戦姫絶唱シンフォギアーNo name monsterー   作:ハウスダストドラゴン

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原作乖離できないィ!

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終わりの名を持つ者

目を覚ますと、私はベッドの上に寝かされていた。

 

(確かネフシュタンの少女との戦闘中に邪魔が入り、気絶させられたはず......)

 

周りを見渡すと四方が壁で囲まれており、監視カメラらしき物と二つの扉があるだけだった。

片方の扉に近づき、扉を開くと、そこはトイレとシャワールームだった。

ならばもう片方の扉が出口の筈だと思い、ドアノブを捻るが、鍵がかかっているようで開かない。

 

(ベッド以外に家具はなく、おまけに出口は施錠されている......気を失う直前に聞いた会話のこともありますし......ここは敵の本拠地と言ったところでしょうか)

 

私は扉を破壊するためにギア擬きを纏おうとするが、ギア擬きはいつものように応えてくれない。

仕方がないので素手で殴るが、司令でもないのに鉄のドアを破壊できる訳がなく、痛いだけで終わってしまう。

 

すると、その音が聞こえたのか、こちらへと向かってくる足音が聞こえて来る。

数秒と経たずに足音はこの扉の前であろう場所に止まり、扉が開く。

そこには金の瞳と金の髪を持つ女性が立っていた。

 

「目が覚めたようね」

 

ただ一言そう告げて来た声、その容姿は、髪や瞳の色は違えど、間違いなく櫻井 了子のものだった。

 

「了子さん......?その髪と目はどうしたんですか?それにここは敵陣地のはずですが......」

 

「違うな。私はフィーネ。貴様らの敵だ。櫻井 了子の意識など、とうの昔に死んでいる。貴様の力は非常に興味深いのでな。じっくりと研究させて貰うことにした」

 

「了子さん?悪い冗談は止めてください。貴女でも言っていいことと悪いことがある」

 

私はキッと了子さんを睨むが、了子さんはそれを鼻で笑うと、いつもとはまるで違う口調で話し出す。

 

「今後はお前の血液や細胞を徹底的に調べさせてもらう。監視はクリスに任せよう。あぁ、逃げ出そうとしても無駄だぞ?貴様にはアンチリンカーを打った。そのギアは纏えない」

 

「アンチリンカー......聖遺物との適合係数を下げるリンカーとは真逆の薬品ですか」

 

クリスというのが誰のことか分からないが、逃げ出せないことは確かなようだ。

了子さんは踵を返し、この部屋から出ていこうとする。

 

「それと一ついいことを教えてやろう。二年前の事故を引き起こしたのは私だ。あのタイミングで天羽 奏か風鳴 翼のどちらかに死んでもらう必要があったのでな」

 

了子さんはそう言うと、懐から杖を取り出し引き金の様な物を引いた。

するとノイズが現れ、了子さんに跪く。

その行動だけでこの人が何をして来たのかを理解した。

理解してから行動に移すまでは自分でも驚く程に速かった。

私は了子さんに拳を放つが、紫色の障壁に阻まれる。

 

「貴女は自分が何をしているのか分かっているのか!?貴女のせいで何人死んだと思っている!?貴女さえいなければ彼女は死ななかった!貴女さえいなければ立花さんは普通の女の子でいられた!」

 

私は怒り狂ったように言葉を吐き続ける。

了子さんは私の様子を見て口元を歪める。

 

「では、あとはクリスに任せるとしよう。ではな」

 

ガチャンと、音を立てて扉が閉まる。

それから暫く後、私の頭が怒りから冷めて来た頃、先程と同じように扉が開いた。

だがそこに居たのは了子さんではなく先日戦ったネフシュタンの少女だった。

 

「お前を監視しに来た。雪音クリスだ。放っておくと、何をしでかすか分からないらしいからな」

 

少女はそう言うとこちらを睨めつけた後地面に腰掛け、そのまま喋らなくなる。

どうやらこの雪音さんが、了子さんの言っていた監視役らしい。

暫く静寂が続くが、あまりにやることがないので、私は少女に話しかけることにした。

 

「雪音さん。少し聞きたいことがあるのですが」

 

「......なんだ」

 

「貴女は何故了子さ......フィーネに協力しているのですか?」

 

「そんなことを聞いてどうする?」

 

「あまりにすることが無いので暇なのですよ」

 

少女は少し考え込むような少し仕草をした後、言葉を紡ぐ。

 

「あたしはな......世界から戦争の火種を無くしたいんだ」

 

「戦争の火種を無くしたい......?ならばどうしてノイズを操るなんて真似を?」

 

「戦争の火種を無くすにはを戦いの意思と力を持ってる奴らを叩き潰すしかない。痛みだけが人の心を結んで繋ぐ。そうフィーネが言っていた」

 

「そんな方法で世界は平和にはなりませんよ。争わないために武力を行使してては本末転倒でしょう」

 

「なっ!?お前に何がわかる!あたしを唯一愛してくれるのがフィーネだ!痛みもまるで知らないお前なんかにとやかく言われる筋合いはねぇ!」

 

どうやら今のは失言だったようだ。

それ以降彼女はまた黙り込んでしまう。

 

「痛みを知らない......ですか。ならば一つ、昔話をしましょうか。昔、ある少女がいました。少女には両親がおらず、顔も知りません。

生まれた時からよく分からない施設にいます。痛いことや辛いことばかりが続いていましたが、ある日良いことがありました。

なんと妹一人と友達が三人出来たのです。大切にしよう少女は思いました。

ですがその数年後、少女は何処かに売られ、妹や友達と会えなくなってしまいました。

運良く少女は救出され、お母さんとお父さんが出来、痛いことや辛いことからは解放されました。

それから更に数年後、少女に再び友達が出来ました。その友達は妹や友達と会えなくなって塞ぎ込んでいた少女に何度無視されても話しかけ続け、少女の支えとなり、同時に理解者になってくれました。

少女はその友達の沢山の思い出を作り、幸せに暮らしました。」

 

「なんだよ。結局ただのハッピーエンドじゃねぇか」

 

ですが......と私は続ける。

 

「その友達は、事故......いや、事件によって死んでしまいました。

少女は事件の原因を憎み、一人の復讐鬼が生まれました。」

 

「おい......それって......」

 

「えぇ、私の生い立ちです。私は彼女を殺したノイズが憎くて堪らない」

 

「悪かったな......痛みを知らないらなんて言って......」

 

彼女はボソッと謝罪を告げ、それ以降、話しかければ答えてくれるくらいようになった。

 




伸びないかなぁ(願望)伸びないなぁ(現実)

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