら思う俺。
キリトさんか……NPCに色んなパターンで話し掛けまくるゲーム慣れしている。
リアルではどんな顔をしているのだろうか。
○月×日 晴れ ☆
最近は『ソードアート・オンライン』こと『SAO』の事ばかり考えている。
妹たちにはもっと構えとせがまれる。
だが、すまない……オンラインゲームの魔力には耐えられなかったよ……。
ゲームでは街回りにいるイノシシモンスターを狩る日々。
他に良い狩り場があるのかもしれないが、俺のスタイルは初手で平均を上回るレベルアップをした上で、序盤の敵を無双するのが好きなのだ。
ということで取りあえず十レベ目指しイノシシ狩り。
そういえば前世では某国民的ポケットに入るモンスターアドベンチャーの最新作で実装化された野生なエリアでレベル上げすぎて四バッチ目ぐらいまで初手ワンパンの繰り返しだったことを思い出す。
ふむ、レベル上げすぎても後半味気なくなるのである程度上がったら次に進もうか。
それに街周りの平均レベルを上回っているせいか他のプレイヤーによく話しかけるようになる。
いやさ、オンラインゲームなのだから当然なのだが……。
でもそれは困る。かなり困る。
何せ、俺はオンラインゲームをやっている癖にコミュ障なのである。
前世から「はい」「いえ」「レシートは要りません」ぐらいしか、日常会話はしてこなかったのだ。妹たちの前ですら最低限の言葉しか言えないのだ。
どうも人を前にすると『何を考えているのだろうか』とか、『自分は気持ち悪くないだろうか』とか要らぬ懸念をしてしまうせいで緊張し、結果、言葉が少なくなるのだ。
なので悪いが他のプレイヤーを当てってくれまいか?
所詮俺は孤独な
あ、でも途中で出会った、ディアベルさんは陰キャにも優しい人で助かった。こちらが言葉にせずとも何となく察して他の人との仲介をしてくれたからね。
アレが陽キャのコミュ力か……俺にも転生特典でくれないだろうか。
……ってかフレンド登録しとけば良かった。
別れ際は「気にすることはない」なんて颯爽と立ち去ったからID聞けなかったのだ。
馬鹿め、
此処はコミュ力がモノを言う世界なのだよ。
今日は調子よくレベル二つほどレベルアップ。
スキルポイントどう割り振ろうか。
……何か虚しい。
これがソロの悲哀か。
『次のページに続いている』