戦姫絶唱シンフォギアーNo name monsterー   作:ハウスダストドラゴン

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不死鳥が生まれた日

「皆の歌声がくれたギアが私に負けない力を与えてくれる。クリスちゃんや翼さんに、もう一度戦う力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない。命なんだ」

 

光の翼を背中に生やした立花さんは、フィーネに向けてそう言い放つ。

 

「高レベルのフォニックゲイン......こいつは2年前の意趣返し?」

 

『んなこたどうでもいいんだよ!』

 

クリスの声が頭に響く。

 

「念話までも...... 限定解除されたギアを纏って、それで勝ったつもりか?」

 

「まったく......居なくなってしまったと思いましたよ。クリス、翼さん」

 

『心配かけたな。刹那』

 

『すまない。遅くなったな』

 

二人が念話で返してくる。

目元が熱くなる感覚を覚える。

指を目元に当てると、透明な液体が指に着く。

涙なんて流したのは二年ぶりだった。

 

「調子に乗るな!」

 

フィーネは数体のノイズを召喚する。

 

『いい加減芸が乏しいんだよ!』

 

『世界に尽きぬノイズの災禍も全てお前の仕業なのか!?』

 

「ノイズとはバラルの呪詛にて相互理解を失くした人類が、同じ人類のみを殺戮するために作り上げた自律兵器」

 

『人が人を殺すために?』

 

立花さんが困惑した声を出す。

 

「バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままだ。そこからまろびいづる10年一度の偶然を私は必然と変える。純粋に力と使役してるだけのこと」

 

『また訳わかんねぇことを!』

 

クリスが念話で叫び、ノイズがそれに反応するように三人に襲い掛かる。

三人は難なく躱すが、フィーネはその隙を突いてソロモンの杖を空高く掲げる。

 

「させません!」

 

私はフィーネの腹部に刀を突き立てるが、そのままソロモンの杖からノイズが大量に召喚される。

 

「フフッ」

 

フィーネは傷を再生し、不敵に笑う。

 

「フィーネは私が抑えます!三人はノイズを!」

 

『わかりました!』

 

『了解した』

 

『......死ぬなよ』

 

三人の奏者はそう言ってノイズの殲滅に向かう。

 

「疾ッ!」

 

先程と同じく、私はフィーネに刀を振るい続ける。

街の方から轟音が響いた。

恐らく三人がノイズを殲滅しているのだろう。

 

「幾ら切り裂こうともこの身は不滅。貴様の行動には何一つ意味などない」

 

「それでも、三人が戻って来るまでの時間稼ぎにはなりますよ。貴女を放置しておくと何を仕出かすか分かりませんからね」

 

そこからは言葉を交わすことも無く、ただ金属がぶつかり合う音だけが響く。

そうして街からの轟音も聞こえなくなって来た頃、フィーネは鞭を横薙ぎに振るい、私に距離を取らせると、ソロモンの杖を腹部に突き刺した。

 

「ふっ。ぐぁっ!あ......くっ......」

 

ネフシュタンによって再生し続ける身体がソロモンの杖を取り込んで行く。

それと同時にフィーネにノイズが飛んでくる。

その数は留まることを知らず、更にノイズを大量に召喚し、その全てがフィーネの身体へ吸い込まれて行く。

 

「ノイズに取り込まれている?」

 

戻って来た立花さんさんが疑問を声にする。

 

「そうじゃねぇ。アイツがノイズを取り込んでんだ」

 

クリスは忌々しそうにそう呟く。

 

「来たれ!デュランダル!」

 

地下に眠る黄金の剣まで吸収したノイズの塊は巨大化を続け、紅い竜へと姿を変える。

紅い竜はその巨体から強力なエネルギー砲を放ち、街を焼く。

 

「逆さ鱗に触れたのだ。相応の覚悟は出来ておろうな?」

 

紅い竜は今度は三人の奏者へとエネルギー砲を放つ。

 

「「「ああっ!」」」

 

クリスがビームを放つが、シャッターの様な物が降りて防がれてしまう。

 

「ハァッ!」

 

ー蒼の一閃ー

 

翼さんも攻撃をするが、ネフシュタンの再生能力によって直ぐに修復されてしまう。

 

(クソッ!私に翼があれば......!)

