戦姫絶唱シンフォギアーNo name monsterー   作:ハウスダストドラゴン

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受け継がれしガングニール

私が二課に所属してからもう二年になる。

ノイズが現れれば翼さんと協力して戦って来た。

私は現在翼さんも所属している私立リディアン音楽院に在籍し、今年で高校二年生になった。

 

私の聖遺物は相変わらず謎に包まれており、分かったことはペンダントが既に破損している為、聖遺物を何処に所持しているか不明なことと、幾ら使用しても身体には変化が無く、メディカルチェックをしても何も異常が無いことだ。

 

放課後になり、一部のクラスメイトに遊びに誘われるが用事があると断り、本部へと向かうことにした。

今では慣れた急落下の感覚を覚えながらエレベーターを降りる。

その後習慣となりつつある鍛錬をしていると、通信機から連絡が来る。

 

「刹那君。ノイズの出現パターンを検知した。直ちに現場へと向かってくれ」

 

「了解。」

 

短く答え、そのまま現場に向かおうとすると、通信機から信じられないことが聞こえてくる。

 

「ガングニール......だとぉッ!?」

 

ガングニールは砕け散った筈だ。

残っているとしても姿を変えて私の力となっているこのギア擬きだけだ。

 

「ガングニール!?どういうことですか!?司令!!」

 

聞き返すと、ノイズの出現位置にガングニールの反応が出たらしい。

 

私は足をさらに早め、現場へと向かう。

バイクに跨りアクセル全開で現場に向かい、たどり着くと、ガングニールを纏った少女が幼ない少女を抱えてノイズから逃げていた。

 

そこへ翼さんが颯爽とバイクに乗って到着する。

 

Imyuteus amenohabakiri tron......

 

 

シンフォギアを纏った翼さんはガングニールの少女に何か一声かけ、そのまま大型ノイズに向かって天ノ逆鱗を発動し、討伐する。

 

どうやら私の出番は無かったようだ。

それから数分も経たずに二課の人達が到着する。

 

二課の人にノイズ討伐の経緯について報告し終え、緒川さんと翼さんに合流すると、ガングニールの少女が手錠を付けられ、車に乗せられて連行されているところだった。

制服を見るにリディアンの生徒のようだ。

 

「翼さん。間に合わずすみません」

 

「いや、今回は規模的に私一人でも充分だった。気にするな。」

 

私もその車に乗り込み翼さんに謝意を述べていると、ガングニールの奏者が話しかけてくる。

 

「あの......貴女は......?」

 

「私は刹那。二課で翼さんと同じ仕事をしている者です」

 

「あっ!私は立花 響って言います!宜しくお願いします!」

 

一通りの自己紹介を終えた所で、車がリディアンに到着する。

そのまま中央棟へと入りエレベーターに乗る。

 

「ここって先生達がいる中央棟ですよね?」

 

立花さんは不思議そうな顔をしている。

それもそうだろう。

自分が普段通っている学校の地下に国連直轄の組織があるとは夢にも思わない筈だ。

 

「掴まっていた方がいいですよ」

 

緒川さんが立花さんに言う

 

「へ?それってどういう......」

 

立花さんが言い終える前にエレベーターが急降下を始める。

二年前に見たような光景だ。

 

あまりの速度に立花さんは苦笑いをしている。

 

「愛想は無用よ。これから行く場所に微笑みなど必要無いから」

 

翼さんは突き放すように言った。

恐らく二年前の私同様、立花さんの事が気に食わないようだ。

私は二年間一緒に戦ってきたことで、ある程度打ち解けることは出来たが、やはり奏さんの力を覚悟もないであろう一般人が持つことには嫌悪感があるのだろう。

 

そしてエレベーターの降下が終わり扉が開くと、やはりというかなんというか、そこはパーティー会場のようになっていた。

 

了子さんや司令に引っかかると面倒なので、私はその場から離れ、鍛錬場へと足を運んだ。

ノイズを如何に効率良く壊せるか、その事を重視し鍛錬する。

 

だが鍛錬を始めてから数分後、ノイズ出現パターンを検知したとの連絡を受けた私と奏者二人は現場へと急行した。

二箇所同時に出現したらしく、私は本部から遠い方に出現したノイズと戦闘を行っている。

 

日頃の鍛錬によって鍛え上げた技術と身体能力で的確にノイズを屠っていく。

私のギア擬きにアームドギアは存在しないので、自分の拳一つで戦う。

攻撃を受けるなんてヘマはせず、ノイズを殲滅させた。

達成感なんてものは感じない。

感じるのは二年前から変わらないノイズへの憎しみだけだ。

幾ら殺しても満たされない。

幾ら殺しても......この復讐心が薄れることは無かった。

 

ノイズの殲滅を終えて本部付近へと戻ると、翼さんが立花さんへと天ノ逆鱗を放っている瞬間だった。

 

「立花さん!危ない!」

 

私はギア擬きを纏って止めに入ろうとするがとても間に合いそうがない。

その時、私の視界の端で赤い影が動いた。

その赤い影......司令は翼さんと立花さん間に入ると、拳を翼さんの天ノ逆鱗へと向けた。

 

「ふんッ!!」

 

司令は拳を前へと突き出し、拳圧だけで天ノ逆鱗を止めて見せた。

 

「立花さん!!大丈夫ですか!?」

 

幾らなんでもやり過ぎだ。

翼さんを攻めようと視線を向けると、翼さんの眼からは涙が流れていた。

 

「翼さん。泣いているのですか?」

 

私が問いかけると、翼さんはこちらを向いて叫んだ。

 

「泣いてなどいないッ!剣に涙など......必要ない!」

 

その様子を見た立花さんが口を開く。

 

「あの、私、自分がダメダメなのは分かっています。だからこれから一生懸命頑張って......奏さんの代わりになってみせます!」

 

その言葉を聞いた翼さんは......立花さんに近づき、その頬を叩いた。

 

 

 

 

 

 




君たち、早く百合百合して?

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