雨の日に生まれた戦士がダンジョンに行こうとするのは間違っているだろうか 作:柔らかいもち
地上では太陽が若干西に傾いている時刻。
エイナの座学を終えたレインが歩くのは、ダンジョンの12階層。まだレインをLv.1の無駄な自信家と思っているエイナからは4階層までしか潜ってはいけないと言われているが、当然のようにレインは無視した。
レインがこの
渡さなければいけない相手――同胞とやらは
レインは霧が濃い所に入り、周りからの視線が途絶えた瞬間、Lv.9の身体能力をフルに使って迷宮を下へ下へと潜っていった。
♦♦♦
「ここか」
レインの現在地は20階層の正規ルートを大きく外れた場所に位置する長方形の
何より目を引くのは
レインがここに来たのは
とはいえ、探ることが出来る範囲に制限がないわけではなく、正直21階層までが限界だった。それでも広大な20階層全域を調べることが出来る時点で破格の性能だが。
レインが捉えたのは複数のモンスターの気配。だがその気配が人間を見るなり襲ってくる普通のモンスターと大きく異なっていた。これが自分の探している奴等だと判断したレインは、モンスターを蹴散らしながらここに来た。
レインは今も気配を感じる方向にある壁を探ってみる。そこは
「……金にがめつい奴が来たら見つかりそうだな」
隠れていた樹穴にレインが厳しい
通常より速い速度で修復が始まっている
レインは躊躇なく泉に飛び込む。すると水面上では行き止まりとなっている壁の奥へ続く、横穴があった。剣の重みで水底を歩いて進んだレインは横穴の突き当りまで進み、緑光が差し込む真上を仰いだ。水底を蹴り、一気に浮上する。
水面から顔を出したレインの視界に飛び込んでくるのは、樹洞から様変わりした鍾乳洞に似た洞窟。そこには奥へと続く岩盤の通路があった。……複数のモンスターの気配もその先から感じられる。
レインはいつもと変わらぬ調子で歩き始めた。つまるところ、なんら警戒することなく暗闇の穴に進み始めたのである。暗闇だろうと昼間と変わらない景色が見えるレインは魔石灯を使わない。光源と呼べるのはほとんど見当たらなくなった、
一分も歩けば、細い通路は終わりを迎えた。奥にあったのは特大の
レインが見える範囲ではモンスターはいない。なので、向こう側から自主的に出てきてもらうことにする。背嚢から届け物――モンスターの『ドロップアイテム』である『ラミアの爪』を取り出す。
すると、次の瞬間。
濃厚な『殺意』が膨れ上がった。
ザザザザザザザッ!! といくつもの足音が周囲から接近してくる。同時に、ばさっという複数の羽を打つ音も宙を舞った。
最も速く近づいてくる存在にレインは視線を向ける。その正体は赤緋の鱗を持つ蜥蜴のモンスター『リザードマン』。
『――ルォオオオオオオオオオッ!!』
咆哮する蜥蜴の戦士は双眼を血走らせ、左手に持つ銀の光――
レインはその攻撃を首を後ろに傾けるだけで回避する。刃が通り過ぎていった瞬間、レインは
『グァッッ!?』
その先にいたのは羽根の弾丸を放とうとしていた
それが開戦の
種族の異なるモンスター達の間で共通していることは、
明らかに通常種ではないモンスター達を、レインは剣を抜くことなく迎え撃つ。
♦♦♦
戦いは一方的な蹂躙だった。蹂躙されるモンスター達は目の前の人間――レインがどれだけ強いのか見当もつかない。
空を飛ぶ
『ゴブリン』などの小型のモンスターはデコピンで沈められた。彼等は基本的に一発で意識を失った。
今も戦っているのは二刀流の
そしてついに
レインは殺意や敵意は向けてきても襲い掛かってくるモンスターがいないことを確認すると、目の前の
「おい。お前らの仲間の遺品を持ってきてやった恩人に対する仕打ちがこれか? ん?」
『……ギャ?』
間抜けな声を漏らす
「何知性のないモンスターぶってんだ。喋れるんだろうが、貴様等。今更言葉が分からんふりしても遅いんだよ、コラ!」
「――いっ、イダダダダダァアア!? す、すまん! すいませんでしたぁ!?」
容赦なく
こうしてレインと喋るモンスター『
レインがゼノスの一人に出会ったのは、オラリオの外。闇派閥が怪物趣味の貴族にゼノスのラミアを売り払いに向かっている時、ラミアが入れられていた檻を破り脱走。ラミアが逃げた先にレインがいて、ゼノスを見られた闇派閥が口封じのためにレインを殺そうとする。
最初はラミアを即殺しようとしたレインだが、敵意がなかったのと闇派閥が殺そうとしてきたので後回しに。
闇派閥を殺した後、逃げ出す際に重傷を負っていたラミアがレインにドロップアイテムを届けてほしいと依頼。それをレインは引き受けた。傷は呪武器でつけられていたため、治せなかった。
ちなみに今回の戦いでレインは一匹も殺していない。