 

空中で繰り広げられる戦闘に、私は参加出来ない。

空を飛ぶ術など持っていないのだから。

 

『おいおい。姿形が変わったとは言え"あたしのガングニール"だぞ?その力、馬鹿にして貰っちゃ困るよな』

 

胸の奥から声がした。

何処かで聞いたことのある声。

だが今はそれが誰か考えている時間は無い。

身体に力が溢れ出す。

力は炎となって現れ、全身を包み込んだ。

 

(この炎は......?考えている暇は無いですか)

 

私は先程翼さんがやったのと同じ原理で脚に炎を纏わせ推進力とし、空に飛び立つ。

そのままクリスに向かって放たれたビームを刀で弾く。

 

『お前飛べたのかよ!?』

 

「飛べました。原理は知りません」

 

『何気に凄い事言うなお前......』

 

「いくら限定解除されたギアであっても所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具!完全聖遺物に対抗出来るなどと思うてくれるな!」

 

フィーネが勝ち誇ったように高笑いする。

 

『聞いたか?』

 

「チャンネルをオフにしろ」

 

「もっぺんやるぞ!」

 

「しかし、その為には......」

 

クリスと翼さんが立花さんを見る。

 

(聖遺物の欠片では完全聖遺物には対抗出来ない......ならば......)

 

「成程。そういう作戦ですか」

 

「え?」

 

ただ一人、立花さんだけが意図を理解出来ていないようだった。

 

 

 

「あ......えっと......やってみます!」

 

「うむ」

 

「あぁ」

 

「頼みましたよ」

 

フィーネがビームを何発も放ってくる。

全員がそれを回避しながら、翼さんが作戦開始の号令をかけた。

 

「私達三人で露を払う!」

 

「手加減無しだぜ!」

 

「了解しました!」

 

クリスと私は紅い竜の懐へと進む。

翼さんは力を貯め、剣を巨大化させる。

 

「ハァッ!」

 

ー蒼の一閃 破滅ー

 

攻撃の当たる直前にシャッターが閉まるが、翼さんの放った一撃はその装甲に穴を空ける。

先程と同じく再生が始まるが、穴が塞がる前に私とクリスで突入する。

クリスは多数のビームを乱れ撃ち、爆発によって煙幕の代わりとする。

 

「忌々しい!」

 

フィーネは煙を払おうとシャッターを開く。

そこにはクリスはおらず、代わりに剣を構えた翼さんがいた。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

その斬撃をフィーネは紫色の障壁で防ぐが、その頃には既に私が懐に潜り込んでいる。

フィーネの右腕を蹴り飛ばし、宙に舞ったデュランダルを刀でシャッターの外へ弾く。

 

「飛ばします!」

 

「そいつが切り札だ!」

 

私と翼さんで立花さんに叫ぶ。

 

「っ!」

 

「勝機を逃すな!掴み取れ!」

 

「ちょせぇ!」

 

クリスはハンドがんを発砲し、落ちかけるデュランダルを立花さんの元へと軌道修正する。

その技術は最早神業だった。

そうして立花さんがデュランダルを掴んだその瞬間、立花さんの身体が漆黒に包まれる。

 

「デュランダルを!?」

 

「ぐ......ぅ......あ......!」

 

立花さんはその黒い意思を抑えようと足掻く。

 

「正念場だ!踏ん張りどころだろうが!」

 

司令の声が聞こえた。

見ると、シェルターにいたであろう二課の人達やリディアンの生徒が何人か地上に出ていた。

 

