解放者よ、再び   作:甘党

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地下での遭遇

転移し終わったところで叫び声が聞こえた俺とリリィは気配感知の代わりに当たるサーチという魔法を忘れ急いでその声の元に向かう。

あの声、確か……

 

「リリィ悪い。」

 

とリリィを抱え全力の身体強化をした状態で走る。

これは比較的に急がないとまずいと思い全速力で

そしてその声の先にはブルブルと蹲った少年らしき姿と大きな二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っているクマの魔物の姿だった。

 

「よっと。」

「キャン!!」

 

クマってキャンって泣くんだなと高速空中蹴りをお見舞いする

一撃でクマを葬ると俺はその人物を見る

 

「へ?」

 

するとキョトンとする見たことのある少年は俺の方を見る。

やっぱりそうか。

 

「南雲お前何しているんだ?」

 

俺は不思議そうに首を傾げる。

そし南雲は少し首を傾げたあとそして驚いたように俺を見ながら声を出した。

 

「えっ?石川くん?それとリリアーナ姫?」

「って南雲さんその腕は!?」

「えっ?あっ。」

「っ。南雲。」

 

俺は人口神水を南雲に無理やり飲ませる。急に驚くが液体を飲めと小さく命令する。

すると怖がっているように見えたのだがコクリと頷き飲み始めると南雲の様子が激変する

 

「えっ?なんで。」

 

傷が塞がれ腕の再生はしないもののそれは驚異の回復力を見せる。

 

「人工的に神水を作ったんだよ。あれは結構簡単に作れるからな。」

「……へ?」

「あの、健斗さん。神水って未だにどういうものか分からないものなんですが。」

 

呆れたようにリリィがそう告げる。

 

「……やっぱり石川くん。この世界のことについて。」

「あぁ知っている。というよりも前世でこの世界に住んでいたんだよ。」

「前世?もしかして転生ってこと?」

「えっ?あっうん。そうだけど。ちょっと南雲そんなに目を輝かせないで。てか転生人って……まぁ雫が読んでいた小説に少しあったから憧れるのか?」

 

目がキラキラして見つめてくる南雲に俺は少し困ったようにしてしまう。

 

「……てか危険か。少しだけ避難するか。」

「そういえば石川くん。ここって。」

「本当のオルクス大迷宮。一層。」

「へ?」

 

驚いたようにしている南雲に俺はすぐに壁に手を付ける

錬成を使い地面に穴を開け俺は少し苦笑する

 

「ほら。入って少し話するぞ。お前がここになんでいるかも少し聞かせてほしいし。」

「えっ?う、うん。ってそれって錬成だよね?」

「あぁ。俺の兄さんから教えてくれたからな。そこらの錬成師に負けてないぞ。」

「……南雲さん。あまり健斗さんに常識を考えていたら頭痛がしますよ。」

「おい。リリィ。どういうことだ。」

 

少しだけホッとする。

南雲が俺たちのやり取りを見て少し笑っていたからだ。

とりあえず自殺とかの線は消えたかな。

 

俺は一先ずホッと息を吐いた。

 

 

 

「……つまりその解放者が神を殺して欲しいっていうのがこの迷宮の目的なの?」

 

とハジメが不安そうに答える。とりあえず俺の前世が何者であったのかとか色々話した結果不安そうに俺を見る

 

「いや。違う。この迷宮の目的はこの世界の真相を後世に伝えることと、攻略者が自分の意思で物事を判断できるようになることだ。」

「……自分の意思で?」

「あぁ。俺たちもさすがに強制して神を殺せって言いたいわけじゃないんだよ。ただ人に流されず自分の意思で行動できるようにしてもらいたいために作りあげたんだ。狂神との戦いで必要になることを訓練させ、神代魔法とその先の魔法を習得させるためでもあるんだけど。」

「その先の魔法?」

「あぁ。俺が手に入れようとしているのはその先にある魔法だ。おそらくだけどそれさえあれば雫や香織を日本に返せるからな。」

 

すると驚く南雲。

 

「えっと、健斗くんは解放者の一人なんだよね?えっと。神を殺すことよりも先に僕たちを日本に帰らせてくれるの?」

「…巻き込むわけにはいかないだろうが。お前らはこの世界の人間じゃないんだぞ。さすがに自分のわがままでこの世界に居座らせたらダメだろうが。」

 

さすがに面倒はかけられないしな

 

