戦姫絶唱シンフォギアーNo name monsterー 作:ハウスダストドラゴン
喪失 そして出会い
目を覚ますと、私はベッドの上で点滴を打たれながら横たわっていた。
周りの機材などを見るにどうやらここは病室のようだ。
(何故私はこんなところにいるのだろう......?)
記憶が曖昧で、ここに来る前のことが思い出せなかった。
否、思い出したくなかった。
ふと思考を巡らせ、友人が死に、ノイズを殺したことを思い出した。
思い出してしまった。
あんな非現実などただの夢かもしれない。
そうでもなければ友人があんなに無様に殺されてたまるものか。
私はあの出来事が夢かどうか確かめるため、病室から抜け出し、看護師達の目を掻い潜ってあの時のライブ会場に向かった。
本当は分かっていたのかもしれない。
ただ現実を認めたくなくて、目を逸らしたくて、希望でも奇跡でも、なんでもいいから縋らせて欲しかった。
けれど......現実は残酷で、希望も奇跡もありはしなかった。
辿り着くと、そこにあったのは廃墟と化したライブ会場だった。
嗚呼、どうして私だったのだろう。
彼女には夢があった。
いつも笑いながら夢を語り、自分が夢を叶えるところを私なんかに見ていて欲しいと言ってくれた。
こんな私より、彼女が生きていた方が良かったのに。
ならせめてーーー彼女の弔いに私がノイズを皆殺しにしよう。
これ以上、彼女のような犠牲が出ないように......。
「さようなら。それと、こんな私と友達でいてくれてありがとう......」
取り敢えず、あれから何がどうなったのかを調べる為に自宅へ向かうことにした。
結論から言うと、私の不幸はこれだけでは終わらなかった。
家はもぬけの殻で、両親の私物や金銭は全て持ち出せれており、家には落書きや張り紙などが大量にされていて、そのどれもに「人殺し」等と書かれていた。
どうしてこうなったのか、ネットや新聞を用いて調べたところ、まずあの事件から既に一週間は経過しており、私はその間ずっと眠っていたようだ。
あのライブの生存者は二人しかおらず、あのライブで親族や親しい人を失った人達を中心にして相当なバッシングが行われているようだった。
両親もそんな状況に耐えきれず、私を捨てて出て行ったのだろう。
もしバッシングを行っている人達から被害を加えられた時のことを考えると、何か対抗策があった方がいい。
私はこの前使った黒い鎧を纏えるか確認する為に、取り敢えずあの時に感じた力が湧き上がるような不思議な感覚をイメージしてみると、心地の良い機械音と共にガントレットとマフラーが展開された。
力が使えることは確認出来たので、今度は鎧の解除をイメージした所、ガントレットとマフラーは粒子となって虚空に消えた。
そうこうしていると家のインターホンが鳴った。
嫌がらせだろうかと警戒しながら玄関へと向かう。
(いざとなったらこの前の黒い鎧でどうにかしますか......)
玄関を開けると、そこには赤いスーツを着た、赤髪の大男が立っていた。
「黒崎 刹那君だね?君に少し話があるのだが」
「何故私の名を......?」
「俺は風鳴 弦十郎。特殊犯罪対策起動部二課の司令をしている者だ。君のことは調べさせて貰った。黒崎 刹那、現在14歳。五年前に米国からの密輸船にて発見された。戸籍もなく、出所不明の少女だった。それから一年後に黒崎家に拾われ今に至る」
「よく調べてしらっしゃるようで......。それで、国連のお偉いさんが私などになんのようでしょう?」
「率直に言おう。二課に来る気はないか?」
その言葉に私は心の底から驚いた。
国家機密の塊であろう国連直轄の組織から勧誘されるなど、誰が予想できようか。
「君が奏のペンダントを用いて聖遺物を纏ったことは分かっている。アウフヴァッヘン波形も検出されているからな。我々はノイズと戦える戦力が少しでも欲しいのだ。協力してはくれないだろうか?」
少し戸惑ったが、"ノイズと戦える"その言葉を聞いた時点で私の答えは決まっている。
「給料は出ますか?両親が蒸発してしまったもので......生活に困っているのですが」
「ああ!充分な給料と待遇を保証しよう」
「そういうことならば了承しましょう。宜しくお願いします」
決して信頼したわけではないが、このままでは生活することすら難しいのは事実、ここは大人しく従うことに決めた。
そうして弦十郎という大男と車に乗り、どこかへと車が走り出した。
ビガミやりたい