「ぐ......ぅ......!」

 

「強く自分を意識してください!」

 

「昨日までの自分を!」

 

「これからの自分を!」

 

緒川さん、藤尭さん、友里さんの順に声を上げる。

 

「みんな......っ!」

 

「臆するな立花。お前が抱えた胸の覚悟、私に見せてくれ」

 

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ! お前が自分を信じなくてどうするだよ!」

 

翼さんとクリスが立花さんに触れる。

 

「ぐ......ぬ......う......」

 

「貴女のお節介を!」

 

「あんたの人助けを!」

 

「今日は私達が!」

 

リディアンの制服を来た三人の女の子達が立花さんに叫ぶ。

 

「姦しい!黙らせてやる!」

 

フィーネは紅い竜の身体を奏者達へ伸ばす。

 

「水を刺さないで欲しいですねッ!」

 

私はその身体を全て炎を乗せた刀で切り裂く。

 

「チィッ!」

 

だが、切り裂くと同時に私の身体が落下を始める。

 

「くッ!ガス欠ですか!」

 

後ろでは立花さんが漆黒に包まれ雄叫びを上げている。

 

「響ーーーーー!!!」

 

声が響いた。

街で私とクリスを介抱してくれた小日向さんがそこに居た。

 

「はっ!?そうだ......今の私は、私だけの力じゃない」

 

「ビッキー!」

 

「響!」

 

「立花さん!」

 

先程の三人の女の子も釣られて叫ぶ。

 

「そうだ!この衝動に塗り潰されてなるものか!」

 

闇が心臓へと戻って行く。

 

「それでこそ立花さんです」

 

落下する中で美しい黄金の光を見た。

奏者達は三人でデュランダルを構え、そのまま振り下ろす。

 

「その力!何を束ねた!?」

 

「響き合う皆の歌がくれた、シンフォギアだあああああ!!!」

 

ーSynchrogazerー

 

紅い竜が黄金の光に包まれて行く。

 

「完全聖遺物同士の対消滅......!?どうしたネフシュタン! 再生だ!!この身、砕けてなるものかああああッ!!」

 

大爆発が起きた。

 

 

 

 

戦いが終わり、立花さんはフィーネを支えてこちらに歩いて来た。

 

「お前、何を馬鹿なことを......」

 

「このスクリューボールが」

 

「皆からも言われます。親友からも変わった子だーって。もう終わりにしましょう。了子さん」

 

「私はフィーネだ」

 

「でも、了子さんは了子さんですから。きっと私達、分かり合えます」

 

「ノイズを作り出したのは先史文明期の人間...... 統一言語を失った手を繋ぐよりも相手を殺すことを求めた。そんな人間が分かり合えるものか。

だから私はこの道しか選べなかったのだ......!」

 

フィーネが顔を苦痛に歪めながらそう言う。

 

「おいっ!」

 

クリスが何かを言おうとするが、翼さんによって阻まれ、そのまま押し黙る。

 

「人が言葉よりも強く繋がれること、わからない私たちじゃありません」

 

「はー......でやあああああ!!」

 

フィーネは鞭を放つが、立花さんはそれを躱し、拳をフィーネの腹の前で止める。

 

「私の勝ちだッ!」

 

後ろを向くと、伸び続ける鞭の方向には月があった。

 

「でやあああああ!!!」

 

地面に亀裂が入り、ネフシュタンも砕け散る。

 

「月の欠片を落とす!私の悲願を邪魔する禍根は、ここでまとめて叩いて砕く!この身はここで果てようと、魂までは絶えはしないのだからな!!

聖遺物の発するアウフバッヘン波形があるかぎり私は何度だって世界に蘇る!!どこかの場所、いつかの時代!今度こそ世界を束ねるために!

