戦姫絶唱シンフォギアーNo name monsterー 作:ハウスダストドラゴン
リディアンに辿り着いた私達だったが、そこは酷い有様だった。
校舎の半分以上が倒壊しており、瓦礫の山と化している。
「未来ー!みんなー!」
立花さんが叫ぶが、返事をする者はいない。
「リディアンが......あっ?櫻井女史!?」
「フィーネ!お前の仕業か!」
翼さんとクリスがリディアンの屋上を見上げながら叫ぶ。
「フフフフ......ハハハハハ!」
「そうなのか......?その笑いが答えなのか!?櫻井女史!」
「あいつこそ、あたしと刹那が決着を着けなきゃいけないクソッタレ! フィーネだ!」
「えぇ彼女がフィーネで間違いありません」
櫻井了子の姿をしたフィーネは眼鏡を外し、結んだ髪を解く。
すると全身が光に包まれ、金髪に金の瞳を持ち、金色のネフシュタンを纏ったフィーネとしての姿が現れる。
「嘘......?嘘ですよね?そんなの嘘ですよね?だって了子さん、私を守ってくれました」
立花さんは信じられないと言った様子で呟く。
「あれはデュランダルを守っただけのこと。希少な完全状態の聖遺物だからな」
「嘘ですよ。了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」
「櫻井了子の肉体は、先だって食い尽くされた。いや、意識は12年前に死んだと言っていい。
超先史文明期の巫女フィーネは、遺伝子に己が意識を刻印し...... 自身の血を引く者がアウフバッヘン波形に接触した際、 その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する機能を施していたのだ。
12年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた。その目覚めし意識こそが、私」
「あなたが了子さんを塗りつぶして......」
「まるで過去から蘇る亡霊!」
「フフフ。フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄。
世界中に散った私たちはパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた」
「っ!シンフォギアシステム......!」
「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための福受品に過ぎぬ。そこの黒崎 刹那を除いてな。どんな手品を使った?確実に心臓を貫いた筈だが」
「原因など知りませんよ。まぁ、恐らくギア擬きのお陰でしょうがね」
「えっ!?刹那さん大丈夫なんですか!?」
立花さんが心配した様子で聞いてくる。
「えぇ。今は心臓も問題なく動いていますよ」
「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか!?」
「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのもそいつが理由かよ!?」
「そう......全てはカ・ディンギルのため!」
突如、凄まじい轟音が鳴り響く。
フィーネの背後に本部のエレベーターシャフトが変形し、塔の様になって現れる。
「っ!?」
想像を絶する光景に全身が絶句している。
「これこそが、地より屹立し天にも届く一撃を放つ...... 荷電粒子砲カ・ディンギル!」
「カ・ディンギル! こいつでバラバラになった世界が一つになると?」
「ああ!今宵の月を穿つことによってな!」
「月を?」
「穿つと言ったのか!?」
「なんでさ!?」
「私はただ、あの御方と並びたかった...... その為にあの御方へと届く塔を心あるものに建てようとした...... だが、あの御方は人の身が同じ高みに至ることを許しはしなかった。
あの御方の怒りを買い雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類が交わす言葉まで砕かれる。果てしなき罰...... バラルの呪詛をかけられてしまったのだ。
月が何故古来より不和の象徴と伝えられてきたか......それは!月こそがバラルの呪詛の源だからだ!!
人類の相互理解を妨げるこの呪いを! 月を破壊することで解いてくれる!そして再び世界を一つに束ねる!」
「目的など、どうでもいいんですよ。私はこの燃えたぎる復讐心に従って貴女を殺すだけだ」
「呪いを解く!? それはお前が世界を支配するってことなのか?安い! 安さが爆発しすぎてる!」
「永遠を生きる私が余人に歩みを止められることなどあり得ない」
クリスが煽るように言うが、フィーネはそれを軽く流す。
「「「っ!」」」
Balwisyall nescell gungnir tron......
Imyuteus amenohabakiri tron......
Killter Ichaival tron......
