解放者よ、再び   作:甘党

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奈落の少女

50層が過ぎると俺たちはゆっくりとした速さで攻略していた

とりあえず今のステータスというと

 

石川健斗 17歳 男 レベル:11

天職:先駆者

筋力:2100

体力:2100

耐性:2100

敏捷:2100

魔力:10000000

魔耐:1000000

技能:未来視[+自動発動][+仮定未来] [+天啓視]・暗殺術・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成][+高速錬成][+自動錬成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少]・全魔法適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇Ⅴ][+魔素吸収][+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅲ][+集中強化]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・天才肌・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・高速魔力回復・言語理解

 

自分自身やりすぎた感はある。特に魔力に限ったら制御しているだけなかったらただの化け物だろうし

ついでにハジメたちも最近はステータスを見ていないけどオール1000近くまであがっている

 

「ハジメできたか?」

「うん。一応100発分は用意できたよ。」

「100発か。まぁあそこに広間を攻略すればいいと思うしおそらく中ボス戦だろうしな。」

「あの。ということはあのワームみたいなモンスターがでるのでしょうか?」

「ん〜。まぁあれ以上の敵ってことには間違いないと思うけど。てかあの敵結構楽だったじゃん。」

「私死にかけたんですけど。」

 

と俺はあっけらかんにそう言うと少しジト目で睨んでくるリリィ。

 

「死にかけたってお前もあれ結構余裕だったんだぞ?魔力を吸収している時って魔法の威力を弱める効果もあるから。」

「へ?そうなんですか?」

「何で使っている本人が知らないんだよ。魔法の魔力を自分に取り込んでいるんだぞ。魔力そのものを取り込めるからな。空気中の魔力の流れが分かるからできる魔法なんだよ。」

「……僕も初級魔法は使えるようになっているから説得力が違うね。」

 

魔法の適正がなくても初級程度の魔法なら使えるようになる。

これは俺の解放者の時の研究した結果である。

魔法部門はすでに健斗の管轄になっている。

 

「んでこのベタすぎるえっと?」

「サイクロプスだよ。」

「そうそう。んでどうするんだこいつ?」

 

さっき魔法で瞬殺した魔物を見ながら俺は頭を掻く。

 

「……私とハジメさんは食べておいた方がいいと思います。健斗さんは成長の痛みがほぼないですが私たちにとっては必要だと思いますので。」

「なるほどな。んじゃ俺はこの中をちょっと見てくるわ。魔石だけもらっていいか?」

 

脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

さすがの俺も少し嫌な予感がしたので引き返したのであるがその後ハジメたちと攻略することを決めたのである。

それはもしかしたらオスカー兄さんが残したアーティファクトがある可能性があるからだった。

もしかしたら宝物庫があるかもしれない。

空間魔法との応用でできたとした宝物庫は今の俺たちにはとても欲しいアーティファクトである。

さすがに肉を大量に運んだりはできないし。

 

そんな期待を胸に血濡れを気にするでもなく二つの拳大の魔石を扉まで持って行き、それを窪みに合わせてみる。

 ピッタリとはまり込んだ。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸り魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。

少しワクワクしながら気分はトレジャーハンターのようにして警戒しながら、そっと扉を開いた。

 扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ

 中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。

近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時、ホラー映画のように、入った途端バタンと閉められたら困るからだ。

 

「……だれ?」

 

 かすれた、弱々しい女の子の声だ。ビクリッとして健斗は慌てて部屋の中央を凝視する。すると、先程の〝生えている何か〟がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く

よく見ると上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗いている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。

そしてその女の子を見た俺は一瞬固まったがとあることに気づきその女の子に近づく

 

「……吸血族か。」

 

俺はいつでも魔法が放てるようにしながらも少女の元に向かう。

どうやら封印石で覆われている罪人のような姿に俺も少し戸惑ってしまう。

 

攻略者の仕業か?