「てか南雲は?なんで奈落に?」

「えっと、実は。」

 

すると南雲が話始めた内容をまとめると

 

オルクスの大迷宮の演習でこの迷宮に入りそして無事に目的の二十層にたどり着く直前でトラップに巻き込まれ、その先に過去最高到達点のベヒモスと戦闘に巻き込まれる

撤退戦で一人で錬成を使い足止めをしていたらしい。

南雲が何者かの魔法により撤退することに失敗。奈落に落ちたらしい。

 

「……まぁ檜山だろ。」

 

俺はすぐに結論を出した。さすがに能力を使わずでも分かる。

答えは簡単香織への嫉妬。その一言に尽きる。

 

「…やっぱりそう思う?」

「あいつお前のことかなり気になっていたからな。ハジメも気づいているだろけどあいつお前のこと異性として意識してたし。」

「……」

 

少しだけ残念そうにしている。どこか後悔。懺悔。その感情が一人の少年の今の気持ちを表していた。

 

「…でも、クラスメイトを殺そうとするなんて。」

「当たり前だ。クラスでも殺したいほど嫌いな人物がいたんだろ。何か最近、南雲が香織が行動してそれを檜山に見られた。それに嫉妬した檜山が南雲を気づかれないように暗殺しようとした。…全く恋愛関係のトラブルは本気で面倒臭いことだよ。」

「……他人事だね。」

「他人事だしな。俺は俺で雫の義妹集団から散々やられていたんだぞ?」

「あぁ。目に浮かぶね。」

「雫。面倒見よくて王宮でも光輝さんよりも人気でしたよね?」

「あいつかわいいとこあるんだけどなぁ。みんなかっこいいというけどあいつはどちらかというと甘えん坊で怖がりな女子って気がするんだけどなぁ。」

 

あいつ俺と似ているんだよなぁ。

だからこそつい見過ごせなかったのかもしれない。

雫とは小学校のころから構っていた。

どこか危なげなかったから。

わずかな一言に傷ついているのが分かったから

 

「……怒っているんだろうな。あいつ。」

「そりゃ今度会った時頰を思いっきり引っ叩くっていっていたくらいだから。」

「まぁ。仕方ないか。今の雫はすぐに死ぬだろうしな。」

「……そんなに厳しいの?ここ。」

「正直南雲のステータスじゃ厳しいな。でも別のアドバンテージは取れるけど。」

「アドバンテージ?」

 

俺は頷く。

 

「オルクスの大迷宮は元々鉱山としてより良い鉱石が取れるんだよ。これ鑑定してみろ。」

 

と俺は二つの鉱石を錬成で切り抜き南雲に見せる。

 

「えっと。これって何?」

「あぁ。タウル鉱石と燃焼石だよ。鑑定技能はまだ持ってないのか。」

 

と俺は鉱石鑑定で二つの鉱石の説明を見せる。するとそれを見た瞬間ハジメは目を見開き何かを考える。

 

「この二つを組み合わせることであるものが制作可能になるとは思わないか?」

「……火薬と薬莢。」

 

するとすぐに出てくるところがすごいところなんだよなぁ。

 

「す、凄いよ!!石川くん。もしかしたらこの世界に銃が作れるかも!!」

「まぁ作れるだろうな。それと正直ここの迷宮は錬成師のための迷宮だし。」

「錬成師のための迷宮ですか?」

「あぁ。ここで得られる神代魔法は生成魔法だ。鉱石に魔法やスキルの効果を付与することができるんだよ。」

「っ!!」

 

リリィはその一言で絶句してしまう。

 

「あの、それって。」

「あぁ。アーティファクトを作れるってことだ。」

「……そんな無茶苦茶です。」

「神代魔法っていうのはそれだけ頭がおかしい魔法なんだよ。鉱石も豊富でさらに錬成師にとったらオルクスの大迷宮は天国みたいなところなんだ。」

 

実際良い鉱石がゴロゴロ転がっているオルクスの大迷宮。

それなのに生成魔法を手にいれただけでそれはさらに強化される。

 

「まぁとりあえず攻略するしかないだろうな。南雲の背だけじゃ俺の服は少し大きいか。」

「……僕がいうのもなんだけど石川くん落ち着きすぎてない。」

「伊達に一回死んでないからな。」

 

と言いながらも少し鼻歌まじりにどうしようか考える。

こうして俺たちのオルクスの大迷宮の攻略が今始まろうとしていた。

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