「行きますよ。ギア擬き」
奏者三人はシンフォギアを、私はギア擬きを纏う。
『傷ごとエグれば忘れられるってことだろ? いい子ちゃんな正義なんて剥がしてやろうか?』
フィーネが屋上から降り、クリスが歌い始める。
『HaHa!! さあ It's show time 火山のよう殺伐 Rain さあ お前らの全部全部全部全部全部 否定してやる そう......否定してやる』
クリスが腰部パーツから小型ミサイルを展開する。
ーMEGA DETH PARTYー
「ふん!」
フィーネは鞭を振るい、ミサイルを全て迎撃する。
クリスが私と翼さんにアイコンタクトを取る。
立花さんもそれを見て察したようで、そのままフィーネに蹴りかかる。
フィーネはそれを避けるが、翼さんと私が両方向から同時に攻撃する。
フィーネは鞭を剣のようにして、翼さんの刀と私の拳を防ぐ。
『だから涙なんて 邪魔なだけなのに』
クリスの歌が響くがフィーネは無視し、翼さんの刀私の拳に鞭を巻き付ける。
翼さんは刀を飛ばされ、私は身体ごと吹き飛ばされる。
「カハッ......」
吹き飛ばされた先で瓦礫が腹部に直撃し、口から血が溢れる。
痛みを無視して身体を起こすが、まともに動けそうもない。
翼さんはバク転してフィーネの攻撃を躱し、地面に手をつく。
ー逆羅刹ー
フィーネはそれを鞭を回転させて防ぐ。
「たあああ!!」
立花さんがフィーネに迫り、拳を突き出す。
「はっ!?」
フィーネは間一髪で攻撃を腕部装甲で防ぐ。
「フッ......ん?」
「おめーはこっちだ!」
クリスがフィーネ目掛けて大型ミサイルを発射する。
『HaHa!! さあ It's show time 火山のよう 殺伐 Rain』
フィーネはそれを躱すが、ミサイルはフィーネを追い続ける。
「スナイプ!」
『さあ お前らのゼンブ全部全部全部全部』
クリスはもう一発の大型ミサイルをカ・ディンギルに向ける。
「チッ!させるか!」
フィーネは舌打ちをし、自分を追い続けるミサイルを破壊する。
「デストロイ!」
『否定してやる そう......否定してやる』
「もう一発は!?」
フィーネが探すもう一発のミサイルは、クリスを乗せて空へと上昇して行く。
「クリスちゃん!?」
「なんのつもりだ!?」
「クリス......まさか、貴女は......」
「チッ!たが足掻いたところで所詮は玩具!のカ・ディンギル発射を止めることなど!」
Gatrandis babel ziggurat edenal......
「っ!?」
「この歌......まさか!?」
Emustolronzen fine el baral zizzl......
「絶唱!?」
クリスは空高くでミサイルから飛び降りる。
「クリス......やはり......」
Gatrandis babel ziggurat edenal......
Emustolronzen fine el zizzl......
カ・ディンギルがより一層強く輝き、クリスも二つの銃身を一つに合わせ、力を溜める。
そして、カ・ディンギルは発射された。
クリスも絶唱によるエネルギーを解放する。
二つのエネルギーがぶつかり合った。
「「あっ......」」
立花さんと翼さんが声を漏らす。
「一点収束!押しとどめているだと!?」
しかし、クリスの銃にヒビが入り、エネルギーも少しずつ押され始める。
クリスはそのまま、荷電粒子砲に飲み込まれた。
荷電粒子砲は月へと進み、月の"一部"を破壊した。
「仕留め損ねた!?僅かに逸らされたのか!?」
空から光り輝くものが落ちてくる。
それはクリスだった。
「「あっ!」」
立花さんと翼さんの声が響く。
クリスはそのまま......森の中に落ちて行った。
「あ......あ......あああああああ!!」
立花さんの悲痛な叫びが、夜空に響き渡った。
「序章 始まり」に設定紹介を追加しました 2020年4月25日(土)