アッハハハハ! 私は永遠の刹那に存在し続ける巫女!フィーネなのだ!!」

 

その言葉を聞き、思わずその首を跳ねてやろうかと刀を構えたその時、立花さんが優しい声音を崩さずに話し続ける。

 

「うん。そうですよね。どこかの場所、いつかの時代、蘇るたびに何度でも私の代わりに皆に伝えてください。世界を一つにするのに力なんて必要ないってことを。言葉を超えて私たちは一つになれるってことを。私には伝えられないから。了子さんにしか出来ないから」

 

「お前、まさか......」

 

「了子さんに未来を託すためにも、私が今を守ってみせますね」

 

「......フッ......ほんとにもう......放っておけない子なんだから......」

 

フィーネは立花さんの胸を指さす。

 

「胸の歌を信じなさい」

 

そう言い残し、フィーネは灰になって行く。

 

「それと刹那ちゃん。貴女の妹は元気してるわよ。近いうちに会えるかもね」

 

そう言い残して。

 

「なっ!?どういうことですかッ!?」

 

聞き返そうとするが、そこにはもう何も残っていなかった。

ふとクリスを見ると、声を必死に抑え、涙を流していた。

 

「軌道計算出ました。直撃は避けられません」

 

「あんなものがここに落ちたら、あたしたち、もう...... 」

 

藤尭さんが静かに告げ、立花さんの友達が悲痛な声を出す。

立花さんが無言で前に進み出した。

 

「響......」

 

その背中に小日向さんが声をかける。

 

「なんとかする。ちょーっと行ってくるから。生きるのを、諦めないで」

 

その言葉に私の纏う時鳥が疼いた。

 

『その言葉は......』

 

また先程の声が聞こえた。

そうして立花さんは、月の欠片へと飛んで行った。

 

「ならば私も行って来よう」

 

「そうだな。あたしも行く」

 

翼さんとクリスが言った。

 

「ならば私も......」

 

「駄目だ。刹那はもう動けないだろ」

 

「そんなことはッ!」

 

二人は私の言葉に耳を向けず、そのまま飛び立ってしまう。

このまま奏者達に任せて、自分だけこんな所に居て良いのだろうか。

答えは否だ。

だが先程までの力が湧くような感覚ももう無い。

もし三人が戻って来なければ、私は一生後悔するだろう。

ならば......。

 

「もう一度力を貸して下さいッ!時鳥ッ!」

 

もう一度、炎が灯った。

身体を侵食されるような不快な感覚を感じるが、そんなことはお構い無しに出力を上げ、空へと舞う。

やがて炎は形を変え、鳥のような形を作っていく。

加速を続け、直ぐに三人に追いつく。

 

「なんで来た!?」

 

クリスが表情を驚愕に染めながらそう言って来た。

 

「一緒に居ると、約束しましたから」

 

「なっ!?たったそれだけか!?」

 

「えぇ。それに、心臓を貫かれても死ななかったんですし、月くらいなら問題無いでしょう」

 

「そんな確証はないだろ!?」

 

「二人とも、言い争っている時間は無いぞ」

 

翼さんはそう言うと、三人は歌を歌い出す。

 

『不思議だね 静かな宇宙』

 

『本当の 剣になれた?』

 

『悪くない 時を貰った』

 

『『『夢 天に飛んでゆけ さあ 星へと変わろう』』』

 

『ありがとう 心から ありがとう』

 

「それでも私は、もっと立花や雪音と歌いたかった」

 

『過ごした時間はシンフォニー』

 

「ごめんなさい......」

 

『教わった 温もりは 忘れない』

 

「バーカ。こういう時はそうじゃねぇだろ」

 

「ありがとう。二人とも」

 

『Heart の全部 麗しき 満ちてゆく』

 

「何諦めてるんですか。私がいる限りは、貴女達を死なせたりはしませんよ。何があったとしても」

 

「そう......ですよね。諦めちゃ駄目ですよね」

 

四人で笑みを交わす。

 

「解放全開!!いっちゃえ!!ハートの全部で!!」

 

