解放者よ、再び 作:甘党
ユエなどの心境も書いてみたいので
サソリモドキの初手は尻尾の針から噴射された紫色の液体だった。かなりの速度で飛来したそれを躱すと着弾した紫の液体はジュワーという音を立てて瞬く間に床を溶かしていった。溶解液のようだ。
「うげぇ。痛そうだな。」
と思いながらも術式を唱え健斗は瞬時に魔法を発動していく。ほとんどノータイムで魔法を操っていて弾幕が広がっている。
背中越しにユエの驚愕が伝わって来た。それを気にせずに魔法を連発している
しかし結構強く発しているはずだが全く効いたそぶりはない。そして一つだけわかったことがあった
こいつ変成魔法でできた魔物かよ!!
おそらく通常の魔物を強化した魔物であること。またこれをよこしたのがやはり変成魔法しか考えられない。
よく考えたら半分魔物である俺みたいに自我を持つ魔物なんて滅多にいない。
そのことをすっかり忘れてしまっていた。
「ちっ。絶零。」
と唱えた瞬間強烈な冷気がサソリに多い続ける。おそらくシュタル鉱石と呼ばれる。魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石を備えている。
健斗自身久しぶりの強敵相手に心からどう対応すればいいのか考えていた。
近づいたら練成ができるけどその前の溶解液がある。棘もなんか仕掛けがありそうだし魔法で応戦が一番ましか
とりあえず手榴弾を取り出し氷を軸にサソリにぶつけながらしている激しいバトルにユエが聞き出した
「……どうして?」
「あ?」
「どうして逃げないの?」
自分を置いて逃げれば助かるかもしれない、その可能性を理解しているはずだと言外に訴えるユエ。
しかしその回答は簡潔だった。
「助けたいと思ったから助ける。それだけだろ。」
たったシンプルかつ簡潔な答え。
それが健斗の意思だ。
正直隼人自身お人好しの部類に入るって自覚はしている。
でも
困った人を見過ごすほど腐ってはいない。
困らせることはかなりあるのだけれどそれでも
俺はロック・リエーブルでもあり石川健斗なのだ。
助けたいものは助ける。
兄さんたちが俺を助けてくれたように。俺を受け入れてくれたように
雫と香織が俺を受け入れてくれたように
リリィやハジメが俺のことを信じてくれるように
隼人は見捨てない
どんなことがあろうとも一度助けるときめたら絶対に助けるのだ
「それにこんな雑魚にやられるほど俺は弱くないからな。」
するとその瞬間光の鎖がサソリに絡みつく
「チェックだな。」
健斗はそう告げるとサソリに向けて手を伸ばす
「ドレイン。」
その言葉で光の鎖から植物が生え、サソリにまとわりつき魔力と生命力を吸収し吸い取っていく。その養分は健斗に吸収され、疲労が回復していき体が軽くなった気がした。
それと反対にサソリはだんだん弱っていき、そしてついに動かなくなった。
「ミッション完了っと。」
「……」
ユエは驚愕の表情で健斗を見る。
ユエ自身魔法の腕には自信があったのにそれを圧倒的に上回る魔法の数々。
発動時間もノータイム。魔力操作も自分よりも上手であり、すべてを蹂躙する能力
だから気になった。
「……何者?」
ユエからの言葉に健斗は少し笑って自身ありげにこうつぶやいた
「石川健斗。解放者ロック・リエーブルの生まれかわりであり、この世界の真実を知るものだよ。」
健斗は進む。たとえそれが荊の道であろうとも。
絶対に仇は討ってやるとユエを守った吸血族に誓って。