 

いや違う。

恐らく攻略者。魔人族の仕業であろう。

というよりも床下にヴァンドゥル兄さんの紋章が書かれてある。

だから一瞬魔人族の仕業かと思ってしまうがおそらく吸血族の仕業であり、ここでなければならない理由があったはずだ

 

「……お前何でこんなところにいるんだ?」

 

だからつい気になってしまった。

おそらく神関連で何かあったとしか思えないんだけど

半ば呆然としている女の子。

それをただ話し始めるまで俺は待ち続けていると

 

「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」

 

枯れた喉で必死にポツリポツリと語る女の子。なんとまぁ波乱万丈な境遇か。しかし、ところどころ気になるワードがあるので、そのことについて尋ねてみる。

 

「お前、どっかの国の王族だったのか?」

「……(コクコク)」

「殺せないってなんだ?」

「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」

「……再生か。」

「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」

「……あぁ。そっか。それが普通なのか。」

 

すでに無詠唱が当たり前になっている俺にとってそれが常識であることを忘れていた。

 だが、この女の子のように魔法適性があれば反則的な力を発揮できるのだろう。何せ、周りがチンタラと詠唱やら魔法陣やら準備している間にバカスカ魔法を撃てるのだから、正直、勝負にならない。しかも、不死身。おそらく絶対的なものではないだろうが、それでも勇者すら凌駕しそうなチートである。

それだからこそ選ばれたのだろう。神の器に

 

「……たすけて……」

「……ちょっと待ってろ。今解析中。」

「へ?」

 

魔力感知ですでに封印石を捉えている

なるほどな結構強い封印石で覆われているが関係ない

……んじゃ始めるか

魔力が注ぎ込み始める。それはとても鮮やかで綺麗に結界石を解き明かしていく

女の子の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、少しずつ彼女の枷を解いていく。

それなりに膨らんだ胸部が露わになり、次いで腰、両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが、それでもどこか神秘性を感じさせるほど美しかった。そのまま、体の全てが解き放たれ、女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。どうやら立ち上がる力がないらしい。

俺は目を逸らしながら

 

「ほれ。大丈夫か?」

「……ありがとう」

「別に攻略のついでだしな。」

 

予想とは違うがいっか。

俺は少し考え俺の上着を渡す

 

「とりあえずそれ羽織っておけ。さすがに目に毒だし。」

「……ん。名前何?」

「石川健斗。そっちは?」

 

健斗。健斗と名前を物々つぶいている。……なんか少し怖いと思ったのはこの女の子には内緒だ

 

「名前つけて?」

「は?」

「もう、前の名前はいらない。……健斗の付けた名前がいい」

「……はぁ。って言ってもなぁ。」

 

と俺は少し考える。前の自分を捨てて新しい自分と価値観で生きる。女の子は自分の意志で変わりたいらしい。女の子は期待するような目で健斗を見ている。

 

「……ユエ。」

 

と俺は頭に浮かんできたその言葉を告げた。

 

「ユエ?……ユエ……ユエ……」

「ん。確か俺が出会った魔法使いで知っている限り俺以外では一番魔法の扱いがうまかったんだよ。ユエという名前は俺たちの世界では中国語で月と表すからな。」

「俺たち?健斗以外にも誰かいるの?」

「外で待たせてある。っ!」

 

するとかすかに殺気を感じ取り上を向く

 

「……守護者か。厄介だな。えっと。」

「……んっ。今日からユエ。ありがとう」

「あぁ。まぁ雑談する暇はなさそうだな。」

 

俺はユエを抱き上げそして背中にとその直後直前までいた場所にズドンッと地響きを立てながらソレが姿を現した。

その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。

 一番分かりやすいたとえをするならサソリだろう。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。明らかに今までの魔物とは一線を画した強者の気配を感じる。

 

「……チッ。面倒だけどやるしかないか。」

 

どうせユエを逃がさないための最後の仕掛け。いや。ユエを守るための最後の仕掛けだ。

 

「……誰かは分からないけど引き継がしてもらう。ユエとりあえずこれ飲んでろ。」

「ん。」

 

そして俺はユエを抱えたまんま息を吸いそして決意する

 

「それじゃあ殺戮を始めようか。奪えるもんがあるんだったら奪ってみろ。」

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