『涙は拭って!』

 

「皆が皆、夢を叶えられないのはわかっている」

 

『届け! 一人じゃない 紡ぎ合うそれが LOVE SONG』

 

「だけど、夢を叶えるための未来は皆に等しくなきゃいけないんだ!」

 

『伝え 胸の鼓動 原初の音楽よ』

 

「私は歌が好きだ」

 

『幾度でも いくらでも 何度でも』

 

「だからこれからも、世界に歌を届けたい」

 

『永遠に 大空に奏で 歌う!』

 

月の欠片が大気圏へ突入する。

 

「例え声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない!」

 

『遥か今 創るんだ 勇気の火 みんなで』

 

「夜明けを告げる鐘の音奏で、鳴り響き渡れ!」

 

『繋ぎ合おう この手を信じて 響け絆! 願いと共に!』

 

「これが私たちの......絶唱だあああああっ!!!」

 

翼さんの剣が超巨大化する。

クリスは凄まじい量のミサイルを構える。

立花さんの手足からバンカーが伸びる。

私は身体に炎の鳥を纏った。

 

「「「うおおおおおおおおおおっ!!!!」」」

 

 

立花さんの拳が、翼さんの剣が、クリスのミサイルが、私の炎の鳥が放たれる。

血反吐を吐いて放たれた奏者達の絶唱と、私の一撃が放たれる。

 

次の瞬間、月の欠片は跡形もなく消え去った。

 

 

 

私......小日向 未来は雨が降る中、バス停に佇んでいる。

あれから三週間、響達の捜索は打ち切られた。

弦十郎さんは作戦行動中の行方不明から死亡扱いになると聞いた。

郊外にお墓が立てられたが、そこに響はいない。

機密の関係上、名前すら彫られていない。

外国政府からの追求をかわすためだと言われたが、私にはよく分からない。

私が弦十郎さんに渡した写真が飾られていれば、それだけが立花響の墓標であることを示す、寂しいお墓。

それでも私は、響が辿った軌跡の執着に通い詰めている。

 

「会いたいよ......もう会えないなんて私はイヤだよ......響......私が見たかったのは......響と一緒に見る流れ星だよ......」

 

瞳から零れる涙を抑えようとするが、涙は止まってはくれなかった。

その時、近くで轟音が鳴り響いた。

 

「きゃあああっ!!助けてー!!」

 

「っ!?」

 

走って音の聞こえた方向に向かうと、ノイズに追い詰められた女性が居た。

その女性の手を取って走り出す。

 

「こっちへ!」

 

(諦めない......!絶対に!)

 

響は生きるのを諦めないでと言った。

それだけで理由は十分だ。

 

「私......もう......」

 

女性が地面にへたり込んでしまう。

 

「お願い!諦めないないで!」

 

ノイズに周囲を囲まれる。

私は女性を庇うように前に立ち、両手を広げる。

次の瞬間、ノイズが全て吹き飛ぶ。

ふと左をみると、響達がそこに居た。

 

「ごめん。ごめん。色々機密を守らなきゃいけなくて......」

 

その姿と言葉で、堪えていた涙が流れ出す。

 

「未来にはまたホントのことが言えなかったんだ......」

 

「まぁ、私は本部にいても普段の生活と変わらなかったので退屈しませんでしたがね」

 

「バッカお前こういう時は黙っとくもんだろ」

 

「クリスと過ごす三週間はとても有意義でしたよ?」

 

「なっ!?お前!!」

 

クリスと刹那さんが仲睦まじく会話している。

私は響へと走り出し、そのまま抱きつく。

ノイズの脅威は尽きることなく人の闘争は終わること無く続いている。

未だ危機は満ち溢れ、哀しみの連鎖はとどまることを知らない。

けれど、それでも俯かない。

諦めない。だってこの世界には、歌があるのだから。

今は頬を伝う涙さえも、心地よかった。

 




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